子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会
ニュースレター 第26号 2005年(平成17年)2月4日発行


写真: 2004年11月28日川辺川ダム反対県民大集会にて

<みんなで考え、行動しよう>川辺川ダム問題―今後の傾向と対策

ケース1:熊本県収用委員会が、国土交通省の裁決申請を却下したらどうすべきか?

傾向:川辺川ダムの建設に当たり、国土交通省は球磨川・川辺川に共同漁業権を持つ球磨川漁業協同組合の同意を得る必要があります。2001年に同漁協は二度に亘って建設着工を拒否。国交省はやむなく、熊本県収用委員会に同漁協の持つ共同漁業権の収用裁決申請を行いました。収用委員会は、漁業権の帰属や川辺川ダムの公益性の審理を行ってきましたが、2003年5月の川辺川利水訴訟控訴審における農民勝利によって、ダムの目的の一つである利水事業が違法となり白紙になったことと、その後の新利水計画策定作業によって、ダムの目的の一つである利水がどうなるか見極めるため2003年11月、1年間を目処に審理を中断しました。
 再開された昨年11月25日の審理で、塚本侃(つよし)熊本県収用委員会会長は、今年4月までに開催される次回審理までに明確に、新利水計画の策定によってダム計画がどう変わるか示すように国土交通省に求めました。そして、もし、明確に示せない場合、収用裁決申請の却下を示唆しました。
 川辺川ダム計画の事業認定取り消し訴訟も熊本地方裁判所に提訴されていますが、昨年12月2日の口頭弁論で、永松健幹裁判長は今後の進行について、収用委員会の判断を待つ姿勢を示しました。全てが収用委員会の判断にかかっているのです。
 新利水計画の策定状況からいって、4月までに新利水計画が確定する可能性は非常に低く、却下裁決が出されることはほぼ間違いありません。
対策:却下裁決が出されるということは、現行のダム計画が否定されるということを意味します。すなわち川辺川ダム計画に対する死刑宣告です。国土交通省は現行計画の見直しを迫られます。しかし、国土交通省がダム以外の治水対策を打ち出してくることは考えられません。必ず以前のダム計画案を練り直して、ダム計画の延命を目論んでくるでしょう。また、収用裁決申請を国交省が取り下げる可能性もありますが、それは国交省が事業認定の内容に自信がないということを意味します。このままいけば却下裁決が出されるので、ただ却下裁決によるダメージを避けるための姑息な手段にしか過ぎません。国交省自ら、事業内容に問題があることを認めて現行計画を放棄したことと同じです。
そのような国交省に対して、私たちは「川辺川ダム計画は死んだのだ。死んだ計画の復活はありえないし、許されない」という世論を喚起し、ダム計画の中止を迫る必要があります。却下裁決が出ても、すぐにダム計画が中止になるわけではないのです。もちろん、国交省だけでなく、国会、熊本県(県知事や県議会)などにも、ダム中止を求める要請を行わなければなりません。その時には、会員の皆様には具体的な行動を要請しますので、よろしくお願いします。
 

ポイント:収用委員会の却下裁決=川辺川ダム計画の死。死んだ計画の復活はありえないし、許してもいけません。

ケース2:新治水計画はどのように策定すべきなのか?

