子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会
ニュースレター 第23号 2004年(平成16年)2月27日発行


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*今回は、県民の会各会からの報告以外に、川辺川ダム問題現地の人吉市、八代市で活躍されている緒方紀郎さん、二見孝一さんや緑のダムの実証・普及活動に精力を注がれている松葉孝博さんに寄稿していただきました。ありがとうございました。

■川辺川ダム問題の現状と展望
〜農民・漁民・住民がダム建設をストップする〜 
                              
 水質日本一の清流(環境省認定)といわれ、30センチ級の「尺アユ」が群れる熊本県の川辺川に、九州最大級の川辺川ダム計画が発表されて38年。事業者である国土交通省は、2004年度政府予算案で、川辺川ダム本体工事費の計上を見送りました。同省は1999年度より川辺川ダム本体工事費を予算に計上したうえで、今年度まで5年連続で執行を見送っており、川辺川ダム事業は実質上凍結状態に入っています。
 国土交通省の補償案を否決して熊本県収用委員会の攻防にまで持ち込んだ漁民と、利水訴訟に勝訴した農民と、目的のなくなったダム建設を中止し清流を未来に手渡そうとする住民の闘いは、あと一歩で川辺川ダム計画を寄り切る所まで来ています。

●利水事業をめぐる攻防〜水が必要な農地は当初の5分の1〜
 川辺川ダムから農業用水を引こうとする川辺川利水事業の事実上の中止を求めて、多くの農家が農水省を相手に裁判を起こした「川辺川利水訴訟」で昨年5月16日、福岡高等裁判所は原告農家勝訴とする判決を下し、同19日には農林水産大臣が上告を断念し、判決は確定しました。
 その後、「農民が主人公」を合言葉に、熊本県・農水省・地元自治体・利水訴訟原告団など関係団体が一体となり、川辺川地区の新たな利水計画を策定しようと、農家の意向を聞く意見交換会(昨年7月から3回、延べ76会場)や、ダム以外の水源を探る現地調査が進められてきました。
 対象農家(4321戸)へのアンケート調査も2回実施され、農家が水を必要とする農地面積は約700ヘクタールで、当初計画の約5分の1でした。また水需要の分布では、農家が「水を必要」とする地区は点在し、島状でつながりがないことが分かりました。つまり、面ではなく、点での需要に対する細かな水手当てを考慮すべきです。
 新利水計画の事前協議メンバーである中島熙八郎・熊本県立大学教授は、「事業は国営でやるべきだが、既存施設の改修や多様な水源の活用で個別に対応できる」と述べています。熊本県も農水省の概要(たたき台)案に、川辺川以外の中小河川を水源とする案を加えるよう求め、同省と利水訴訟原告・弁護団も了承しました。
 この利水事業は、土地改良法によると農家の申請事業であり、事業を成立させるには対象農家の三分の二以上の同意が必要です。つまり、過大な水需要に基づいた川辺川ダムによる利水計画は完全に頓挫したわけです。

●収用委員会をめぐる攻防〜消えた川辺川ダムの「公益性」〜
 球磨川流域に漁業権を持つ球磨川漁業協同組合は2001年に、2度にわたり国土交通省が提示した川辺川ダム漁業補償契約の受け入れを否決しました。これを受けて2001年12月、国土交通省は漁業権の強制収用を求める裁決申請を熊本県収用委員会に対して行いました。
 2002年2月から2003年11月まで21回の審理が開かれましたが、新利水計画の水源が確定するまで審理は中断されています。治水・利水を目的とする川辺川ダム事業について、強制収用の前提となる「事業の公益性」は、「川辺川ダムから水を引く利水事業は違法」とする福岡高裁の判決が確定し、消えてしまったからです。
 国土交通省は、新利水計画に伴う川辺川ダム事業への影響について「ダムの利水容量が変われば、ダム本体の基本計画変更が必要になる」との現状認識を示しました。同省がダム計画を変更すれば、県収用委員会は収用裁決申請の却下要件に当たるかどうかを判断することになります。また、計画変更手続きには県議会の同意などが必要なため、同省が川辺川ダム本体建設に着手する道は限りなく険しくなっています。

