以下は2005年4月5日毎日新聞に掲載された、萩原堤防フロンティア堤防化問題に関し、
国が虚偽の説明を行ってきたことが明らかになったという報道記事です。
萩原堤防問題詳細は、こちらのページへ
■■毎日新聞2005年4月5日朝刊記事より■■
1面
○球磨川フロンティア堤防
○建設費を改修費と説明
○予算関連文書開示で判明熊本県八代市の球磨川・萩原堤防を、200年に一度の大洪水にも
耐えるフロンティア堤防にする計画が白紙に戻された問題で、01年
当時、計画が「検討段階だった」としてきた国の説明はウソで、実際は
予算がついて施工段階に入っていたことが、毎日新聞の請求で開示
された国交省の予算関連文書で分かった。国はこれまで問題の予算
を「侵食された川底のえぐれを埋め戻す改修費」としてきたが、実際に
は堤防建設費で、埋め戻しとは無関係に堤防建設に着手し、5年後の
今年度中には完成を見込んでいた。
国土交通省九州地方整備局や八代河川国道事務所はこれまでの
住民説明会などで、01年度当初予算に計上された萩原地区の河川
改修費1億円は、「川底のえぐれの埋め戻し費」と説明。「魚への影響
を心配する球磨川漁協の要望で予算の執行を停止し、八代海域の
環境調査に予算を流用した」と話してきた。
ところが毎日新聞の請求で3月末に開示された同事務所の「01年度
直轄河川改修事業箇所別調書」によると、1億円は長さ1850メートルの
フロンティア堤防の下流側200メートル部分の建設費としてあげられ、土
台固め費9000万円、盛土などによる築堤工事費1000万円と明記され
ていた。
また同調書の添付資料には、フロンティア堤防の工事は01年度以降
毎年継続し、05年度の完成見込みと記されていた。
調書開示に立ち会った塚原健一・国交省九州地方整備局河川調査官
(当時。4月1日付で九大助教授に転出)は、1億円がフロンティア堤防の
建設費であったことを認めた。
フロンティア堤防を巡っては、昨年8月、間いい日新聞の取材に八代
河川国道事務所は「詳細な実施設計は行っておらず、まだ検討段階」と
説明したが、実際は実施設計も終えていたことが12月に発覚した。
【福岡賢正】
25面
○球磨川堤防
○ダムありきの撤回
○国交省虚偽説明 流域住民ら反発「川辺川ダムありきの事業撤回だ」・・・・・・・。熊本県八代市の球磨川・
萩原堤防をフロンティア堤防化する計画は「あくまで検討段階」とする国
交省の従来の説明とは異なり、01年度に施工段階に入りながら白紙撤
回されていた。「国は流域の治水を真剣に考えているのか」。また一つ
明らかになった国のウソに、ダム建設に反対する流域住民から反発や説
明を求める声が上がっている。
昨年末、実施設計を終えていたことが発覚した際、当時の塚原健一・
九地整河川調査官は「萩原堤防は非常に重要なので、設計をやっておい
て、予算がつけばすぐ実施できるよう準備していた」と説明した。今回、
そのせっかくついた予算を他に流用した上で、計画を取りやめていたことが
発覚した。
同市萩原町に住む「美しい球磨川を守る市民の会」代表の出水晃さん(60)
は「国交省は『今の萩原堤防は洪水でいつ破堤してもおかしくない』と住民
の不安をあおり続ける一方で、本当に安全なフロンティア堤防を白紙にする
のは矛盾。早急に計画復活を」と反発。「なぜ計画が中止になったのか、
地元住民が納得できる説明を求めたい」と話した。
また、同県人吉市の市民団体「清流球磨川・川辺川を未来に手渡す会」事
務局の木本雅己さん(54)は「現在の萩原堤防でも80年に1回の洪水に十分
耐えられる。それがさらに強化された場合、川辺川ダムの費用対効果は下が
る。ダム不要論を抑え込むための事業撤回とみるのは当然だ」と国交省の姿
勢を非難した。
萩原堤防をめぐっては、01年12月の川辺川ダム住民討論集会でダム反対
派が「フロンティア堤防ができれば、八代の治水はダム無しでも完ぺき」と主張。
結局、同年度は工事が行われず、翌02年度には予算化すら見送られた。そし
て同年7月に国交省の堤防設計指針が改訂されたのを理由に、計画自体が
中止されている。
【阿部周一】■■引用ここまで■■
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