傾向:ダム計画が中止になったとしても、球磨川・川辺川流域には新しい治水計画を策定する必要があります。この場合、河川法に定められた手続きに基づいて計画は策定される見通しです。すなわち、基本高水流量、計画高水流量等を定めた河川整備基本方針がまず策定され、その上で河川工事などを定めた河川整備計画が策定されます。
河川整備基本方針の策定にあたっては、国土交通大臣は、あらかじめ、社会資本整備審議会の意見を聴かなければならないと定めてありますが、社会資本整備審議会の委員は国交省が任命するため、国交省にとって都合のいい意見しか出されないという問題があります。また、河川整備計画の策定にあたっては、関係住民の意見を反映させるという規定がありますが、実際の各地の現状を見ると、住民参加が実現されているとはいいがたいものがあります。国土交通省は、河川法に基づいた手続きでも、新治水計画を再び、ダム計画にするように狙ってくるものと思われます。世論の大きな力がなければ、住民が望む治水策は採用されず、再びダム計画が押し付けられることになるのです。
対策: 熊本県では、2001年12月から始まった住民討論集会、治水専門家会議、森林保水力の共同検証作業、また新利水計画策定作業など熊本県の総合コーディネートのもと、関係住民と国をはじめとする行政機関が同じテーブルにつき、討論しながら合意を形成し、事業のあり方を決めていく手法が進められて来ました。住民の意思で公共事業を決定する試みとしては、法律に先行する全国に例を見ない画期的なものです。
 私たちは、このように住民が決定していく仕組みを新治水計画策定作業にも適用すべきだと考えます。熊本県の総合コーディネートのもとで新治水計画策定作業が進められるように、国や熊本県に働きかけていく必要があります。

ポイント:国交省は再度ダム計画を持ち出します。新治水計画は世論の大きな力をもとに住民主導で策定しよう!

■この人に聞く 衆議院議員 松野信夫さん

川辺川ダム反対運動の中で、人吉球磨の農民や流域の漁民を法律家の立場か
らサポートして来た松野信夫弁護士が、一昨年、国会議員に転身した。国会
でも新人らしからぬ活動で、これまで以上に、私たちの運動を強力にサポー
トしてくれている。今回は、そんな松野信夫さんに話を聞いた。

まつの のぶお 1951年、東京生まれ。1979年、司法試験に合格。1982年、
熊本で弁護士開業。水俣病弁護団や川辺川利水訴訟弁護団などで、社会問題
の解決にも当たる。2003年11月、総選挙にて比例代表九州ブロックで民主党
公認候補として当選。

【写真キャプション】インタビューを受ける松野信夫さん

――今日は、お忙しいところ、時間をとっていただいて、ありがとうござい
ます。国会議員となられて一年、議員松野さんにいろいろ質問させていただ
きたいと思います。まず松野さんの経歴をお聞かせください。

1951年6月2日、東京に生まれ、東京で育ちました。両親は熊本の甲佐町の出
身で、父が公務員で東京勤務中の生まれです。だから学校が休みのとき、甲
佐に帰って、ダムができる前の緑川で魚を獲ったり、泳いだりしたものです。
そんな時、地元の人に魚の獲りかたを教えてもらいました。
高校は都立西高を卒業しました。その頃、都立高校は結構レベルが高かった
です。

――都立日比谷高校が東大入学数で有名だったころですね。それで大学は?

1970年、高校を卒業し、一年浪人して、東京大学に入学し、1975年に卒業し、
東京海上火災に就職しました。一年在職後、司法試験を目指して、また東大
に学士入学し、1979年10月司法試験に合格し、修習生を経て、1982年熊本で
弁護士を始めました。

――弁護士としての松野さんを熊本に結びつけたのは何ですか

私は水俣病について、前から深い関心があり、これが熊本との結びつきでし
ょう。そして熊本で弁護士業をやる以上、水俣病に関与したいと思っていま
した。水俣では証拠集めが初めての仕事でした。証拠の集め方、証人からの
聞き取り方法など、若手弁護士のトレーニングの場として非常に勉強になり
ました。

――公害問題としての水俣病に関われたことが、川辺川問題に取り組まれる
ことになったのですか?

 公害弁護団の活動の核は、当然環境問題と病気治療関係に分かれます。私
は水俣病を通して、弁護士は常に社会的課題に関わらねばならないと思って
います。私は環境問題に注目し、川辺川問題に軸足を置くようになり、自然
な成り行きとして川辺川へと進みました。水俣病問題は環境問題の原点です。
水俣は廃水が流れて問題となり、川辺川は流れを止めることが問題です。い
ずれも自然を壊すことに変わりはありませんが・・・

――川辺川ダムに反対の立場をとられるのは何故ですか

 たしかに川辺川ダムについては賛否両方ありますが、私は「自然は自然の
ままに」を原点としています。しかも現在の川辺川ダム事業は全くの政官財
癒着の見本です。自然な姿ではありません。

