2005年8月24日、収用委員会宛てに以下の意見書(49)を提出しました。

国土交通大臣起業「1級河川球磨川水系川辺川ダム建設工事及びこれに伴う付帯工事」に係る土地収用案件(熊収13第9,第10案件)
2005年8月24日
熊本県土地収用委員会
会長 塚 本  侃 殿
意見書(49)

権利を主張する者毛利正二代理人
弁護士     板  井  優
弁護士     松 野 信 夫
弁護士     田 尻 和 子 
弁護士     原  啓  章


第1 新利水計画策定の状況

 2005(平成17)年8月22日午後3時、九州農政局・熊本県・関係市町村は次のアンケート内容をマスコミと通じて公表するとともに、川辺川利水訴訟原告団・弁護団、川辺川開発青年同志会に配布したが、記者会見は行われず、コメントも付けられていない。

   なお、川辺川利水原告団・同弁護団は、上記アンケートの公表には事前に同意も事後の承諾も受け取っていなし、これをチェックする資料も渡されていない。したがって、このアンケートの第3問の水源の箇所で「ア 74%」「イ 13%」「ウ 14%」で合計が101%と100%を超すといういい加減な処理をしていることも含めて、アンケート調査結果、や「3 今後の進め方」で「計画概要の素案を農家に確認するとの記載が欠落していることについては同原告団、弁護団は責任を負えるものではない、とのことである。

   しかしながら、第2項で述べるように、今回のアンケート調査の結果で新利水事業が国営で実施されることは相当困難であり、少なくともダム案で実施することはほぼ不可能となったといえる。

 (アンケート内容)


(1) 8月19日までのアンケート回収状況は、以下のとおりである。

対象人数(人) 提出者数(人) 率(%)
人 吉 市 730 620 85
錦  町 423 375 80
あさぎり町 693 614 89
多良木町 883 784 89
相 良 村 861 777 90
山 江 村 650 565 87
合 計 4,240 3,735 88

(2) 農家訪問による回収は、8月9日で終了した。
その後、郵送によるアンケートの回答を待っていたが、回収率が9割近くに達し、8月19日到着分まででアンケート回収を終了した。

2 アンケート結果の概要(速報版)
(1) 問1(国営事業への多加意向)の結果
○ 「ア 国営事業に参加する」と回答した人数の割合は、以下のとおりである。
・対象農家全体(4,240人)では約40%
・概定した事業実施地域内(1,3 7 8ha、2,028人)では約72%

(2) 問2(耕作者と所有者の調整)の結果
○ 借入地がある農家(766人)の回答は、以下のとおりである。
・「ア 所有者と相談した結果、同じ意見であった」が約69%
・「イ 所有者と相談した結果、違う意見であった」が約3%
・「ウ 所有者とは相談しなかった」が約21%

(3) 問3(水源案の選択)の結果
○ 問 1で「ア 国営事業に参加する」と回容した農家(1,775人)
の回答は、以下のとおりである。
・「ア 川辺川ダム案が望ましい」が約74%
・「イ 相良六藤堰案が望ましい」が約13%
・「ウ どちらでも良い」が約14%

(4) 問4(除外の場合の同意)の結果
○ アンケート提出農家(3,735人)の回答は、以下のとおりである。
・「ア 地区除外に同意する」が約91%
・「イ 地区除外に同意しない」が約8%

3  今後の進め方
今後の進め方については、以下のとおりである。
@ アンケート結果に基づいて、国営事業への参加意向がある農地について、水田は堰などのまとまった水掛かり単位、畑は一定のつながりのある農地の単位毎に集計を行うとともに、地図上に表示する。
A 集計結果や図面に基づいて、国、県、市町村で検討し、新たな事業実施地域の行政案を作成する。
B 新たな事業実施地域の行政案を、事前協議の場へ提示、協議する。
C 事業実施地域の協議後、水源について協議する。
D 事前協議の結果を受けて、国は、変更計画概要の提示・とりまとめ、変更計画概要の公告・縦覧を行う。

