長陽側からの立野ダム予定地 現地調査報告 4月30日

4月30日、長陽方面から立野ダム予定地周辺を現地調査しました。

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長陽大橋付け根(西側)の道路は、4月19日に調査した時よりさらに斜面崩壊が進み、舗装も崩れて波打ち、とても現地にはたどり着けない状況です。

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戸下温泉があった渓谷。長陽大橋と南鉄の白川橋梁が見えます。大規模な土砂崩壊により、旧道は跡かたもありません。立野ダムができた場合、満水時は長陽大橋の橋脚の半分くらいの高さまで水没します。しかし国交省はこれまで「立野ダム貯水池(ダム湖)周辺で地すべりは起こらない」と言っていたのです。

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ブックレット「阿蘇ジオパークに立野ダムはいらない」の表紙写真の柱状節理(立野溶岩)付近です。立野溶岩自体はそこまで崩れていないようですが、溶岩の上や谷側の火山性堆積物が軒並み崩れているようです。この辺りまで「立野ダム水没予定地」にかかります。このような地盤が安定していない火山地帯は、巨大なダム建設の立地条件としては最悪です。

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長陽大橋東側(栃木方面)の道路は、合流点付近の白川を上流側に延長したあたりが大崩壊しています。ちょうどこのあたりを、今回の地震で動いた布田川断層帯の一部である北向山断層が通っていると思われます。アソシエートの真下付近です。写真の左側に見えるのが長陽大橋です。

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栃木方面からここにたどり着くまでも、いたるところで斜面崩壊し、道路に巨石が落ちています。長陽大橋の両側の道路の土砂崩壊(山側も谷側も)を食い止めるのはどう考えても不可能でしょう。このルートは復旧不可能です。ここから上流の鮎がえりの滝までダム水没予定地です。

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鮎がえりの滝も、滝つぼ周辺が崩壊し、景色が全く変わっていました。キャニオニングや、旧栃木温泉を調査した際に下った道も、途中で崩壊していました。

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白川本流側は立野ダム完成時、この鮎がえりの滝つぼまで水没予定なのです。立野峡谷は、もともと断層でできた古火口瀬(外輪山が断層で落ち込んだ部分)を埋め尽くした立野溶岩の台地の上を白川・黒川が流れていました。それが何万年もかけて浸食されたり、今回のような地震で崩れていったりして、渓谷が形成されたのです。この鮎がえりの滝も、古火口瀬を溶岩が埋め尽くしたころは立野駅より下流(4kmほど下流)にあったみたいです。だから、立野峡谷の歴史を考えると、ここにダムをつくろうなどとは、狂気の沙汰です。

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決壊した阿蘇大橋を長陽側から見ました。対岸の崩壊した土砂の左側に阿蘇大橋の基礎部分が小さく見え、斜面崩壊の規模の大きさに驚きました。

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子供の頃から何度も通った阿蘇大橋がない。看板を見ても信じられません。東京大学や横浜国立大学の調査団も来てました。

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阿蘇大橋近くのセブンイレブンの駐車場です。亀裂がいくつも走り、崩落寸前のようです。同じ場所で阿蘇大橋を架けるのは不可能だとする報道(土木学会見解)もありました。

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南阿蘇橋の付け根部分が破損している状況です。

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アソシエートから阿蘇大橋地点まで、いたるところに地面が亀裂が入り、近い将来ここは崩れてしまうのではないかと感じました。あちこちでボーリング調査や、ワイヤーを張って地面の動きを調査していました。(終わり)

 

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