――政治家を目指されたのは何故ですか

 水俣病問題に関わっている頃から、公害問題の解決は最終的には政治決着
であると考えていました。また水俣病関係で、私は政治家との接触の機会に
恵まれました。たしかに政治家にも良し悪しがあります。しかし、ずっと市
民の声がよく聞かれていない苛立ちを感じていました。当然、政治家が変わ
らなくては日本の政治は変わらないとの思いが、政治家を目指すことになっ
たのです。

――では、なぜ民主党を選ばれたのですか

 民主党立ち上げの時に、市民代表として参加の呼びかけがあったことと、
水俣で問題解決に一生懸命取り組んでおられた一人の方に勧められたことが
機会となったこと、また私も新しい時代に民主党は必要なものであり、市民
にとっても選択の場が広がることになると思ったからです。

――国会議員として一年を経た今、感想はいかがですか

 私は弁護士としての基盤があったため、何が何でも政治家にという気は少
なかったのですが、議員になって自分の活動範囲が格段に広くなったことを
知り、これを利用しない手はない、いろんなことが出来るし、結果としてや
りがいがあると思えるようになりました。今は、今後も続けたいと思ってい
ます。

――川辺川ダム問題はどのように展開すると思われますか

 現在、国土交通省は川辺川と八ッ場の両ダムについては、強く固執してい
て、中々なことでは、これを突破することは難しいでしょう。しかし、2003
年5月16日の川辺川利水訴訟控訴審判決以後、確かに攻守ところを変え、こち
らから強く結論を要求できるようになりました。また、今年(2004年)11月
25日の熊本県収用委員会の状況から見ると、収用裁決申請却下の可能性が大き
いでしょう。ただ却下となった場合でも、国交省もやわではありません。簡単
には引っ込まないでしょう。そこで、以下のことが考えられます。
 第一に、却下される。すると事業認定が取り消されることとなりますから、
そこで河川整備計画にそって新事業計画をゼロから再スタートさせるか、又は
利水目的を落とした形で、事業認定の出し直しをするか、どちらにしても3-4年、
またはそれ以上かけてやるつもりでしょう。
 第二に、収用委員会の却下決定に対して不服申し立てを国土交通大臣にする。
大臣は、収用委員会に弁明書の提出を要求し、提出と要求が繰り返され、双方
バトルの様相を呈することになり、最終的には大臣は公害等調整委員会の意見
を聞いて、不服申し立ての却下もしくは容認を決定します。不服申し立てを却
下すれば、収用裁決申請却下が決定。容認すれば、収用委員会に差し戻され、
再審査となり、下手すると国交省の恥の上塗りとなるかもしれません。
 しかし、どちらにしても住民団体はまた、今後も長い運動を要求され、くた
びれさせられることになります。五木村の反対運動がつぶされた例と同じです。
住民運動の真価が問われます。最終的にはどう、政治決着をつけるかです。
いずれにせよ財務省の存在が大きくなってきます。今後、財務省への働きかけが
大切です。住民団体にとって、まだまだ大変ですが、国交省に対し財務省の風当
たりが強くなるのは確かです。大変でしょうが、あと一歩です。頑張りましょう。
――今日は、お忙しいところ、時間をとって下さってありがとうございました。
今後のご活躍を、私共のためにもお祈りいたします。
(2004年12月20日、熊本市・くまもと法律事務所にて。聞き手は中島康・代表)

