川辺川ダム事業費増額問題

「塚原メモ」

事業費増額の根拠
 (2004年9月国交省の説明資料)
川辺川ダム総事業費の国や県の負担
崩壊寸前の熊本県財政と国の財政
最近の動き
2004年12月16日 熊本県宛て要請書の中で、事業費増額問題に関して住民討論集会開催を申し入れ >>こちら
2004年12月3日 国交省九地整への申し入れの際、事業費増額問題について口頭で質問
2004年10月20日 国土交通大臣及び九地整局長宛ての「川辺川ダムを考える住民討論集会の開催要請書」を提出


これまでの経緯
 2004年8月6日、民主党の国会議員でつくる「3公共事業マニュフェストを実現する会」(佐藤謙一郎代表)が入手した国交省内部文書により、川辺川ダム事業費が、現在の2650億円から少なく見積もっても650億円増に当たる3300億円に膨れ上がる見込みがあることが明らかになりました。
 この中には、新利水計画の動向いかんに関わらず、基本計画変更を考えていること、事業費の大幅増によって熊本県や住民から強い反発を受けることを予想し、一次公表を控えるようにも取れる内容が記されていました。

 これに対して、住民側は強く反発。新利水計画策定中という重要な時期に、発表時期について意図的な情報操作があったことと、事業費増額が分かっていながら今日まで隠していたこと、また財政の厳しい熊本県に対しても事前説明が一切なかったことについて、不信と不満を募らせています。

 9月9日に県庁で開催された説明会(配布資料はこちら)においても、国交省の説明はつじつまの合わないものでしかなく、住民側はいっそう強く不信感を抱く結果となりました。
 県民の会やダム反対市民グループは、この事業費増額問題について不審な点があまりに多く、十分な説明が行われていないとして、住民討論集会での説明を要望しています。
 

以下は「塚原メモ」と呼ばれるその内部文書です。 


平成16年7月中に詰めておくべき事項

 1.収用委員会への対応
 2.農水撤退後の事業計画
 3.利水事前協議ヘの対応

1.収用委員会ヘの対応
1)新利水計画がダム水源となった場合
 a.合理的な期間内に2/3の同意取得ができ計画が成立した場合
 ・基本計画を変更しダム事業継続
 ・事業期間の延長、事業費の増大に関し熊本県の理解が得られるか
 ・発電事業の採算性が碓保できるか
 b.合理的な期間内に2/3の同意取得ができない場合
 ・収用委員会からのプレッシャー(いつまで待てばよいのか、2/3の同意が
  取れる目途があるのか、収用法の規定(すみやかに裁決する)をどう考える
  のか)ヘの対応
 ・収用法所管官庁として、審理を長期にわたらせることが許されるか
2)新利水計画がダム水源とならなかった場合
 ・態度表明の時期をどうするか(計画概要の素案がまとまった時期か、計画概要公
  告時か)
 ・農水が撤退しても、現在の事業認定を維持すると主張するのか
 ・現在の事業認定を維持すると主張した場合、収用委員会で却下裁決となった場合
  の対応

2.農水撤退後の事業計画
1)発電事業ヘの影響
 農水が撤退した場合の新たな基本計画について、事業費、アロケ率を検討し、新た
 に求めた事業費、アロケ率を基に、発電事業の採算性についで、内々に検討を行う
 必要がある。
2)新たな治水計画の検討
 現在の工実を踏襲した整備方針、整備計画を策定し、F,Nでダム事業を実施する
 のか、新たな治水計画をベースに整備方針、整備計画を策定するのかの判断が必要
 新たな治水計画を策定する場合、洪水調節容量が大幅に増加するため、川辺川ダム
 を洪水調節専用ダムとする必要がある。
3)上流、中流、下流の安全度及び本川上流の取り扱い
 整備方針、整備計画において、下流部、中流部、人吉、本川上流部の治水安全度を
 どう設定するか整理が必要である。

3.利水事前協議ヘの対応
1)事業費について
 川辺川ダムの事業費については、平成17年度概算要求額まで含めれば、約2000
 億円(?)が支出済みであり、今後最大限切りつめても全体事業費約3300
 億円(?)となる見通しである。
 事前協議で事業費増嵩を表明すればそれだけで大騒ぎとなるが、仮に事業費増嵩を
 表明せず、基本計画変更時に事業費増嵩を表明した場合、熊本県の反発を招く。
 事前協議にて事業費をどう取り及うかの意思決定が必要。
2)アロケ率について
 現在、特定かんがいアロケ率は3.9%である。新利水計画の特定かんがい面積は
 激減が予想され、特定かんがいの面積が1/4程度になった場合、現在のアロケ率
 も大幅に変化し、この取り扱いについて議論になると予想される。
3)電源開発との調整
 現在電源開発ヘは、平成25年度事業完了予定と説明しているが、事業費増につい
 ては説明していない。仮に事前協議でダム事業費の増嵩を表明する場合、電源開発
 に対し、事業継続の確認を行っておく必要がある。

地表流観察実施に向けて

○必要な作業等
・地表流観察筒所の特定
・現地視察未実施箇所の視察(反K:清楽、反D:端海野(自然林))
・範囲の設定(現地での確認)
・計器設置関連(必要計器の特定、個数の検討)
・実施要領の策定(8月初め目処)
・地権者対応(観察実施許可等)

○スケジュール(案)
7月
10日頃  中根氏より観察機器等の仕様(性能、規格等)等の提出
20日まで 設置案の作成
     現地の事前視察、期間等検討(工営同行)
     範囲の確定、測定項目の特定
20日の週以降 中根氏?との事務レベル協議(県立会)
8月早々 実施要領策定、併せて観察機器の設置開始
8月中旬から予備実験闘始
並行して、地権者協議を実施
※0701合意事項にある実施要領の8月中策定では間に合わない。



用語解説

1. 「F,N」とはダムの目的の略号。
  F : 洪水調節,農地防災
  N : 不特定用水,河川維持用水

2. 「工営」は川辺川ダムの環境調査をコンサルタント会社である日本工営が請け負っているので、日本工営と思われる。

3. 「アロケ率」とは、大まかに言って、ダム建設事業費の費用分担割合。



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