2007年7月19日、県民の会より熊本県知事に対し、別紙の「『くまがわ明日の川づくり報告会』まとめ資料」の提出の趣意書を送付しました。

「くまがわ明日の川づくり報告会」まとめ資料(word)

2007年7月19日
熊本県知事 潮谷義子様
子守唄の里五木を育む清流川辺川を守る県民の会
代表 中島 康
「くまがわ明日の川づくり報告会」まとめ資料の提出趣意書


 「くまがわ明日の川づくり報告会」(以下「報告会」)は国交省で行われた球磨川河川整備基本方針策定のための検討小委員会及びその分科会でまとめられた基本方針の流域住民に対する説明会であることは周知のことであり、また小委員会の委員の一人として出席された貴職の疑問や質問が何ら取り上げていないため、報告会の開催趣旨が不明として、貴職が開催に協力していない中で行われているということも周知のことであります。
 
 そのため、この「報告会」の開催の趣旨、目的、意図がはっきりしないものでありますが、実際流域住民にどのような説明を行い、また流域住民が球磨川の治水に対してどのような考えを持っているかを知ることは極めて重要なことでもあると考えます。

 そこで15回を数えた「報告会」での国交省の基本方針についての説明がどのようになされ、また住民から出された切実な意見とそれに対する国交省の回答がどのような内容であったのか、各会毎にこれを並べて、じっくり検討することが、実際に球磨川の治水とはどのようなものであるか、おのずと分かってくるものと思われます。

「報告会」の内容を十分に検討することで、住民側の唱えるダムによらない治水計画により良い糧になることを願い、住民による治水計画をもっと確かなものに仕上げていくつもりでこの資料を作成しました。


1.国交省の基本方針の説明についてのまとめ

@検討小委員会には地元住民側から多くの意見書等が提出されたが、小委員会においては、多くが心情的であり、デマや誤解から出た意見として、内容については無視された。この「報告会」においても、出された意見書等の数だけが示されていえるだけである。委員会の中で出された、県民の代表として県民の意見の代弁者として出された貴職の発言についてもまた、なぜ切り捨てたのかの説明もない

A基本本方針がなぜこのように決められたのか、またどのような過程を経て、こうなったのか極めて不明瞭である。流量についても現地の現象に照らし合わせての説明が必要ではないだろうか。過去人吉では最大毎秒5200トンが流下しているのに、報告では、現況河道では毎秒最大3600トンであるとしている。また、昨年一昨年の台風襲来時においては毎秒4300トン、4200トンが越流することなく流れている現実について住民が納得できる説明とはいえるのものではない。

B熊本では住民討論集会で河川治水について様々な説明がなされたが、この時の国交省の説明と今回の説明では、基本となるべき条件及び計算法が変わっている。違いについての説明がなされていない。

C住民の意見は聞くことは聞くが、それがどのように整備計画に反映されるのか、はっきりせず、極めて不満の残る回答である。聞き置くだけでいいのかとの心配が残る。

D回答の中に球磨川を元のきれいな川に戻したいと思っている旨の発言がある。しかし、その前に汚れた原因を追究しようという姿勢が見られない。


2.住民側からの質問・意見と国交省の回答のまとめ

@意見のうち、具体的にダムを期待する声は2件のみ。これも理由に少々意味不明の点がある。他は全て実際の現象に基づいた災害に対する対処策を求めるもの、及び国交省の説明に満足できない旨の意見で、ダムによらない具体的な治水対策を求めるものが殆どである。

A遊水地及び山の保水力についても十分に治水効果があると思われている

B国交省が報告した内容、特に流量等の数値が自分たちの実体験から見て現場に合わないとの感を強く持っている

C球磨川はかつて美しかった。それが今では汚れた川になっている。この現状を何とかして欲しい。国交省の言う「親水」ではなく、「背水」になっている

D水害の原因や対策については、国交省は語っていない

E市房ダム建設による堤防計画のほったらかし等、住民の意見や住民との約束が無視されていることを指摘する意見が出されている
国交省は川の汚れについては、皆さんと共に勉強していくというが、住民側は何を今さらとの感があるようだ。少なくとも、原因くらいは分かって欲しいというのが住民の気持ちである。
またダムが水害を大きくしたという恐怖は根強くあり、またこれと平行して40年も待たせて、何を今さらダムかという気持ちも強い。
今、住民が最も望んでいることは、ダム計画で全ての治水計画がなおざりにされてきた、何はともあれ、出来る治水対策から着工すること、に集約される。

以上



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