子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会
ニュースレター 第14号 平成12年(2000年)8月11日発行





●川辺川利水裁判、判決間近!
 川辺川利水裁判は3月10日に結審し、9月8日に判決が言い渡されます。しかし、原告
の農家のみなさんの相手は農水大臣。裁判所は国の機関。原告団長の梅山さんは「負
ける理由はない」と言いながらも「必ず勝つ」とは明言できない状況のようです。そ
こで、裁判官が生半可な判決を出さないように、また農水省が控訴しないように「公
正な判決を求める要望書」と「農水大臣に国営川辺川総合土地改良事業変更計画の中
止を求める要求書」の署名活動を展開し、1万人以上の署名を裁判所に提出しました。
原告団のみなさんは忙しい中を月に2回(5/15,5/24,6/7,6/21,7/5,7/19,8/2)人吉・
球磨から熊本市を訪れ、早朝には県庁や裁判所、農政局前でビラを配り、正午前に裁
判所に署名提出、午後から熊本市の繁華街での署名活動を続けてきました。県民の会
有志もビラ配りや署名活動に協力し、原告団の方々と共に街頭に立ちました。嬉しい
ことに、日を追うにつれ、反応が良くなり、集まる署名数も増え、最終行動日の8月2
日にはたった1時間で319人もの方が署名に協力してくれました。

 利水原告団の行動は熊本だけに留まらず、毎月原告団から3名ずつ東京を訪れ、農
水省や建設省を廻り、川辺川土地改良事業の不要性を訴え続けています。5月31日には
農水省の記者たちにレクチャーを行い、かなりの好感触だったということです。7月6
日、8月3日にも上京し、政党や建設省への働きかけを行い、特に8月3日には自民党政
調会長代理の谷津義男氏に面会し、流域漁民や住民らと共に川辺川ダム事業の見直し
を訴えました。

 農民のみなさんは判決目前ということで、毎日精一杯闘っています。署名もまだ間
に合います。署名用紙は前回総会の報告と一緒に郵送していますので、まだの方は是
非ご協力をお願いします。

 判決は9月8日です。東京では終日農水省前で宣伝行動が行われ、農水大臣との面
会を求めます。東京・熊本双方でのみなさんの応援をお願いいたします。
【判決前日集会】9月7日18:30〜 熊本市青年会館
【判決門前集会】9月8日 9:20〜 熊本地裁
【裁判報告東京集会】9月8日 18:30〜 文京区民センター
※農水省前では終日宣伝行動を行います。


■第4回 清流・川辺川現地調査
 川辺川利水原告団が中心となり、県民の会も実行委員会に加わって行う「川辺川現
地調査」の季節となりました。夏のひとときを清流のそばで過ごし、おいしいアユと
焼酎を楽しみませんか。今年もみなさん多数のご参加をお待ちしています。
日程:2000年8月26日(土)〜27日(日)
[問い合わせ先]Tel/Fax:0966(24)4844


==本の紹介==
 岩波ブックレットNo.516
「誰のための公共事業か 
 -熊本・川辺川ダム利水裁判と農民-」
 高橋ユリカ著
 ISBN-00-009216-2
 定価440エン+税
 発行:岩波書店
 8月18日発売予定


 川辺川ダム利水をめぐって対象農家4000軒の過半数を越える約2000軒が原
告団に参加して起こした裁判。この裁判を通して、農水省構造改善局が計画している
無駄な土地改良事業がいかに強引に進められようとしているかが明らかにされました。
裁判にいたるまでの経緯や、多くの農家の具体的な陳述などが盛り込まれたルポルター
ジュになっています。熊本の皆さんの努力によって、川辺川利水裁判が、全国の土地
改良事業見直しのきっかけになるのではないでしょうか。
※県民の会でも在庫します。


