1.計画から30数年以上たった川辺川ダム計画について、どの様にお考えですか。
賛成、反対、その他の立場から、理由もあわせてお答えください。
ダム建設反対です。
計画から40年近く経過した今日、計画当初の目的は既に形骸化しています。さらに
治水に関しては自然の営みを巨大なコンクリートの建造物で遮断してしまう方法から、
自然との共生によるもの、かつ流域住民の合意に基づくものヘと考え方の転換が見ら
れます。こうした新しい流れから川辺川ダム問題が取り残されることのないよう願っ
ています。
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2.現在、潮谷義子県知事の提唱による「川辺川ダムを考える住民討論集会」が開催され
ています。もともとは「ダム事業の大義について、県民の方に国土交通省は説明を行う
必要があると考え、治水を中心とした川辺川ダムの論議について、オープンかつ公正に
論議する場として(知事発言)」企画されたものです。国土交通省の川辺川ダム事業に
対する説明責任とこの「住民討論集会」での議論のあり方について、どうお考えですか?
住民討論会には私・鬼海洋一も参加し見聞しております。
住民討論会は議論を重ね、県民の意志を確認する作業として重要なことと捉えます。
これまで実施したことのない作業の積み重ねは市民、県、国それぞれに甚大な努力と
決断を要するものと評価をします。
また討論には論点ごとの確実な資料・情報に基づくことが不可欠です。そのため国は
国民の生命と財産を守るために調査研究した成果を提示し、それに基づいた議論を
する必要があると考えています。
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3.この「住民討論集会」における議論の中で出されている河床掘削や堤防かさ上げ、緑
のダム等の治水代替案とダムによる治水についてどうお考えですか?
治水代替案は民間研究者による調査・研究・資料分析によるものです。
2で述べたように国民の生命と財産を守るために国が調査研究した各種資料を保持す
るものであり、代替案の存在が公開討論会を開催させた経緯を考えるとき同一俎上に
乗せ議論を尽くすべきでしよう。
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4.2月16日には環境をテーマとした「住民討論集会」が開催され、ダムによる環境への
影響を心配する住民の質問が続出しました。ダムによる環境への影響の有無をどうお考
えですか?理由もあわせてお答えください。
ダム建設は環境ヘ多大な影響を及ぼすものと認識しています。特にダム湖水のよどみ、土砂堆積、湖水の放流、排砂による河川、海への影響は大きなものがあることは最近の研究者の指摘するとおりです。川辺川ダムのみが環境ヘの負荷を免れるとは考えに
くいものです。
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5.2001年、球磨川漁業協同組合がダム建設受入を前提とする補償契約を拒否したこと
により、国土交通省は漁業権の強制収用のための裁決申請を熊本県収用委員会に行い、
昨年から収用委員会で審理が続いています。
審理の焦点は、共同漁業権が球磨川漁協に帰属するのか組合員個人に帰属するのかと
いうことと、ダム建設による漁業への影響に対する補償をどう見るかということです。
強制収用という手法と収用委員会での審理内容についてどうお考えですか?
漁棄権の公用収容は法律論的に大変困難なものだといわれます。権利を有する漁民た
ちで構成する球磨川漁協は漁業補償案を2度に亘って否決し、漁民の意思を表明して
います。住民参加の河川整備を進めようとする今日、あえての強制収用という手法は
大いに疑問です。
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6.川辺川ダムのもう一つの目的である利水については、農水省の川辺川総合土地改良事
業に対して、受益対象農家の過半数が「ダムの水は要らない」と裁判に訴えています。
事業の同意数が焦点となったこの利水裁判は一審では原告農家が敗訴しましたが二審の
福岡高等裁判所の審理は1月に結審し、5月に判決が出される予定です。この問題につい
て、どうお考えですか?
利水については県議会の代表質間で取り上げたことがあります。公共事業の執行が計
画から長い年月が経過している場合、事業環境の変化が大きく、実態にそぐわないもの
になる例を視察しました。農家個人と市町村の財政的負担のみが重くのしかかる現
実を前に、事業主の国はこの実態を丁寧に検証することが必要だと感じました。
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7.熊本県の財政状況は、まさに危機といってもいいくらいですが、900億円にも上る県
負担を強いる川辺川ダム事業の県財政に与える影響は計り知れません。以下の3項目に
ついて具体的にお答え下さい。
1)現在の熊本県の負債総額
2)川辺川ダム事業が県財政に及ぼす影響
3)この財政問題をどう解決するか?
1)1兆3千2百億円(l3年度決算)
2)全国的にも厳しい県財政から考えても、川辺川ダム建設は大きな負担となります。
3)支出の徹底した見直しと県、議会、県民の知恵を総動員した熊本県ならではの経済
活性化策を検討し、実行することです。
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8.30数年間、ダム問題に翻弄され続けてきた五木村、相良村の振興についてどうお考
えですか?
ダム間題と切り離した形での地域振興策を図っていきます。
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9.各種報道機関の世論調査によると県民の過半数がダム建設反対あるいは見直しであ
り、ダム建設賛成は10%にも届きません。このことと御自身の川辺川ダムに対する見
解について、どうお考えですか?
計画が実態と齟齬を生じた場合に、なかなか柔軟な対応が出来ないのが行政の欠点で
もあります。今後は議論を尽くした上での計画・実行・変更・見直しができる仕組み
づくりが重要です。ぜひとも県議会でこうした仕組みづくりに県民の皆さんとともに
尽力していきたいと考えています。