愛媛県の大洲市では、肱川があふれて甚大な被害が出ています。南海放送によると、肱川の増水は「一瞬に」「みるみると」「ダムの放水でこんなになった」「午前7時に、肱川上流の野村ダムからの放流量が4倍になった」等と報道されています。下の写真(住民の証言)の出典は南海放送です。2枚目写真の奥に見える放流しているダムは、野村ダムの下流にある鹿野川ダムです。
大洲市の住民の方のコメントは、球磨川上流の市房ダムが緊急放流したときの、ダム下流の人吉市などの住民の証言と一緒です。それに対し国交省は「満水になるまでダムは頑張って水位を下げた」とか言っていましたが、肝心な時に洪水調節できなくなるからダム下流では一気に洪水の水位が上がるのです。
肱川上流には、野村ダムと鹿野川ダムという2つのダムがあります。水源連の嶋津さんが作成された、今回の豪雨時の2つのダムの流入量と放流量のグラフを添付します。洪水のピーク時に流入量をそのまま放流しており、両ダムが洪水調節機能を全く失ってしまったことが分かります。
今回の西日本豪雨でいえることをまとめると、
①甚大な被害の元凶は、土砂災害と流木災害、堤防の決壊である。
②今後最も対策が必要なことは、土砂災害対策と流木対策(森林の保全)、堤防の強化である。
③ダムは想定以上の洪水の場合は満水になり、ダムへの流入量をそのまま下流に流すしかなくなり、洪水調節できなくなる。
④「想定外」が想定外でなくなり、「〇〇年に一度」という計画規模があてにならなくなった近年の状況では、ダムは洪水調節で有効な選択肢どころか危険である。
それでも国交省は立野ダムをつくるのでしょうか。
今回の豪雨災害もふくめ報道を見て残念なのが、なぜ土砂災害が起きたのか、なぜ堤防が決壊したのか、なぜダムが放流したのか、掘り下げた報道が非常に少ないことです。河川等の情報を行政が独占しているからとも言えますが、気づいた人が発信していくしかありませんね。