子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会
ニュースレター第9号 平成10年(1998年)11月6日発行





 今年は秋になってもずっと暑い日が続き、なかなか涼しくなりませんでしたが、近
頃急に冷え込んで参りました。みなさま、風邪など召していらっしゃいませんか?今
年は関東や東北、四国での大雨被害に対して、熊本では夏の間雨がほとんど降らず、
球磨川にある市房ダムはカラカラにひび割れた湖底を露わにし、発電できなくなって
しまいました。どんなダムでも雨が降らないことには役に立たないのです。また、緑
川ダム(熊本県砥用町)では少雨と猛暑のせいでアオコが大発生し、湖面は真緑色に
変色し異臭を放ち、苦情が相次ぎました。緑川ダムにはアオコを駆除する装置が設け
られ、今後は選択取水設備工事に着工するそうです。
 さて、夏から秋にかけて「県民の会(熊本)」独自のイベントは勉強会程度でした
が、8月に行われた川辺川現地調査や「東京の会」「福岡の会」の活動など、ますま
す活発になってきています。また、土地改良事業をめぐる動きも目が離せません。今
号も内容盛りだくさんでお届け致します。

●異議申し立て、その後
 全国から3000人以上の方が参加してくださった「異議申し立て」ですが、現在、
「代理人」のみなさんに口頭陳述申立書を送っていただいており、県民の会他関係市
民団体でとりまとめ中です。この後、球磨川流域や福岡、東京など会場を指定して建
設省を呼び、「口頭陳述」を行います。これは建設省に直接、川辺川ダム計画への異
議を訴える絶好の機会です。「代理人」の方には既に「口頭陳述申立書」を郵送して
いますが、もしもまだ提出していただいていない方はお早めに提出をお願い致します。
もしも代理人になっておられる方で何かの都合で口頭陳述ができない場合でも、ご提
出いただければ、他の方の口頭陳述の時間を確保することができますので、どうぞご
協力の程よろしくお願い致します。
 今後の事務局の作業として、建設省に対し口頭陳述の日程を明確にするよう申し入
れを行いたいと考えています。

【問い合わせ先】異議申し立て事務局
〒869-0222 熊本県玉名郡岱明町野口927番地 土森武友
電話FAX:0968-72-5604(電話は夜間のみ)e-mail:NYC17883@biglobe.ne.jp

●川辺川現地調査で西村五木村長の話
 8月22日(土)23日(日)の両日、今年で2回目となる川辺川現地調査と交流
会、パネルディスカッションが、昨年よりも多い約300名の参加を得て、行われま
した。今年は川辺川を見るAコースに加え、球磨川、市房ダムを見るBコースも設定
され、Aコースでは頭地代替地で五木村の西村村長自ら私達の前で、ダム建設を前提
とした村づくりについて話していただきました。川辺川ダム見直しを訴える市民の前
で西村村長が説明されるのははじめてのことで、画期的なことです。これまでの五木
村のダム問題に翻弄されてきた歴史を踏まえながら、五木村の地域再生の為、苦渋の
選択を余儀なくされた経過には聞き入られずにはいられませんでした。夕方からは相
良村柳瀬で吉四六劇団の公演があり、原告団長の梅山さんが侍の格好をして登場され、
会場に大ウケでした。その後は川辺川の河原でバーベキュー大会を開き、おいしい鮎
に舌鼓を打ちながら夜遅くまで賑わいました。

 2日目の23日は「ときのアセス・川辺川」と題して人吉市内でパネルディカッシ
ョンが行われ、川辺川利水訴訟団の松野・森弁護士をはじめ、元熊本大学教授(地質
学)の松本先生、原告団の西武道さん、球磨川漁協理事の塚本昭司さんがパネリスト
として、それぞれの立場から発言され、最後に「時のアセスを適用してダム建設を再
検討せよ」などとしたアピール文を採択して幕を閉じました。