●住民討論集会をめぐる攻防〜治水に川辺川ダムは不要〜
 住民側専門家による川辺川ダム治水代替案の発表をきっかけに、熊本県は2001年12月「川辺川ダムを考える住民大集会」を開催しました。国の直轄事業に対し、事業者(国土交通省)と住民が同じテーブルにつき、多くの住民の参加のもと、熊本県がコーディネートして事業の是非を議論するこの形式は、全国にも例がない画期的な試みです。
 2回目からは国交省が主催して、これまでに治水と環境をテーマに9回開催されてきました。その中で、治水上、川辺川ダムが不要なことや、川辺川ダムが流域の環境に悪影響を与えることが次々と明らかにされています。
 流域の河川改修が進み、未改修の一部の地区を除けば、今では過去最大の洪水が来ても球磨川からあふれません。多くの流域住民は過去の経験から、大雨の時にダムに限界までたまった水が一気に放流される時の増水を恐れ、ダム建設に反対しています。危険なダム建設に頼るのではなく、人工林の間伐をすすめて山林の保水力をさらに高めることや、河川の浚渫をすすめ、より水害に強い地域づくりを進めていくことが求められています。そのほうが、より安全で環境にやさしく、地域振興にもつながります。
 昨年12月の第9回討論集会では、今後、熊本県・国交省・住民で、森林の保水力調査を進めることが合意されました。今後は、事業者と住民とが情報を共有し、検証していくことが不可欠です。

●清流を未来に!
 川辺川ダム事業は、無駄な公共事業の象徴であり、各種世論調査の結果を見ても住民の多くは川辺川ダム建設中止を求めています。問題がここまで複雑・長期化し、水没予定地・五木村をはじめ多くの住民がダム問題に翻弄され続けた理由は、行政が住民の声を無視して事業を進めてきたからです。
 今後、川辺川ダム建設の「受益者」とされている下流域住民のダム不要の意志をよりくっきりと大量に表し、「被害者」とされている五木村民や球磨川漁協の本来の意志と結び付けるとともに、これをさらに広い国民の世論で包み、ダム建設を完全中止に追い込んでいくことが、私たちの世代に課された責務ではないでしょうか。
                                 (文責:緒方紀郎)


■森林の保水力の現地検証について
 皆さんご承知のとおり、昨年12月14日(日)に行われた第9回住民討論集会で、川辺川流域で森林の洪水に対する保水力についての現地検証を行うこととされました。討論集会では森林の保水力についての評価が対立していることから、直接現地で確認をすることとなったものです。異論ある自然現象について、現地で確認をしようということは、自然の流れなのですが、具体的にどのような方法の検証を行うのか、ということが問題になります。
 これまでの討論集会の議論では、国交省はダム反対の登壇者に対して発言の揚げ足とりや個人攻撃を行い、また、住民の素朴な疑問に対して、はぐらかし、すり替えを行い誠実に応えようとしない姿勢が目立ちました。川辺川ダムに対して市民が呈している疑問を否定しようと躍起です。国土の保全、河川行政を担うプロとしての矜持が感じられません。自らの業務を否定されたら腹も立つでしょうが、プロとしての誇りで包み込むような対応が出来ないものか、と思います。
 今回合意のあった現地検証も本来は行政が率先して行うべき事柄です。行政は、縦割り組織のため容易に意志決定を行えず、計画・実践・検証に時間と労力を要するのは解りますが、近年「緑のダム」の効用が話題となっていることからすると、もっと早くから取り組んで良い問題でした。
 現地検証の方法は、雨水の地表流の有無確認、森林の状態別による浸透能*や土壌の差異の確認等が考えられます。これから専門家を交えて協議されますが、これまでの経緯からすると検証方法を巡って敵対することも心配されます。本来は、国土保全の方法の検討を市民がサポートするという構図が理想なのですが、まだ、国交省とダム反対市民側との治水の方法を探る共同作業となるようには期待出来ません。検証方法が合意され実行されても検証現地での監視が必要になるでしょう。
 「くま川水系緑のダム再生ネットワーク」でこれまで行った川辺川流域での5回の浸透能調査では、人工林に対し自然林の浸透能が少ないところで2倍、多いところでは7倍もありました。浸透能の差だけでピーク流量カットを証明するものではありませんが、計測地が10mほどしか離れていなくてもほぼ確実に差異が現れることに驚きを感じます。
 豊かな森林は、綺麗な地下水、地味に富んだ土壌を育み、その土壌の流出、土砂災害を防ぎ、また、二酸化炭素を減らし温暖化防止に働くことは周知の事実です。手入れされた人工林に入ると、林床が薄暗く表土が現れた放置人工林では得られない、自然林の中を歩いているような安らぎを感じます。更に森林整備を進めることは、「緑の雇用」となり、地域活性化にも繋がります。森林の保水力による洪水抑止(ピーク流量カット)効果は、川辺川ダムに於いては大きな問題ですが、多大な森林の効果の一面に過ぎません。
 森林の保水力検証が川辺川ダム問題の収束は勿論、豊かな国土保全に働いていくことを期待します。
         (くま川水系緑のダム再生ネットワーク 松葉孝博)

