10/31up: 立野ダム事業検証の終了について

緒方です。

10月29日、国土交通省九州地方整備局の事業評価監視委員会は、立野ダム事業計画について「事業継続が妥当」とする同局の方針を了承し、同局での検証作業は終了しました。同じ日、同局は立野ダム建設予定地周辺での動植物調査結果を公表しました。国や県が保護すべきと定めている重要種174種の動植物が生息し、ダム工事の影響で42種もの生息地域や個体自体が消失するか、その恐れがあると公表しました。なぜそのことを、検証の途中で公表しないのでしょうか。

国土交通省はこれまで「立野ダムは普段は水を貯めず、水没するのは洪水調節をする短い時間であるので、環境に与える影響は小さいと想定される」と主張してきました。これまでの主張を大きく覆す調査結果を、検証作業の最終日に公表したことに、怒りを感じます。

立野ダムは、阿蘇くじゅう国立公園の36ヘクタールもの広大な自然を水没させます。水没する阿蘇北向谷原始林は国指定の天然記念物であり、阿蘇くじゅう国立公園の特別保護地区にも指定されています。現状変更行為が許されない国立公園の特別保護地区に、本来ダムを造ることはできません。

そもそも、事業者が自らの事業を検証することに無理があります。9月に行われた立野ダム公聴会では、30人の住民が発言し、立野ダム建設を求める意見は全く出ませんでした。熊本県も大規模な白川の改修計画を発表し、白川の安全度は格段に高まります。阿蘇は、熊本が世界に誇る自然遺産です。世界の阿蘇に、高さ90mもの巨大なコンクリートのダムは似合いません。

国土交通省に対し、事業検証のやり直しを求める申し入れを行う準備を進めたいと思います。

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