(以上、アンケート調査結果)


 現時点でのアンケート調査結果についての意見

@  平成6年の国営川辺川利水事業変更計画(3010ha)の規模の事業は不可能となった。

   本件を考える上で最も重要なことは、土地改良法では対象農家の3分の1以上の同意がなければ事業は成立しない、ということである。この状態ままで、国営川辺川利水事業変更計画規模の事業が実施出来ないことは、事業に参加するとした対象農家が4割しかいないことから明確になった。

   ちなみに、全対象農家で参加すると答えたのは、4240人×0.4=1696人であるが、概定地域内で参加すると答えた者は2028人×0.72=1460人である。したがって、概定地域以外から参加を希望したものは1696人−1460人=236人である。しかし、今回は概定地域以外では事業をしないという提案であるから、概定地域の参加者数の全体の対象農家数での割合は1460人÷4240人=約34%である。

   この結果は、平成15年6月16日の福岡高裁判決が正しいかったばかりでなく、同訴訟で原告が最終準備書面で述べたように同意者は3割強に過ぎないとしたことともほぼ一致する。要するに、行政による水の押し付けがあったことは明白な事実である。


A  いわゆる概定地域(1378ha)規模の事業も農水省の事前協議での見解(8,9割の参加者が必要)では不可能となった。

  九州農政局は、これまでの事前協議で、概定地域内では8割、9割の参加者がなければ農水大臣はその水掛りを対象地域として公告できないと言明してきた。概定地域内の事業参加者数は3分の2をわずか6%しか超えない72%しか無く、とても8割、9割どころではない。

   しかも、アンケート第4問に答えた人の91%が事業から除外されることに同意している。これは、今回は一応事業に参加すると答えておくが、最終的には対象地域から除外して欲しいという人たちと考えられる。この事業は申請事業であるから、本当に水を望んでいるのは9%すなわち約4240人中約380人なのである。

    要するに、国営規模の利水事業としてはほぼありえないという現状である。

    ちなみに、概定地域内には、水田のさまざまな水掛りが存在し、畑かんがい地域も多数存在する。その水係り、畑かんがい地域ごとに当然事業に参加することを答えた数は異なるであろう。そこで、8割ないし9割の参加回答があった水掛り、畑かんがい地域については、県営も含め規模の如何を問わず利水事業を検討しなければならないことになるであろう。

    これに、関連して、変更計画概要の素案をまとめ農家の意思を問うことになるかどうかが、今後の事前協議の課題であろう。


B ダムからの水という利水事業の可能性は全くない。

 上記で述べたように、概定地域内では、そもそも対象地域を特定できるだけの参加者はない。すなわち、概定地域の中で事業に参加すると答えた者は72%ダム利水を望むものは、概定地域内の74%で、要するに、約53%しかいないのである。それ以外の農家はダム以外の利水に同意する人たちなどダム利水に同意しない農家であり、ダム利水案が土地改良法上の要件である3分の2以上の同意は取れないことは明白である。

   ちなみに、新聞報道によると、川辺川利水原告団幹部が、今回のアンケート調査に関して水源案でダム案優位の誤った情報提供がなされたこと(8月23日朝日新聞)、川辺川の清流(環境)を重視する立場からダム案には同意できない(8月17日熊日)とのコメントをしている。


C  今後の事前協議の日程について、は目下のところ、日程は示されていない。上記のとおり、第5回意見交換会に伴うアンケート調査(骨子)が公表されたのは本年8月22日である。そして、その書面には、「3 今後の進行」の中で今後、行政が「@アンケート結果に基づいて、国営事業への参加意向がある農地について、水田は堰などのまとまった水掛かり単位、畑は一定のつながりのある農地の単位毎に集計を行うとともに、地図上に表示する。A 集計結果や図面に基づいて、国、県、市町村で検討し、新たな事業実施地域の行政案を作成する。」とあり、その後事前協議にこれを提出するとある。

