国土交通省は、立野ダムに関する住民の意見を募集しています。
明日9月28日(金)18時必着となっています。
立野ダムに関するあなたの率直な意見を書いてください。
まだ国交に意見書を送ってない人は、ぜひお送りください!
http://www.qsr.mlit.go.jp/n-kawa/kensyo/02-tateno/soan-iken(tateno)/iken-bosyu/youryou.pdf
添付しました用紙に必要事項を記入のうえ、国土交通省にお送りください!
◇意見の提出先(平成24年9月28日(金)18時必着)
国土交通省九州地方整備局河川計画課「立野ダムの検証に係る検討に関する意見募集」事務局宛
①電子メールの場合:tatenodam-kyusyu@qsr.mlit.go.jp
②郵送の場合:〒812-0013 福岡市博多区博多駅東2丁目10番7号 福岡第二合同庁舎
③ファックスの場合: 092-476-3470
(件名に「立野ダム建設事業の検証に係る検討報告書(素案)に関する意見」と
明記して下さい)
以下、参考にされてください。
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●素案を公表し、1週間足らずで「意見を聞く場」の募集を締め切るとは、住民に開かれた河川行政とは言えない。200ページ以上の膨大な資料を、関係役場等のロビーで立ったまま閲覧し、意見を書くということは不可能です。また意見の書式も指定されており、一般住民が非常に書きづらい形式になっています。住民への周知徹底も全く不十分で、「住民参加」の河川法の精神に背くものだと言えます。
●本年7月12日、熊本県内は広範囲において「これまでに経験したことのないような大雨」に見舞われ、白川は各地で氾濫し、流域の住宅地や農地等が甚大な被害を受けました。今回の7・12洪水で浸水被害を受けた箇所は、河川改修が未完成の箇所ばかりです。素案では、現行の河川整備計画を容認していますが、ダムより河川改修を優先させるべきです。
●白川中流域(大津町、菊陽町)では河道の流下能力が低いため、白川は至る所で氾濫しました。素案によると、現行の河川整備計画では、改修工事のもととなる「整備計画」が中流域で未策定です。中流域では河道の掘削、堰の改修などを実施し、河道の流下能力を高めることが不可欠です。
●最も大きな被害を受けた阿蘇市では、河道の整備が済んだ地区でも黒川は至る所で氾濫しました。黒川遊水地群の整備をすすめるほかにも、できるだけ雨水の河川への流出を抑制する方策が必要です。素案によると、現行の河川整備計画ではこのような方策が盛り込まれていません。
●このように白川上中流域をみると、立野ダムを含む現行の河川整備計画では7・12洪水には対処できないことが明らかになります。素案では、現行の河川整備計画を容認していますが、立野ダムに頼れば頼るだけ、これまで以上に河川改修などに予算が回らないことになるのは明白です。
●素案によると、立野ダムの洪水を貯める容量は、想定した洪水を調節する分しかありません。想定以上の洪水では立野ダム湖は満水になり、洪水調節不能となります。ゲートのない「穴あきダム(流水型ダム)」である立野ダムが洪水調節をする場合も、洪水調節する時期と、洪水のピーク時が一致するとは限らず、むしろ一致しない場合(洪水調節に役に立たない場合)が多いと考えられます。
●洪水時の白川の水は大量の火山灰を含みます。白川にダムを造っても、流下してきた土砂や岩石・火山灰で早い時期に埋まってしまうことが考えられます。国土交通省は素案で、「立野ダムの計画堆砂量は60万m3と想定している。水位の低下とともに貯水池内に堆積した土砂はダム下流へ流下し、もとの川床の状態に戻ると考えられる」としている。しかし、ダムへの堆砂は、ダムサイトのはるか上流の、ダム湖の上流端付近、つまり土砂を含んだ洪水の流速が低下する場所に発生します。それは日本全国、どのダムでもいえることです。ダムに穴が空いていようが、それは変わらないはずです。
●国土交通省は素案で、立野ダムの堆砂計画の点検では松原ダム、下筌ダム、緑川ダムなど近傍の5ダムと比較して検討したとしているが、立野ダムの集水域は阿蘇カルデラであり、近傍のダムとは地質、地形が全く異なっています。比較するならば、同じ阿蘇地区にある水のたまらない大蘇ダムと比較すべきである。
●素案では、立野ダムの工期は10年としていますが、川辺川ダムなど他のダムの例を考えると工期が延びることは容易に考えられ、その間、治水効果は全く期待できません。ダム以外の治水対策では、実施した工事から順に治水効果が期待でき、その方が大変有利である。
●立野ダムは、阿蘇の玄関口である立野峡谷を含む、阿蘇くじゅう国立公園の36ヘクタールもの広大な自然を水没させます。水没する北向谷(きたむきだに)原始林は国指定の天然記念物です。また、立野ダム事業区域は阿蘇くじゅう国立公園の特別保護地区に指定されています。素案では、文化庁や環境省と協議を行うとしているが、文化財保護法や国立公園法に照らし合わせると、明らかに問題がある。
●素案では、立野ダムは環境に十分配慮しているとしているが、試験湛水の期間は、国指定の天然記念物であり、国立公園の特別保護地区に指定されている北向谷原始林が長期間水没することは明らかではないか。
●素案では、立野ダムは環境に十分配慮しているとしているが、穴あきダムは洪水時に大量の土砂をため込み、周辺の山林を荒し、周辺の環境に大きなダメージを与えます。洪水が終わった後も穴あきダムであるために、たまった土砂が露出し、今度はたまった土砂が流れ出し、長期間下流の白川を濁します。このように、立野ダムの環境に与える悪影響も大いに懸念されます。
●素案では、「立野ダムでは模型実験で、流木による放流施設の閉塞は発生しない。放流施設(穴)の呑口部にスクリーンを設置する」としているが、今回の7.12洪水では、たとえば大津町の下井手取水堰では、堰の柱と柱の間がすべて流木で詰まっていた。スクリーンなどを設置すれば、流木で詰まってしまうことは明らかである。
●素案では「ダムを構築するには十分な強度と岩盤特性を有している」としているが、立野ダム予定地の地盤は、阿蘇火山から流下してきた立野溶岩で割れ目が非常に多く、ダムができれば地すべりや漏水の危険性があります。地震発生確率の高い活断層「布田川・日奈久断層帯」も直下を通っています。立野ダムが完成すれば、熊本市など下流域は大 きな危険にさらされます。
●阿蘇カルデラの草原は、九州の水がめの役割をしています。草原が荒廃すると、山崩れなど土砂災害を起こしやすくなります。阿蘇の草原を保全するとともに、荒れた人工林の間伐を進めると、流域の保水力は高まり、土砂災害を防止することもできます。このような方策は素案には述べてありません。
●素案によると、立野ダムは、ダム本体工事や仮排水路工事に着手されていないにもかかわらず、総事業費は当初予算の2倍以上の917億円に膨れ上がりました。河川法によると、立野ダムの総事業費の3割を熊本県が負担することになります。熊本県の負担額は917億円の3割、約275億円ということになります。県民1人あたり約15000円を立野ダムに負担することになります。川辺川ダムなどの例を考えるとさらに事業費が膨らむことが容易に考えられます。