●建設省、川辺川ダムに57%増の151億円を要求
 熊本日日新聞報道によると、建設省は8月28日、川辺川ダムの来年度予算概算要
求において、平成十年度比57%増の151億円を要求しました。資金難や事業の目
的が薄れてきた為に全国でダム計画が見直され、中止や休止のダムが出る中で、建設
省は川辺川ダムを「全国のダムの中で最重点」と位置づけ、今回の大幅な増額要求に
踏み切ったといいます。しかし、建設目的が失われていることは川辺川ダムについて
も同じことが言えます。新河川法で「市民との対話」を取り入れ、市民参加型の河川
行政をうたい文句にしながらも、3000人を超える全国からの異議申し立ての声を
無視し、計画をごり押ししようとする建設省の態度には怒りを覚えます。

●九州農政局:形ばかりの「再評価」
〜利水裁判原告団からは意見聴取せず〜
 8月13日の熊本日日新聞報道により、九州農政局が川辺川土地改良事業を含む8
事業を公共事業の「再評価システム」(時のアセス)に基づき、第三者委員会を設置
し、事業の必要性などを検討していることが明らかになりました。
 川辺川土地改良事業においては、現在「利水裁判」が係争中で、受益農家の半数を
超える農家が農水省を相手取り、法廷で争っています。農政局は再評価にあたって、
委員会の開催日時も事前には一切公表せず、また原告農家からの意見聴取も行わず、
現地調査も行っていません。
 これを知った原告団は14日、農政局に「再評価」に当事者である農民の声がまっ
たく反映されてないことへの抗議と申し入れを行いました。また21日には「川辺川
利水訴訟を支援する会」が九州農政局に川辺川利水事業の再検討に関する情報公開を
申し入れを行い、31日には「川辺川利水訴訟原告団」「川辺川利水訴訟を支援する
会」「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会」「子守唄の里・五木を育
む清流川辺川を守る県民の会」が農政局に対し、「原告団からの意見聴取がないまま、
事業の再検討が進められている。
再評価の本来の意味からいっても、事業に疑問を持つ原告側と事業者側が対等に、公
開で意見を述べ合う場が必要だ」として、熊本市で行う緊急シンポジウムへの参加を
要請しました。
 これらの申し入れに対し、9月7日(月)、農政局からの召集により原告団とそれ
ぞれの市民団体の代表が農政局と対面。原告団の方達が今の農業の現実を切実に訴え
たにも関わらず、「再評価は事業対象7市町村、土地改良区からの意見を聞くことで
農家代表の意見を聴いたと解釈しているので再評価は妥当」だという、数々の申し入
れを行っても最初の熊日報道と何ら変わらない答えでしかありませんでした。
 また驚いたのは、委員会が結論を出すのは今年の12月の予定なのに農政局の職員
が「来年度、『反対農家』に対しては『事業を進めるための』説明会を開く」と言っ
たことです。もしかしたら「見直し」や「中止」の結論が出されるかもしれないのに、
いかにも結論が「推進」だとわかりきっているような言い方で、形だけの再評価であ
ることが暴露されました。
※インターネットが使える方は以下をご参照ください。
http://www.mainichi.co.jp/hensyuu/kankyo/nishida/index.html
http://kawabe.technologic.co.jp/t&h.html

●五木村の水没者2団体、移転補償新基準締結を申し入れ
 9月8日、五木村の水没者2団体は川辺川ダム事業の長期化で財産的・精神的損害
を受けたとして新たに補償基準を設けるよう、九地建に申し入れました。苦渋の選択
でダムを受け入れ、長期に渡る苦難を強いられ続けてきた五木村民にとっては無理も
ないことでしょう。建設省は五木村民に対し、充分な措置を講ずるべきであり、また
市民レベルでの理解も必要です。

●長良川遠征報告
 9月12・13・14日、三重県長島町で行われた長良川DAYに今年も参加して
きました。全国からダムや干潟の環境を守るために多くの市民が参加し、今年は天気
に恵まれたこともあってか会場はたくさんの人で賑わいました。「川辺川・東京の会」
と共に「県民の会」からもブースを出し、パネルの展示やグッズ販売、他団体との交
流、ステージでのアピールを行いました。また、14日を一日休んでゴミで埋め立て
られようとしている藤前干潟と、完成すれば日本一のダムになる徳山ダム建設予定地
を訪ねました。
(http://kawabe.technologic.co.jp/t&h.html)