●球磨川漁協をめぐる動き
4月25日 球磨川漁協・下球磨部会が臨時総代会を開き、潮谷知事に対し漁協の臨時総
代会の開催命令を求める陳情書の提出を決定。
5月23日 球磨川漁協のダム反対派理事ら、県漁政課に臨時総代会開催の勧告撤回を要
求。
5月29日 球磨川漁協理事会、全組合員にダム建設に対するアンケートを実施すること
に。
6月21日頃 九地建、球磨川漁協を訪ね漁業補償交渉の申し入れ。
6月22日 球磨川漁協・下球磨部会の臨時総代会で川辺川ダム計画に反対する役員2名
の解任を決議。ダム反対派の排除が狙いと見られる。
6月29日 球磨川漁協・理事会、九地建からの申し入れに対し「漁業補償交渉は時期尚
早」と拒否。
7月6日 九地建、球磨川漁協に漁業補償交渉を求める4度目の申し入れ。
7月6日 川辺川ダム建設促進協議会(会長・福永浩介人吉市長)が総会で球磨川漁協
の同意が得られていないことに対し、国・県に早期着工の決断を求めると決議。
7月17日 球磨川漁協理事会。金尾健司川辺川工事事務所所長らがダム建設に伴う漁業
補償交渉を求める。
7月18日 九地建の用地部長ら球磨川漁協を訪れ、漁業補償交渉の開始を要請。
7月19日 川辺川ダム建設促進協議会(会長・福永浩介人吉市長)、球磨川漁協に着工
への協力を再度依頼。県庁を訪問、漁協への指導を求める。
7月20日 球磨川漁協の他県視察時に、建設省が相良村経由で323万円を支出していたこ
とが判明。
7月28日 球磨川漁協理事会、8月中に川辺川ダム賛否のアンケート行うことに。臨時
総代会の開催請求は否決。
7月29日 球磨川漁協・下球磨部会、組合総会を開くべく8月10日までに総会開催のため
の署名を集めることに。
8月2日 東京において漁業補償をめぐるヒアリング開催。
8月3日頃 熊本地裁八代支部、理事と監事全員に過料通知。理事5名・監事1名は「漁
業補償に関することは水協法の所管外」と即時抗告。
8月8日 反対派理事ら、県漁政課を訪れ見解を求める。補償交渉委員会の設置をめぐ
り、県は「補償は多数決で決める問題ではなく、組合員全員の同意が必要」とする水
産庁見解を尊重するとしながらも、「改めて全員の同意を取るよう指導はしない」と
回答。


 報道だけを見ていると、球磨川漁協総代からの臨時総代会の請求を理事と監事が頑
なに拒み続けているような印象を受けますが、実はそうではありません。臨時総代会
開催の理由として「理事がダム建設の補償交渉委員会の設置をしない」ということが
あげられていますが、そもそも漁協の業務は「魚族の保護・増殖」であり「ダム建設
のための補償交渉委員会の設置」は漁協の業務ではありません。また、ダムにより損
害を被るのは漁民一人一人であることから、「個人の財産権を侵害することを一部の
組合員だけしか出席しない総代会では決められない」という理由で理事会は開催を拒
否。監事会も理事の姿勢を支持しているということは、理事会の判断が間違っていな
いことの証しです。それなのに、推進派はなんとか補償交渉委員会を設置させ、建設
省に本体着工へのカギを渡そうとありとあらゆる手を尽くして反対派の理事・監事や
球磨川漁協に圧力をかけています。建設省からも、川辺川工事事務所だけでなく、わ
ざわざ九州地方建設局(福岡)から頻繁に足を運び、流域の首長で構成している「川
辺川ダム建設促進協議会」もそれに呼応するかの如く球磨川漁協への取り組みを強め
ています。話し合いの中で建設省は時折「強制収用」を臭わせ、流域漁民の不安感を
駆り立てる様な行動まで取っています。

 球磨川漁協の顧問弁護士は、反対派理事の主張は間違っているとの指摘をしていま
すが、どこがどう間違っているかの根拠は何も示していません。これは、本来ならば
漁協の業務(魚族の保護・増殖)についての相談に乗るべき顧問弁護士が、漁協にと
って不利となるダム建設受け入れに荷担するような行為です。熊本県漁政課に至って
は、水産振興を目的とする課であるはずなのに、水産振興に逆行するダム推進派に肩
入れするように臨時総代会を開催するように勧告しています。また、漁政課において
も、5月23日に球磨川漁民が熊本一規教授と共に「勧告撤回」を求めて申し入れに行っ
た際には勧告の根拠を全く示せず、熊本氏の追求に満足な回答を出せませんでした。

