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4/5up: 報道・立野ダムに9億4200万円 暫定予算箇所付け ボーリング調査前倒し

 国土交通省は1日、2013年度政府暫定
予算の箇所付けを公表した。国営立野ダム(南
阿蘇村、大津町)の建設事業費には9億42
00万円を配分。ダムの本体設計に向け、初
めてダムサイト周辺のボーリング調査費を盛
り込んだ。
 国のダム事業検証で昨年12月、国交相が立
野ダムを「継続」と判断したことを受け、同省
は13年度政府当初予算案に、凍結していた本
体関連工事など28億3200万円を計上。こ
のうちボーリング調査は「(残り約10年の)工
期に間に合わせるために発注を急ぐ必要があ
る」(河川課)として暫定予算に前倒しした。
 暫定予算ではこのほか、毎年実施している
白川の流量調査や予定地にすむ希少猛禽類な
どの環境調査も行う。
 立野ダムの総事業費は約917億円で残事
業費は約491億円。13年度は工事用道路の
整備を進める一方、河川をせき止めて仮排水
路トンネルに水を流す流転工事に着手する。
     (渡辺哲也)

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3/31up: 記事・白川・黒川の改修工事関連

白川・黒川の改修工事関連の記事です。

遊歩道楽しいね 白川改修一部が完了 大甲橋~銀座橋間 園児ら”渡り初め”

 国土交通省熊本河川国道事務所が進めている白川改修工事
で、大甲橋~銀座橋間の右岸側約300メートル区間の整備が完了。
25日、近くの城東保育園の園児たちが参加して記念イベント
があった。
 国が重点整備を進めている「白川緊急対策特定区間」
(10・5キロ)内。昨年7月に本格着工し、堤防の新設
や護岸工事などを進めていた。完成後の川幅は最大1
12メートルと約12メートル広がった。
 同区間を含む大甲橋~長六橋の右岸(約1・4キロ)
は熊本市が管理する緑地公園で、堤防整備に合わせて、
水辺に下りるスロープや階段などを設けた。
 この日は、工事に伴い散歩ができなかった同保育園
の3~5歳児80人が、くまモンと一緒に遊歩道を″渡
り初め″。白川に向かって「くまモン体操」を披露し
て完成を祝った。
 また、工事で伐採した桜で作ったカスタネットや積
み木、卒園記念のプランターを同園に寄贈。園児たち
がソメイヨシノ3本を記念植樹した。同事務所白川出
張所によると、銀座橋から長六橋までの堤防整備も3
月末で完成。6月末には護岸整備を終え、市民が利用
できるようになるという。(森紀子)

【図】白川改修工事の進ちょく状況(大甲橋~長六橋)

熊本日日新聞 2013年03月26日

黒川の河道を掘削 豪雨被害激特事業 梅雨前完了めざす 阿蘇市

 昨年7月の豪雨で流域に浸水被害をもたら
した阿蘇市の黒川で25日、国が河川激甚災害
対策特別緊急事業(激特)に指定した工事が
始まった。当面は用地買収の必要がない河道
掘削が中心。事業主体の県は「6月の梅雨入
り前までには掘削し終えたい」と急ぐ予定。
 県阿蘇地域振興局によると、黒川の川底に
は昨夏の豪雨前から土砂が堆積。記録的な大
雨による氾濫を助長したという。
 上流部にある同市三野の現場では大型重機
が、川底に堆積した土砂をアームでかき出し
た。同地区だけで、11トンダンプカー約7千台
分(2万7千立方メートル)の土砂を搬出する。
 事業費は総額約220億円。今後約5年か
けて河道掘削(全長約4・5キロ)や住宅を堤
防で囲む輪中堤14力所(約290戸)、遊水
地(2ヵ所)などを整備する。(植木泰志)