 したがって、行政側の作業場の都合により、当面事前協議が開催される見通しはついていないといえる。


 新聞報道関係
   平成17年8月24日熊本日日新聞朝刊4面には「前途多難 川辺川新利水」「遠い『3分の2同意』」「水源限定なら届かず」「区域設定も課題」との見出しで、アンケート調査結果を次のとおり分析している。

   要するに、今後どのような展開になるかどうか全く見えていないのが実情である。


第2 直ちに却下裁決が下されるべきこと

 収用委員会は,本件収用の審理進行に関し,以下のとおり見解を述べてきた。

@ 第20回審理(平成15年10月27日)
 収用委員会は、次の理由を述べて、新利水事業の策定まで審理を中断するとした。その際の目途としては2004年4月から6月ということであった。しかし、その時期までには審理は再開されなかった。その後、起業者から2004年10月には新利水事業が策定されるとの報告を受け、同年11月25日、再開された。

 「却下要件に該当するかどうかですけれども、ダム建設事業計画は特定多目的ダム法に基づく農林水産省との法定協議を基礎としており、土地改良事業変更計画自体は、その一部をなすものではないから、土地改良事業変更計画が取り消されたことをもって、ダム建設事業計画の利水目的が消滅するというものでなく、むしろ事業の変更が認められている現行法の下では、現時点においては、起業者に事業計画を変更するか否かの判断が求められているに過ぎないというべきである。
現状では、農林水産省の新利水計画の内容を踏まえて、起業者がダム建設事業計画を変更する必要があるのかないのか、起業者が検討を余儀なくされる事態になっており、それにもかかわらず、現時点で著しい変更に当たるか否かを当収用委員会が判断するということは、起業者に認められている事業計画の変更権を無視するということになる。したがって、現時点では却下すべきか否か判断すべきではなく、却下要件には該当しないと判断する。」(第20回収用委員会審理録48ないし49頁)

「現時点で、却下要件に該当しないことは、前述のとおりです。
特定多目的ダム法に基づく法定協議の前提になっている国営川辺川土地改良事業変更計画が取り消され、起業者がダム建設事業計画の利水事業を変更するかどうか検討したいと申し立てており、検討に要する期間は待たざるを得ない。したがって、他に審議すべき事項がなければ次回審理を新利水計画策定後に開催せざるを得ない。
 なお、土地収用法上はこれに関する規定はなく、法46条第3項に『収用委員会は、審理の促進を図り、裁決が遅延することのないように努めなければならない』との規定はあるものの、裁決をなすべき期間については何ら定めはない。裁決するのに必要な期間は、事案によりさまざまであり、それを審理指揮権に基づき確保することは遅延に当たらない。」(同審理録49頁)


A 第21回審理(平成16年11月25日)

 「次に,それを踏まえまして,収用委員会がどのように考えているかということですけれども,収用委員会としましては,すでに収用手続に入っている事業について,計画変更の可能性が生じているからということで,その内容が判明するまでいつまでも待つということはできないと考えております。ですから,遅くとも来年の春までには,新利水計画の概要を示していただきたいと考えております。

したがいまして,来春を目処に,その時点で新利水計画の概要が判明しているか否かにかかわらず,再度審理を開いて状況を確認する考えです。

その場合に,その時期までに新利水計画の概要が判明しているのであれば,それを踏まえてダム事業計画を変更する必要があるのかという対応方針も含めて意見を伺うつもりです。

また,逆にその時期までに新利水計画が示されず,ダム基本計画を変更すべきか否かも確定していないということであれば,その状況を前提に,収用委員会として判断を示したいと考えております。」