 8月までに補償交渉委員会設置にこぎつけたい推進派は、臨時総代会の開催請求が
認められないため、なんとかして総会を開き、そこで漁業補償交渉を決議しようと躍
起になっています。これは、大蔵省への概算要求の期限が8月ということで、それま
でに補償交渉のメドが立たないと建設省は来年度の本体着工の予算請求ができない、
すなわち来年度はダム本体の工事ができなくなるということが理由です。反対派漁民
への攻撃はここにきて一層猛烈になっています。本体着工を阻んでいるのはダム反対
派の漁民のみなさんです。漁民のみなさんへの一層の支援をお願い致します。


●川辺川メーリングリストの投稿より
■川辺川ダム建設で、漁民と建設省が公開討論会
露呈した建設省の「無責任・厚顔無恥」ぶり

 去る8月2日、熊本県に建設が予定されている川辺川ダムに関して、建設省と漁民
の意見交換会が、東京の衆議院第二議員会館で行われた。建設省側からは九州地方建
設局の3名ほか総勢5名、漁民側からは、熊本県八代市の塚本昭司さんと、同県人吉
市の吉村勝徳さん、漁業権に詳しい熊本一規明治学院大学教授が出席。立会人として、
中村敦夫参議院議員ほか、合わせて4名の国会議員が顔を揃えた。
 この意見交換会の最大の争点は「共同漁業権は誰のものか」ということ。「共同漁
業権は便宜上漁協に免許されるが、実際に漁業を営む権利は漁民ひとりひとりにあり、
ダム建設には全員の同意が必要」という漁民側に対し、建設省は「漁業権は漁協にあ
り、漁協の総会決議で組合員の3分の2が同意すれば建設可能」と、従来と変わらぬ
反論をした。
 建設省主張の拠り所は、漁業法8条の文言解釈(※1)と、平成元年の最高裁判決
(※2)。熊本教授が、「共同漁業権は昔からの入会権に基づくもので、入り会い団
体の各構成員に帰属するもの」「最高裁判決が誤りであることは、『漁業法の神様』
と呼ばれた元水産庁の浜本幸生氏によって指摘されている」などの面について説明を
求めると、「我々は漁業法の所轄官庁ではないので、回答する立場にないし、能力も
ない」と逃げる姿勢に終始し、回答を避けた。
 今回の意見交換会で最も指摘されるべき問題は、漁業権の解釈云々よりもむしろ、
建設省の姿勢であろう。ダム建設の推進母体であり責任官庁である以上、ダム建設に
よって影響を受ける漁民からの質問に対して「回答する立場」にあるのは、建設省を
置いて他にない。漁業法の所轄官庁でないならば「所轄官庁である水産庁の見解は〜
であるため、それに基づき、建設省としては〜と考えている」と回答するのが、責任
官庁として取るべき態度であるはずだ。
 もし本当に「回答する立場にないし、能力もない」と認識しているのであれば、漁
業補償について漁民との交渉に当たる立場にもないし能力もないはずで、漁民との話
し合いについては所轄官庁である水産庁に一任するというのが筋というものだろう。
 なぜそれができないのかと言えば、水産庁の見解は「共同漁業権は漁民ひとりひと
りにあり、ダム建設には全員の同意を取るように(水産庁担当官)」いうことである
ため、事業推進に都合が悪いからに他ならないのである。
 また、建設省は「日本は三権分立だから、行政マンは法と判例に基づいて事業を進
めるしかない」と繰り返したが、実際にやっていることは「事業推進に都合の良い法
解釈と判例に基づいて」でしかない。
 法律には法律を作った目的が存在するはずで、法解釈はその目的を最大限に達成す
る方向で行うべきものであり、ひとつの条文を抜き出して文言を都合にいいように解
釈するというのは、法の精神をまったく理解していないと言わざるを得ない。
 三権分立にしても「弱者の権利をみんなで守っていこう」という合意の上に初めて
成り立つものであるはずなのに、責任逃れの口実としか考えていないように思える。
このように無責任きわまりない官僚が、先祖代々営み続けてきた漁民の生活権を侵害
しようとしていることこそ最大の問題であり、今回、同席された国会議員の諸先生方
には、ぜひこの面から追求していただきたいものである。

