3 基本高水流量 (流域に降った計画規模の降雨がそのまま河川に流れ出た場合の河川の流量) |
異論者側 |
推進・容認側 |
(2月・上野)
●基本高水流量というのは、政治的に決められているという面が強い。理論値から5割も大きな値をとっているのが全国の平均値。技術基準からも2割以上大きな値をとっているので、政治的だと言わざるを得ない。
(2月・木本) ●80年に1度の洪水の流量計算が簡単すぎる。 |
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(2月・塚原)
●八代の萩原堤防では80年に1度の確率で毎秒9,000 トンという洪水が発生 |
(2月・嶋津)
●現在までに蓄積された流量データを用いて直接80年に1回の確率で来る洪水流量を求めるのが一番科学的なやり方であり、その結果、人吉地点での80年に1回の基本高水流量が6,150トン。
(2月・嶋津)
●森林が成長すると洪水ピーク流量が低下する。これを考慮して再計算すると人吉地点での80年に1回の洪水最大流量は5,300トン。 |
(2月・塚原)
●人吉地点での80年に1度の洪水時の基本高水流量は毎秒7,000トン
●7,000トンの積算根拠
・実績の過去の降雨を80分の1の規模に拡大して計画降雨を算出
・流出計算のモデルとして単位図法を採用し、基本高水流量を計算し、川辺川ダムと市房ダムでの洪水調整量を加えて計画高水流量を決定 ・球磨川の基本高水流量は九州管内の主要河川と比較しても大きすぎない ・全国のピークの比流量で見ても妥当 ・確率流量で評価した場合、80分の1の確率の流量で人吉市でおよそ6,000〜7,200トン、横石で8,400 〜10,300トン ・この数値と比較しても人吉7,000トン、萩原9,000 トンという基本高水流量は概ね妥当。 |
(2月・嶋津)
●80年に一回の最大洪水量について、国交省はずいぶん昔の1966年に、雨量確率法により古いデータを用いて算出しており、科学的計算結果といえるものではない。 |
(2月・小松)
●比流量の値が他の川と比べてほぼ妥当だから、基本高水流量はほぼ妥当。
・個人的には球磨川流域は非常に丸い形をしているので比流量はもっと大きいのではないかと考えている。人吉地点の毎秒7,000トンという数値はもう少し高くてもいいのではないか。 |
(2月・嶋津)
●国交省の雨量確率法は誤り。
・昭和40年、41年当時の計画策定時の80年に1回の雨量は440ミリであり、そこから計算したために人吉市で毎秒7,000トンとなっている。
・現在雨量データが蓄積され、人吉地点での80年に1回の雨量は495ミリであることは国交省がデータを出している。この数値を使って同じ手法(単位図法)で計算すると7,000トンではなく8,000トン近くになる。国交省は何故変更しないのか。 |
(2月・工藤)
●495ミリという数字は、基本高水流量が過大ではないことの参考資料として、近年の確率雨量を算出したもの。
人吉で80年に一度の規模、基本高水流量7,000トンは、同程度の九州の主要河川と比較しても全国的に見ても妥当な値。
80分の1の流量は、降雨データが増えたといって、その都度変更や見直しをする性格ではない。開発があって人口、資産が増加した場合や計画を超える洪水が発生して甚大な被害が発生するような場合に変更や見直しをする。 |
(2月・遠藤)
●最近のデータを含めると、人吉地点で80年に1度の降雨量は495ミリになる。そのとき、国の流出モデルを使うと8,000トンになる。現在の基本高水流量の7,000トンよりも1,000トンも大きくなる。 |
(2月・工藤)
●現在の流量、雨量が妥当と考えており、495ミリでの計算は実施していない。440ミリから495ミリに雨量が増えれば、流量計算すれば人吉地点でも7,000トンから増えるだろうが、1,000トンなのかどうかは、現段階では分からない。 |
(2月・上野)
●川辺川研究会は、建設省が策定した基本高水流量を採用した場合でもダムなしでやれるという立場。