「要は,通常考えれば,2月から4月ぐらいが春だろうという前提で,『来春』という言葉を使っております。これは,現実的にどのような形で,要するに,3分の2の同意を得るのに必要な内容は確定して,ただ,まだその3分の2の同意を得る手続に入っているけれども,結論がまだ出ていないと,こういうことも一つの可能性としてあるのではないかと考えています。そういう場合に,そこまで行っているのに,もうちょっと待ってほしいとか,時間が欲しいと言われた場合,収用委員会としてはそれは待たざるを得ないのかなと考えています。そういうことがあるものですから,具体的にどの程度,進捗状況がどの程度に至っているかによって,多少のぶれが生じるだろうということで,春までという表現にしております。ですから,例えば,6月頃とかなりますと,これは収用委員会としては,そこまで春とは考えておりません。」

「手続が,ある時期を境にして,内容がはっきりするというものであれば,私どもも何月までという表現をしたいんですけれども,その手続の進捗状況にかなり弾力性があると思っていますので,一応,『春頃まで』という表現を使わせていただいております。ただ,その真意が,例えば6月とか,8月とか,そんなことは到底考えていませんということも,逆に収用委員会の気持ちとして言いたいものですから,逆にそれが『春頃』という表現になったとご理解いただければと思います。」



B  第22回審理(平成17年5月31日)


「これで、本日の審理は終了いたします。今後の進行につきましては、私どもはまず本日までに提出いただきました起業者の方の意見書に基づきまして、新利水計画の進行状況がこの意見書に記載されている状況であるということを踏まえて、なお審理を続行すべきか、それとも打ち切るべきかの判断をさせていただこうと思っております。その結論が出ました後で審理を開きまして、その場で終結するという方針をお伝えするのか、さらに審理を継続するということになろうかと思います。ただ、その具体的な理由につきましては、審理を終結するということになれば裁決書をお送りするということになりますので、その中で収用委員会の考えは示されているとお考えください。それから、終結しないということになれば、最後の段階で裁決書を出しますので、その中で収用委員会が審理を終結しないと考えた理由は述べさせていただきます。」(第22回収用委員会審理録25頁)


 以上によれば,収用委員会は,平成17年2月から4月の間に,審理を開いて,新利水計画の概要が判明しているか否か,その状況を確認すること,その場合に,その時期までに新利水計画の概要が判明していれば,それを踏まえてダム事業計画を変更する必要があるか否か,対応方針も含めて意見を聴取すること,逆に,その時期までに新利水計画が示されず,ダム基本計画を変更すべきか否かも確定していないということであれば,その状況を前提に,収用委員会としての判断を示すことを収用委員会の公式見解として明らかにしてきた。

  これを踏まえて,平成17年5月31日,第22回審理が開催されたが,その時点までに,新利水計画は示されず,ダム基本計画を変更すべきか否かも確定していないことが判明した。これにより,収用委員会は,「私どもはまず本日までに提出いただきました起業者の方の意見書に基づきまして、新利水計画の進行状況がこの意見書に記載されている状況であるということを踏まえて、なお審理を続行すべきか、それとも打ち切るべきかの判断をさせていただこうと思っております」とした。

  しかし、その後、起業者は平成17年7月19日つけ意見書を提出し、さらに第5回意見交換会のアンケート調査結果が本年8月にも明らかにされるとのスケジュールも示された。これを受けて、平成17年8月29日,第23回審理が開催される運びとなった。そして、現時点で第22回収用委員会の時点での状況と変化があるかどうかを検討し、収用委員会の見解を示すとして、同年8月26日までに関係者からの意見提出を指示している。

  以上の審理経過や収用委員会の公式見解を踏まえれば,本月29日に開催される第23回審理においては,収用委員会から,本件申請に関する最終判断が示される以外の審理の進行は考えられないことが帰結される。


第3 収用委員会は,却下裁決を直ちに下すべきこと

 土地収用法(以下「法」という)に照らして,収用委員会の判断が却下裁決しかありえないことについて,これまで,権利を主張する者はその根拠を詳細に主張してきた。

  加えて,以下に述べるような理由に照らしても,収用委員会は,本件について,直ちに却下裁決を下すべきである。

 法19条は,「@ 前条の規定による事業認定申請書及びその添付書類が同条又は同条に基づく国土交通省令に規定する方式を欠くときは,国土交通大臣又は都道府県知事は,相当な期間を定めて,その欠陥を補正させなければならない。第125条の規定による手数料を納めないときも,同様とする。 A 起業者が前項の規定により欠陥の補正を命ぜられたにかかわらず,その定められた期間内に欠陥の補正をしないときは,国土交通大臣又は都道府県知事は,事業認定申請書を却下しなければならない。」と規定している。