●人吉市議会:川辺川ダム建設に関する陳情 採決、一転“差し戻し”
9月18日、9月定例人吉市議会において球磨川水系ダム問題対策特別委員会で継続
審議となっていた、川辺川ダム建設に関する8件の陳情について「早期着工」3件を
採択、「建設見直し」5件を不採択という報告がなされ、本来であればそのまま市議
会を通過するものが、本会議において数々の疑問や意見が出され、議会は紛糾、退席
する議員まで現れ、結局採決が行われずに一転、差し戻され「ダム特委」に再付託さ
れました。人吉市民の間からダムへの不安が高まり、また土地改良事業については受
益農家の半数以上の農家が裁判に訴えるなどといった動きから判断すれば、当然の結
果だと思います。しかし、人吉の有権者の半数を超える「川辺川ダム見直し」署名を
提出したにも関わらず、ダム促進決議案が通過してしまった4年前と比べれば、今回
のこの動きは画期的なことで、やっと市民の声が議会に届き、議会が正常に機能しよ
うとしていることをあらわしています。あとは再付託された「ダム特委」で公正な調
査と議論が行われ、民意を反映した採択がなされることを願うばかりです。

●利水裁判 第8回口頭弁論
10月8日(木)、川辺川利水裁判の第8回口頭弁論が熊本地裁にて行われました。
この口頭弁論の中で、川辺川土地改良事業において、国側が1994年の計画変更の
際に、公告縦覧前に既に死亡していた人76名(未同意者43名、除外18名、同意
のまま15名)を不正に資格者として扱っていた事実を認めました。中には大正4年
に
死亡している人もいるということで、同意取得のずさんさが明らかになりました。
 また、前回6月の口頭弁論で「同意をとる公告前に7人が死亡していた」「同姓同
名によるダブリ」「法律に基づく資格者か疑わしい人が30数人いる」ことなどを指
摘しています。原告側代理人によると「死亡者の数は今後さらに増える可能性がある。
また、6人を重複して数え12人としていた」と述べたそうです。
 裁判の間中、被告農水省側は何を言っても答えようとせず、原告側弁護団長から
「まじめにやる気があるのか」と強く指摘を受けました。原告側はなぜ死亡者が同意
者の中に含まれていたのかを次回までに書面で提出して欲しいと要求しています。

以下、原告農家の口頭弁論を終えての感想です。
●第8回川辺川利水裁判公判より 
傍聴席より「まじめにやれ」と声が飛んだ。それは傍聴していた原告団全員の同じ気
持ちを 代表するような声だった。  
 弁護団・原告団より裁判官へ現地検証を要求し、また同意取得する場合の国側の違
法性を指摘し、被告が原告からの求釈明に返答がないゆえ、再度要求しても返事をす
るのかしないのかも確答がないのはおかしい等々の発言があった。 
 
 それに対して国は裁判官の現地検証は必要ない、死亡者が何故同意しているのかは
調査中である、原告からの求釈明には誠実に回答したい、努力している等々。よく聴
いていると自分勝手ですべてがあいまいなのである。聞いたことに誠実に答えようと
しないのは国側がいかに農民を「バカ」にしているかである。また、板井弁護士には
裁判のルールを守ろうとしない被告・国側は「まじめにやる気があるのか」と怒られ
るし。第7回公判より被告・国側の代表者を福岡から東京に変わったのは、私達の闘
いもいよいよ本丸の攻防になりつつあるのかと思う。(K.H)


>>> Yoko Nishida e-mail:yokon@ab.mbn.or.jp : byj01252@nifty.ne.jp <>> 


●森と自然を守る全国集会」長野
昨年は熊本市で開催された「森と自然を守る全国集会」が今年は長野県穂高町で開催
され、県民の会・顧問の松本先生が参加、分科会・全体会で川辺川ダム問題の報告を
されました。以下、報告文を先生から寄せていただきました。