【写真】土砂をかき出す重機を見守る作業員ら

熊本日日新聞 2013年03月26日

白川改修どうする 北区龍田地区 専門家ら意見交換

 昨年7月の豪雨災害で、甚大な被害を受け
た熊本市北区龍田地区一帯の河川改修のあ
り方を議論する「龍田陣内・下南部地区川づ
くり検討会」(座長・山田文彦熊本大大学院
教授、10人)が29日、県庁などであり、専門
家らが意見を交わした。
 県の改修計画では、龍田陣内地区の鋭角に
湾曲した河道を大きくショートカット。工事
で発生する土砂などで、左岸の下南部地区
側の約3万平方メートルを最大17メートル盛り土する。
 こうした工法は珍しく、技術的な課題や環
境、景観への影響などを検討するため、県は
河川工学や土質工学、環境などの専門家に、
地元住民を加えた検討会を設置した。
 県の担当者が改修計画の概要を説明した
後、委員らは蛇行する白川の様子などを現地
で確認。「盛り土した土地の利用法で工事の
やり方も変わる。早くコンセプトを示すべ
き」「地元から思いを聞く場も設けてほし
い」などの意見が出された。
 検討会は来年3月までに報告書をまとめ、
県に提出する方針。(内田裕之)

【写真】改修が計画されている龍田陳内地区の白川を
視察する検討会の委員ら=熊本市東区下南部

熊本日日新聞 2013年03月30日

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3/18up: 報道・白川改修工事 説明会開催を 豪雨被災者ら県に要望書(熊日)

 昨年7月の豪雨災害で被災した熊本市の住
民らでつくる被災者の会(西島武継代表)が
15日、河道掘削などの白川改修工事に関する
情報公開と住民説明会の開催を求める蒲島郁
夫知事あての要望書を県に提出した。
 改修工事は県と国が2016年度までの5
年間取り組むことにしており、要望書は県区
間(小磧橋~みらい大橋)の詳細な計画平面
図や河道断面図などの開示を要望。県が昨年
10月と2月に開いた説明会では「住民が納得
していない」として現地説明会の再度開催を
求めている。
 この日は被災者の会と、国土交通省が進め
る立野ダム建設事業(大津町・南阿蘇村)
に反対する市民団体「立野ダムによらない
自然と生活を守る会」(中島康代表)のメン
バー計9人が県庁を訪問。河川課の担当者に
要望書を手渡した。(星原克也)

【写真】白川の地図を広げ、県に白川改修工
事の情報公開と説明会開催を求める被災者の
会の西島武継代表ら=熊本市中央区

熊本日日新聞 2013年03月16日

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2/16up: 記事・黒川治水の参考に 阿蘇市の流域住民ら 延岡市で実例視察

黒川治水の参考に 阿蘇市の流域住民ら
延岡市で実例視察

 昨年7月の豪雨で大きな浸水被害に遭っ
た阿蘇市の黒川流域の区長や市議、市職
員ら約60人が13日、宮崎県延岡市北方町
の2地区を訪れ、黒川の治水対策の柱と
なる「輪中堤(わじゅうてい)」と「宅地
かさ上げ」の実例を視察した。
 北方町は五ケ瀬川水系の曽木川と北川
に近く、1993年から2007年までの15年間
に5回の水害に遭った常襲地帯。視察は
地元の要望を受けて阿蘇市が実施した。
 一行はまず、昨年9月に完成した下曽
木(しもそき)地区の輪中堤を見学。総
延長700メートル、高さ500メートルを越
す輪中堤で囲んだ集落や田んぼを見な
がら、宮崎県の担当者の説明を受けた。
 続いて約20キロ離れた家田(えだ)地
区で進行中の宅地かさ上げ現場を視察。
六角形のブロックと土でかさ上げした敷
地で、大人の背丈ほどにジャッキアップ
された住宅に見入った。地元の担当者は
「工事期間中、住民は仮設住宅に1年間
ほど入居する」と説明。家の大きさに応
じて補償金が支払われる制度についても
話した。
 黒川では、熊本県が二つの遊水地のほ
か、住宅を堤防で囲む輪中堤14ヵ所(計
約290世帯)、宅地約100戸のかさ上げを
計画している。今後約5年間で総額約200
億円を投じる。(今村浩)