  そして,47条の3第5項は,「第19条1項前段の規定は,第1項に規定する書類の欠陥の補正について準用する。」と規定している。

  上記5項は,明渡裁決の申立てに関連した書類が所定の方式を欠くときは,収用委員会は,相当な期間を定めて,その欠陥を補正させなければならないことを定めたものである。そして,起業者が,補正命令に応じないときには,収用委員会としては,法47条の「収用又は使用の裁決の申請が……この法律の規定に違反するとき」に当たるとして,裁決申請を却下する裁決をするべきである,と解される(小澤道一「逐条解説土地収用法(上)」ぎょうせい663頁)。

 本件において,収用委員会は,起業者に対し,平成17年2月から4月までに,新利水計画の概要を示すよう求めていたものの,起業者は,この期限までに新利水計画の概要を示すことができなかったものである。

  本件における上記の状況は,収用委員会から起業者に対し,相当期間内に補正をするよう命令が出されたにもかかわらず,起業者が,その期間内に補正命令に応じなかった場合と同視できる。
収用委員会が審理の進行を図るにつき必須の資料が相当期間を経たにもかかわらず提出されないという点で,両者は共通している。

  したがって,本件において,収用委員会は,法47条を根拠として,直ちに本件申請を却下されるのがまさに正当なのである。

 加えて,本件申請が却下されたとしても,起業者にとって何らの不都合も存しない。

  法47条2号は,事業計画の変更を一切認めていないところ,事業計画の変更があるときには常に事業認定を受け直すべしとの立法論も考えられないではないが,法は,この論をとらず,変更があってもそれが著しいものでないときには,改めて事業認定を受け直すことなく,収用又は使用の裁決を受けることができることとしたもの,とされている(前掲637頁)。すなわち,同号は,軽微な事業計画の変更があった場合においても常に事業認定を受け直すことは煩瑣であるため,かかる場合に事業認定の受け直しをすることなく収用等の裁決を受けることを可能にした,実務上の便宜的規定ということができる。

  ところで,起業者としては,新利水事業計画の概要が判明次第,本件事業認定を改めて受け直すことは極めて容易なことである。また,このような方法に何らの弊害や不都合も認められない。とすれば,本件申請を却下するについて,何ら躊躇すべき事情は存しないはずである。しかも,これが法上も原則的な形態であるのであるから尚更のことである。

 以上によれば,最早,権利を主張する者を長期間にわたって極めて不安定な地位に置いたまま,漫然,本件審理を継続することが許されないことは明らかである。

  起業者としては,本件申請を速やかに取り下げた上,新利水事業計画の概要が判明次第,改めて事業認定を受け直すことは極めて容易な作業であるはずである。

  しかるに,このような容易な作業に一切着手しないまま,漫然,収用委員会の審理続行を要請することは最早許されることではない。

  さらに,このような容易な作業に着手しないまま,漫然,収用委員会に審理継続を要請する起業者の意向に従って,収用委員会が今後も審理を継続することは,「収用委員会は,審理の促進を図り,裁決が遅延することのないように務めなければならない。」と規定する法46条3項に違背する措置というべきである。

  収用委員会としては,速やかに本件申請を却下することが,収用委員会自らの違法の誹りを免れるとともに,同項の趣旨に合致した至当な判断というべきなのである。

 以上によれば,収用委員会は,本件につき,速やかに却下裁決を下すのがまさに正当というべきである。

  収用委員会におかれては,本月29日の第23回審理において,本件申請につき直ちに却下裁決をされるよう切望する次第である。



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