川辺川ダムってなんだろう?
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日本三大急流として知られる球磨川の最大の支流・川辺川に、1966年に計画された高さ107.5m、総貯水量1億3,300万立方メートル(東京ドームの約107杯分)もある九州最大級のダムです。目的は治水(洪水防止)、利水(かんがい・農業用水)、発電となっています。球磨川の上流部には既に市房ダムがありますが、川辺川のきれいで豊富な水が球磨川を支えています。


1966年に国土交通省九州地方整備局によって計画された川辺川ダム事業は、治水、利水(農業用水)、発電を目的とした多目的ダムでした。

ダム本体工事をのぞく関連工事が進む中、ダム本体の建設は未着工の状態が続いていましたが、1990年代半ば〜2000年初頭にかけて、市民による強い反対世論が高まり、球磨川流域を中心に県内や全国へと川辺川ダム計画の問題点が広く知られるようになりました。

その後、ダムから水を引く灌漑事業である国営川辺川土地改良事業は、農家同意を巡る裁判で2003年に農水省が敗訴し白紙に。その影響で国の強制収用手続きも2005年に手続きやり直しとなりました。2006年、農水省は正式に利水事業撤退、2007年に電源開発(株)も発電事業から撤退を表明。地元自治体首長の意向を受け、2008年には県知事が「球磨川は県民の宝」として県政史上初めてダム反対を表明。翌2009年には国も正式に中止を発表し、川辺川ダム計画は姿を消し、ダムによらない治水やダムと切り離した水没予定地の地域振興事業が進んでいました。

しかし、ダムによらない治水対策の協議は、国が実現不可能な代替案の提示を続け、各自治体首長も遊水地整備などに難色を示し、実質的にはダム代替案はほとんど進まないままに12年間が過ぎました。

そのような中で2020年7月、球磨川豪雨災害が発生しました。その後国交省と県は、災害の検証もそこそこに「命と環境を守る唯一の選択肢」として、治水のみを目的とした流水型(穴あき)ダムに計画を変更し、再び事業を再開しました。現在、住民説明や住民参加の機会を設けないままに、関連事業や環境アセスメント手続きなどが進められています。

詳しくはQ&Aをご覧下さい。

以下は2009年に旧計画が中止となるまでのダムの目的についての解説です

≪治水≫
被害住民が恐れるダム洪水

 川辺川ダムは1965年の人吉大洪水をきっかけに計画されました。しかし、その洪水の時「30分ほどで一気に2mも水位が上がった」という数々の証言から、「市房ダムからの急激な放流が被害を大きくした」と水害体験者は考えています。市房ダムに加えて、その3倍の大きさの川辺川ダムが造られると、下流の住民は、これまで以上に洪水の恐怖におびやかされることになります。
人吉市内の公衆温泉に残る洪水のあと。
市房ダムが完成するまでは膝までぐらいだった洪水が、完成後いきなり腰より上に水が上がるようになった。



≪利水≫
水をもらう農家が裁判を!

 ダム計画がたてられたのは戦後の食料増産の時代。しかし現在では、水田面積は国の減反政策で当時の半分以下になり、後継者不足などの理由で放置されている水田も目立ちます。他の農作物も長い間の工夫の末、土地に適した作物を選んで栽培、水も十分に足りている状態です。この上、費用を払ってまで、ダムからの水はいらないとして、ダムに係わる利水計画に反対した農民が、裁判に立ち上がりました。その数は2,100人以上で、水をもらう農家の半分以上にも達しています。この裁判中では、死んだ人の署名・捺印があるなど同意の取り方がおかしいことが次々と明らかになりました。

 2003年5月の福岡高裁の判決で、「ダムの水はいらん!」と訴えた、原告農民の訴えが認められ勝訴しました。これまでの国の利水事業計画は白紙となったのです。この裁判により、地域農民を無視し「ダムありき」の強引な事業計画の進め方の違法性が明らかになりました。
農民が自ら望む利水事業には、川辺川ダムは必要ないことは明らかです。地域の実情にあった、農家本意の利水事業が望まれます。



≪発電≫
とってつけられた建設目的

 川辺川には現在使われている4つの発電所のうち、ダム建設により3つが水没してしまいます。川辺川ダムで発電する電力は1万6,500kw 。閉鎖される3つのダムの電力が1万5,900kw ですから、ほんのわずかな発電量の増加にしかなりません。


豊かな自然環境の破壊
 ダムによる水没予定地一帯には、絶滅危惧種のクマタカをはじめ多くの動植物が生息しています。しかし、計画が古いという理由で環境アセスメントも行われていません。広大な森や集落を水の底に沈め、自然の流れを分断し、下流や海に至るまで確実に影響を与える大事業なのに、その調査や、保全対策がきちんと行われていないことが大きな問題です。
人吉市より上流に位置する川辺川と球磨川の合流地点

未来へ残る借金
 当初350億円と見積もられていた川辺川ダム事業費は増え続け、今では2,650億円にまでふくらんでいます。関連事業費も合わせれば4,100億円にもなるといわれており、今後、さらに増加する可能性があります。これらの費用は全て国民や熊本県民からの税金でまかなわれます。国民一人あたりの借金(債券発行残高)が500万円以上と言われるなか、不必要な公共事業をすぐに中止しないと、私たちの世代だけでなく、子供や孫にまで大きな負担を残すことになります。
 また昨年、事業費が最低でも3,300億円に膨らむ可能性を示す国の内部資料が明らかになり、大きな問題となっています。
■川辺川ダム関連事業の費用
川辺川ダム事業 2,650億円
国営川辺川土地改良事業 340億円
関連土地改良事業 220億円
水源地域整備事業 701億円
砂防ダム事業 234億円

私たちの提案
 私たちはコンクリートのダムより「みどりのダム」を望みます。川は水が流れるだけではありません。川風によって空気も川を流れます。また、魚や課にやさまざまな生き物が川をさかのぼったり、下ったりしています。そのような豊かな生態系を根本から断ち切るコンクリートの巨大ダムは要りません。「治水は治山から」という、基本に立ち返り、山林の手入れを積極的に進め、豊かで持続可能な安定した流域環境を私たちは提案します。
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