2009年9月11日 |
熊本県知事 蒲島郁夫 様
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荒瀬ダムの撤去を求める会 代 表 本田 進
荒瀬ダムの撤去を願う会 代 表 浜田律子
美しい球磨川を守る市民の会 代 表 出水 晃
やつしろ川漁師組合 組合長 毛利正二
八代の環境を守る会 会 長 星野一徳
子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会 代 表 中島 康
清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会 会 長 緒方俊一郎
球磨川大水害体験者の会 会 長 堀尾芳人
川辺川利水訴訟原告団 団 長 茂吉隆典
川辺川・球磨川を守る漁民有志の会 代 表 吉村勝徳
代表連絡先:毛利 正二 |
荒瀬ダムの水利権更新にあたっての要望書 |
本来ならば来年の3月末に水利権の期限が切れるのを待って、開始される予定であった荒瀬ダム撤去は、流域住民の50年来の悲願であり、県内外からも、ダムよりも本来の自然河川の価値を取り戻そうとする熊本県の試みは、新しい河川行政の第一歩であると高く評価されていたことと思います。それだけに蒲島知事が昨年11月に下したダム存続の決定は、私たち県民−とりわけ、地元旧坂本村を始めとする流域住民の心に大きな傷を残したままです。知事は、川辺川ダム問題においては、五木村の苦渋の選択に深い理解を示され、その再建に最善を尽くそうとされています。しかし、同じ球磨川の下流において荒瀬ダム建設が地元民に与えた苦痛や、地域経済の衰退を招いた事実は無視し、財政上撤去は困難、存続させた方が費用負担が少ないという説明の元、更なる苦痛の日々を地元住民に強いようとされています。住民に辛酸の日々を押し付けたという点では川辺川ダムも荒瀬ダムも同様であり、二つのダム問題の解決なくしては、「宝の川、守るべき川」である球磨川の再生も流域の再生もありえません。
しかしながら、地元の強い思いは、先日行われた八代市長選挙において、荒瀬ダム撤去をマニフェストに謳った福島新市長を誕生させました。福島新八代市長は、ダム撤去を実現するために先頭に立って働きかけていくと公言されており、今後も県や国に対し、諦めずに働きかけをしていかれるものと思われます。
また、先の衆議院選挙熊本5区で当選した中島隆利氏もダム撤去を強く国に求めていくことを公言されています。昨年7月に現地を視察した菅直人代表代行も「自然回復事業というかたちで、撤去費をある程度、負担するべきだと考えている」と発言されています(9月2日付け西日本新聞)が、今回の衆議院選挙で民主党が政権を取ったことから、不要なダムへ国の補助が出される可能性は高くなっています。知事も、衆議院選挙の結果を受けて、「撤去費用調達などの条件が満たされることが、ダム撤去の一番大きな条件」と語られ、県幹部の一人は「国が補助制度を創設すれば、撤去を否定する理由はなくなる」と話しているとあります(同新聞)。
であれば、「条件が揃えば撤去したい」というのが知事の本心であるならば、知事がなすべきことは、その条件を積極的に整えていくことです。
知事が、財政難を理由に存続を決定されたのであれば、政治情勢が変わった今、八代市民の民意を受け、まず国に対して、荒瀬ダム撤去に対する協力と撤去費用の補助金要請を行うことを強く要望いたします。
また、仮に知事が補助金の申請をされ、熊本県の要望が新政権に認められたとしても、実際に撤去費用が降りるまでは、数ヶ月もしくは1年以上かかることも当然考えられます。その場合でも、水利権の更新手続きをしなければならないというご判断であれば、水利権更新の期限の2月末日までは、国への要望を積極的に続け、国の動向を見極め、且つ更新が必要な場合にも、長期の水利権更新はせずに、撤去ができるだけ早く実施されるよう、短期間の水利権更新を行うことも可能かと思います。
更に、知事は「技術の確立が欠かせない」ことを存続の理由にされていますが、撤去の技術については、県単独による技術確立が困難であれば、積極的に国に助言と協力を求めていくべきです。また、アメリカ等にはすでに多くのダム撤去が実施され、技術の蓄積もあるものと思います。技術を学ぼうという姿勢があれば、いくらでも方法はあるものと思います。
知事が、撤去の条件を挙げられて、すでに10か月近くが立とうとしていますが、その間にこの条件をクリアするために撤去費用の捻出や撤去技術確立のために、行動された形跡を見ることはできません。今、国と八代市における状況が変わったにも関わらず、尚知事が撤去に向けて行動をされないのであれば、「条件が揃えば撤去したい」という知事の言葉は、県民に向けた単なるリップサービスに過ぎず、最初から存続ありきであったことを明言することと同様です。
水利権更新の手続きは、10月1日より可能となりますが、知事に於かれましては、国に対して荒瀬ダム撤去の実現への協力を積極的に求める努力もせずに、また、八代市長や八代の住民と協働の下、撤去の可能性を模索することなく、性急に水利権更新の手続きに入ることがないよう、強くお願い申し上げます。
以上
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