■学生企画編集ページ 
川辺川を守りたいと立ち上がった京都の学生達がこのページを作ってくれました

川辺川紀行(11 月25 日〜28 日) 国際青年環境NGO SAGE

11 月25 日〜27 日 川辺川を訪れて

私たちは、国際青年環境NGO SAGE に所属し、川辺川ダム問題について取り組ん
でいる京都の学生です。
11 月25 〜28 日にかけて、私たちは熊本を訪れることができました。熊本に来る
のは夏の川辺川現地調査の時以来2 度目となります。今回熊本に来た理由というの
は、熊本県収用委員会や、熊本市内での反対集会の参加、現地の方のお話を伺うこ
と、そして川辺川に行く事でした。
人吉から五木村へと向かう最中、車を止め写真を撮ることにした私たちは川辺川を
見て、揃って驚きの声を上げました。「きれー!めっちゃきれい!」夏に川辺川を
訪れた時もメンバー全員で同じ様に言っていましたが、地元の方に「今は台風の影
響で水が増えているから本当はもっときれいだよ。」と言われ、これ以上きれいな
川なんて想像できないと思っていました。しかし今回本当のきれいな川辺川を見る
ことができた気がしました。そんな川を見た私たちは、もう冬だというのに一様に
靴を脱ぎ川に入りました。
ものすごく冷たかったのですが、なんとも言葉にしがたい嬉しい気持ちになり、す
っかり川辺川に魅せられてしまいました。その後も何度か川に行く機会があり、そ
の度に同じような気持ちになりました。ずっと川辺でのんびりとしていたいという
気持ちになったのをはっきりと覚えています。
今、日本でもきれいな川が少なくなってきていると言う事をしばしば耳にしますが、
川辺川はその数少ない"きれいな川"なんだなと心から思いました。美しい自然とい
うのは人を引きつける力があると思います。現に私たちも川辺川にまた行きたいと
思っています!そんな素晴らしい川辺川が国土交通省の中身のない事業によって壊
されようとしている事にはもはや怒りすら感じます。この清流を守りたいという思
いが一層強くなりました。
また、国交省に対して、なぜこの事業をなんとしても推し進めようとしているのか
に改めて疑問を感じました。国がとる政策というのは、人を幸せにし、豊かにしな
ければならないはずです。しかし川辺川ダム事業は全くそうはなっていないと強く
思います。きっとこれを読むみなさんが一番そう感じていることでしょう。そんな
事業を起こす国交省、また国交省を取り巻く行政システムを変えていかなければな
らないのではと、私たちは感じています。そしてそれはきっと川辺川ダムを止める
ことによって変わっていくのだと思います。川辺川ダムを止めることが一つの終わ
りであり、また国を変えていく始まりなのではないでしょうか?今回、熊本に来た
ことでこのような事を感じました。

立命館大学政策科学部1 回生 阪井厚仁

【写真】五木村非水没地にある瀬目マロンにて撮影夏に訪れた時の事を覚えてくだ
さっていて歓迎してくださいました。また川辺川を訪れた際は立ち寄りたいと思う
場所のひとつです。

11 月28 日集会・パレードに参加

11 月28 日、私たちSAGE のメンバーは県民の会を始めとする実行委員の方々の主催
による、ダム建設反対のための集会・パレードに、集会宣言、スピーチ、カンパ回収・
ビラ配りのボランティアというかたちで参加させていただきました。集会には様々な
立場の方々が参加していたけれど、どんな立場でもダム建設反対・清流川辺川を守ろ
うという思いは同じなのだと感じることが出来ました。
ただ一つ気になったことは、集会・パレードに参加している方々の年齢層です。若い
人は意識が少ないのでしょうか、参加している方々の多くは年配の方で若い方は少な
かったように思えました。パレードをしていても通行人の方からはあまり暖かいとい
えるような視線は得られず、自分には関係ないといったような感じでした。私はその
ことがとても悲しかったのを覚えています。
川辺川ダム建設問題に関わるようになってから「この問題を少しでも多くの人に伝え
たい」という思いがずっと私の中にはあり、その一環として私たちは、11 月20 ・21
日の立命館大学学園祭、そして12 月11 ・12 日には京都の一角にある木輪舎という
家具屋をお借りして、川辺川の写真展を開催しました。この2 つのイベントを終えて
痛感したことは、人に伝えることの難しさです。イベント総日数4 日間の集客人数が
約300 人でした。それだけの人にさえ、全員に問題の深刻さが伝わったかいわれると
「はい」と答える自信がありません。ましてそれが県単位・国単位となった時の大変
さは容易に想像できます。けれど、県民の会の方を始め、地元住民の方々はそんな並
並ならぬ努力をもう何十年も続けてきたのだと思うと、たった4日間のことで落胆し
ていてはいけないと思います。
幸い、私たちはこの問題に学生のうちに出会うことが出来ました。学生ならではの関
わり方というのが探せばきっとあると思います。その方法を見つけ出し、これからも
特に若い世代の人を中心にこの問題を伝えていけたらと思っています。
立命館大学政策科学部1 回生 宮城彩子

