2005年6月11日、川辺川利水訴訟原告団および同弁護団より、新利水計画策定の第5回意見交換会・集落座談会に関して、以下の意見照会書(兼公正確保委員会申立書)を提出しました。
2005年6月11日
熊本県地域振興部
部長 鎌 倉 孝 幸 殿川辺川利水訴訟原告団
名誉団長 梅 山 究
川辺川利水訴訟原告団
団 長 茂 吉 隆 典
川辺川利水訴訟弁護団
団 長 板 井 優意見照会書(兼公正確保委員会申立書)
貴職におかれては、第5回意見交換会・集落座談会の運営のために大変な努力をされており、心から敬意を申し上げます。
私どもとしては、これまでの意見交換会、集落座談会で出された質問などから、以下のいくつかの点で緊急に事前協議において正確な理解を経て、関係農家に対して説明する必要があるものと考えています。
私どもとしては、ダム利水案で、中小河川からの補給水が問題になっている地域は、そもそもこれまでのアンケート調査結果で、そのほとんどが水を必要とする農家の数が問題になっているところと理解している。そこで、そもそも水が必要かどうかはこの地域ではまず検討いただきたいと考えているところです。その上で、何よりも重要なのは、そもそも水掛の下流側に水を届けるには、上流と下流の水回しの話し合いと、水路の途中で水漏れがないようにすることを優先することが必要であると考えています。基本的にそれをすれば十分であると考えています。これに対し、ダム利水案は、10年に1度の渇水時などに補給水を流せば問題が解決するとの見解であると理解しているが、農家からこの点について根本的な質問が出されている。これまでの事前協議では、この点について詰められておらず、関係者の中でもこの点について事前協議が必要なことが指摘されています
貴職におかれては、本書の趣旨を踏まえていただいて、特に、補給水の関係では緊急に事前協議をしていただければ幸いです。1. 中小河川かかり水田への補給水について(九州農政局宛)
この間の町村単位意見交換会、農家同士の話し合いの中では「中小河川かかりの水田へ水を配れるのは川辺川ダム案だけ」、あるいは「(相良六藤)堰案ではうちには水はこん」、「兼業化の中、代掻きや田植えの時期が集中し、下流に水が回らないときがある。だから、(ダムからの)水は必要」など、川辺川ダム案における中小河川かかり水田への補給水供給への期待が表明されてきた。また、播磨所長はじめ九州農政局は「(川辺川ダム案では)渇水期など水の足りないときにはダムからの水を補給します」、「10年に一度の渇水期に対応します」と説明している。しかし、これまでの意見交換会は無論、事前協議においてもこの「水田補給水」がどのような状況の際に、どの程度の量が「補給」されるのかについての具体的説明は無かった。その点に関し、特に重大と思われるのは、多良木町での意見交換会の際に出された、上記「兼業化の中、代掻きや田植えの時期が集中し、下流に水が回らないときがある。だから、(ダムからの)水は必要」という趣旨の発言に見られる期待との関係である。代掻き、田植えを前に少雨の期間があり、「水回し」などで凌がざるを得ないことは起こりうる。
九州農政局の説明を、期待を持って聞く農家からすれば、「そんな時は何時でもダムからの水が来る」と理解するのではなかろうか。このことにつき、以下の質問に回答されたい。
@ 補給水が供給される「水の足りないとき」とはいかなる状況をさしているのか、具体的に明らかにされたい。
A 「足りない」と判断する根拠・基準は如何なるものか、また、その判断主体はどこか具体的に明らかにされたい。
B 上記で「足りない」とされた場合、その不足分の量をどのように決めるのか、また、どの程度の量が実際に供給され
るのか明らかにされたい。
C 水源転換による「全量供給水田」の水代は年間4,500円/10ha、「補給水供給水田」は年間450円/10haとなっており、10分の1である。このように10分の1とする根拠を、上記@〜Bとの関係で明らかにされたい。2. 「既存水利施設の改修」等について(九州農政局宛)
6月8日、多良木町丸山公民館における農家同士の話し合いの中で、下記の発言があったと報告されている。
農家:水が漏れている。途中で水が漏れれば水を引いても同じだ。
村山課長: そういうのは補修する。この事業からはずれることになる。
村山課長: ダム案であろうとなかろうと補修はする。
熊本県:相良六藤堰案で補修が入っている。
この趣旨の発言があったかどうか、まず、確認されたい。その上でもし、このような発言があったとすれば、多良木町村山課長の「ダム案であろうとなかろうと補修はする。」との発言は少なくとも、事前協議における検討結果に反するものである。また、その前の「そういうのは補修する。この事業からはずれることになる。」とも矛盾するものであり、参加農家はじめ関係農家に無用の誤解を与えるものである。このことについて以下の質問に回答されたい。
@ 「川辺川ダム案」には「既存水利施設の改修」という事業は含まれていないと理解しているがその通りか、事前協議において確認されたい。
A 「ダム案であろうとなかろうと補修はする。」とした根拠はいかなる事実に 基づくものか、明らかにされたい。
B 上記の誤った発言による誤解の広がりを防止するため、直ちに所要の措置をとられたい。3. 「水田」優先の根拠について(熊本県農政部宛)
6月8日、相良村朝の迫集落センターにおける農家同士の話し合いの中で以下の様な発言があったと報告されている。
農家:水が足らない場合、六藤案では水田が優先し、畑地は制限されるという話だったが。
振興局(東田):水田は既得水利権があり、優先権をもっている。だから水が少ないとき、畑は新規となるため水がとれない。既得水利権が優先する。
まず、このような趣旨の発言があったかどうか確認されたい。もしあったとすれば、その内容は、事前協議においては全く議論されてもいないし、ましてや了承されたものでもない。その意味で、事実に反するものである。このことについて以下の質問に回答されたい。
@ 振興局東田氏は、何を根拠にこのような発言を行ったのかを明らかにされたい。
A 九州農政局、熊本県農政部はこれまでの説明の中で、「水田も畑も、同様に10年に1度の渇水期に対応している」としているが、そのことに間違いは無いか確認されたい。
B 振興局東田氏の発言が事実に基づかないものであり、「水田も畑も同じ扱い」であることを事前協議として確認されたい。
C その上で、東田氏あるいは振興局、農政部の責任において、このような誤解を招く発言が誤りであったことを関係農家に周知徹底していただきたい。以上
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