2008年6月5日、子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る福岡の会より熊本県知事に対し、以下の要望書を提出しました。
熊本県知事 蒲島 郁夫様
2008年6月5日
荒瀬ダム撤去の凍結表明に対する緊急抗議 子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る福岡の会 平素より九州の地より先進的な民主主義、環境政策を実施されていることに、心より敬意を表します。 さて、昨日の定例記者会見での荒瀬ダム撤去の凍結方針を知り、聡明なる貴職の判断とは思えず、まったく驚いております。 2002年に貴職が決定した荒瀬ダム撤去は、賢明な判断理由と、撤去方法をめぐる地域住民と県との開かれた議論の場というプロセスにおいて、日本国内および国際的にも高く評価されています。すでに一部工事も始まり、「環境立県」を目指す熊本県にとっても大きな柱の一つであり、全国に先駆けて河川環境と流域住民が川の恵みを享受する生活の再生を目指す、極めて大きな意義をもつ事業であったはずです。 住民参加のこれまでのプロセスに対してもあまりの軽視であり、貴県の誇る「環境立県」「住民主体の河川管理」という優れた政策を、大きく後退させるものです。 貴職は、方針転換の理由として、撤去費用の高さと地球温暖化への効果を理由とされています。しかし、これまで50年以上に渡って流域が支払い続けている代償と苦痛を思えば、その費用はむしろ安いと言えるのではないでしょうか。 また、ダムによる地球温暖化防止における効果については、国際社会において強く疑問視されています。二酸化炭素排出量を減らし、地球温暖化を防ぐためには、太陽光や風力発電、小規模発電等の再生可能な自然エネルギー開発の推進や、生活スタイルの変換、産業界や法規制と連動した取り組みこそが必要です。ダムによる水力発電は、環境負荷があまりに甚大であり、最新の研究によれば、湖面からのメタンガス発生は人間活動に起因する温暖化原因の4%を占め、最大の要素となっています。 また、もともと河川管理者である国交省からの撤去費用支援があるべきであり、全国に先駆けた画期的なこの河川・社会環境再生事業について、県より国に対し応分の支援を求め働きかけるべきものと考えています。それらの働きかけ等がなされた後の判断であったのでしょうか。 熊本県のみならず、九州、日本中の市民が大きく期待を寄せて見守っている荒瀬ダム撤去を、十分な検討のなされないまま短絡的な判断によって180度撤回するという今回の貴職の意見表明に対し、断固抗議致します。 荒瀬ダムの現場に建ち、そこに暮らす住民の声を貴職自身が聞かれるべきです。直ちに先の表明を撤回され、崇高で聡明な貴職の判断により、荒瀬ダム撤去を速やかに進められることを要望します。 以上
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