※1:「(組合員は)当該漁業協同組合の有する当該共同漁業権の範囲内において漁
業を営む権利を有する」という文言。
※2:昭和37年の漁業法改正は、漁協の合併が進む中で旧来の入会権的慣習を保護す
る目的で行われたにもかかわらず、水産庁自らが発行した"新漁業法の解説(水産社・
絶版)"の中で「この法改正は入会漁業という性格を払拭するためにやった」という誤
った解説を付けてしまったことから、それを根拠とした最高裁が、大分市の白木漁共
が提訴した総会決議無効確認請求を「組合員の3分の2以上の同意があれば漁業権の
放棄もできる」として福岡高裁に差し戻した判決。
           安藤 眞(Ando Makoto)

※ 川辺川メーリングリストは県民の会がインターネット上に開設している情報発信・
交換の場です。メールアドレスをお持ちの方ならどなたでも入ることができます。
  お申し込みは http://kawabe.technologic.co.jp/ml/ml.html 
   またはE-mail  kawamoto@aminet.or.jpまで。 


4月5日 美しい球磨川を守る市民の会、県が行った球磨川漁協への臨時総代会開催勧
告は不当と県・漁政課へ申し入れ。同時に九州農政局にも川辺川利水裁判の判決を待
たずに川辺川土地改良事業のかんがい排水事業工事に着手したことを抗議。

4月15日 川辺川を守る関西の会、大阪で第一回街宣活動。川辺川知名度調査と環境ア
セス署名活動。
  川好き、カヌー好き、そして何よりも川辺川という清流をこよなく愛する関西モン
が集まって、このたび「川辺川・関西の会」が発足しました。
  東京の会の行動力や福岡の会のパワーにはとてもおよびませんが、川辺川を守る運
動を続けておられる皆さんを応援するために、微力ながら活動を盛り上げていきたい
と思います。近い将来、皆さんと勝利の美酒を飲むために・・・。

4月15日 座談会「清流 球磨川・川辺川を語ろう」(八代市)

4月16日 県民の会主催シンポジウム「自然・清流・川辺川 この川を守りたい」
 風太郎さんの川へのメッセージを込めた歌とSpirits of Kawabeのセッションで始ま
った県民の会主催の第5回川辺川シンポジウム。熊本の人気タレント・うんばば中尾
氏による軽快な司会のもと、東京工業大学教授で国際影響評価学会日本支部代表の原
科幸彦氏は、藤前干潟や愛知万博の例をあげて、これまでの閣議決定アセスと1999年
6月から施行された環境影響評価法によるアセスメントの違いを説明。環境アセスメ
ントには代替案の提示や市民参加、情報公開が不可欠。川辺川ダムの場合は既に許認
可が下りており、アセスメントの対象から外れているが、国民の声が大きければ、事
業者(建設省)の自主的判断で必要なら環境アセスメントはできる。建設省が今行っ
ているのは単なる「環境調査」でしかなく、コミュニケーションに最も重点を置くア
セスメントとは違う。藤前干潟が守られたのだから、川辺川にも十分可能性はあると
講演。講演の後の「球磨川ものがたり」では、原科教授、うんばばさんに加えて川辺
川利水原告団長の梅山さん、球磨川漁民の塚本さんを交え、川辺川・球磨川でのいか
だ流しの話など古きよき時代から今の川辺川の姿まで和やかに楽しく話が進みました。
球磨川漁協の動向が心配される中で、塚本さんは「今、漁協でダムに反対している人
に補償金目当ての人はいない」とより一層の市民の支援を訴え、梅山さんは9月8日
に判決を迎える利水裁判について「負ける理由はないが、裁判所は国の機関。ケンカ
相手の農水大臣は国なので必ず勝つとは言えないので、『公正な判決を求める署名』
等に協力して欲しい」と訴えました。会場からは五木から来たという方から「五木の
方が耳を傾けるような雰囲気を作って欲しい」という意見も出、最後に原科教授から
「環境アセスを求める署名が10万、20万集まれば行政も無視できない」という心
強い言葉をいただきました。また、この後の懇親会では、「環境アセスメントを求め
る署名を10万人分集めよう」ということで大いに盛り上がりました。
 嬉しかったのは、参加者の半数近くがこういうシンポジウムに初めて参加する人た
ちで、川辺川ダム問題の広がりを実感できた一日でした。
※このシンポジウムは「干潟を守る日2000」と「アースウィークくまもと2000」の参
加イベントでした。

