河川整備計画(原案)の問題点(3)
球磨川の河川整備計画(原案)の誤りは多くの点において、令和2年水害の検証をしていないことである。
それはまたこれまでの河川整備計画の検証でもある。
特に、今回の水害では、「堤防がない時の方がよかった」「堤防があるので大丈夫と思って、対応が遅れた」「「川が見えないので見に行ったら、もうあふれそうで引き返した」「以前なら溢れた水はすぐ引いたのに、堤防建設後は堤防があるので、いつまでも引かなかった」「排水ポンプは浸水して、殆ど機能しなかった」との声を本当に多く聞いた。
調べてみると、多くの個所で堤防を作るときに、河畔林は切られ、それまでの河原が埋め立てられ、河道は狭くなってコンクリーの堤防に変わっていた。
つまり、ダムでどれだけ水量をコントロールするので、河道はこれだけ流せればいいという計算で河道設計が行われている。
今回の水害でも堤防がなく、昔の川幅だったら流れていただろうと思えるところがいっぱいあった。川幅が広いと流れも緩やかになる。溢れても河畔林で受け止められさらにゆっくり溢れてくる。堤防が決壊した場合には、そこ一カ所に集中するので、細められたホースから勢いよく水が出るように、堤内(集落の方)に入る。
今回はそういうところが多く、みんな道路からの水が先だったという。
写真の坂本町の荒瀬地区や合志野地区なども堤防建設や河畔林撤去で甚大な被害を起こした例だ。
こんな検証をしないので、今後の河川整備においても、ダムに何トン溜めるので、河道はこれだけ流せいいという考えのまま、案が作られる。すべての堤防の検証もして、必要なところ、そうでないところ考えて、昔に戻せるところは戻してほしい。
球磨川河川整備計画(原案)の問題は、他にも、どうして亡くなった人が出たかとか、瀬戸石ダムの問題、た河川構造物(堰や樋門等々)の検証がほとんどされていないことにあるが、日本のコンクリートで川を固めたり、横断構造物をつくるということから、流域全体の支流に至るまで砂防ダムを増やし、崩れそうなところはコンクリートで固めるという治水対策にしかみえない。
それに対して、欧米ではダムなど横断構造物は撤去し、降った雨はできるだけその場所にとどめ、川をゆっくり流し、あふれるところではあふれさせるという流域治水への方向転換が行われようとしている。
このような方法があることを住民の前に明らかにし、どちらを選ぶか住民と一緒になって考える場が本当にほしい。
意見提出は5月6日まで。できるだけ多くの皆さんの意見を届けてください。
(報告:つる)