会報
かわうそ
No.25
[発行責任者]
 清流球磨川・川辺川を
 未来に手渡す流域郡市民の会
 会長 池井良暢 熊本県人吉市九日町36-3F
 2000年5月22日発行 TEL/FAX0966-24-9929

建設省、(11年度)川辺川ダム本体工事着工を断念!
 建設省は、球磨川漁民からの同意が得られないため、平成11年度中の川辺川ダム本体工事の発注(着工)を断念しました。
 2月に球磨川漁協が開いた学習会で、水産庁専門調査員の熊本一規・明治学院大学教授は「漁業権は漁協が持っているのではなく、漁民一人一人が持っている。強いのは建設省ではなくて、一人一人の漁民である。建設省はダムを造る権利を何も持っていない。漁民が署名捺印さえしなければダムは造れないし、建設省は手も足も出ない」と解説されました。今回の「ダム本体着工の断念」は、その事を如実に証明するものです。
 補償に関することは漁協という法人が決められることではなく、あくまでも一人一人の漁民が対象なのです。つまり、一人一人の漁民が「印鑑」さえつかなければ、川辺川ダム本体着工はできないのです。
 「手渡す会」として、今後さらに球磨川の漁民の皆様方との連携を強化し、漁民を支援していくことを活動の中心に据えたいと考えております。川辺川ダム絶対反対の漁民の皆様に、応援メッセージを送ってください。また、球磨川の漁民を支援し、漁業権に拠ってダム本体着工を阻止するための資金を積み立てる「駄目ダム基金」を設立しました。
 ●応援メッセージ宛先 〒866-0831八代市萩原町1−10−1 三室雅弘様宛
 ●駄目ダム基金問合せ先  電話(0966)24−5631 佐藤亮一まで。

「緑のダム」を広げよう!
 「コンクリートのダムより緑のダム」を合い言葉に、「川辺川・球磨川を守る漁民有志の会」などが進めている広葉樹の植林が3月5日、球磨村一勝地でありました。漁民と各地から集まった市民約100名が1ヘクタールの山林にケヤキやカシなどの苗木1000本を植えました。今後は、流域の手入れの行き届かない山林を皆で買い取って、植林を続けていく予定です。


●手渡す会・11月〜4月の出来事
99.11. 6 日本自然保護協会などが、五木村・九折瀬洞の希少生物調査。
11. 8  川辺川利水事業の関係農家81人(人吉市下原田町)が農水省に     「辞退届」を提出。
11.12 川辺川利水訴訟第11回口頭弁論(熊本地裁)。
12. 1 川辺川利水訴訟原告団、国会や農水省に来年度予算見送りなど     を求める要請行動。(東京)
12.10 川辺川ダム本体予定地周辺のクマタカ繁殖テリトリーに、原石     山が含まれることが日本自然保護協会などの調査で判明。
12.11  シンポジウム「クマタカの視点から見たダム建設」150人参加。
00. 1.23 球磨川漁協・下球磨部会の川辺川ダム問題説明会が始まる。全     ての会場入り口(計10カ所)で「手渡す会」メンバーが漁業権     などに関するビラを組合員に配布。
2. 4 川辺川利水訴訟第12回口頭弁論(熊本地裁)。
2.17 民主党・前原誠司代議士が、川辺川ダム問題現地調査。
2.19 共産党・岩佐恵美参議院議員が、川辺川ダム問題現地調査。
2.29 球磨川漁協、総代会を開催。「ダム反対文言」を巡り激論。
3. 5  漁民と市民が「緑のダム」づくり植林。(球磨村、100人参加)
3.10 川辺川利水訴訟が結審。判決は9月8日。
3.14 民主党、川辺川ダム建設反対を正式に決定。
     川辺川のクマタカ保護と環境アセス実施を求め、全国33団体が     建設省、環境庁、熊本県などに要望書を提出。
3.21  熊本県知事選挙立候補予定者(3名)に公開質問状を郵送。
3.25 参院熊本選挙区補選立候補予定者(4名)に公開質問状を郵送。
3.28 建設省、11年度川辺川ダム本体工事の発注を断念。
4.16  熊本県知事に潮谷義子氏が初当選。
4.17 潮谷新知事が「川辺川ダムにアセス実施すべき」と発言。


民主党、川辺川ダム建設反対を正式に決定
 民主党本部は3月14日、ネクストキャビネット(次の内閣)の会合を開き、川辺川ダム建設に反対することを正式に決定しました。洪水調節、かんがいなど同ダムの4つの目的すべてについて、「ダムは必要でなく、他の手法で対処可能だ」としています。
 洪水については、人吉市周辺の河床掘削や球磨川上流部への遊水地確保で、「ダムに頼らない治水は可能」と指摘。
 民主党政策調査会は「民主党が政権を取れば、真っ先に中止する公共事業になるだろう」としています。私たちがこれまで7年間、取り組んできたことが、世に認められてきた証です。