【写真】大人の背丈ほどにジャッキアッ
プされた住宅に見入る一行=延岡市北方町
家田地区

熊本日日新聞 2013年02月15日

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2/11up: 記事・考・白川 第1部 検証 立野ダム⑧ 観光への影響 「阿蘇の魅力損なわれる…」

考・白川 第1部 検証 立野ダム⑧
観光への影響 「阿蘇の魅力損なわれる…」
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 南阿蘇鉄道の立野駅から約400メートル。水力発電所の
水圧鉄管が走る急斜面に赤茶色の立野橋梁がかかる。
車窓から望む緑のV字谷は絶景。人気の観光列車「ト
ロッコ列車」の名所の一つだ。
 「壮大な自然景観が売り。車両もスピードを落として
観光客にアナウンスする」と胸を張るのは同鉄道の津
留恒誉専務(46)。しかし、立野橋梁のすぐ上流には立
野ダムが計画されている。熊本市役所の本庁舎より約
30メートル高い約90メートルのダムサイトが谷をふさぐ。
「観光客が激減するのではないか心配。コンクリート壁の
説明をしても…」と苦笑する。
 立野橋梁とともに、同鉄道の利用者に人気なのが、
北向山原生林が楽しめる第一白川橋梁。立野ダムが完
成すると、高さ約60メートルの鉄橋は満水時に基礎部分とア
ーチの一部が浸水する。このため、架け替え工事が検
討されてきたが、費用の問題もあり、「架け替えか補
強かは、今後の協議次第」と国交省立野ダム工事事務
所。
 これに対し、南阿蘇鉄道は「架け替えの場合は休業
もあり得る。鉄骨が一本でも水に漬かれば橋の痛みは
大きく、補強したとしても維持費がかさむ」と協議の
行方を案じる。
 両橋梁とも1928年に完成。厳しい地理的条件の
中、当時の最先端技術を駆使して造り上げた貴重な土
木遺産だ。元鉄道具で、旧一の宮町文化財保護委員長
の喜悦渉さん(91)は「鉄道遺産と呼ぶにふさわしく、
後世に残すべきもの。ダムのために、架け替えをしな
いでほしい」と訴える。
 一方、阿蘇の地質や景観を生かした世界ジオパーク
認定や、世界文化遺産登録へのダムの影響を懸念する
声もある。
 立野ダム建設予定地一帯の立野峡谷は、「阿蘇ジオ
パーク」が見どころのジオサイトとして紹介する33ヵ
所のうちの一つ。観光や行政機関などでつくる阿蘇ジ
オパーク推進協議会は「ジオパークは自然だけでな
く、人々の生活における活用も重視している。ダムは
趣旨から外れない」との立場だ。
 ただ、貴重な地質が水没し、景観が損なわれるので
はないかとの懸念は消えない。会長の佐藤義興阿蘇市
長は「今後、議論すべき課題」と話す。
 県と阿蘇7市町村でつくる阿蘇世界文化遺産推進室
の日田勝也推進室長は「申請区域は各市町村と話し合
って決めるが、ダムの区域を申請しない選択股もあ
る」と指摘。ダムの区域を含める際は、景観に配慮し
た工法や、防災面からの価値付けなどを検討する必要
があるという。
 高森町で飲食店を経営する早野慎哉さん(31)は言
う。「阿蘇は人間と自然の共生が売り。ダムによって、
魅力が損なわれてしまうのではないか。とにかくもっ
と情報がほしい」(藤山裕作、佐藤大樹)
                  =第1部終わり

【南阿蘇鉄道を入れた立野ダム完成予定イメージ(国土交通省資料)】

熊本日日新聞 2013年2月9日

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2/9up: 記事・考・白川 第1部 検証 立野ダム⑦ 複雑な地質構造 近くに断層、影響懸念も