★シンポのビデオお分けします★
希望者は郵便振替(01940-8-13454)にて県民の会宛に料金1500円をお振り込み下さい。


4月17日 4月16日の県知事選で当選した潮谷義子新熊本県知事が「川辺川ダムに環境ア
セスメントを実施すべき」と発言。しかし、20日の初登庁日には「法アセスを意図し
たものではなかった」とトーンダウン。

4月19日川辺川利水訴訟原告団、「公正な判決を求める要望書」の署名活動を開始。潮
谷知事に原告団との意見交換の場を求める。

4月20日 県民の会、手渡す会、市民の会など市民団体5団体で環境アセスを求める1
0万人署名を目指すと発表。

4月20日 手渡す会、潮谷熊本県知事に「川辺川ダム事業について環境影響評価の実施
を求める要望書」郵送。

4月20日 東京の会、環境アセス国会請願を永田町の議員会館で依頼。

4月25日 民主党シンポジウム「市民と見直す公共事業」が東京で開かれ、で梅山究・
川辺川利水訴訟原告団長がパネリストとして出席。
4月27日 「県民の会」「市民の会」「手渡す会」などの市民団体有志が、県内外の3
9団体からの支援を携えて球磨川漁協を訪れ、川辺川ダムに反対している理事を支援
し、推進派組合員に抗議する申し入れを行う。当日の球磨川漁協理事会は紛糾し、反
対派理事7名の連名で、総代会開催拒否には正当な理由があることを文書で郵送する
ことに。

5月6日 川辺川リバーミーティングでカヌーイストやキャンパーらが日頃遊ばせても
らっている川辺川を大掃除。

5月8日 五木村水没者三団体が衆参両院議長にダム建設と関連事業の促進を求める国
会請願を提出。

5月10日 川辺川ダム環境アセス実行委員会、建設省河川局に環境影響評価の実施を申
し入れ。(東京)

5月31日 利水原告団が上京。東京の会メンバーと共に農水省記者クラブでレクチャー。
終了後、東京の会による現地状況の報告会と治水勉強会。

6月21日 建設省がダム建設による自然環境への影響調査の結果発表。クマタカに関す
る調査結果は民間グループの調査結果とズレ。

7月2日 県民の会、熊本市繁華街にて環境アセス署名活動。

7月5日 川辺川利水訴訟原告団、九州農政局を訪れ、農水大臣に事業変更計画中止を
求める10,355人分の署名を提出。

7月6日 利水原告団上京。建設省記者クラブにて資料配付とレクチャー。

7月7日 熊本県クマタカ調査グループ、建設省が出したクマタカ生息調査報告書に対
する質問書を提出。

7月9,10日 建設省、人吉市と八代市において、川辺川ダム事業説明会を開催。

7月11日 潮谷熊本県知事、九地建に川辺川ダム事業における環境調査の継続と保全対
策を要望。

7月12日 多良木町の川辺川土地改良事業の受益農家ら300人が事業への辞退届け提
出。他地域と合わせると辞退者数は539人に。

7月16日 福岡の会、「駄目ダム基金支援フリーマーケット in 福岡・トリアス久山」
利益26,185円は球磨川漁民のみなさんを支援するため「駄目ダム基金」に寄付。

