「住民の視点で治水を」ダム反対グループ熊本市で検証の会
7月の豪雨被害の経験から災害対策のあり
方を考える「7・12白川水害を検証する会」
が22目、熊本市中央区の県民交流館パレアで
あり、甚大な浸水被害を受けた北区龍田地区
の住民らが当日の切迫した状況を語った。
立野ダム計画に反対する市民グループなど
でつくる実行委(中島康代表)が、住民の視
点で治水対策を考える契機にしようと企画。
約40人が参加した。
龍田陣内4丁目の自宅が全壊し避難生活を
続けている田上善浩さん(45)が、「側溝から
水が上がってくるのに気付いて避難を急ぎ、
車で自宅を出た直後に氾濫した」と報告。
同地区の新道欣也さん(55)も「犠牲者が出
なかったのが奇跡」と振り返り、県が10月に
策定予定の改修計画について「立野ダムの是
非も含めてよく検討し、住民にとって最善
の結論を出してほしい」と要望した。
実行委は、阿蘇から熊本市内にかけて行っ
た独自の検証結果を解説して「立野ダムは想
定外の事態に対応できず、災害を防げない」
と強調。河川改修や遊水地の整備、山林の保
水能力の向上などの対策を流域全体で総合的
に進めるよう訴えた。(森紀子)
【写真】100戸以上が全半壊した龍田陳内4丁
目の状況を説明する新道欣也さん=熊本市の
県民交流館パレア
熊本日日新聞 2012年9月23日
立野ダム、初の公聴会 陳述の全員が建設反対
http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/kumamoto/news/20120922-OYT8T01076.htm
国土交通省九州地方整備局は22日、白川上流の「立野ダム」(南
阿蘇村、大津町)建設について流域住民から意見を聴く初の公聴会を
熊本市で開いた。九地整は「ダム案の優位性が高い」と説明したが、
意見陳述した18人は全員が建設反対の立場から発言した。
意見陳述したのは九地整の募集に応じた人たち。九地整は公聴会を
3回開いた後、学識経験者らの意見をふまえて建設の是非について最
終的に判断するとしている。しかし、この日の公聴会では「住民への
周知が足りない」、「川辺川ダム問題では計9回の住民討論会を開い
たのに、なぜ3回の公聴会で済ませようとするのか」と住民参加の議
論を求める声が相次いだ。
また、治水が目的の「穴あきダム」に対し、「流木や岩石で穴が詰
まり、ダムが満水になったら下流域はダムがない場合より危険なので
はないか」と懸念。建設予定地の北向谷原始林への影響についても
「科学的な検証データが示されていない」と批判する意見が出た。
公聴会は、23日午後2時から大津町中央公民館、24日午後6時
半から南阿蘇村役場久木野庁舎でも開かれる。報告書案は九地整のホ
ームページか、熊本河川国道事務所や県庁、流域市町村の役場で閲覧
できる。
立野ダム建設事業を巡っては、九地整が11日、河道掘削や遊水池
群の建設など五つの代替案に比べ、ダム案が「コスト面や実効性で最
も有利」とする報告書案を発表。蒲島知事や幸山政史熊本市長らもこ
れを評価していた。(2012年9月23日 読売新聞)
白川水害を体験した龍田住民語る
http://www.nhk.or.jp/lnews/kumamoto/5005146161.html
九州北部豪雨で被災した人たちが自らの体験を語る集会が熊本市で
開かれ当時の状況や住宅再建の難しさを語りました。
集会は熊本市の市民団体が開いたもので九州北部豪雨で被災した熊
本市の3人の住民が自らの体験を語りました。
このうち、妻と1歳の子どもと熊本市北区龍田陳内に住んでいた田
上善浩さんは「起きてすぐ外を見ると道路の側溝から水があふれて
いたので急いで避難しました。家族の記念写真などを持って避難す
るのが精一杯でした」と当時の状況を語りました。
その上で田上さんは2千万円近いローンを組んで購入した一戸建て
の住宅が床上浸水したということで「家財なども流され引っ越しや
リフォームも検討しているが2重ローンを抱えることになる」と資
金的に厳しい状況を説明しました。一方で被災後インターネットの
サイトやフェイスブックに必要としている物資を書き込んだところ
テレビや子ども服などを贈ってもらえた経験も話し感謝の気持ちを
述べていました。
立野ダムに反対意見相次ぐ 熊本市で公聴会
http://kumanichi.com/news/local/main/20120922007.shtml
国が白川の治水対策として計画する立野ダム(南阿蘇村、大津町)
について、流域住民の意見を聴く国土交通省九州地方整備局の公聴
会が22日、スタート。初日の熊本市会場では、ダム建設に反対す
る意見が相次いだ。
公聴会は立野ダム建設事業の検証の一環。同局は11日、ダム以
外の治水案との比較でダム案が「最も有利」とする検証結果を提示
しており、住民の意見を最終的な検証に反映させるため開いた。
市民会館崇城大ホールであった公聴会には住民約40人が参加。
18人が意見を発表し、すべてがダム建設に対する反対や懸念だっ
た。
参加者の一人は、ダム完成まで10年かかることを挙げ「それま
で7月の豪雨のような水害が発生しないとは言えず、継続的に河川
改修を進める方が現実的な対応だ」と指摘。穴あきダムの構造に対
し流木が詰まる危険性を懸念する声や、自然環境に与える影響を心
配する声も上がった。
周知不足にも批判が噴出。複数の参加者が「性急に結論を出さず
住民参加の検証を」などとして、住民討論集会の開催を要望。ダム
建設に反対する市民団体は、校区ごとに住民説明会を開催するよう
同局に申し入れた。
公聴会は、23日午後2時から大津町中央公民館、24日午後6
時半から南阿蘇村役場久木野庁舎でもある。(楠本佳奈子)
【写真】立野ダム建設に反対する意見が相次いだ公聴会=22日、
熊本市中央区の市民会館崇城大ホール
立野ダムの建設推進 知事明言 白川治水対策で
白川中・下流域の治水対策として計画され
た国営立野ダム建設事業(南阿蘇村、大津町)
の検証で、国土交通省が「ダムが最も有利な
案」との結果を示したことに対し、蒲島郁夫
知事は21日の9月定例県議会一般質問で、「評
価できる。迅速に(事業継続の)方針を決め
るよう国に求めていく」と述べた。知事が
2010年の検証開始後、立野ダム建設推進
の考えを明言したのは初めて。
知事は「住民への説明責任を果たし、流域
市町村の意見、要望を踏まえること」を方針
決定の前提とした。
検証は10年9月、当時の馬淵澄夫国交相が
指示。今月11日の県や白川流域7市町村によ
る「検討の場」で、ダム以外の代替治水案と
比較し、コスト面や早期に効果が見込める点
などから「最も有利」と結論付けた。
一方、船原幸信土木部長は7月の豪雨と02
年に国文省と県が策定した白川水系河川整備
計画との関係について答弁。国交省推計を基
に「立野ダムを含む河川整備計画の整備メニ
ューが完成すれば、今回の洪水は安全に流下
可能だったと想定されている」と強調。計画
見直しの必要はないとの認識を示した。
自民党の西岡勝成氏(天草市・郡区)、公
明党の城下広作氏(熊本市北区区)に答えた。
(亀井宏二)
熊本日日新聞 2012年9月22日