* 注・・・浸透能とは、森林土壌が一定時間に浸透させることができる雨水の量。スギやヒノキなどの人工林で間伐を怠ると、日光が遮られ下草や低木が生えず、長年蓄積された腐葉土を含む表土が洗い流されるため、浸透能が低くなるものと考えられる。森林の保水力を表す指標として、この浸透能と貯水能(森林土壌が一定期間、雨水を地中に貯留する水の量)がある。

■各地域からのメッセージ
人吉から
 早いもので、今年の夏で「県民の会」も発足してまる8年になります。活動を始めるのは簡単ですが、継続するには血のにじむような努力が必要です。長年活動を続けてこられた、県民の会の皆様に敬意を表します。
 さて、人吉を本拠地とする「手渡す会」(清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会)は、活動を始めて11年目となります。1993年8月8日、発会式を人吉市の青井神社で行ったときは、本当に小さな一歩でした。その後、人吉市内の署名活動を皮切りに、川辺川ダム問題に関する学習会や講演会などの開催、署名活動や国土交通省など行政機関への申し入れ、住民討論集会や収用委員会などでの専門家的な取り組みなど、川辺川ダム問題をめぐる地元住民団体の中核として活動を続けてきました。
 1996年の「県民の会」発足の後は、県民の会の皆様と一心同体で、毎年のように「今年度こそダム本体着工」と言われながらも、これまで11年間、ダム本体着工をどうにか食い止めてきました。これも県民の会の皆様、そして美しい清流やふるさとを愛する多くの皆様のご支援・ご協力があってのことだと、深く感謝いたします。
 現在、川辺川ダム事業は全く先行き不透明で、こう着状態に陥っています。が、1年前、2年前と比べても、川辺川ダム建設をストップできる可能性ははるかに大きくなっていると思います。しかし、国がそう簡単に白旗を揚げることは考えられません。
 球磨川・川辺川の清流は県民の宝であり、今後の地域振興にも不可欠な財産です。今後も長い闘いが続くと思いますが、お互い健康に気をつけて、がんばりましょう。清流球磨川・川辺川を未来に手渡すために、今後ともよろしくお願い致します。
(清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会 緒方紀郎)

清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会
  連絡先:熊本県人吉市北泉田町214番地  重松隆敏方(事務局長宅)
       TEL/FAX:0966-22-3917