7月21日 相良村の川辺川土地改良事業の受益農家ら77人が事業への辞退届け提出。

7月24日 クマタカを守る会、建設省の環境保全に関する説明会について「納得できな
い」として意見書を提出。

7月26日 九地建、潮谷知事の要望(7/11)に回答。原石山の採石を縮小すると発表。

7月26日 美しい球磨川を守る市民の会、建設省の川辺川ダム事業の環境調査報告書に
対して意見書提出。

7月28日 潮谷熊本県知事、「(川辺川ダム事業は)もうここまで進んでいる」と川辺
川ダム容認発言。

7月29,30日 源流水リレー。自然や川の大切さを感じてもらうために川辺川・球磨川
源流の水を人力だけを使い、球磨川河口・水俣までリレー。

8月1日 手渡す会、潮谷知事と人吉市長にダム建設中止を求める意見書を提出。

8月1日 県民の会、建設省の環境保全報告書に対して、建設大臣、九地建、川辺川工
事事務所宛に質問書を提出。自民党政調会長亀井静香氏に川辺川ダム見直しを求める
書簡と資料を送付。

8月2日 霞ヶ関・衆議院会館にて国会議員と市民の立ち会いのもと、建設省と熊本一
規教授、球磨川漁民による漁業補償に関するヒアリング開催。(東京の会主催 p.3参
照)

8月3日 利水原告団・水害体験者の会ら流域住民が自民党政調会長代理の谷津義男氏
(公共事業抜本見直し検討会座長)と会見。川辺川ダムの不必要性を訴える。

8月5日 市民による「川辺川ダム環境保全報告書」検証会
 建設省が「環境アセスに準じた調査をしている」として公表した『川辺川ダム事業
における環境保全への取り組み』(7/9,10、人吉・八代で行われた説明会で配布)に
対し、(財)日本自然保護協会の横山隆一氏、松本幡郎氏(岩石学)、熊本生物研究所
の甲守崇氏を交え、市民による検証会を開催。具体的な取り組みが記されていない、
調査項目に漏れがあるなど疑問点が多々挙げられた。横山氏は、「建設省がやりたい
事とできる事だけやって作った『自主調査』であり、『環境影響調査報告書』ではな
い」と批判。参加団体合同で建設大臣などに再調査を要望することに。

8月7日 クマタカ調査グループ、川辺川工事事務所を訪れ、建設省はグループとの継
続的な情報交換をすることに。


******************
アンケートへのご協力 ありがとうございました!

〜会員アンケートの結果をお知らせします〜

  20代から60代以上まで、合わせて53名のみなさん(男性37名・女性16名)から回答
をいただきました。

※川辺川を知ったきっかけ、県民の会に入会したきっかけは?
 ・球磨川に毎年鮎を釣りに行って
 ・40数年前、五木村で測量しているのを見て
 ・福岡賢正氏の著書(国が川を壊す理由)、野田知佑氏の著書を読んで
 ・パソコン通信の自然環境フォーラムで/インターネットホームページを見て
 ・新聞記事、アウトドア雑誌などで
 ・シンポジウムやイベントに参加して
 ・長良川など、他の地域で川を守る運動に関わっていた
 ・この自然の手付かずの川を失いたくないという気持ちから
 ・よそ者だし、現場に行ったこともないが、日本全体の問題でもあるので

 「川辺川に行ったことがある」「川辺川を守るイベントに参加したことがあ
る」という方々が、回答者の8割近くに上りました。
 会からの情報提供の現状については、全員から「普通」以上との評価をいた
だきました。ニュースレターについても、半数を超える方が「良く読んでいる」
とお答えになっています。お礼申し上げます。

 ところで、私たちが気になるのは、世論の情勢です。
 「マスコミは川辺川の問題を正しく伝えているか」という設問には「伝えて
いない」という方が半数近くを占めています。これは真実をきちんと取り上げ
ないマスコミに対する反発とも思われます。
 世論の関心についても「あまり高くない」と「全くないに等しい」という回
答が合わせて半数ありました。いずれも、私たちのさらなる働きかけが必要で
す。