   「森と自然を守る全国集会」に参加して 松本 幡郎
 昨年熊本で開かれた「森と自然を守る全国集会」が今年は長野県南安曇郡穂高町で
10月17−19日開催された。何の予約もせず、急遽17日、御所ノ浦島から台風
10号の隙間をうまくかいくぐり、夜の懇親会から参加した。八木会長始め諸兄から
感謝された。予定に全く入っていなかったが、18日の分科会・午後の全体会に於い
て、決議文を作成朗読した。多くの参加者から、「あのきれいな川辺川は絶対守らな
くてはならない。陰ながら応援するから頑張って欲しい」と激励の言葉を頂いた。後
日、八木会長より、全国・信州の人々に、この問題をよく理解させたのは大きな収穫
だったと、便りを受けた。

●川辺川利水訴訟原告団&東京の会 大蔵・建設・農水へ計画見直し申入れ
 川辺川利水訴訟原告団と川辺川・東京の会(子守唄の里・五木を育む清流川辺川を
守る東京の会)は10月16日、大蔵・建設・農水の3省に川辺川ダム計画見直しの
申し入れを行いました。秋葉忠利議員(社民)が全要請行動に、中島武敏議員(共産)
が建設省と農水省への要請行動に同席され、秋葉代議士は全省で現地視察を提案され
ました。大蔵省では、ダム審の答申が大きな拠り所になっていることが改めて明らか
になり、建設省からはS40年洪水と市房ダムからの放流の因果関係についての資料提
示がありましたが、内容は不十分で、改めて資料請求をすることになりました。農水
省では「裁判中だから」ということで、事の本質に迫る質問への回答は得られません
でした。

●東京の会、「川を守るのは誰か --あんただよあんた--」を開催
 「公共事業チェックを実現する議員の会」主催の「霞ヶ関ヒアリング」をきっかけ
に誕生した「川辺川・東京の会」が「吉野川東京の会」と合同で、10月17日(土)
、東京・代々木の国立オリンピック記念青少年センターにて「川を守るのは誰か --
あんただよあんた--」と題したシンポジウムを開催しました。当日は台風10号接近
に伴う雨にもかかわらす、用意した120の席では足りずに立見が出る程の盛況ぶり
で、約150名が参加しました。基調講演としてカヌーイストの野田知佑さんが「川
を壊しているのは誰か?」と題して問題提起し、「吉野川シンポジウム」の姫野雅義
さんが吉野川第十堰改築問題と住民投票条例制定を目指した活動を報告、川辺川から
は利水訴訟弁護団の森徳和さんが訴訟の経緯を説明、加藤清正の治水技術を例にあげ、
遊水池などダム以外での治水方法を説明し、運動については「地元の運動を全国で支
えるようにしなければならない」と語られました。また、利水原告団を代表して上京
した7人の方も現地ではダムからの水は必要とされていないことを自分の言葉でそれ
ぞれ簡潔に訴えました。

 また長年に渡り細川内ダム建設反対を自治体主体で行い、計画を「足踏み」に追い
込んだ木頭村からは藤田恵村長も出席され、第三セクターで運営されている「株式会
社きとうむら」の苦労話をユーモアを交えて話されました。
 そして、五十嵐敬喜先生(法政大学)の話の中で特筆すべき論点は、「政府が契機
浮上対策として公共事業前倒しを含めて、巨額の予算を計上している。一方、公共事
業にはこれまた巨額な地元負担金が地方自治体にかぶせられる。地方自治体はどこも
巨額な財政赤字を抱えていて、良識ある知事は政府が画策している公共事業には乗れ
ないと判断している。しかし、とにかく当座をしのげれば毒まで食らおうと言う知事
もいる。そういう自治体は近い将来予想もつかない深刻な事態に陥るであろう」とい
うことです。この指摘は実に的を得ている指摘です。こと川辺川ダムに関して言えば、
熊本県は徳山ダムを強行しようとしている岐阜県、苫田ダムを強行しようとしている
岡山県と同様、現在既に財政赤字で退き止しならない状況にあります。川辺川ダムへ
の投資を止めさせることは、熊本県の財政赤字、すなわち、私たちの無意味な巨額の
税負担を拒否する上で、緊急の課題です。