八代から
県民の会の皆さん、原稿を書かせて頂くのは久しぶりのような気がします。ご無沙汰してました。
さて、今回は熊本で開催される国際シンポジウムのご案内を致します。潮谷義子熊本県知事の英断により、日本のダムで初めて、球磨川中流の県営荒瀬ダムの撤去が決まりました。ダム湖に土砂がたまって川底が上昇したために水害が頻発するようになった地元の人や、水質悪化に悩まされていた下流域の人たちなど、ダムの撤去には大きな期待を寄せています。荒瀬ダムのすぐ上流にも瀬戸石ダムがありますが、あと10年でこのダムも水利権更新期限が来ます。邪魔者の荒瀬ダム、瀬戸石ダムを完全撤去し、川辺川ダムを中止させ、鮎の大群が押し寄せる昔の清流球磨川を取り戻しましょう。
そこで、3月25日に、八代にてダム撤去の本場アメリカから専門家を招聘してダム撤去の国際シンポジウムを開催します。国内の専門家もパネラーに迎えた、豪華メンバーによる講演会です。皆さんお誘い合わせの上、お越し下さい。会報にもシンポジウムのチラシを同封させて頂きましたが、このチラシを10枚以上配布していただける方は、下記まで発送先住所をご連絡下さい。こちらから郵送させて頂きます。
(美しい球磨川を守る市民の会 二見孝一)
美しい球磨川を守る市民の会
連絡先:〒866-0895 八代市大村町804-1 二見孝一
TEL/FAX: 0965-43-1051 携帯:090-6421-9270
E-Mail:kfutami@mrh.biglobe.ne.jp

*ダム撤去国際シンポジウム 荒瀬ダム「日本初のダム撤去がもたらすものは?」
   日時: 3月25日(木)19:00〜21:30
会場:八代市厚生会館(熊本県八代市西松江城町1-47)
講演者:ジェームズ・F・ジョンソン(元陸軍工兵隊最高幹部)
デビッド・L ・ウェグナー(元開墾局研究者,『ダム撤去』執筆者)
大熊 孝(新潟大学教授)
村上哲生(名古屋女子大学教授)
問い合わせ:出水晃(TEL:0965-32-2261),つる詳子(TEL:0965-32-7359)
参加費:1000円
主催:美しい球磨川を守る市民の会,RPN 
後援:八代市,坂本村,八代漁協

●熊本から
 熊本での運動が担っている使命として、現地支援以外に、熊本市でのダム反対の世論の盛り上げや熊本県への働きかけがあります。昨年一年間の活動を振り返りますと、5月の利水高裁判決以降3回にわたる農家と行政の意見交換会が行われ、会としてもこちらへの対応を最優先で行いました。片や、ダム反対の世論の盛り上げや熊本県への働きかけは、その合い間にしかできず、取り組み方として不十分であったといわざるを得ません。
 熊本市でのダム反対の世論の盛り上げとして昨年取り組んだのは、県知事に提出するダム中止の署名集めです。3月以降、ほぼ月一回のペースで行いました。毎回、数百人程度の署名が集まります。特に利水判決以降は世間の人々もダム中止を期待しているということが肌で感じられます。ただ、署名活動だけでは話す時間も限られており、道行く人に入会の勧誘をしたりすることは非常に難しいものがあります。
 本来ならこの署名活動をベースにして署名してくれた人に対して、学習会やシンポジウムに来てもらうよう呼びかけることができればいいのですが、学習会やシンポジウムを開催する余裕はありませんでした。
 熊本県に対する働きかけは、県議会に対する働きかけが不十分ではありましたが、利水判決時の要請など、最低限のことはやってきたと思います。
 以上が、昨年一年間を振り返っての反省点です。今年は、報告にもある通り、森林の保水力、すなわち緑のダムの検証が大きなポイントになります。結果によっては川辺川ダムを中止に追い込むことも可能です。ただそのためには、まず私たちが緑のダムのことをよく知らないといけません。そこで下記の通り、3月5日に緑のダムの学習会を行います。学習を通して緑のダムを理解し、その上で、行政に対して緑のダムへの政策転換を迫っていきたいと思います。ぜひ、皆さんもご参加ください。今年はこの学習会を第一弾として、熊本市内でできるだけ多くのイベント行い、ダム中止を求める世論を熊本から生み出していきたいと思います。
            (県民の会 土森武友)

    *学習会「今こそ緑のダム−治水・環境保全・雇用創出・地域活性化を目指して」
日時:3月5日(金)19:00〜
場所:熊本市・産業文化会館6階第5会議室
講師:中島康
資料代:500円
      主催・問い合わせ:川辺川を守る県民の会・土森(TEL:070-5273-9573)

