集 会 宣 言 |
九州脊梁の山々の湧水を集め、八代海に注ぐ球磨川は、私たち流域住民の宝であり、守るべき財産です。しかし、その球磨川の清流を断ち切る2つのダム問題が、50年以上にわたり流域住民を苦しめ、翻弄してきました。
川辺川ダム問題においては、建設反対を表明した相良村長、人吉市長、八代市長、熊本県知事に続き、前原誠司・国土交通大臣が川辺川ダム中止を表明しました。流域自治体や県知事、そして新政権を動かしたのは、「川辺川ダムはいらない」という流域住民や熊本県民の圧倒的な民意に他なりません。
川辺川で今残された課題は、水没予定地からの移転をほとんど終えた五木村と相良村の振興と、ダムによらない治水をどのようにして実現するかの二点です。
前原大臣は、公共事業の中止で影響を受ける住民らへの補償制度を創設する法案を来年の通常国会に提出する考えを明らかにしました。また治水では「ダムによらない治水を検討する場」が開かれていますが、治水は河川管理者の責務です。国交省は住民の意思に基づいて、自らダムなしの治水案を示し、来年度政府原案に予算をつけるべきです。住民の意見を無視して推し進めて来た大型公共事業を中止する歴史的な責任が新政権にあることは明らかです。
次に、荒瀬ダム問題です。県営・荒瀬ダムは2002年、地元の要望を受け、当時の潮谷義子知事が撤去を表明しました。荒瀬ダム撤去は流域住民の長年の悲願であり、旧坂本村議会や熊本県議会でも議決された、県民との大切な約束事であったはずです。ところが就任間もない蒲島郁夫知事は昨年、財政難などを理由として突如、荒瀬ダム存続に方向転換しました。
荒瀬ダムが建設されて50年以上、住民は水質汚濁、鮎など漁獲量の激減、悪臭や放水時の振動、藻場や干潟の消滅に伴う八代海の魚介類の減少、そしてダムによる水害被害に悩まされ続けてきました。
荒瀬ダムの水利権更新が来年3月に迫っています。荒瀬ダム撤去は、撤去工事による雇用創出や、清流や八代海の復活に伴う第一次産業の再生など地域振興につながる新たな公共事業とも呼べるものです。球磨川という「宝」を守る公共事業こそが、私たちが望むものです。「コンクリートから人へ」というキャッチフレーズを掲げる新政権は、熊本県に対して荒瀬ダム撤去にかかる費用と技術の支援を行うべきです。
私たちは、球磨川・川辺川の流れがダムで留まることなく、清流のまま八代海に届く日を目指して、川辺川ダム問題の完全解決、荒瀬ダム撤去の早期実現、そして五木村から球磨川・八代海までの流域圏再生に向けて、心を一つにして進んでいくことを、ここに高らかに宣言します。
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2009年11月14日
「川辺川ダム中止・荒瀬ダム撤去を実現する県民大集会」参加者一同 |
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