7月2日、熊日新聞が国交省の「阿蘇大橋下流架け替え案」を報じましたので、同日、阿蘇大橋周辺を長陽側から再度現地調査しました。
長陽側から見た、阿蘇大橋を崩落させた土砂崩壊現場ですが、約100m手前の国道に横ずれ断層を確認しました。黄色いセンターラインが1mほど横にずれています。専門家の方いわく、「手前の断層が原因、向こうの土砂災害は結果です」
横ずれ断層の拡大です。アスファルトで補修され、斜めにセンターラインが新たに引いてあります。教えてくれた専門家の方は「専門家は路面の断層を見て、そうでない人は土砂崩壊を見る」と言っていました。
横ずれ断層は、中央火口丘のほうに伸びていました。
畑の「あぜ」も横にずれています。
白川も、その断層に沿って流れを変えています。向こう側は、立野地区の「立野溶岩」でつくられた台地です。谷側は全て地震で崩落しています。断層を英語で「フォルト」と言うそうです。断層があるこんな場所に阿蘇大橋をつくったら、「フォルト」(失敗)です。
4月30日に調査した時は、キャンプ場の施設もある程度残っていたのが、跡形もなく流されていました。黒川右岸の立野溶岩も、長陽大橋東側の駐車場からよく見えていた部分はほとんど埋まっていました。
南阿蘇橋は、「落橋のおそれ通行止め」となっていました。
その南阿蘇橋から見た、長陽大橋と南鉄の白川橋梁です。これまで見てきた区間が、国交省の「阿蘇大橋下流架け替え案」で報じられていた、新ルートの範囲です。断層が走り、両岸も大きく崩壊し、さらには南阿蘇橋は落橋の恐れあり。そんな場所に阿蘇大橋をなぜつくろうとするのでしょうか?将来の安全のことを考えれば、阿蘇大橋は数鹿流ケ滝の上流にかけるべきではないかと考えます。
アソシエート付近から見た長陽大橋西側の崩壊です。さらに崩壊がひどくなっていました。
鮎がえりの滝です。大雨の後で、さらには白川発電所に通水されていないのか、すごい流量でした。
谷の下のほうにあった、旧栃の木温泉跡地も完全に流され、プールの底が見えていました。
地震とその後の大雨による増水で、完全に川の状況が変わっていました。国土交通省は、ここにあった無数の巨石や流木、そして大量の土砂や温泉の残骸も、すべて幅5mの立野ダム下部の「穴」を通って下流に流れるというのでしょうか。スクリーン(柵)に引っかかった流木は、それでもダムの水位が上がると「浮いてくる」というのでしょうか。国交省の「阿蘇大橋下流架け替え案」も「立野ダム計画」も、「造ることが目的」「予算を消化することが目的」「役人の仕事を確保することが目的」と言われても仕方がないと思います。国民の血税を使うのならば、安全で豊かな白川を未来に手渡すために使っていただきたいのもです。(終わり)