●「福岡の会」発足初、「びおふぇすた'98」に参加
 秋晴れの中、福岡市南区平和にあるNPO福岡共同事務所で「びおふぇすた’98」
のイベントが行われました。
 このイベントは、福岡市を中心に活動をしているNPOが集まり、活動の内容を広
く皆さんに知ってもらうことが目的ということで、会が発足したばかりの「福岡の会」
にはもってこいのイベントでした。
 当日は、人吉から川漁師の吉村さんが新鮮な川辺川でとれた鮎をたっぷり持参され、
家族総出で焼いて販売してくださいました。イベント会場には、500名を越える参
加者のもと、鮎は220匹も売れました。つまり、入場者のなかのおおよそ2人に1
人は、おいしい鮎を頬ばり、「清流・川辺川」の存在、ダム計画の存在、川を守る大
切さを理解していただいたと思います。もちろん、集まった福岡の会のスタッフはそ
れぞれ、得意な分野で会場、場外の福岡市民に「川辺川」をアピールしました。
 次回のイベントは、「和白干潟祭り」に参加します。(お近くの方は是非、ご参加
下さい。)日時は11月22日(日)11:00〜15:00 場所は西鉄・宮地岳
線/唐の原駅近くの干潟です。(P.12参照)

●国土研・上野鉄男氏現地調査
 国土問題研究会の上野鉄男氏ら3名が、「手渡す会」の招きにより10月31日か
ら4日間に渡り、現地調査を行われました。上野氏は、96年4月に16日にわたり、
川辺川の現地調査を行われており、今回はさらに調査を深め、基本高水流量の妥当性
や川辺川ダムの代替案などについて検証を行われました。その結果、洪水対策として
は遊水池が最良のものであると指摘されました。建設省は遊水池案に1兆3千億円か
かると言いますが、それは土地を購入して治水施設を造る場合のことです。国土研が
主張するのは農地を利用して非常時(洪水時)のみ遊水池にするという案で、これが
最も現実的でコストもかからない最良の治水案でダムは最悪の選択だということでし
た。

◆定例勉強会報告◆
●9月の勉強会報告
日時:9月8日(火)午後7時〜9時
場所:熊本市国際交流会館研修室
講師:原豊典氏(県民の会運営委員、球磨川からすべてのダムをなくす会代表)
テーマ:今、何をすべきか〜川辺川ダム事業をストップさせる為の戦略〜

 手渡す会の主要メンバーであり県民の会運営委員でもある原豊典さんは、定例会等
でお話を聞く機会が多いのですが、勉強会で話していただいたのは初めてです。今回
の異議申立てでは、その中心となって活動されました。幅広い情報収集と的確な戦略
立案には定評のある方です。
 勉強会でお話していただいた内容も、異議申し立てに関することが中心となりまし
た。みなさんご存知のように今回の意義申し立ては、行政不服審査法に基づいて行わ
れました。この法律には「知った日から60日以内に」申し立てることが可能と明記し
ていあります。この「知った日」は、一般的に「官報で告示」された日と解釈されて
います。我々もその解釈に従って異議申立て書を集めました。
 この「知った日」を文字どおり本人が知った日と解釈して、まだどんどん異議申立
てを集めようではないかというのが原さんの意見でした。発想の転換ともいえるアイ
デアです。たしかに官報をいちいちチェックしている人がそれほどいるとはおもえま
せん。市民感覚で考えれば納得できるアイデアです。
 行政が市民の意見を聞こうとしない今、異議申し立てをする人の数が大きければ、
それは世論として重要な意味を持ってくる。裁判になれば戦いは厳しい。戦いやすい
入り口で勝負しよう。という原さんの呼びかけは、説得力を持つものでした。

●10月の勉強会報告
日時:10月13日(火)午後7時〜9時
場所:熊本市国際交流会館研修室
講師:中島煕八郎先生(熊本県立大学教授)
テーマ:川辺川土地改良事業計画変更のポイントと問題点