●福岡から
  福岡の会にとって2003年度は忘れがたい年となった。5月に福岡高裁において川辺川利水訴訟が勝訴したのである。福岡の会の最初の活動は、川辺川利水訴訟をいかに福岡でサポートするかだったと言う。節目節目ごとに、200キロ向こうの人吉・球磨から弁論へかけつける原告農家の皆さん。労をねぎらい、地元福岡で支援者を増やしていくことは私たちの使命だった。
 後半の裁判では、裁判所の外で待機されていた原告団の皆さんに、お茶や茶菓子を差し入れる余裕が出てきて、皆さんに大変喜んで頂いたことが懐かしい。時には、私たちがおにぎりや漬け物、シシ肉といったご馳走を頂くこともあった。
 ともあれ利水訴訟は完全勝訴し、すぐさま新利水計画策定作業が始まった。農水省・熊本県と一緒に対象農家を回り、アンケートを回収する作業にも福岡の会から数度は参加したが、まだ十分にサポートできていない現状である。また熊本地方裁判所では川辺川尺鮎裁判(事業認定取り消し訴訟)も続いており、こちらもぜひ支援して行きたい。また五木村の支援も、引き続き取り組んでいきたい。
 福岡の会近辺では、利水訴訟判決の集会や昨年8月の五木村キャンプなどの取り組みを通じて、支援者の輪が更に広がりつつある。また福岡の会メンバーが、昨年11月にタイで開催された「River for Life命のための川:第2回ダム被害影響住民及びその支援者による国際会議」(国際河川ネットワーク、東南アジア河川ネットワーク主催)において、川辺川から参加した吉村勝徳さん(川辺川・球磨川を守る漁民有志の会)のサポートにも当たった。世界61カ国から300人が参加したこの会議では、参加者と交流を深めるとともに、同じダム問題に取り組む仲間として互いの経験の共有と、今後どのように協力していけるかについて真剣な議論が交わされた。
 九州第一の人口を誇る福岡において、川辺川ダム問題について世論の喚起をしていくことは、引き続き福岡の会の重要な役割だと考える。福岡の会が活動を始めた当初、「川辺川」と言ってもほとんど知っている人はいなかった。それが今では知名度も上がり、街頭署名やアピールをしていても市民の意識が以前より高まっていることを実感する。呑んべえも多い福岡の会では、「早くダム問題を終わらせて、勝利の美酒に酔おう」が合い言葉になりつつある。ダム中止まであと少し。地元にいないけれどもできることは確かにある。その思いを胸に福岡の街で確かな支援の輪を広げつつ、今年も精一杯地元の皆さんをサポートして行きたい。
                                       (福岡の会 寺嶋悠)

●関西から
 川辺川の清流を守るために、遠くからでもできることをやっていこう!という主旨のもと、細々と活動している関西の会ですが、これといった大きなイベントをするでもなく、署名の呼びかけや個々人の投書など、活動内容はホント細々としたもの。県民の会の会員で関西在住者の集まりということから、個人的には、関西でのダム反対のイベントに参加したり、全国の仲間が関西に来た時などに歓迎したりといった、何かがあるときに都合のつく人間が自分の意思で参加する、というスタンスでいいとは思っていますが、それだけではちと寂しいのも事実です。
 そこで、関西在住である、関西の会会員(これを読んでいる関西人のあなた、あなたですよ!)から、こんな集まりやったらどや? とか、私ゃこんなことやりたいんやけど、だれか協力してんか!といった声を出してもらえたらええな、と思てますねん。また、取りまとめや企画の中心となってくれる方がおられましたら、これまた大歓迎でんねやわ。
 初歩的な内容ですが、掲示板もある「関西の会のホームページ」を作りましたので、あなたの声を届けていただけたら幸いです(関西の会の方だけやなくて、全国から声を届けてや〜)。ネット環境にない方は、ファックスでもよろしおま。
 ホームページアドレス:http://mypage.odn.ne.jp/home/k_wave、ファックス番号:0724-26-2812です。
 私の好きなフレーズは、福岡の会の松原学さんがおっしゃる、「頑張らない、けどあきらめない」。この気持ちで頑張りましょう!<え?頑張らない、ちゃうのん??
                                       (関西の会 加藤広行)

