8月10日付読売新聞は、「立野ダム今年度本体着手」との記事を掲載していますが、今年度の立野ダム本体着工は不可能です。
昨年の熊本地震とその後の増水で、立野ダムの本体工事をするために白川の流れをバイパスさせる「仮排水路トンネル」は、長さ500?のうち上流側の約半分が土砂で埋まっています。仮排水路周辺の仮設道路も増水で流失しています。以下は国交省資料「仮排水路トンネル内部の状況」です。
仮排水路トンネルは下流側からしか復旧できないため、1年かけてようやく下流側への仮設道路を復旧したのですが、7月上旬の増水で仮設道路はまた流されてしまいました。以下は、7月8日に撮影した仮排水路トンネル出口付近の、流された仮設道路の写真です(7月2日時点では流されていませんでした)。
半分埋まった「仮排水路トンネル」は、1年以上全く手つかずの状態です。今後、ダム本体工事に着手するには、流失した仮設道路の復旧、半分うずまった仮排水路トンネルの復旧の方策の検討、仮排水路トンネルの復旧工事、白川の仮締切工事などが必要です。とても今年度に本体工事に着手することは不可能です。
国交省立野ダム工事事務所のホームページを見ても、最近「立野ダム今年度本体着手」等という記者発表は出ていません。なぜわざわざ今の時点で、読売新聞はこのような記事を書いたのでしょう?不思議ですね。