水生昆虫調査から見える、球磨川の清流を支える川辺川

自然観察指導員熊本県連絡会(自然観察くまもと)で、20年以上も毎年継続している水生昆虫の観察会。今年は3月21日に開催。ダムのある川とない川の違いを、自然を測る物差しとなる(指標生物)水生昆虫を利用した調査方法である。ずっとダムがない川のすばらしさを水生昆虫が教えてくれる。しかし、それ以上に水の中でその知恵を絞った水生昆虫の暮らし方に感動する。こんな生き物たちが住む川こそが、魚や鳥の生活も守り、その恩恵に預かって私たちの暮らしがあると思う。

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人吉市街地での観察風景。上流の球磨川本流の水生生物相は貧弱だけど、ここは川辺川からきれいな水も水生生物も供給されるので、いつも状態がいい。
きれいな水にしか住めないヒラタカゲロウの仲間。低い姿勢で岩にぴったりくっついて、水に流されないようにして生きている。昔の川辺川はメロン大の石をひっくり返すと、20匹ぐらい張り付いていたが、今は1~2匹。きれいな川辺川の環境も年々悪くなっている。
子供もきれいな川の指標生物だ。大人よりよく見える目で小さな虫をピンセットで上手につかみ、分類に貢献。力の入れぐわいが分からなくて、多分殺しているとは思うけど、こんな経験が生き物や自然を大事にする大人にしていくのだと思う。
好きな昆虫のチラカゲロウもきれいな水にしか住まない。前足ある毛でエサをこしとって捕獲する。
携巣トビケラ。前兆6~7mm。砂のような砂利で巣をつくって住み。ミノムシのように巣を背負って移動する。肉食性の魚や水生昆虫もエサと認識するのは難しいかも。
球磨川と川辺川の合流点より少し上、川辺川最下流の調査(相良村権現橋)。指標生物の種類も数も多い。
川辺川との合流する直前の球磨川(錦町夕葉橋)。種類も数も少ない。
川辺川と合流したのちの球磨川(人吉市九日町)。指標生物の種類と数が増えている。
後ろはホテル鮎里。人吉市街地の清流、水生昆虫を食べる鳥や景観は、川辺川のおかげ。

(報告:つる詳子(写真は一部寺嶋))

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