熊本市では現在も時々余震を感じます。昨日(4月19日)、大地震直後の立野ダム予定地周辺を現地調査しました。
まずは、立野ダム本体予定地を下流側(南阿蘇鉄道の立野橋梁)から見た写真です。写真中央の工事用仮橋付近がダム本体予定地。そのすぐ上流まで両岸が崩れ、峡谷自体が広くなったように感じます。北向谷原始林も一部崩壊しています。
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1枚目と同じ位置からのアップです。両岸の工事用仮設道路や、奥の1本目の工事用仮橋も右岸側(写真では左側)が埋まっています。こんな場所にダム本体をつくろうとし、「地盤に問題はない」と繰り返していた国交省。もし、ダム完成後にこの地震が起きていたら…。身の震える思いがします。
立野ダム本体予定地約300m上流の1本目の工事用仮橋周辺は大規模な斜面崩壊を起こし、ダム工事現場に近づけない状態です。その斜面崩壊を起こした箇所の近くの長陽大橋に向かう道路に断層を確認しました。50cmほど横にずれています。
道路上の断層を延長すると、立野ダム本体予定地約200m上流の仮排水路トンネル入り口付近を通るようです。
パスコHPからの同位置周辺の航空写真です。立野ダム工事現場入り口周辺は大規模な斜面崩壊を起こし、工事用道路も崩れ、現場に近寄れない状況です。写真を拡大すると、中央よりやや右寄りの道路にその断層を確認することができます。
斜面崩壊の一番上の方の写真です。航空写真では道路がほとんど崩れている所です。工事現場入り口の看板がぐしゃぐしゃになっています。
黒川発電所側から見た、仮排水路トンネルの出口です。仮排水路トンネルの入口付近の白川の一部がせき止められ、白川の流量の一部が仮排水路トンネルを通って流れ出ています。工事用車両も埋まっています。手前の屋根は黒川発電所です。
仮排水路トンネルの出口のアップです。ここまでたどり着くのも、斜面崩壊のために車は全く通れず、徒歩です。黒川発電所も導水管の上のほうが壊れ、発電を中止しています。
長陽大橋に向かう道路は、谷側の崖が大崩落して、道路も崩落寸前です。ここは立野ダム取り付け道路です。計画時は、「安全で強固な地盤」ということだったのでしょう。
白川・黒川合流点付近です。北向谷原始林の下部も一部崩壊しています。長陽大橋の向こう側の道路も崩落しています。立野ダムが完成していたら、ダム満水時はこの道路の高さの半分くらいは水没するのです。
長陽大橋の高さにあった道路が、斜面崩壊のために落ち込んでいます。2mほどの段差があります。この斜面崩壊を止めて、道路をかさ上げすることは不可能だと思われます。長陽大橋はもう使用不能です。
長陽大橋の石碑も崩落寸前です。
戸下温泉や黒川橋(石橋)のあった谷です。2012年7月の九州北部豪雨以上の大崩落です。流れるのは黒川です。このような、数百年に一度の大地震や大洪水で崩れ、削られ、立野峡谷は形成されたのです。そんな場所に、よくも巨大なダム建設を計画したものです。
立野溶岩の柱状節理です。写真上は、長陽大橋の橋の下です。今度来るときは、この写真を撮影した場所は崩落していると思われます。決死の撮影でした。(終わり)