10/9up: 9月定例県議会最終日(10/3)、平野みどり県議(県民クラブ)による「立野ダムの拙速な建設に反対する請願」不採択への反対討論

10月3日の県議会本会議で、
「立野ダムの拙速な建設に反対する請願」が不採択となりました。
そのことに対する平野みどり県議(県民クラブ)の反対討論が送られてきましたので紹介します。

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                              平成24年10月3日
                            9月定例県議会最終日

請第25号「立野ダムの拙速な建設に反対する請願」の不採択に反対の討論を行います。

あらためて7.12九州北部大水害で亡くなられた方々にお悔やみ申し上げますとともに、被災された皆さんに心よりお見舞申しあげます。そして、未だに行方不明のお二人が、一日も早く見つかることをお祈りします。さて、水害から3ヶ月が経とうとしていますが、未だに爪跡はなまなましく、復旧復興の途上にあることは、今回の水害がいかに大きかったかを物語っています。

7月12日、大水害の情報を報道で得ながら、真っ先に脳裏を過ぎったのは、「あー、立野ダムが出来ていなくてよかった」という思いでした。7.12規模の水害はこれからも発生すると言われており、ダムからあふれ出るだけでなく、ダム自体が決壊した際の中流域、下流域の被害は想像を絶するものだと思うからです。

その最悪のシナリオはこうです。ダム湖の水位が急激に上がり、ダム湖周辺の断層や岩盤内の割れ目にも一気に水が入り、水圧の上昇に軟弱な岩盤が耐えきれなくなり、ダム湖周辺のいたるところで大規模な地滑りが発生し、満水になったダム湖に、大量の土砂が一気に崩落する。そして、ダム湖に高さ50メートルの大津波が発生し、ついに大津波はダム本体を乗り越え、下流域を襲い、ダム本体の決壊が事態を更に深刻化させるというものです。

去る9月11日、国土交通省は、「立野ダム建設事業の関係地方公共団体からなる検討の場(第3回)」で、立野ダムを含む現行の河川整備計画が最も有利であるとの検証結果を提示しました。確かに、7月12日に本県を襲った「これまでに経験したことのないような大雨」は、白川流域の各地での氾濫をもたらし、流域の住宅地や農地等は甚大な被害を受けましたが、浸水被害を受けた箇所は、河川改修が未完成の箇所ばかりです。素案では、現行の立野ダムも含む河川整備計画を容認していますが、ダムより河川改修を優先させるべきことは明白です。ダム計画があることにより、河川改修に向けられるべき予算と労力が、速やかに、そちらに向けられないのではという懸念を流域住民は持っています。

現に、9月22日、23日、24日と、熊本市、大津町、阿蘇市で行われたこの素案に対する国交省主催の意見公聴会で出された、被災された方や流域住民どの方からの意見も、どれ一つダム建設を支持する意見ではなく、むしろダム建設の危険性等問題点を指摘する内容であったり、河川改修の不十分さあるいは河川計画の未整備を指摘する内容ばかりでした。私も22日の熊本市での公聴会を傍聴しましたが、それらのご意見を聞きながら、更に大きな疑問と不条理を感じたのは、立野ダム建設についての国の事業の進め方を、県や熊本市を含む流域関係自治体がなぜ容認なのかを含め、多くの流域住民を含む県民への情報や説明責任が極めて不十分な中、今がチャンスとばかりにダム建設へと舵が切られようとしている点です。

私が議員になって直後の平成10年2月定例県議会で、川辺川ダム事業の予算増額への見直し計画が容認される場面に遭遇しました。既に私は川辺川ダム問題を考える市民グループとの関わりを持っていましたので、川辺川ダムに疑問を持っていましたが、困惑の中で、不本意ながら議決に賛同してしまいました。その後、当時の県民クラブ、民主・県民クラブと変遷する中、川辺川ダムの問題点を改めて勉強し、私たちは他会派の議員諸氏とともに、「ダムによらない治水・利水を考える議員の会」を立ち上げるに至りました。その経験から、今を、「いつか来た道」と感じています。

国交省の内部には、道路、橋梁、ダム等、それぞれの技術を継承し、予算獲得に奔走する官僚グループや技術者が存在するのでしょう。ダムのすべてを否定するものではありませんが、立野ダム計画は、川辺川ダム計画に酷似しており、正当性と実効性には大きな疑問があります。もし、そうでないならば、国交省、熊本県、熊本市などは、安全性や正当性、実効性に納得が得られるまで、流域住民に徹底的に情報を開示し、疑問にこたえていくべきです。あまりに拙速に、住民への周知徹底もなされないまま、どさくさにまぎれるような形で、立野ダム建設を進めることは、「住民参加」の河川法の精神に背くものだと言えます。行政のアカウンタビリティーとしては時代錯誤です。

被災された流域住民の方々が口々に訴えておられるように、河川改修による安全対策を何より優先すべきです。立野ダムによる治水はあまりにも問題が大きいだけでなく、ダム計画がある限り、下流の河川改修が遅れる、あるいは予算がダムに流れるとの疑問は消えません。拙速な立野ダム建設ではなく、国、県、熊本市など流域自治体は連携し、徹底して住民の声に真摯に耳を傾け、優先すべき事業を再確認し、速やかに対応されることを切に願い、「立野ダムの拙速な建設に反対する請願」の不採択に反対します。議員各位のご理解とご賛同をお願いいたします。

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