潮谷新知事、ダム問題で前向き発言!
 4月16日の熊本県知事選挙で潮谷義子氏が当選し、全国二人目の女性知事が誕生しました。当選直後の地元紙のインタビューに対し「川辺川ダム建設について環境アセスメントを実施すべきだ」と発言。その発言は大きな反響を呼び、県知事就任後の記者会見ではトーンダウンしたものの、川辺川ダム問題で従来路線を大きく踏み出そうとする印象を与えたことは間違いありません。潮谷知事の今後の動向に大いに注目したいと思います。

五木村・九折瀬洞の希少生物調査
 川辺川ダムが建設されると一部が水没する、五木村・九折瀬(つづらせ)洞で99年11月6日、日本自然保護協会の吉田正人・保護部長らによる調査グループが、希少生物の実態生息調査を実施しました。
 九折瀬洞は、五木村頭地上流の川辺川左岸にあり、絶滅危惧種の「ツヅラセメクラチビゴミムシ」などが生息。ダムの満水時には入り口が水没し、コウモリの出入りが妨げられるため、そのふんをえさにして成り立っている生態系への影響が懸念されています。



●会計報告(99,10,22〜00,4,21)
収入の部 金額 備考
繰越金 9,419
年会費・カンパ 1,084,501 グッズの売上、雑収入なども含む
合計 1,093,920

支出の部 金額 備考
郵送費 176,445 会報発送、資料発送など
紙代 41,757 会報、チラシ、資料など
事務用品費 59,204 タックシール、印刷機インクなど
事務所維持費 426,283 家賃、電気、電話など
広告費 200,220 人吉新聞折り込み(3回)、カラーコピー代など
その他 14,059 環くま負担金、灯油代など
合計  917,968

(収入)1,093,920−(支出)917,968=175,952

◇会費、カンパ、くま川ハウス応援団(定額カンパ)へのご理解・ご協力、誠にありがとうございます。本会は、市民の皆様方からの年会費とカンパのみで運営しています。年会費未納の方は、何卒よろしくお願い致します。


川辺川利水訴訟、判決は9月8日
川辺川ダムからの水は不要として96年から熊本地裁で争われている「川辺川利水訴訟」が3月10日に結審しました。最後の意見陳述で梅山究・原告団長は「行政が真の農民の姿を見て、法に従い襟を正してほしい」と訴えました。判決言い渡しは9月8日の予定です。

川辺川のクマタカ保護と
環境アセスの実施を!

 川辺川ダム本体建設用の採石予定地(原石山)一帯で、絶滅が危惧されているクマタカの繁殖が始めて確認され、原石山が繁殖に欠かせない場所となっていることが99年12月10日、県クマタカ調査グループと日本自然保護協会の追跡調査で判明し、各新聞の一面で報道されました。

 県内の日本自然保護協会の会員などによる川辺川のクマタカ調査は、96年11月に着手。99年11月末までの104回に上る観察で、3つがいの生息を確認。原石山のある藤田谷で繁殖が確認されたのは98年。「原石山が削られたら藤田谷のクマタカの生息や繁殖に大きな影響が出る」と指摘しています。
 調査グループと日本自然保護協会の横山隆一・総務部長は同日午後、建設省川辺川工事事務所にも調査結果を伝えました。
 さらに3月14日には、川辺川のクマタカ保護と環境アセス実施を求め、全国33団体が建設省、環境庁、熊本県などに要望書を提出。現在、衆参両院に提出している川辺川ダムにアセス実施を求める2万8千人の請願署名数を、今後10万人に拡大するとの活動方針を、関連団体との合同会議で確認しました。


編集後記 建設省の「11年度のダム本体着工断念」で、川辺川ダム建設をめぐる風向きは、明らかに変わり始めました。9月の利水裁判の判決で、追い風は更に加速されるはずです。漁民と農民と市民が1つになって「ダム建設中止」を勝ち取る日も、そう遠くはありません。◇今回の会報に、2枚の署名用紙を同封させていただきました。利水裁判の「公正な判決を求める要望書」と、「川辺川ダム建設に関する環境アセスメント実施の請願書」です。ご協力いただければ幸いです。(N.O.)



署名にご協力ください

今回、2枚の署名用紙を同封させていただきました。利水裁判の「公正な判決を求める要望書」と、「川辺川ダム建設に関する環境アセスメント実施の請願書」です。6月中をめどに、くま川ハウスまで郵送してください。ご家族、ご友人などにも呼びかけて頂ければ幸いです。署名用紙が不足の場合は、くま川ハウスまでご連絡ください。ご協力、宜しくお願い致します。

【署名用紙・送付先】
〒868−0004 熊本県人吉市九日町36-3Fくま川ハウス
     TEL/FAX(0966)24−9929


第4回清流・川辺川現地調査
●日程 8月26日(土)、27日(日)
●問合せ 川辺川現地調査実行委員会
      TEL/FAX(0966)24−4844
 ◇皆様方の御参加をお待ちしております!

一人一人の漁民が「印鑑」さえつかなければ
川辺川ダム本体着工はできません!


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