※フリートーク、ご意見など
 ・川辺川には子ども・孫を連れて水遊びに出かけました。現地調査にも参加
  し、大変楽しかったです
 ・東京出身の私たちには、川はこんなにきれいなものだったのかと驚かされ
  ました。本当に宝物だと思います
 ・この川辺川ダムの問題は、社会全般を見る上での視座となった
 ・選挙候補者に質問状を送られたのはとてもよいと思う
 ・川は皆のものだという視点が大事。川は建設省のものではもちろんないし、
  川で生計を立てている漁師や農家だけのものでもない。皆が川の恩恵を受
  けているし、皆が川について発言する権利がある
 ・土木事業は現在や過去を造るものではありません。未来を創造するもので
  す
 ・漁民の会を元気付けることが一番
 ・一般の人が茶の間で語れるようになってほしい
 ・川辺川流域の各地方自治体が共同で、清流を生かした町おこし、村おこし
  の諸策を立案すること
 ・ニュースレターは小さな字が多い。読み易さに重点を置くことも必要かと。
  また、情報提供が直前の時があるような…
 ・五木村はすばらしい所です。もっともっと住民の方自信を持って下さい 
 ・健康な川があることを誇りに思える人がもっともっと増えればなあー
 ・すべての熊本県民に、よく知ってもらうことに全力をあげて欲しい
 ・補助金漬けになった人たちも説得できるだけのビジョンを持ちましょう

 ここに掲載したのは、お寄せいただいた意見のごく一部です。読んでいくう
ちに、みなさんの川辺川に対する熱い思いを充分感じ取ることができました。
それらを踏まえ、事務局スタッフ一同気を引き締めて、これからも活動に取り
組んでいきたいと思います。みなさんの変わらぬご支援とご協力をどうぞよろ
しくお願いします。


●潮谷熊本県知事発言と環境アセスメント

 4月16日の熊本県知事選で当選した潮谷県知事は、当選直後に出演したラジオ番
組で「川辺川ダム事業に環境アセスメントを実施したい」と発言。新聞でも大きく取
り扱われ反響を呼びました。もちろん私たち市民としては大歓迎でしたが、その波紋
は広がり、ダム推進派にはかなりの反感が広がりました。そこで、「潮谷知事に応援
のエールを」とインターネットなどを通して呼びかけた結果、全国各地や海外からも
含めて200通以上の激励のメールやFAXが潮谷知事に届けられました。直接メー
ルやFAXを送った人も合わせるとおそらくものすごい数のメッセージが寄せられた
と思われます。しかし、推進派の圧力もあり、また選挙では自民党公認で出馬した経
緯もあり、20日の初登庁日には「法アセスを意図したものではなかった」トーンダ
ウンしてしまいました。

 6月に建設省が出した環境保全への取り組みに対して、7月11日には潮谷知事自
ら九地建へ赴き、川辺川ダム事業における環境調査の継続と保全対策を要望。項目の
中には「球磨川漁協と話し合うこと」や「環境保護グループにクマタカ調査の説明を
すること」などが含まれており、推進一辺倒だった前知事とは違い、評価に値します。
しかし、九地建から「(クマタカに影響を与えると予想される)原石山の採取を最小
限に押さえる」などの回答に「満足」と答えるなど、納得できない面もあります。引
き続き7月28日には川辺川ダム容認発言さえしています。おそらくこの発言に不満
を持つ人はたくさんいると思いますが、推進派に周囲を固められてしまっている現状
では仕方がありません。4月のシンポジウムで東京工業大学の原科教授は「県知事が
必要と認めたら環境アセスはできる」「10万人分の署名を集めたら行政は無視でき
ない」などと発言されました。

 潮谷知事に本当に環境アセスに取り組んでもらうためには、「川辺川ダムには環境
アセスメントが必要だ」という世論を盛り上げるしかありません。潮谷知事のアセス
発言後に私たちは環境アセス
10万人署名を目指すと発表しました。これを機会に署名用紙を一新し、ニュースレ
ターに同封しますので今一度みなさんのご協力をお願い致します。

署名にご協力いただける方は事務局までご連絡ください。署名用紙をこちらからお送
り致します。
【事務局】tel&fax 096-349-8090

■ お知らせ ■
有明海・不知火海フォーラム
今年は有明海・不知火海フォーラムが11月4日(土)〜5日(日)にかけて八代市
で行われる予定です。開催場所が球磨川河口の八代ということで、川辺川ダム問題も
大きくクローズアップされることでしょう。是非ご参加下さい。詳細は改めてご連絡
致します。

*** 一部、省略しています。m(._.)m ***