球磨川漁協とダム

知っていますか?許せますか?漁協の実態
球磨川が漁協執行部によって私物化されようとしています

どうなってるの?
球磨川漁協

球磨川漁協とダム

熊本県あて
メール送信フォーム

年表で見る
漁協とダム問題


■漁協と川辺川ダムはどんな関係?

 
 球磨川とその支流の川辺川流域には、漁業の発展を目的とした「球磨川漁業協同組合」(木下東也組合長)があります。

 一生で川の遡上と下降を行う鮎の生態にとって、川の流れを中断するダムは大きな障害。大きくて美しく、おいしい鮎に育つためには、エサとなる良質の苔や水温の微妙な変化、水の透明度などの環境が必要となり、そのすべてに大きな打撃を与える川辺川ダム建設は、漁民にとっては死活問題です。将来の漁業や子どもたちへ引き継いでいく川のすがたをを考えた時、ダム建設が球磨川に取り返しのつかない打撃を与えることは間違いありません。そのため、多くの漁民は川辺川ダムに反対しています。


 しかし、球磨川漁協組合員の中には、ダムができて鮎が消え、球磨川の環境が激変してしまうことよりも、漁業補償金の配分を望む人たちもいます。現在の漁協執行部は、ダム建設を積極的に支持しています。組合員の中にはまた、ダム建設をめぐる利権構造によって、建設業者などから圧力を受けているために、ダムに賛成している組合員も多くいると言われています。

 国がダムを作るためには、漁協による漁業補償受入が必要になります。しかし2001年11月、全体の3分の1以上の組合員が反対したことで、球磨川漁協は漁業補償案の受入を拒否しました。川を守りたい漁民たちの気持ちが、ダム推進派に勝利したのです。

 ところがその直後、国は漁業権の収用申請を行い、現在に至っています。ダムの「公益性」をたてに、漁民の持つ漁業権を強制的に取り上げようとしているのです。また、強力なダム推進派である漁協執行部も、組合員のダム反対を押し切ってなんとか漁業補償に調印しようと、漁業権の権利者は漁民たちではなく漁協そのものだと主張したり、推進派組合員を多数新規加入させたりと、これまでにさまざまな工作を行っています。 

■川辺川ダム建設のため!?
 「やりたい放題」「何でもあり」の球磨川漁協執行部

 
漁業補償と川辺川ダム問題がクローズアップされるようになると、球磨川漁協執行部は
 組合員の声を無視し、あからさまなダム建設推進と、漁業補償受入を押し進めるように
 なりました。
 強引な漁協執行部は、これまでも熊本県からの勧告すら無視する態度をとっており、
 その横暴な姿勢に対し、組合員のみでなく、市民や流域住民からも反発の声が強まって
 います。

■球磨川漁協始まって以来の「異常事態」
● 総代会開催請求無視 熊本県が異例の指導
 漁協では、全総代の一定数以上の請求があれば、臨時総代会を開くことができます。ところが漁協執行部はその請求を無視。熊本県漁政課から漁協執行部に対し、「正当な理由なしに、開催請求を無視することは問題」と異例の勧告が出ましたが、それでも漁協は無視し続けました。
 参考:「臨時総代会開催せず 球磨川漁協理事会決定 『請求に問題』」(2002年4月24日熊日)
     「
総代会開催 球磨川漁協総代が執行部指導を県に要請」(2003年9月4日熊日)
     「
臨時総代会 県が球磨川漁協に開催を勧告」(2003年10月2日熊日)
     「
球磨川漁協 臨時総代会開催は継続審議と県に回答」(2003年11月7日熊日)

● 新規組合加入申請を恣意的に拒否
 漁協には、加入脱退の自由が保障されています。新規に組合への加入を申請し組合費を納めれば、それを拒否する理由は存在しません。ところが執行部は、昨年申請された新規加入申請を、資格審査に時間を要するとの理由をつけ現在まで留保し続けています。これは水協法に違反する、違法な行為になります。
 新聞報道(1)(2)(3)

● 候補者決定以前に選挙を実施!?
 来月15日、総代という組合員の代表を選ぶ選挙が各地で実施されます。その立候補受付は4月28日からで、5月2日に候補者が決まります。にもかかわらず、八代市の高田選挙区では、4月26日にすでに投票をさせていたという事実が明らかになりました。あり得ないはずの前倒しの投票実施はなぜか?背後に何らかの意図的な操作があると考えられます。
 参考:「総代選挙 ダム反対派、投票無効求め抗議」(2005年4月30日熊日)
     