【写真】川に着いた瞬間みんなはだしになり水に浸かりました
【写真】冷たいけど気持ちいい!!
【写真】集会宣言をさせていただきました


■川辺川ダム建設反対県民大集会に参加して

全く異なる分野のNGOで活動されている方から、2004年11月28日の熊本市・辛島公園
での集会の感想を寄せていただきました

                   STOP!劣化ウラン弾キャンペーン 新田真治

11月とはいえ、大変天気もよく暖かな陽射しの中、優木はるかさんの伸びやかな歌声
から始まった県民大集会。本当にいろいろな意味でこの日の天気のように気持ちのい
い日でした。私は今回の集会に、東京から参加しました。普段は、イラク戦争でも使
用された劣化ウラン兵器の廃絶とイラクの子どもに対する医療支援の運動をしていま
す。いつも東京で経験する集会とは違う経験もできなかなか有意義でした。
この日の集会は、熊本県収用委員会が国土交通省に対して、「来春までをめどに新利
水計画が確定していなければその状況を前提に判断する」と収用申請却下の可能性を
示唆した直後に開催されました。
集会の冒頭で「昨年5月の利水裁判の勝利以来流れが変わってきている」と語る実行
委員長の中島康さんの発言。夏の現地調査に続き、関西から多数参加した学生の存在
など、この間の川辺川の運動が成果をあげ、より多くの広がりをつくっていることを
感じさせるものでした。この類の集会での集会宣言はなんとなく聞き飛ばしてしまう
ことがありますが、集会宣言も印象的でした。単にダムに反対するにとどまらず、
「住民のための公共事業を住民自身が決定する時代です」と言い、自らの将来を自ら
で選択しようと訴えた内容は、大変共感できるものでした。それぞれのグループの発
言は、時間的な制約があったからでしょうが、短くてもう少し話を聞きたかったです。
パレードは、繁華街の真ん中を歩くコースで新鮮でした。東京ではおそらくデモ申請
は許可されないような場所でしょう。否が応でも周りの注目をひいている様子でした。
もちろん無関心な人もいました。でも私が普段経験しているパレードより断然周囲の
「視線」を感じました。聞けば同じ場所で川辺川ダム反対の署名を集めると一回に400
筆以上は集まるといいます。地元の関心の高さを感じます。国がやる事に疑問を感じ
反対し、アクションを起こしても阻止することができず歯軋りすることが多い。でも
川辺川の運動は今、本当に国交省を追い詰めていると思います。これは間違いなく、
多くの人の熱意や創意工夫による運動の成果でしょう。やっている運動は違いますが、
理不尽な国のやり方に対する怒りは同じです。ともにがんばっていきましょう。

集会宣言

 川辺川ダム建設事業が計画されてから既に38年が経ちました。日本一の清流と流域
の豊かな自然は熊本県民のみならず国民の宝といえるものです。川辺川ダム建設は清流や自然、そしてその清流や自然と結びついた漁師をはじめ流域住民の生活を破壊します。
 既に私たちはダムの目的が失われていることを明らかにしてきました。ダムに頼ら
ず、森林の整備や河床掘削、堤防強化などで洪水は十分に防ぐことができます。農民
はダムの水に頼らない新利水計画を策定中です。
 国土交通省はそれでもダム建設を強行するつもりです。無駄な事業に投入する税金
をさらに増やし、総事業費を3300億円に増額しようとしています。事業費増額による
熊本県の追加負担は150億円以上となり、破綻しつつある県財政をさらに悪化させ、福
祉予算の削減など県民生活を直撃します。
 まさに百害あって一利なし、それが川辺川ダムなのです。
 公共事業を国が決定する時代は終わりました。これからは住民の住民による住民の
ための公共事業を住民自身が決定する時代です。
 川辺川ダム事業の中止は目前ですが、国土交通省は最後の力を振り絞って戦いに臨んでくることでしょう。熊本の将来を、いや日本の公共事業のあり方を左右する戦い
が、これから始まります。借金を残さず、豊かな自然環境を未来に残すため、そして
私たちが自分の未来を自分で決めていくために、総力を結集する時がやってきたので
す。
 私たちは、川辺川ダム建設計画の中止を勝ち取り、日本の巨大公共事業の見直しの
歴史の新しい一ページを切り開いていくことをここに宣言します。

