わたしたちの思い 球磨川豪雨災害と川辺川ダム復活について

 いつも様々な形で私たちの活動をお支え下さり、深く感謝申し上げます。

 県民の圧倒的多数の支持を受け、2009年に一度中止されたはずの川辺川ダム計画が、2020年の豪雨災害の後、国交省はいとも簡単に復活させました。ダム中止後の12年間、「ダムによらない治水」計画の実現を繰り返し要望してきましたが、国や県、自治体首長は結論を先延ばしにし、抜本的な対策は行われないままに放置されました。そのような中で、気候危機の影響を受けた記録的豪雨が発生し、球磨川流域で多くの家屋浸水被害と痛ましい多くの犠牲が出ました。国交省は、この機会を待っていたとばかりに、流水型(穴あき)ダムとして川辺川ダム計画をすぐさま復活させ、現在、急ピッチで計画を押し進めています。蒲島県知事と県もまた同様に、国の方向性に追随するのみで、県民や流域住民への説明の機会を設けたり、独自に検証を行うなどもしないまま現在に至ります。

 私たちは、豪雨災害の様々なデータや証言を基に、川辺川ダムがあったとしても2020年の豪雨災害を防ぐことはできなかったと考えています。坂本町や球磨村、人吉市などの球磨川中流域で被害が最初に発生した時間帯は、川辺川流域での降水量はわずかでした。支流上流部の荒廃した山林から流れ出た大量の土砂と流木が、浸水と被害を拡大させました。また、人吉市市街地を含む広い範囲が浸水しているさなかに、上流の市房ダムが緊急放流寸前に陥り、被災者を恐怖のどん底に陥れたことも忘れてはなりません。「川辺川ダムがあれば命を守れる」は誤りであり、ダムの治水効果を過信し、ダムを頼りにした治水対策が進むことで、流域住民の命は返って危険にさらされることが、2020年の球磨川豪雨災害で明らかになりました。

 また、流水型(穴あき)ダムは、川辺川の生態系を大きく変え、水質を悪化させ、「日本一の清流」を破壊します。流水型(穴あき)ダムは、日本全国で事例が極めて少ない新しい形式のダムです。すでに完成したダムを見ると、河川環境はダムの上流下流の両方で著しく悪化し、鮎などの魚や水生昆虫の減少、大量の土砂堆積と植生の変化、これらによる河川環境の劇的な変化により、かつての川とは大きく姿を変えています。

 川は、国交省のものでも県のものでもありません。川とともに暮らしてきた流域住民のものであり、川に生きるすべての生き物のものであり、私たち県民や市民がともに恩恵を受け、守り次ぐべき「公共財」です。ダムで流域住民の命を守ることはできず、清流ももちろん守ることはできません。

 ダムではない、住民主体の川づくりを実現させるため、どうか一緒に取り組む仲間となって下さい。よろしくお願い致します。

子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会

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