2005年1月5日、県民の会より国土交通大臣、及び国交省九州地方整備局局長に対し、以下の要請書を提出しました。
2005年1月5日 国土交通大臣 北側 一雄殿 子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会 去る12月24日、九州地方整備局は熊本県収用委員会に対し、川辺川ダム建設事業に関る土地収用法に基づく裁決申請を行いました。これに対し、私たちは強く抗議の意志を表明します。 2000年12月、特にダムの治水面での効果や環境影響調査の不備、漁業や河川の流れにおける影響への懸念、費用対効果への疑問等において、その是非を問う声が極めて強い状況の中、国土交通大臣は川辺川ダム計画の起業者たる同省九州地方整備局に対し、ダムの公益性へのお墨付きとも言える事業認定を行いました。 2001年12月、球磨川漁協での漁業補償案受け入れ拒否等によって九州地方整備局は、漁業権とダム水没予定地南部地区の土地所有権について、土地収用法に基づく最初の裁決申請を行いました。熊本県収用委員会はこれを受け、翌2002年より収用委員会審理を開催してきましたが、2003年5月16日、川辺川利水訴訟勝訴判決確定によって利水事業が白紙に戻ったことを受け、その後審理は中断されたまま現在に至ります。 このような中、昨年8月には内部文書によって650億円ものダム事業費増額が明らかにされました。わずか6年間で650億円もの急増が平然と行われていること、この事実の発表時期を操作しようとしていた国土交通省に対し、われわれ市民のみならず、熊本県もまた強い驚きと不快の念を抱くに至っています。 また2001年3月には、地元川漁師たちによって事業認定取消訴訟(尺鮎裁判)が提訴され現在も係争中にあります。2001年12月から熊本県コーディネートの下で開催されている川辺川ダム住民討論集会では、9回目を開催して後、ダムによる治水効果に関わる森林保水力に関し、国と住民側とでの共同検証を現在実施しているところです。 このような状況の中、今回の収用裁決申請が行われたことに対し、極めて強い抗議の気持ちを禁じ得ません。時代に逆行し、あくまでダムありきの姿勢を貫こうとしている国土交通省によって、ダム水没予定地である五木村はすでに38年以上も不安定な社会状況に置かれています。また、1997年に改正された新河川法に基づく河川整備計画づくりは遅々として進んでおらず、河床掘削や堤防強化などにおいても取り組みは遅れている状況にあります。今や川辺川ダムのみを頼りとした旧来の治水計画では対応できないことは明白です。 今回収用裁決申請の行われた対象には、一般民家や農地も含まれています。これ以上ダム問題を長引かせ、地域や流域全体を分断し、ダム頼みの治水対策の遅れを引き起こすことが、国民の生命財産を守るべき国の姿でしょうか。 国土交通省ならびに起業者におかれては、速やかに収用裁決申請を取り下げることを強く要請します。同時に、流域住民が参加した形での、真の意味での市民と行政の新しい関係構築へとつながるよう、新河川法に基づく河川整備計画づくりへ向けた取り組みを開始されるよう要請します。 以上 |
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