河川整備計画(原案)の問題点(2)
河川整備計画(原案)の一番の問題点は、案を作る前に過去の治水計画や流域の80%以上を占める山の被害が全く検証されずに作られていることです。
今回の水害で皆伐地からは多くの崩落がありましたが、その皆伐面積は流域の森林のまだ10~20%だと思います。その残りの森林の殆どがシカの食害で低木、下草がありません。もちろん根もありませんので、表土は少しの雨で土石を含めてボロボロ崩れてきます。
九州脊梁の尾根にあったブナ林はもう再生不可能なくらいに林床は丸裸です。そういう状況の流域の急斜面からは、大雨が降ると、一気に崩れるところもあります。
しかし、それ以上の問題は斜面から道路に落ちてきた土石が豪雨時に、豪雨で道路を流れ、カーブのところで谷に落ち、そこから大きな崩落を起こしていることです。そういうところを本当に沢山見てきました。
だけど、シカ問題で人工林では対策を講じられることはあっても自然林には誰も目を向けません。森林の多面的機能どころか、今森林は災害の発生源になっています。人工林のあり方同様、球磨川流域においては、シカ対策は急務で、これはすぐにでも対策の効果が表れるものです。今、流域のシカは、北上したり南下して、その生息範囲を広げています。放置しておくと、熊本県中、これらの写真のようになるのは避けられません。
(報告:つる詳子)