考・白川 第1部 検証 立野ダム⑦
複雑な地質構造 近くに断層、影響懸念も

 深くV字型に切れ込んだ谷の底、立野ダム建設予定
地(南阿蘇村、大津町)の白川右岸に結晶を思わせる
断崖が続く。六角形の鉛筆を束ねたような構造の「柱
状節理」で、5万年ほど前に流れた立野溶岩が冷えて固
まったものだ。巨大な岩のカーテンのようでもあり、
火山のダイナミックな営みを垣間見ることができる。
 この場所にどうダムを建設するのか。国土交通省立
野ダムエ事事務所によると、表面の風化部分を削り、
強度の高い岩盤を露出させるという。内部の亀裂には、
セメントミルクを流し込んで補強する計画だ。
 熊本学園大の新村太郎准教授(火山岩岩石学)は「立
野は何度も溶岩が流れては谷を埋め、削られて、また
溶岩が流れて…を繰り返した複雑な地質構造を持つ。
掘削後にもろい地質が現れたとき、計画変更の事態も
あリ得るのではないか」と指摘する。
 立野ダムは完成まで、今後10年ほどかかる予定。工
期の長さから難工事を懸念する声もある。これに対し、
同事務所は「建設予定地の地質や強度に問題はない。
現場地形が狭く、工事用道路が1本しか確保できない
上、作業スペースも限られるため」と説明する。
 立野ダムが計画されている立野峡谷は、標高700
~1200メートル級の阿蘇外輪山が切れた唯一の場所だ。
はるか太古、カルデラ内部には湖があり、神話では阿
蘇の神、健磐龍命(たけいわたつのみこと)が蹴破
って白川が流れ出したとされる。
 実際のところ、立野が最初どのように″切れた″の
か、完全には解明されていない。ただ、間近に布田川
断層帯の北東端の北向山断層が走っており、断層の存
在が影響しているとの見方は強い。熊本大の宮縁育夫
准教授(火山学)も「断層が動いてできたかどうかは
分からないが、断層の近くでは割れ目ができやすい。
その弱い部分は崩れやすく、水による浸食もしやす
い」と話す。
 国の地震調査研究推進本部は、布田川断層帯うち
北向山断層を合む区聞か活動した場合、マグニチュー
7・0程度の地震を推定。30年以内の地震発生確
率は最大0・9%で、「日本の主な活断層の中では
やや高いグループに属するとしている。
 同事務所は調査の結果、ダム直下やダムの方向に直
接向かう断層は確認されておらず、問題はない。耐震
についても、最新の基準に基づき設計を行っている」
とする。
 ダム建設予定地の上流約1キロにある白川と黒川の合
流地点。ここにも九州有数の規模を誇る柱状節理の岸
壁がそびえる。
 一帯は阿蘇の成り立ちを知る上でも重要な場所だ。
カルデラ湖の消滅時期の違いなどで、北側の阿蘇谷と
南側の南郷谷には高低差がある。阿蘇長陽大橋からは
阿蘇谷を流れる黒川と南郷谷の白川の高さの差を実感
できる。
 新村さんは言う。「立野峡谷は学術上も貴重なもの
が多い。まさに地学の教科書のような場所なんです」
                  (平井智子)

【写真】立野ダム建設予定地の上流右岸側にそびえる「柱状節理」。
左奥が建設予定地=南阿蘇村

熊本日日新聞 2013年2月8日

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2/7up: 記事:考・白川 第1部 検証 立野ダム⑥ 北向山原生林の保全 試験湛水環境への影響懸念

