2月12日、今年初めて立野ダム予定地の現地を見てきました。北向山原始林も、昨年の熊本地震とその後の大雨で至る所崩壊し、そのあとに雪が降り積もっています。地震直後と比べ、崩壊箇所がものすごく増えていました。
残念なことに、特に右岸側(画像左側)はダム本体工事に向け、樹木の伐採が始まっていました。しかし、伐採された後に、熊本地震による大きな亀裂がいくつも現れており、驚きでした。ダム本体予定地下流側(立野橋梁側)から撮影したものです。
アソシエート側から見た長陽大橋の状況です。地震後10か月余りが経過し、ますます斜面崩壊が進んでいます。
ダム満水時は、この橋脚の半分くらいまで水没します。2mほど落ち込んでいた橋の西側に加え、東側でも、堆積していた火砕流堆積物を岩盤まで削る工事が急ピッチで行われていました。
長陽大橋西側の状況です。地震後、立野溶岩の上に堆積した火山灰などが大規模斜面崩壊し、橋の西側の道路が2mほど落ち込んでいたのが、立野溶岩まで堆積した火山灰を除去して、橋への取付道路のための新たな橋脚が建設中でした。
対岸(東側)にはコンクリートの鎧が建設中。長陽大橋の両岸だけで、これだけの対策が必要なのです。土砂崩壊対策に、一体どれだけの税金が投入されるのか。そして残るのはコンクリート漬けの立野峡谷。それも何十年もつのか。大雨や地震が起こればまた崩壊。そんな場所に巨大ダム造って、後世の人たちはどう思うでしょうか。
南阿蘇鉄道の状況です。立野ダム本体予定地すぐ上流の大規模崩落で埋もれていた線路が、土砂撤去により見えるようになっていました。
立野峡谷には、土木学会の推奨土木遺産に選ばれている南鉄の立野橋梁と第一白川橋梁があります。立野橋梁は、橋脚が破損していました。
白川橋梁は、足場を組んで調査中です。
報道によると、南阿蘇鉄道の復旧には30億~50億円かかるそうです。一方、立野ダムの総事業費は917億円。熊本地震の復旧や資材高騰などで、今後大幅に膨らむでしょう。来年度の立野ダム予算は48億3800万円。来年度予算だけで、南鉄は復旧できるのです。私たちが払った税金は、ダムより南鉄の完全復旧に使うべきです。【おわり】