県民の会トップへ戻る

もっと詳しく!

Q1
球磨川漁協の状況は今どうなっていますか?

Q2
新利水計画の状況は今どうなっていますか?

Q3
収用委員会の状況は今、どうなっていますか?

Q4
それら(漁協、新利水、収用委)とダムとの関係はどうなりますか?

Q5
川辺川ダムを考える住民討論集会関係

Q5-1
住民討論集会はどうして、また何回開かれているのですか?

Q5-2
住民討論集会ではどのようなことが論点になっているのですか?

Q5-3
今、国交省と熊本県と住民側の間で森林の保水力の共同検証をしているとのこと。なぜ、また何をしようとしているのですか?

Q6
川辺川ダムは出来るのですか、出来ないのですか?
(川辺川を守る県民の会ニュースレター25号より)

入門編
 
こちら▼


Q1.球磨川漁協の状況は今どうなっていますか?

 川辺川ダムの本体着工が出来ない一番の原因は、球磨川漁業協同組合員の3分の1以上の反対により、最後の法的手続きである漁業補償契約の締結が出来ず、国土交通省は仕方なく漁協の持つ漁業権の収用裁決申請の手続きを熊本県収用委員会に持ち込んだ為です。しかし、川辺川利水訴訟控訴審の国敗訴により収用委員会は、裁決申請を却下せざるを得なくなっています。
 ダムを作らせたいと思う利権絡みの組合員が増え、清流を守ろうとする漁民の声は届かなくなっています。多数決で川が売られていくのは納得はできませんが、今の法律では止められません。私たちは球磨川を本当に愛している人に、組合員になって下さいと呼びかけています。
しかし、組合員になるのも、お金が要ります。川は私たちみんなのものですが、ダム反対の漁協組合員だけに、お金も負担も負わせていては、球磨川はみんなの手には戻ってきません。川が利権がらみの多数決で売られようとしていること周りに伝えていく必要があります。

▲このページのトップへ戻る

Q2.新利水計画の状況は今どうなっていますか?

 昨年5月16日、福岡高等裁判所において、農民2000人による川辺川利水訴訟が逆転勝訴し、農水省が進めてきた、はじめにダムありきという図式は破綻しました。
 ダムの水の押し付けが白紙となり、実情にあった水手当をどうするか、農家の要求をどう実現するか、熊本県のコーディネートのもと農民と国・関係市町村が同じテーブルについて、新利水計画策定作業がすすめられています。
 新利水計画策定のための事前協議では、水源をダムにこだわらず、農家の意思を尊重することを基本合意としました。これまで、直接農民の声を聞く集落座談会が延べ118会場で開催され、農家のアンケート調査が3回実施されました。
 3回目のアンケートの集約結果では、水を必要とする面積は当初の3000haの見込みに対して、4分の1の約730ha程度にとどまりました。このことは、大規模な水の需要を想定して計画されたダム利水の破綻、即ちダム建設目的の大きな一つが破綻したことにつながってきます。

 国はこれでも、ダム利水をあきらめたわけではありません。川辺川での取り組みは、「農民が主人公。そして住民参加から住民決定へ」という、公共事業そのものを住民の手に取り戻す試みでもあり、農民と幅広い支援者の粘り強い運動がようやく結実しようとしているところです。

▲このページのトップへ戻る

Q3.収用委員会の状況は今、どうなっていますか?

 2002年2月から昨年11月まで21回行われた熊本県収用委員会での審理の焦点は漁業権は漁協に帰属するのか漁民個人個人に帰属するのか、川辺川 ダム事業には強制収用するに足る公共の福祉(公益性)があるかどうか、漁業補償額が適正なのかどうかということでした。
 ダム反対派漁民は、漁業権は漁業を営む漁民個人個人にあり、そもそも強制収用することなどできないと主張し、漁業権は漁協に帰属すると主張する国交省と対立していました。ダムの公益性についてもダム反対派漁民は、住民討論集会での成果を持ち込み、川辺川ダムの建設目的は失われていることを明らかにしてきました。

 昨年5月の川辺川利水訴訟控訴審判決とその後の新利水計画策定作業により、ダムの目的の一つである利水が見直されることになりました。これにより、収用委員会の審理は中断しています。なぜなら、土地収用法には、収用裁決を申請した事業の基本計画が、著しく変わったときには、申請を却下すると定められています。仮に新利水計画がダムの水を利用しなくなったとすると、ダムの目的の一つが失われることになり、ダム事業の基本計画は変更されなければなりません。そうなれば、収用委員会は申請を却下することになりますが、それは新利水計画の確定を待たないと判断できないからです。

 今年11月に収用委員会の審理が再開されます。新利水計画がダムの水を利用する見込みは非常に小さく、熊本県収用委員会が法律に従った結論を出すか、注目されるところです。

Q4.それら(漁協、新利水、収用委)とダムとの関係はどうなりますか?