水源連は、もっと良い案を持っている。例えば、人吉で7,000トンと言っているが、もっと踏み込んでやれば、超過洪水が来ても、被害が小さいような治水対策をとれば、6,000トンくらいで良い。
(2月・嶋津) ●何故5,300トン(人吉地点)になったかは、国交省のデータがなかなか出てこず、データが出てきた後に、それに基づいて、改めて検証した結果である。 |
(2月・大王)
●人吉地点について川辺川研究会は7,000トン、水源連は5,300トンと見直し派の中で違う。どういうことか。 |
(2月・吉村)
●80分の1で人吉が写真の水位(注:道路盤から2メートル上)までくる根拠は何か。 |
(2月・塚原)
●57年の5,400トン(人吉地点)のときの水位が計画高水の1.5m上。このときが2〜30年に一度の洪水。80年に1度の7,000トン(人吉地点)の場合、写真の水位までくる。 |
(2月・吉村)
●一勝地は築堤により川幅が狭くなった。写真の点線の水位(注:ダムが無い場合の水位)をつくるために川幅を狭くしたのではないか。 |
(2月・工藤)
●ダムと相まっての河川改修であり、そのようなことはない。改修前後の断面は、手持ちがない。 |
(2月・嶋津)
●我々は5つの計算手法を選んでその中で最も適合の高い
3つを選んでその平均をとったのが6,150トン(人吉地点)。森林効果をきちっと見込むと5,300トン。 |
(2月・小松)
●5,300トン(人吉地点)の求め方について、雨の降り方次第で随分ピーク流量が変わってくるので、過去の実績を用いたやり方だけでは不十分。 ●森林効果については、400ミリ以上の降雨時のデータでは完全に横這いとなっており、実際の計画降雨は400ミリ以上500ミリに近い降雨なので、400ミリ以下のが下がっていても何ら意味を持たない。(2月・工藤) ●洪水の流量というのは、いろいろな雨量の分布、短時間雨量の分布、詳細な時間の分布、更に地域の分布が加味されて流量が決まってくるということであり、森林の成長により30%も流量が減るという形にはならない。 |
(2月・嶋津)
●ピーク流量と雨量の経年変化をとると、低下傾向が見られないという点に関しては、雨量の小さいものも全部含めてプロットするから。森林が成長して球磨川流域ではピーク流量の出方が小さくなっている。 |
(2月・工藤)
●国交省でも治水計画において森林効果を見込んでいる。
ただし雨量が200ミリぐらいで保水能力については頭打ちになり、洪水の総雨量が400ミリといった非常に大きい雨量に対しては、森林の効果、保水能力だけでは洪水の対応は不可能。 |
(2月・嶋津)
●過去の実績流量をそこの森林状態の反映した形として、低下曲線をあてはめて修正する。そのうえでそのデータに基づいて求めたのが毎秒5,300トン(人吉地点)という数値。 |
(2月・塚原)
●確率処理に使った実績流量自体が、森林の効果込みで出ており、そこから更に森林効果によるピーク抑制効果分を3割削減するとすれば、3割引きしたものから更に3割引いたことにならないか。 |
(2月・遠藤)
●350ミリから400ミリの雨量について、年代毎に雨量に対するピーク流量比率をとると、年々下がってきている。 |
(2月・小松)
●異論側から示された400ミリ以上の雨が降ったときのデータは3個しかなく、殆ど横ばいである。これでどうして減少と言えるのか。 こんな低いピーク流量(人吉地点:5,300トン)で、本当に流域の安全が設定されるのか。その根拠が大雑把なグラフで本当によいのか。
(2月・塚原) ●人吉地点での流量は、森林が育っている方が5,400トン(昭和57年)で、育っていない方が3,900トン(昭和47年)と、森林が10年分育っている状態であっても逆転しているわけで、そういう危うさを提起しておきたい。 |
(2月・嶋津)
●大々的な皆伐ではなく、徐々に伐採して植えていくなど、行政が関与して森林管理のあり方を改めて創りだしていく必要がある。 |
(2月・神ア)
●五木村の森林面積が24,857ヘクタール、うち国有林が2,553、民有林が22,304ヘクタール。国有林は伐採調整ができるが、民有林は私有財産だから森林の保水能力におけるピーク時の計算の考え方は変えるべきではないか。 |