考・白川 第1部 検証 立野ダム⑥
北向山原生林の保全 試験湛水環境への影響懸念

 「あの頃は、青年団の若い者でそろって戸下温泉に
よく行きました。春は山桜、秋は紅葉と、北向山の眺め
がそれは見事で」
 大津町瀬田の農業、瀬川カズ子さん(79)は1955
年ごろ旧長陽村(現南阿蘇村)の戸下温泉を訪れた思
い出を振り返る。温泉に漬かり、白川対岸の北向山(大
津町)の眺めに癒やされたという。
 夏目漱石、与謝野鉄幹ら「五足の靴」の一行、孫文
も訪れた戸下温泉の各旅館は、立野ダム計画に伴って
廃業・移転。跡地の真上に架かる阿蘇長陽大橋からは、
昔と変わらぬ趣の原生林を間近に望むことができる。
 「北向山は急勾配で危険なため植林などの開発を免
れてきた。珍しい動植物も多く、手付かずの自然が残
る」。白川の水質や生物の調査に長年取り組む金子好
雄・東海大産業工学部准教授(61)=水環境工学=は、
その重要性を強調する。
 国土交通省九州地方整備局が1975~2008年
度、ダム予定地などで実施した調査では、国や県が重
要と定める動物(ほ乳類・鳥類・陸上昆虫類など)1
07種と植物67種が確認された。
 これらの自然や生態系は、立野ダムによってどの
ような影響が考えられるのか。同整備局によると、
満水時には国が天然記念物に指定した80・8ヘクタールの約6
%に当たる4・7ヘクタールが水没するという。
 環境調査では、動植物計42種の生息場所が消滅した
り、個体が死ぬ恐れのあることが判明。同整備局は、原
生林の別の場所に①ほ乳類の生育に適した場所をつく
る②陸生貝類を移動③植物は移植や挿し木をする―な
どの保全策を取る方針だ。
 立野ダムは通常は水をためない穴あきダムで、「洪
水時でも原生林の一部が水没するのは短時間で済み、
動植物への影響は小さい」と同整備局。昨年の7・12
級の豪雨でも「たまった水は一日ほどで排水される」
という。
 問題は、ダムエ事の最終段階で行われる試験湛水
だ。満水まで水をため、元の水位に戻すまでに通常半
年~1年程度かける。立野ダムの試験湛水期間は未定
だが、同整備局は環境への影響を小さくするため短
縮を検討している。
 しかし、昨年、北向山を視察した哺乳類生態学
者で環境NGO広島フィールドミュージアム代表の金
井塚務氏(61)は懸念を示す。「生物界では”境界”
に当たる場所が多様性に富み、重要。ダムの試験湛水
では森と川、陸と水の境界が水没するので、原生林全
体が壊滅的なダメージを受けてしまう」
 同じ穴あきの構造の島根県の県営益田川ダムでは、
試験湛水(4カ月)で水没した樹木が枯れたのが確認さ
れている。金子准教授は「試験湛水後も自然の復元力が
発揮されるよう、しっかり保全策を講じるべき」とく
ぎを刺す。(三回隆昌)

【写真】阿蘇長陽大橋から白川対岸を眺め、「北向山は昔と変わ
っていませんね」と話す瀬川カズ子さん

 ズーム 北向山の原生林 白川が阿蘇外輪山を削ってできた
斜面に広がる照葉樹林。ウラジロガシやスダジイ、ム
クノキなどが群生する。1969年、約80ヘクタールが「阿蘇
北向谷原始林」の名称で国天然記念物に指定された。

熊本日日新聞 2013年2月7日

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2/6up: 記事・考・白川 第1部 検証 立野ダム⑤ 国営 前例ない「穴あき式」 ”功罪”未知数 疑問の声も