 前に述べたとおり、新利水計画がダムの水を使わないと判断すれば、川辺川ダム建設の目的の一つである利水が失われ、こうなると国交省は川辺川ダムの基本計画の変更を迫られます。そしてそれは熊本県収用委員会の裁決に大きな影響を与えます。収用委員会が計画の著しい変更とみなせば、申請を却下するか、もしくは申請そのものを取り下げるよう国交省に求める可能性が出てくるわけです。

 そして、収用裁決が得られなかった事に対して、「もはや川辺川ダム事業計画そのものが無効ではないのか」という世論が大きく広がれば、ダム事業そのものが大きな転換点を迎える可能性も出てきます。
 またダム事業費が現在の2650億円から3300億円に増額される事を国交省が公表したのは、基本計画の変更を目的としたものです。この特定多目的ダム法による基本計画の変更には、熊本県の同意が必要です。県知事が県議会の同意を経て計画変更に同意するかしないかの判断をすることになります。つまり熊本県が川辺川ダム事業の計画の是非を判断することになります。このような様々な要因が相互に絡み合っているのが、この川辺川ダム問題の大きな特徴といえるでしょう。

▲このページのトップへ戻る

Q5.川辺川ダムを考える住民討論集会関係

Q5-1 住民討論集会はどうして、また何回開かれているのですか?

 2001年、球磨川漁協が2度にわたって国交省との漁業補償契約締結の拒否即ち、ダム
建設に反対の意思表示をしたことと、住民側から出された川辺川ダムの代替案が大きな
反響を呼んだことを受けて、潮谷義子熊本県知事が「川辺川ダム建設の大義について、
国交省は十分に説明責任を果たしているとは言えない」と語ったことで、同年12月9日を
第1回とし2003年12月14日まで全9回延べ20000人以上の聴衆の参加を得て行われてき
ました。熊本県が総合調整役を務め、住民側専門家と国交省の職員が壇上で討論する
という形式で行われてきました。

Q5-2 住民討論集会ではどのようなことが論点になっているのですか?

 大きく分けて、治水面と環境面で行われてきましたが、環境面での国交省の主張は住
民側の主張の揚げ足を取るだけで、全く内容の乏しいものでした。治水面においては80
年に一度という大雨(48時間で500ミリ)の時、
(1)どのくらいの水量が川で流れるのか(基本高水(たかみず)流量)
(2)現在の川の状態で最高どのくらいの水量を流すことが出来るのか(現況河道流量)
(3)国交省の河川改修通りの川になったら最高どの位の水量を流すことが出来るよう
になるか(計画河道流量)
(4)森林の保水力は洪水防止になるのか
以上4つが大きな争点です。

(1)の基本高水流量では国交省の計算値が住民側より25%位大きくなっています。この
違いは国交省の計算方法が40年も前のもので、現実に合わな いのに、いまだに見直
そうとしない為です。
(2)と(3)の河道流量については、国交省の値は住民側の値より11%〜13%少なくなって
おり、作為的なものを感じます。また、森林の生育状況が全く考慮されていません。
(4)については住民側の専門家、広島大学大学院生物圏科学研究科の中根周歩教授
は手入れの悪い川辺川流域の人工林と自然林では自然林の方が、川の最大流量を30
%位少なく抑えることが出来ると主張しています。

住民討論集会のページも合わせてご覧下さい。

Q5-3 今、国交省と熊本県と住民側の間で森林の保水力の共同検証をしているとのこと。
    なぜ、また何をしようとしているのですか。

 住民側は現在の川辺川流域の人工林を適切に間伐し、自然林により近い森にすれば、
腐葉土の堆積により森林の保水力が高まり、あとは川底の浚渫、堤防の補強など若干
の工事で洪水は十分に防げると主張しています。国交省は、ダムしか洪水は防げないと
主張しています。

 そこで熊本県の提案で、森林の保水力の効果を実地検証しようということになり、度重
なる会議の末、今やっと雨の時の地表流(土にしみこまず地表面を流れる水)の無人ビ
デオ撮影と流量測定が実現しました。まだまだ人口降雨での調査等することはたくさん
有ります。粘り強く国交省と交渉し検証項目を全部実現したいと思っています。

(追)地表流測定をなぜするかというと、降った雨が地中にしみこまず地表を流れそのま
ま川に流れ込む量が多ければ多いほど川の流量の最大値が大きくなり水害の原因に
なるからです。

住民討論集会のページも合わせてご覧下さい。

▲このページのトップへ戻る

Q6.川辺川ダムは出来るのですか、出来ないのですか?

 皆さんは、昨年5月の川辺川利水訴訟控訴審の勝訴によって、ダムは止まったと思っていませんか。とんでもない。国土交通省は手を変え品を変え、執拗に時期を伺いながらダム建設の準備を進めています。そういう意味では、県民の多くが「これでダムは止まる」と安心したこの1年余りが、推進派にとってはチャンスなのかもしれません。

 ダム問題に限らず、私たちの隙をついて信じられないような計画のごり押しをするのは、権力側の常套手段と言えるでしょう。
 現在、ダム建設中止にあと一歩のところまで追い込んでいます。しかし私たちがもうダムは止まるものと安心し、ただ静観するだけならば、必ずダムは建設されるでしょう。
8年前の結成以来この県民の会を支えて下さった会員の皆さんの努力を、最後の最後に無に帰すことになってしまいます。

 署名を集めたり、カンパしたり、国や県に意見したり、これからもやれること、やるべきことは山積みです。是非会費・カンパ等の支援を継続してください。県民の会は心ある皆さん一人一人の協力を必要としています。

▲このページのトップへ戻る



県民の会トップへ戻る