会報
かわうそ
No.32
[発行責任者]
 清流球磨川・川辺川を
 未来に手渡す流域郡市民の会
 会長 緒方俊一郎 熊本県人吉市九日町36-3F
 2003年3月10日発行 TEL/FAX0966-24-9929
統一地方選挙に勝利し、
川辺川ダムをストップしよう
3月16日(日)菅直人さん来たる!


 4月27日に行われる人吉市長選挙では、川辺川ダム建設の是非が最大の争点になっています。流域最大の八代市に昨年、川辺川ダム反対の市長が誕生した現在、人吉市にダム反対市長が誕生すれば、川辺川ダム建設の息の根は完全に止まります。
 今のところ、川辺川ダム建設促進の現職と、反対を唱える新顔4人の争いです。
 元市議の村上恵一氏(47)は、市議時代を通じて終始一貫ダム建設に反対。「ダムは地域経済まで破壊する」と訴えています。
 一方、土屋歳明氏(70)は、人吉市議会議長時代の1993年の「川辺川ダム建設促進決議」から県議時代も2期を通してダム促進の立場をとってきましたが、昨年末に一転して反対を表明。田中信孝氏(55)、家城正博氏(54)も、住民投票の必要性等を説いています。
 このような混沌とした状況の中、何としてでもダム反対の人吉市長を誕生させるために、川辺川ダム反対を表明している住民団体は「ストップ・ザ・川辺川ダムin人吉&八代」を開催します。集会には、民主党党首の菅直人さんもかけつけます。皆様のご参加を、よろしくお願い致します。
 なお、「水害体験者の会」が行った人吉市長選挙立候補予定者への公開質問状と回答は、県民の会ホームページ
http://kawabegawa.jp/で公開中です。

■人吉市長選挙立候補予定者
 ・家城正博氏(54)新
 ・田中信孝氏(55)新
 ・土屋歳明氏(70)新
 ・福永浩介氏(63)現
 ・村上恵一氏(47)新

(写真=球磨川下りをする菅直人さん(99年5月22日))


●手渡す会・2002年11月〜2月の出来事
02.11.28 県営・荒瀬ダムの完全撤去が決定。
12.21 川辺川ダム討論集会(人吉市)に2500人参加。
12.26 川辺川利水訴訟控訴審(福岡高裁)、同意書書き換え問題で山江村元職員を尋問。
1.24 川辺川利水訴訟が結審。判決5月16日と決定。
1.26 川辺川ダム問題について、熊本県、国土交通省と地元議員との意見交換会が始まる。
2.16 川辺川ダム討論集会(熊本県庁・テーマ環境)に800人参加。
2.19 「1954年の森林再生で川辺川ダム不要」と中根周歩教授(広島大学)が記者発表。
2.25 熊本県収用委員会、12回目の審理。3月中に収用委の裁決は出ないことが確定したため、年度内のダム本体着工絶望。

●第5回住民討論集会、建設業者らが会場を「占拠」
 12月21日に人吉市で開かれた「第5回川辺川ダムを考える住民討論集会」で、会場となった人吉カルチャーパレスは未明から動員された建設業者らが詰めかけ、入場時間の午前9時には約2000人に達し、一般の市民はほとんど会場に入れないという異常な事態となりました。
 討論の中では、治水計画で定めた80年に一度の大雨でも、雨の降り方によっては川辺川ダムが操作不能になるなど、多くの問題点が明らかになりました。

●事業のデメリット知らせてこそ「説明責任」!
 2月16日に熊本県庁で開かれた、環境をテーマとした「第6回川辺川ダムを考える住民討論集会」で、国土交通省は、「川辺川ダムは水質保全対策を実施するので、環境に大きな変化はない」との主張を繰り返しました。 高さ107メートルの巨大なダムを造り、391ヘクタールもの広大な自然が水没するにもかかわらず、環境に大きな変化がないと言い切ってしまえば、議論は進みません。事業のデメリットを知らせてこそ、事業者の「説明責任」というものではないでしょうか。

●川辺川ダム本体工事着工、4年連続繰り越される!
 国土交通省九州地方整備局の渡邊茂樹局長は2月26日の記者会見で、川辺川ダム建設について、本年度内のダム本体着工を断念する意向を示しました。これで、川辺川ダム本体予算は1999年度から4年連続で繰り越されることになります。


荒瀬ダム、2010年度にも撤去開始

 球磨川下流の県営荒瀬ダム(八代郡坂本村)の水利権更新問題で、熊本県は更新期間を7年間とし、2010年に荒瀬ダムの撤去が始まることになりました。球磨川から「廃ダム」が始まりました。
 荒瀬ダムによる河川環境の悪化やダム放流時の振動による被害など、地元は長年ダムの害に苦しみ、多くの住民がダム継続に反対し、ダムのある坂本村議会は、ダム継続に反対する請願を全会一致で採択。このような地元の要望を県が受け入れる形となりました。
 ダムには寿命があり、環境にも取り返しのつかないダメージを与え、膨大な維持費や撤去費用が必要なことが荒瀬ダムで実証されたにもかかわらず、同じ球磨川で、一方では荒瀬ダムを撤去し、一方では新たに川辺川ダムを造ることは、どう考えても不合理です。