4月28日付漁民からの県あて要望書

● 民主的とはほど遠い 怒号飛び交う総代会
 今年3月27日、人吉市において漁協通常総代会が開かれました。激しく怒号が飛び交う中、総代会は12時間にも及びました。多くの議題が内容について審議されないまま、執行部によって強行採決。民主的とはほど遠い進行で、ダム推進派にとって有利な規約改正が強引に決められてしまいました。
 参考:「漁協総代会 組合員加入申請で紛糾」(2005年3月28日熊日)
     「
容認派と反対派の攻防再燃」(〃)




球磨川と漁協は、利権の温床!
 2005年3月27日、人吉の東西コミュニティーセンターで、球磨川漁協(木下東也組合長、2277人)の通常総代会が開催されました。そこで、繰り広げられたのは、多数派を占める執行部派の違法ともいえる横暴な議事運営でした。
 法律で認められた新規加入者の権利の無視、執行部にいくらでも都合のよく利用できる委任状の可決という結果からは、5月に控えた総代選挙で執行部派の総代を更に増やそうという、執行部の思惑しか見えてきません。漁協執行部が、ここまで違法行為と多数派工作を繰り返して、球磨川と漁協を私物化しようとしていることの背景には、川を巡る利権があるからに他なりません。

■漁協が利権に走る背景と構図

 球磨川にダムや堰・砂防ダム・橋・護岸工事などすべて、河川内に構造物をつくる場合、球磨川漁協の同意が必要です。工事が組合員の漁に影響を与えるからです。特に漁業権を失うダムなどの大型公共事業は、組合員の代表である総代の3分の2の同意が必要であるために、ダムを作りたい者は、総代の3分の2を確保するために躍起になります。一番効果的なのが、総代を選ぶ組合員をダム推進派で占めることです。また、総代の選挙に必要な委任状を多く集めることです。

 今回、漁協総代会で委任状に関する規約の変更を強引に行ったり、ダム反対派の組合員が多数を占める今年の組合員加入希望者を認めなかった背景には、このような事情があります。鮎漁に悪影響があるダム建設に邁進すること自体、漁協の目的から外れていますが、ここまで横暴なやり方をするには、河川に関する工事が漁協執行部に取ってうまみがあるからに他ありません。また、そこに業者の関与の余地があり、漁協の推進派組合員に土木業者が多いのもうなずけることです。橋脚や砂防ダムの工事などの同意は、執行部の裁量となっており、総代会にもあがってきません。

 球磨川が公共物である以上、組合員だけでなく市民も、これらに関する情報の公開を求める権利があります。球磨川と漁協の私物化を、ここまで許してきた責任の一旦は、組合員や市民の無関心にもあり、今、球磨川を市民に取り戻すためには、漁協の体質を変える必要があります。


■悪用しようと思ったら、どれだけも悪用できる委任状の規約変更は、許されない。

 三月二七日総代会において、この委任状に関する議案が可決されましたが、その決定に至る経緯は、手提案内容や理由の説明もない、横暴そのものでした。

議長
執行部派総代
他総代
議長 
議長

議長
「十一号議案に入ります」
「採決に入ってください」
「まだ、議案の説明もしてないぞ!」
「動議に賛成の人、挙手をお願いします」  ―採決―
「可決されました。採決します。議案に賛成の人の挙手をお願いします」  ―採決―
「可決されました。解散!」

 ・・・みんな立ち上がり、帰り支度を始め、可決されたのです。
 今回可決された委任状に変更されることになれば、執行部だけが自分たちにとって都合のよい委任状を作り、都合の良い時期に委任状を集めることができます。漁協の弁護士も、その可能性を否定できないため、後述のような意見をしていますが、無視しています。

■漁協顧問弁護士の意見も無視する執行部 

 <委任状に関する弁護士の見解>
「今回の改正案の規定自体が、直ちに代理議決書・書面議決権を不当に制約するものとは考えられません。
 但し、現在、球磨川漁協執行部支持者の組合員と反対派の組合員相互間に、深刻な意見の対立があり、信頼関係の構築に問題があることを考慮すると、今後、今回の改正規約運用において、組合員の代理議決権・書面議決権の行使が不当に制限されるのではなではないかとの組合員の懸念も理解できるところですが、今回の規約改正にあたっては、不当な運用を防止するための規定も同時に定めることが妥当と考えます。」

注:なお、今回の規約改正では、不当な運用を防止するための規約は盛り込まれなかった。

■組合の加入拒否は法律違反
 漁協への加入申込みは、例年と同様の審査に従わなければならないにも係わらず、新規加入者に反執行部が多かったので、審査を決められた期間に行わなかった。執行部派が多かった、昨年は、全員の加入を認めていることからも、加入拒否が意図的であることは否定できない。



このページの一番上へ戻る||県民の会トップへ戻る