2004年11月28日 残せ清流 残すな借金!
川辺川ダム建設反対県民大集会 参加者一同



学習会のお知らせ
県民の会では来る2月25日に学習会「今年,川辺川ダムが止まる。熊本から始まる住民
決定型公共事業」を開催します。4月までに出されるという熊本県収用委員会の結論い
かんによっては、ダム中止の可能性も見えてきます。ダムは一体どのようにして止め
るのか、住民決定型公共事業とはどのようなものなのか、ということを学んでいきたい
と思います。日本で始めての状況を迎える中、私たちは何をしていくべきなのか、是
非一緒に考えましょう。
学習会「今年、川辺川ダムが止まる。熊本から始まる住民決定型公共事業」
日時:2月25日(金) 18:30〜
場所:熊本市・パレア会議室1(水道町電停下車すぐ、鶴屋東館9階)
講師:森徳和弁護士(川辺川利水訴訟弁護団事務局長)
資料代:500円
問い合わせ:土森(Tel. 070-5273-9573)

川辺川ダム問題出前勉強会のご案内
「ところで川辺川ダムってどうなってる?」皆さんの身近にこんな会話はないでしょ
うか?止まるのか止まらないのか。はたまたもう止まったのか?今ひとつよくわから
ない。という声が聞こえます。そして現実に、川辺川ダム問題は複数の要素が複雑に
絡みあっていて、理解するのが一苦労の様相を呈しています。
そこで少しでも皆さんの理解の手助けになればと、県民の会スタッフが指定された場
所にお邪魔して解説?を試みます。必要に応じてビデオやパンフレットも用意します。
是非ご一緒に川辺川ダム問題の「今」を考えましょう。費用は無料です。何人かが集
まって話せるスペースのみご用意ください。少人数でも構いませんし、質疑応答だけ
でも結構です。スタッフ一人一人がわかる範囲でお答えします。どうぞご贔屓に。問
い合わせ・申し込み:土森(Tel. 070-5273-9573)

会費納入のお願い
会員の皆様の会費やカンパで運営されている県民の会の活動ですが、最近は危機的な
状況を迎えています。会員の皆様からの納入が少なくなり、会費の残額が数万円程度
しかありませんので、いろいろな活動費用の支払いが滞っています。現在スタッフが
立て替えることによって何とかやっていますが、いずれそれも限界になります。
昨年の活動を振り返ってみても、ニュースレターの内容刷新(女性特集やダム問題Q&A、
インタビューなど)、ダム中止請願の1万人署名達成、従来の枠組みを超えた様々な団
体・個人の共催によるダム反対県民大集会の開催など、県民の会では様々な活動に取
り組んできました。
ご存知の通り、今年が川辺川ダムを中止できるかどうかの大きな山場です。そして、
県民の会が今後もこのようなダム反対活動を行っていくには、会員の皆様からの金銭
面での支援が必要不可欠です。
会員の皆様には、ぜひとも会費の納入をお願い申し上げます(振り替え用紙は同封し
ています)。


特別投稿
昨年6月、「川辺川を守りたい」チャリティーコンサートに出演してくれた歌手・優木
はるかさん。本人の音楽活動の出発点は五木の山々や川辺川の清流だという。その優木
はるかさんに川辺川への想いを綴ってもらった。
 
