球磨川・川辺川とは
球磨川は熊本県南を流れる115kmの河川。日本最大急流の1つに数えられ、人吉球磨盆地から八代海へと注ぎます。
その最大の支流である川辺川では、1966年に国により川辺川ダム建設計画が発表され、賛否の長い論争や水没予定地の住民移転、ダム目的の1つのかんがい事業頓挫、地元首長の反対表明などにより、流域は40年以上に渡って長い論争によって翻弄されてきました。2008年、熊本県知事が「球磨川は県民の宝」として初めてダム反対を表明。翌2009年には、政府による川辺川ダム計画の休止が発表されました。
その後、国、県、流域12市町村首長は「ダムによらない治水」を検討してきましたが、国から提示されたのは実現不可能な工期や予算によるダム代替案であり、河床掘削も含めてほとんど対策が進まないまま放置されました。一方、水没予定地として整備途中だった五木村では、ダム建設を前提としないソフト・ハード面での地域振興の取り組みが進みました。
そして2020年7月4日、熊本県南地域(特に球磨川中流域)を線状降雨帯による記録的豪雨が襲い、球磨川流域では犠牲者50名を含む、甚大な被害が発生しました。国、県はすぐに川辺川ダムを「流水型ダム(穴あきダム)」として復活。命も環境も守れるとして、流水型の川辺川ダムを含む球磨川水系河川整備計画策定を急いでいます。
住民説明も住民参加機会もほとんどなく、犠牲者の亡くなった状況や氾濫状況、荒廃した山林の影響などの検証がほとんど行われないままに手続きが進んでおり、被災者を含む流域住民からは「ダムありきの治水計画」「ダムがあっても命は救えず、清流を守ることもできない」との批判が出ています。
(2022年5月現在)
最新情報と解説
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2024.2.14自伐型林業に学ぶ豊かで災害に強い森づくり
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川辺川ダム環境アセス勉強会資料を公開しました
2023年12月16日に熊本市とオンラインで開催された勉強会「川辺川ダム環境アセスを学ぶー今何が起こっているのか、何をすべきなのかー」について、動画アーカイブと関係資料を以下に公開しました。 こちら 当団体メンバーでもあ […]
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2022年度第4回セミナー記録(河川工作物と生き物の関わり)
【セミナー記録】動く川に「ざわめく自然」は宿る ~流域治水における環境の位置~ ■開催日時:2023年10月8日(土) 14時~16時 ※オンライン開催(視聴会場あり) ■報告(オンライン): 森 誠一さん(岐阜協立 […]
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開催決定【第6回講座】2023.7.25流水型ダムと環境について考える
2023年7月25日(火)19時より、連続講座「川と森とともに生きる球磨川流域の未来」第6回として、「流水型ダムとはなにか」をテーマにオンラインセミナーを開催します。 詳細とお申込み方法はこちら 今回は、流水型ダム(穴あ […]
山江村の自伐型林業塾が地元テレビで取り上げられました
山江村で開催されている自伐型林業塾「鎮山親水林業塾」が、KABで取り上げられています。大規模林業も同時に取り上げられていて、林業が抱える課題と解決策を考える上で参考になるかと思います。 自伐は、小さな経営体で小さな道づく […]
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球磨川支流上流部の現在 放置されたままの皆伐地や崩落地
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【10/8(土)午後 川と生き物を考えるオンラインセミナー開催】(視聴会場を流域2か所で開催) 連続講座「川と森とともに生きる球磨川流域の未来」第4回として、10月8日(土)14時より以下のセミナーを開催します。 今回の […]
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2022年8月27日開催の第3回講座「住民の声を復興まちづくりに活かすために ~宮城県気仙沼 防潮堤問題に学ぶ~」で使用された、三浦友幸さん、柴田祐さんの資料を公開しました。以下からもクリックで見ることができます。
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【セミナー記録】「山が水を貯める力」について考える~森林保水力ってなに?~ ■日時:2022年6月25日(土) 13:30-15:00 ※オンラインとリアル会場(スクリーン視聴)のハイブリッド開催 ■報告(オンライン […]
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6/25からスタートする連続講座「川と森とともに生きる球磨川の未来」、第1回と第2回の予告動画(1分30秒)を公開しました。 講座の詳細はこちら
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2022年4月16-17日に福岡・熊本で開催された日本環境会議「第37回日本環境会議九州大会」2日目、水害分科会において、球磨川水害の問題が取り上げられました。 経緯や問題、現状について分かりやすく解説されています。当団 […]
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「灰色の流域治水」
「緑の流域治水」の実態は「灰色の流域治水」。 国の流域治水イメージ図があまりにも「ウソ・大げさ・紛らわしい」誇大広告なので、球磨川における流域治水のイメージ図を再整理してみた。 国の河川整備計画(原案)を読むと、蒲島郁夫 […]
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参議院での球磨川治水問題答弁
5月11日の参議院災害対策委員会で、嘉田由紀子議員が球磨川治水問題について質問されました。速記メモです。 「ダムができれば、支流の山田川は氾濫しない」との国交省答弁でしたが、一昨年の山田川沿いの大氾濫は上流からあふれたの […]
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(調査)あさぎり町免田川流域を視察
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令和2年7月4日球磨川大水害の殆どの検証がされないままに作られようとしている球磨川流域の河川整備計画ですが、下流に住むものとして一番悔しいのは、瀬戸石ダムの検証がされておらず、事業者電源開発の「マニュアル通りに操作しまし […]
山の問題放置の現場を歩く
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河川整備計画(原案)の問題点(3)
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住民参加の後退
4月29日の熊本日日新聞「射程」では、球磨川の河川整備計画策定に関する住民参加のあり方が問われています。 現在、球磨川の河川整備計画案の策定にあたって、学識者懇談会が開催されていますが、現在においてはまだ住民が意見をいう […]
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球磨川水系の国と県それぞれの管理区間
球磨川水系の整備は、国と県とで下のように分かれています。 ○球磨川本流、柳瀬より下の川辺川とダム水没予定地全部 →国の管理 ○球磨川の全支流、柳瀬より上流の川辺川 →県の管理 国管理区間に「流水型の川辺川ダム」が含まれて […]
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河川整備計画(原案)の問題点(2)
河川整備計画(原案)の一番の問題点は、案を作る前に過去の治水計画や流域の80%以上を占める山の被害が全く検証されずに作られていることです。 今回の水害で皆伐地からは多くの崩落がありましたが、その皆伐面積は流域の森林のまだ […]
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河川整備計画(原案)の問題点(1)
はげ山だらけの山と木がいっぱい生えている山のどちらが保水力があるかは子供でも分かる。 球磨川流域の河川整備計画(原に対する意見募集が行われています。締め切りは5月6日まで。公聴会はすでに終了して、私も公述させていただきま […]
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五木村の大皆伐地と大崩落
五木村の大皆伐地と大崩落地を東大の蔵治光一郎先生と歩く。 大皆伐地はほとんど土砂止めも再植林もしていない。まだ皆伐されてない人工林内のあちこちに「分収林」の看板があり、契約期間2022年とある。50年経過しても間伐がされ […]