■会員投稿
川辺川の魅力
 私と川辺川との関わり、それはカヌーをはじめたことがきっかけでした。カヌーのできる川をネットで探していて、たまたま知った熊本の川辺川という川。そこがカヌーを楽しめる全国でも数少ない清流だということ、しかしダム計画により、その清流が危機的状況にあることなどを知ったのが1998年ごろでした。
 その後、長良川河口堰に反対するイベント「長良川DAY」で、川辺川のブースにいた西田陽子さんと話をしたのが、私が川辺川と関わる直接のきっかけとなりました(あれが西田さんのようなかわいい女性じゃなくて、むさくるしいおっさんだったなら、私は今でも川辺川とは無関係かも知れません(笑))。
 そして、はじめて訪れた川辺川。そこで見た、噂に違わず美しい川と自然豊かな環境は、充分に私の心を惹きつけるものでした。しかし、それ以上に私を魅了したのがそこにいる人たちでした。柳瀬の権現川原や八代、熊本などではじめて会った人たち。正直、最初はとっつき難そうな個性的な面々だと思いました。しかし、川辺川に対するそれぞれの思いを聞いたり、ダム反対運動に関わる真剣な姿を見たりするうちに、その人たちのもつ素晴らしさが分かってきました。それは、ダム反対運動とは対極の側にある人たちを衝き動かしているであろう私利私欲とはおよそ無縁の、欲や名声で動くことのない、しかし自分の意見をしっかりもった人たちでした。
それから川辺川へ通うことが私の楽しみとなりました。川辺川でカヌーやキャンプをすることはもちろんですが、それ以上に、そこで多くの仲間と同じ時間を過ごすことが実に楽しく、また勉強にもなります。川辺川に行く、と言うよりも、ダム反対の仲間に会いに行く、と言うほうがむしろ正直な気持ちかも知れません。
さて、標題の「川辺川の魅力」、それは私にとって、清流・川辺川の魅力であることはもちろんのこと、それ以上にそこに集まる人の魅力なのです。近頃特に、家庭や仕事の忙しさを理由に、なかなか行動の伴わない私としては、地元熊本だけではなく全国で川辺川ダム反対運動に積極的に関わっている人たちを見て、実は、密かに尊敬しているのですよ。
(関西の会 加藤広行)

イベント・インフォメーション
ダム中止署名集め
 日時:3月7日(日)13:00〜
 場所:熊本市・下通りダイエー前
 主催・問い合わせ:川辺川を守る県民の会・土森(TEL:070-5273-9573)

よみがえれ有明海!シンポジウム〜宝の海をとりもどそう
日時:3月21日(日) 13:00-15:30
場所:熊本学園大学4号館412号教室(熊本市大江2-5-1,TEL:096-364-5161)
  講演:朴弁護士(韓国環境運動連合付属環境訴訟センター常任弁護士)
パネラー:馬奈木昭雄 (弁護士、よみがえれ有明訴訟弁護団長)
    森徳和(弁護士、川辺川利水訴訟弁護団事務局長)
 主催・問い合わせ:公害弁護団全国連絡会議(連絡先:熊本中央法律事務所 TEL:096-322-2515
FAX:096-322-2573)
 *入場無料です

ダム撤去のノウハウを学ぶ専門家向け特別研修会
日時:3月26日(金)9:30-15:00
場所:八代グランドホテル2階臥龍(八代市旭中央通10-1,TEL:0965-32-2111)
参加費:10,000円
問い合わせ・申し込み:つる(TEL:0965-32-7359,FAX:0965-32-7759
                E-mail:tsu-ufar@mx7.tiki.ne.jp,〒866-0073八代市本野町463-6)

川辺川尺鮎裁判(事業認定取消訴訟)
日時:5月6日(木)9:30門前集会,10:00口頭弁論
場所:熊本地方裁判所101号法廷
問い合わせ:毛利(TEL:090-8834-1533)