●会計報告(2002,10,22〜2003,2,21)
収入の部 金額 備考
繰越金 18,642
年会費・カンパ 699,337 グッズの売上、雑収入なども含む
合計 717,979

支出の部 金額 備考
郵送費 172,285 会報発送、資料発送
事務用品費 125,976 紙代、文具など
事務所維持費 193,932 家賃、電気、電話など
広報費 270,564 新聞折込費など
旅費 263,061 高速代、水源連大会など
中古印刷機購入 155,610 紙折り機修理ほか
合計 1,181,428

 (収入)717,979−(支出)1,181,428=△463,449

◇今回、印刷機購入や広報費、討論集会対応など支出がかさみ、赤字会計へと転落してしまいました。今回、2003年分の年会費(一口1000円)払込用紙を同封させていただきました。「手渡す会」は、皆様方の年会費とご寄付のみで運営しております。ご支援ご協力の程、宜しくお願い申し上げます。領収書は、郵便局の受領書でこれに替えさせていただいております。


川辺川利水訴訟、判決は5月16日

 福岡高等裁判所(小林克已裁判長)で「川辺川ダムの水はいらん!」と、流域の農民と農水省の間で争われてきた川辺川利水訴訟控訴審が1月24日に結審し、判決は5月16日と決定しました。
 同訴訟は、土地改良法に定める対象農家の3分の2以上の同意があったかが最大の争点です。
 控訴審では、原告側は約4000人の対象農民のうち2000人について調査し、(1)本人の署名、押印ではない(2)同意書の署名の一部に書き換えがあったなどの問題点を指摘し、同意者は1293人、同意率は32.25%にとどまると主張しました。
 川辺川ダム事業をめぐっては、ダム本体着工のかぎを握る漁業権の収用審理も進み、4月には人吉市で市長選も控えており、川辺川ダム問題は今春が最大のヤマ場となります。

●扇国土交通大臣が「強制着工は行わない」と明言
 昨年10月2日の熊本日日新聞等で、扇大臣は「川辺川ダムの本体着工については『反対派も含めた地元での討論集会の結果を見守りたい』『集会を終える期限はない』として、強制着工などは行わない意向を示した」と報道されました。2月27日の衆議院予算委員会でも、その件について「いささかの変更もございません」と発言しました。

編集後記 人吉と荒瀬ダムの間にある、瀬戸石ダムのゲートが、2月の中旬、全開状態でした。普段は約10kmのダム湖が、その時は約2km。清流が8kmにわたり復活していました。いつもは、ヘドロがたまった汚いダム湖が、流れが復活しただけで川底もぴかぴかになり、つい数日前まではダムの底だったのに、川石の裏にはカワゲラ(最も清流にすむ水生昆虫)がいっぱいいて驚きました。瀬戸石ダムの水利権更新は2014年。あと11年後です。ちょうど荒瀬ダムの撤去が終わるころです。川の環境を根底から破壊するダムは、前世紀の遺物となろうとしています。2つのダムがなくなれば、人吉にもアユの大群がどんどんのぼってきます。中流部は、水害の水位がぐっと下がります。五木の山々に降ったきれいな水と森林の栄養がそのまま海まで流れ、八代海も万々歳です。清流を取り戻しましょう!(N.O.)



日本一の清流川辺川を守りましょう
         ごあいさつ
 私どもは平成5年より川辺川ダム建設中止を求め活動を展開しております「手渡す会」です。最近の集会などに参加された皆様にも、今回会報をお送りいたしました。
 ご賛同いただければ、同封の郵便払込用紙で年会費(一口1000円)を振り込みいただき、会員になって頂ければ幸いです。目的のなくなったダム建設を中止し、未来の子ども達に清流を手渡すために、どうぞご支援賜りますようお願い申しあげます。

菅直人さん来たる!
ストップ・ザ・川辺川ダム
  IN 人吉&八代
  3月16日(日)
●免田駅前広場   午後2時
●人吉城内グラウンド 午後3時〜4時半
 (雨天決行)
●八代ハーモニーホール 午後6時半〜8時


公害弁護団連絡会議シンポジウム
「公共事業における情報公開と住民参加」
●日時 3/21(金)午後1時30分
●会場 サンパレス平安閣(人吉市宝来町)
■3/22(土)川辺川現地調査(五木村ほか)
■問合せ 川辺川利水訴訟原告団 電話0966(24)4844
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