考・白川 第1部 検証 立野ダム⑤
国営 前例ない「穴あき式」 ”功罪”未知数 疑問の声も

 1月19日、熊本市中央区桜町の市民会館崇城大ホー
ル。立野ダムに反対する市民グループが出版したブッ
クレット「世界の阿蘇に立野ダムはいらない」の出版
記念集会が聞かれた。約80人が参加。メンバーの一人
が「立野ダムは穴あきダム。穴が流木や巨石で埋まれば
洪水調節機能が果たせない。想定外の雨にも対応で
きない」と、その構造的な問題点を解説した。
 同ダムは、白川と黒川の合流地点から約1・3キロ下
流に計画された洪水調節専用の「穴あきダム」。高さ
約90メートル、幅約200メートル。総貯水容量約1千万トンだが、
河床に近い部分に5メートル四方の、新幹線車両が奈裕で通
れるほどの穴が3つあり、ふだんは水をためない。
 国交省立野ダム工事事務所は「平常時は河川の流れ
を遮らず、土砂も流す。貯留型ダムと比べ、上下流の
連続性が保たれる」と説明する。
 穴には、流木や巨石でふさがらないよう金属網のス
クリーンを設置し、上流には、鋼管を約2メートル間隔で格
子状に配置したスリットダムも建設する計画だ。
 これに対し、同市民グループなどは「増水時は流木
などが絡み合って複雑に動くため、穴詰まりは十分起
こり得る」と反論。「そもそも巨大なコンクリート構
造物は阿蘇の景観を阻害する」と主張する。洪水時に
一部が水没する国指定の天然記念物「阿蘇北向谷原始
林」など自然環境への悪影響も指摘する。
 全国初の本格的な穴あきダムとして、2006年4
月に供用開始したのが島根県の県営益田川ダムだ。
 同県河川課によると、ダム完成後の試験湛水(約4
ヵ月間)で水没した樹木が枯れたのを確認。運用開始
後、アユの遡上が一部阻害されていることも分かって
いる。
 同課は「ダム上流の土砂の堆積は計画より少なく、
濁りの長期化は発生していない。ダム完成後に大きな
洪水が起きていないという事情もあるが、現時点で大
きな問題は起きていない」と言う。
 環境負荷が小さいとされる穴あきダム。しかし、現
行の立野ダムが登場したのは、1980年の工事実施
基本計画改定時だ。当時は今ほど市民の環境意識も高
くなかった。穴あき構造は阿蘇カルデラの地形に合っ
たダムとして計画された。
 立野ダム工事事務所は「雨が降ると、南郷谷を流
下する白川と、黒川の水が1時間程度で一気にダムま
で到達する。下流の安全を確認した上で人的操作で放
流を始める時間的余裕がなく、自然流下で放流する穴
あきが優位」と説明する。
 益田川ダムも、環境への配慮というより、補償交渉
が難航する中、水没地を拡大させずに必要な洪水調節
機能を確保する方策として考えられたという。
 ダム問題に詳しい今本博健京都大名誉教授は「国が
強調する環境に優しいという点は事実に反し、治水し
か目的のないダムを造りたいがための理屈」と指摘。
「ダムに頼る治水は限定的。想定以上の洪水で壊滅的被
害を回避するには、治水の在り方を根底から考え直す
必要がある」と強調する。
 国営ダムとしては、まだ前例のない穴あきダム。そ
の″功罪″も未知数の部分が大きい。(川崎浩平)

【写真】白川上流側より望む立野ダム建設予定地=昨
年10月、南阿蘇村、左は大津町

熊本日日新聞 2013年2月5日

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2/4up: 報道・白川改修計画に住民は反発

http://rkk.jp/news/index.php?id=NS003201302041724470111

 去年7月の豪雨災害をうけ県が示している白川の河川改修計画につ
いて被災した流域住民への説明会が開かれました。しかし、住民から
は、改修計画の見直しを求める声が相次ぎ話し合いは平行線でした。
 きょうの県の説明会に参加したのは熊本市東区の石原地区や吉原地
区の住民らです。住民らは、県が10月に示した白川の河川改修計画
について浸水被害にあっていない地域が計画の対象となっている一方
で浸水被害があっている石原地区や吉原地域が計画の対象外となって
おり納得がいかないとして計画の見直しを求めました。
 これに対し県は、「今回の計画は、5年以内をめどに限られた時間・
財源の中で最善を目指したもの。住民すべての意見をくみ取ること
は難しいが、しっかり説明したい」と理解を求めました。
 しかし、両者の話し合いは、平行線をたどりました。話し合いは継
続して行われるということです。