 9月10日の緊急シンポジウムの際に、パネリストとして詳細なデータ分析結果を発
表された県立大学の中島煕八郎先生に勉強会講師をお願いして、現在の利水裁判のき
っかけとなった川辺川土地改良事業計画変更の問題点に関してお話していただきまし
た。
 数量的なデータをグラフにしてOHPでみながらお話を伺うことができました。例
えば1970年から 1995年の農家の変化を見ると、農業人口・農地・生産額の減少や高
齢化の進展が一目瞭然で、農家の方の「水はいらない」という訴えの背景が実感でき
ます。
 事業計画書そのものの疑問点も具体的に明らかにされました。例えば、利水事業の
効用としての数字(増加見込効果額と増加見込所得額)が出されている が、その根
拠が分からない。そもそもこの計画書は殆ど数字の羅列であり、何を目的としている
のかの説明が極めて少ないこと。

** おしらせ ** 
●岩波書店の「世界11月号」(現在発売中!)に「川辺川・東京の会」の高橋ユリ
カさんが川辺川ダム問題について執筆されています。必読です!

◆Event Information◆
●定例勉強会
 11月・12月は「ダム見直し活動と水没地」というテーマで五木村に縁の深い方
をゲストに招いて座談会形式で意見交換を行いたいと思います。11月10日はカメラマ
ンの小杉さんや五木村からもゲストがいらっしゃる予定です。 12月8日は10月の勉強
会でお話いただいた県立大学の中島煕八郎先生にも来ていただく予定になっておりま
す。どなたでもお気軽にご参加ください。

★川辺川勉強会 11月10日(火)/12月8日(火) 
 場所:国際交流会館(熊本市花畑町4-8)研修室3
 時間:19:00〜21:00

☆川辺川利水訴訟 第9回口頭弁論
 平成11年(1999年)1月21日(木)
 13:50〜 門前集会
 14:30〜 第9回口頭弁論 101号法廷

★定例会は毎月第一火曜日19:00〜21:00
 秋津レークタウンクリニック会議室(熊本市秋津町 tel:096-368-6007)で行って
います。
 どなたもお気軽にご参加ください。

☆第10回和白干潟まつり
 場所:「和白干潟・海の広場」(福岡市東区和白 4丁目)西鉄宮路岳線・唐の原
駅下車/徒歩5分
 プログラム>手作り模擬点バザー/野鳥観察/バードウォッチング/写真展/干潟
の生物観察/ミニ劇場/ネイチャーゲーム/ひとことアピール/手をつないで/干潟
の清掃 ほか
 参加無料、小雨決行・雨天中止、
 主催:「和白干潟まつり実行委員会」 問い合わせ先:092-671-1972(後藤) 
 特別プログラム「和白の夕陽ウォッチング」16:00〜18:00(予定)
 まつり終了後、和白干潟の夕陽を見ながら、山下弘文さんを囲んで語り合いましょ
う。
 参加費1,000円(飲み物、おつまみ付き)

◆他団体イベント◆
■水源開発問題全国連絡会総会+思川開発問題全国集会
11月14、15日(栃木県今市市)
水源開発問題全国連絡会 03-5211-5429

■熊本の農業の現状 --農業生き残りの道をさぐる--
講師:山口力男氏(阿蘇百姓村村長)
日時:11月19日(木)午後6時30分〜8時30分
会場:熊本県教育会館(熊本整形外科病院うら)
参加費:塾生500円 一般1000円 学生200円
主催:にんげん塾運営委員会(096-360-0539 稲津)

□COP3一周年 〜市民が進める温暖化防止〜
日時:12月5日(土)6日(日)
会場:京都市北文化会館
主催:気候ネットワーク 地球温暖化防止京都ネットワーク
お問い合わせTEL:075-254-1011 FAX:075-254-1012

◆編集後記◆
 今号からニュースレターに再生紙を使用することにしました。まずはなるべく無駄
遣いをしないこと、次にできるだけリサイクルを心がけていきたいと思います。「県
民の会」も3年目に突入しました。日頃のご支援ありがとうございます。また、封筒
ラベルの下の数字は「会費未納の年度」ですので、まだお振り込みいただいていない
方はどうぞご継続の程、よろしくお願い致します。今年度上半期は「異議申し立て」
などに追われて目立ったイベントを行っていませんが、下半期には講演会等を企画す
るつもりです。お楽しみに! (Y.N)