ゆうき はるか シンガーソングライター。 1983 年、北九州市生まれ。川辺川の源
流 (五木村端海野)にて遊ぶ。高校で不登校となるが、自然からインスピレーション
を得て、作詞作曲をはじめる。自然と人のつながりをテーマとしたアルバム「私が生
まれる未来」「陽風水世」をリリース。昨年、「川辺川を守りたい」チャリティーコ
ンサートやダム反対県民大集会で歌う。

「川への祈り」 優木はるか

 美しい流れの川です。澄んだ水面に心や想いが映し出されそうな程に。川辺川に接す
る誰もがその清らかさに喜びを覚えていく。私もその中の一人で、そして歌という手段
で感動の一片を表現しています。昨年6月に川辺川を守るチャリティーコンサートをさせ
て頂きました。その中の出逢いや経験を通して自然の美しさ、素晴らしさ、大切さを改
めて知ることができました!ふたつとないこの川を素直に守りたいとの想いが湧いてき
ます。澄んだ水中をいきいき生々と泳ぐ美しい魚達。かつては世界中、日本中にこの様
な美しい川があったのでしょう。
残念ながら今では美しい自然が少なくなってしまいました。けれど長い間、私達人間は
自然の豊かな恵みを受けて、食べたり飲んだりして生活し、感謝し、何よりも大切に守
ってきました。魚の命を食べ、とめどなく流れてくる水を飲み、使っています。「水」
こそ命の源であり万物の母だと言います。そのかけがえのない大切な存在「水」が今、
私達の文明生活で汚れていってしまっています。それは川だけでなく山や海という大地
の大きなつながりの中で起こっている事です。
川の水が汚れれば海も汚れ、やがては私達の体もむしばんでしまうのです。当たり前に
繋がっていて、いいも悪いも影響し合います。もはや自然の浄化作用では文明の汚れを
分解できない状態なのです。これ以上自然を壊したり、組み変えたり汚したりできない
限界の状態です。近くの川や海をよく知ってください。そこがどんな状態にあるか、ど
う変わってきたのかを。私達はみんな望んでいます。命が輝く世界、社会、生活をです。
その為には、どうすれば良いのでしょうか。
 自然と人が心からの繋がりを持つ時、人間を含めた全ての命は輝きを持てるのではな
いでしょうか。決してお金や物質に代えられない大切なものを守っていけたらどんなに
素敵でしょうか。この想いが、やがて全ての人の願いになりますように、実現すること
を信じています。
【写真】「川辺川を守りたい」チャリティーコンサートで熱唱する優木はるかさん
(2004年6月19日、熊本市)

イベント・インフォメーション
BeGoodCafe
日時: 2月11日(金・休)11:00〜20:00
場所:熊本市・フードパルエンジェルガーデン「ラピタ」
(熊本市貢町581-2,Tel:096-360-8282)
参加費:前売1000円,当日1200円,高校生以下500円,未就学児無料
申込・問い合わせ: 高野(Tel.090-5488-9062, E-MAIL:pon_saya_poco@hotmail.com)
ゲスト:辰巳玲子(「ランド・アンド・ライフ」事務局)
   高倉敦子(有限会社「ガイアみなまた」代表取締役)
*21世紀型ライフスタイルを考えるコミュニティ・カフェ・イベント。地球環境
や社会について「みんなで語るカフェ」の場です。ゲストによるトークや、映画「ホピの予言」上映、優木はるか改め、あこうのライブもあります。川辺川を守る県民の会も出展し
ます。
学習会「今年,川辺川ダムが止まる。熊本から始まる住民決定型公共事業」
日時:2月25日(金) 18:30〜
場所:熊本市・パレア会議室1(水道町電停下車すぐ、鶴屋東館9階)
講師:森徳和弁護士(川辺川利水訴訟弁護団事務局長)
資料代:500円
主催・問い合わせ:川辺川を守る県民の会・土森(Tel. 070-5273-9573)
川辺川尺鮎裁判(ダム事業認定取り消し訴訟)
日時:3月17日(木) 9:30門前集会,10:00口頭弁論
場所:熊本地方裁判所101号法廷
問い合わせ:毛利(Tel.090-8834-1533)