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2/4up: 記事・考・白川 第1部 検証 立野ダム④ 輪中堤など5代替案 維持費含めばコスト逆転も

考・白川 第1部 検証 立野ダム④
輪中堤など5代替案 維持費含めばコスト逆転も

 「コストや実現性、洪水調節などを総合的に検証し
た結果、立野ダム案が最も有利。次いで(住宅地を堤
防で囲む)輪中堤案」―。国土交通省九州地方整備局
は昨年9月、立野ダム案とダム以外の代替案を比較検
証し、こう結論づけた。
 検証結果を受けた公聴会では、流域住民らから立野
ダムヘの反対や慎重な意見が相次いだが、羽田雄一
郎国交相(当時)は衆院選さなかの昨年12月、ダム
事業の継続を決定。2013年度は12年度の6倍、約
28億円の予算が計上された。
 立野ダムは民主党政権で事業見直しの対象になっ
た。国交省は県や流域7市町村と「検討の場」を設け、
11年1月から代替案の検証を始めた。ダムを除く現行
の河川整備計画を実施した上で、ダムの効果分を、河
道の掘削や、洪水を上・中流の遊水地や輪中堤で受け
止め下流の流量を減らすなど、他の代替治水策と比較
した。
 立野ダムに反対する市民団体事務局長、緒方紀郎さ
ん(49)=熊本市東区=は 「流域の水田約55平方キロの
あぜを20センチ高くすれば約1100万トンの雨水をため込
むことができ、立野ダムの総貯水量1000万トンを超
える」と水田の保水力を高める代替策を提案し、検証
対象に加えられた。
 九地整はコストや効果、実現性などから①河道掘削
案(670億円)②遊水地拡幅案(750億円)③グ
ラウンドなどに雨水施設を作る貯留案(1090億円)
④輪中堤案(630億円)⑤輪中堤・雨水貯留案(1
060億円)―の5代替案と、ダム案の6案に絞り込
み、最終的にダム案が最も有利とした。
 だが、緒方さんは「ダムの事業費は工期が延び、今
以上に増える可能性がある」と懸念を隠さない。
 九地整が最も有利としたダム案と、それに次ぐ評価
を下した輪中堤案―。事業費はダム案が完成まで残り
491億円(総事業費917億円)なのに対し、輪中
堤案は630億円。ダム案が139億円も安い。とこ
ろが、九地整が算出した年間の維持管理費(50年分を
均等割り)は、ダム案2億6千万円に対し、輪中堤案
4千万円。
 50年分の維持管理費を事業費に加えると、ダム案6
21億円、輪中堤案654億円(ダム中止に伴う工事
4億円含む)と、差はわずか33億円に縮まる。
 70年間でみると、ダム案673億円、輪中堤案66
2億円と逆転、輪中堤案が11億円安くなる。ダムは土
砂の堆積など1OO年先まで想定しており、100年
間では輪中堤案の674億円に対し、ダム案は751
億円と77億円上回る。河道掘削案も724億円とダム
案を下回る。
 国交省熊本河川国道事務所は「代替案の維持管理費
は不確定な部分を除いた概算で、高くなる可能性があ
る。コスト面だけでなく工期や治水効果、実現性など
を総合的に検証した結果、ダム案有利の結論に至っ
た」と説明するが、検証結果で比べる限り、維持管理
費を含めればダム案と代替案のコストが逆転。国交省
が検証過程で強調した「ダム案のコスト面での優位
性」は揺らいでいる。(横山千尋)

【合成写真】立野ダムの建設イメージ

熊本日日新聞 2013年2月3日

2/4up: 記事・考・白川 第1部 検証 立野ダム④ 輪中堤など5代替案 維持費含めばコスト逆転も はコメントを受け付けていません

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