黒川治水の参考に 阿蘇市の流域住民ら
延岡市で実例視察
昨年7月の豪雨で大きな浸水被害に遭っ
た阿蘇市の黒川流域の区長や市議、市職
員ら約60人が13日、宮崎県延岡市北方町
の2地区を訪れ、黒川の治水対策の柱と
なる「輪中堤(わじゅうてい)」と「宅地
かさ上げ」の実例を視察した。
北方町は五ケ瀬川水系の曽木川と北川
に近く、1993年から2007年までの15年間
に5回の水害に遭った常襲地帯。視察は
地元の要望を受けて阿蘇市が実施した。
一行はまず、昨年9月に完成した下曽
木(しもそき)地区の輪中堤を見学。総
延長700メートル、高さ500メートルを越
す輪中堤で囲んだ集落や田んぼを見な
がら、宮崎県の担当者の説明を受けた。
続いて約20キロ離れた家田(えだ)地
区で進行中の宅地かさ上げ現場を視察。
六角形のブロックと土でかさ上げした敷
地で、大人の背丈ほどにジャッキアップ
された住宅に見入った。地元の担当者は
「工事期間中、住民は仮設住宅に1年間
ほど入居する」と説明。家の大きさに応
じて補償金が支払われる制度についても
話した。
黒川では、熊本県が二つの遊水地のほ
か、住宅を堤防で囲む輪中堤14ヵ所(計
約290世帯)、宅地約100戸のかさ上げを
計画している。今後約5年間で総額約200
億円を投じる。(今村浩)
【写真】大人の背丈ほどにジャッキアッ
プされた住宅に見入る一行=延岡市北方町
家田地区
熊本日日新聞 2013年02月15日