子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会
ニュースレター   第 1 号  平成9年(1997年)5月10日発行




  トピックス
1.第2回県民の会シンポジウム開催決定!
 昨年12月1日に引き続き、5月25日(日)13:00から熊本市大江市民センタ―で
「巨大なムダ 川辺川ダムは誰のため?」と銘打ちシンポジウムを開催すること
が決定しました。特別講演には26年間の長きにわたって真名子ダム建設を阻止し
続けている福岡県星野村の松永村長をお招きし、ダム反対運動の経緯を話してい
ただきます。
 後半は、国営川辺川土地改良事業の不当性を裁判で訴えている原告団団長の梅
山究さんと弁護士の竹中敏彦さんと松永村長のパネルディスカッションです。対
象農家の3分の1以上が利水事業に反対し、ダム建設の目的が失われていることを
アピールし、ダムは無駄な公共事業あること、下流までの自然破壊をもたらすこ
と、そういうものに巨額の税金が使われることは私たち市民の感覚や常識に大き
く反するということを訴え、ダム本体着工の前提となる仮排水路(バイパス)工
事着工を許さない県民世論を盛り上げたいと思います。
 「ダムの水はいらん」「ダムもいらん」を合言葉に多くの方のご参加をお願い
します。なおこの日の午前10:00から同じ場所で総会も開催しますのであわせてご
出席ください。

2.相良村村議選 ダム見直し派当選とダム推進派落選!
 4月20日に行われた川辺川ダムの本体建設予定地、相良村の村議選の結果はダム
見直し派の当選とダム推進派の落選という最高の結果となりました。
 いつもいろんな会合で降水量のデータを持ち歩いてダムの目的である治水がい
かに根拠のないものであるかを力説されていた西村忠孝さんが6位、利水裁判の中
心で活躍される茂吉隆典さんが7位で当選でした。
 更に立候補15人中唯一の落選者となった堀川元議員は、いままで議会を牛耳っ
てきたダム推進の中心人物です。相良村村民の良識が示された結果だと言えま
す。年末には村長選が控えています。ダム事業の正確な情報がそれまでに村内に
もっと行きわたる事を期待します。また報道によると、この村議選の結果は7月下
旬に予定されている五木村村議選にも影響を与えるといわれています。相良村に
起こったダム見直しのうねりをもっと大きくしていきたいものです。

3.第3回利水裁判にまたまた多くの傍聴お願いします
 川辺川ダムの水は要らないとして866戸の農家が利水事業の中止を求めて訴えた
利水裁判の第3回公判が5月21日(水)13:30熊本地裁101号法廷で行われます。
今、裁判の原告側に補助参加する利水対象農家がどんどん増えつつあります。
 そもそも土地改良法によると利水対象農家4000戸の内、3分の2以上の同意があ
ってはじめてこの事業は実施できるのですが、逆に原告側が補助参加もあわせて3
分の1以上の数に達すれば、法律上この事業を進めることは出来なくなります。す
なわち多くの補助参加を集めることが裁判での勝利を確実にします。
 5月1日時点で補助参加数は680戸でしたので、原告と合わせると1540戸の農家が
ダムの水は不要して利水事業に反対していることなります。裁判までに2000戸を
目指そうと、原告団はいま人吉球磨地方の農家を毎日駆け回っています。
 5月21日にはまた多くの方の傍聴で、そういう原告団の熱意にこたえましょう。
またこの補助参加集めをやると、農水省が推進する利水事業のいい加減さや農家
の現状がよく分かります。補助参加集めに参加したいという方は事務局までご連
絡下さい。

4.国会請願の署名をお願いします
 国会に川辺川ダム問題の存在を知らせ、私たちがダム建設計画の抜本的な見直
しを求めていることを伝えるために署名集めを行っています。この請願は憲法で
国民一人一人に認められている権利です。
 政治が流動しつつある現在、国会議員を動かすチャンスです。私たちの行動で
国の河川政策を変えていくきっかけにしましょう。多くの人の協力をお願いしま
す。
 同封の署名方法の説明用紙を参考にしていただき、2枚の署名用紙(衆議院用と
参議院用)にそれぞれ住所と氏名を記入し、返信用の封筒で事務局まで送付して
いただくか、5月25日のシンポジウムにこられる方は会場で受付に提出していただ
ければ幸いです。たくさん集められそうな方は署名用紙をコピーして配布して下
さい。シンポジウムの会場でも署名コーナーを作ります。送付していただいた請
願署名は紹介議員を通じて国会に提出します。
 また、これまで署名して下さった方や署名を集めて下さった方にはこの場をお
借りしてお礼申し上げます。

5.電話FAX作戦への協力お願いします。
 川辺川ダム本体着工につながる仮排水路の工事着工が5月末と言われています。
県民の会では昨年末の大蔵省へのFAX作戦に引き続き、今回、建設省・九州地
方建設局(九地建)と川辺川工事事務所に工事の中止を求める電話FAX作戦を
行います。
 建設の目的が全てなくなり、貴重な自然を永久に破壊する川辺川ダム建設のた
めに、私たちの税金が使われていいのでしょうか?私たちの疑問を直接建設省に
伝えましょう。電話FAX番号は以下のとおりです。
 FAXの文案を同封していますので、参考にして下さい。また、事務局宛にも
同じものをFAXしていただければ、皆さんの動きが分かり非常にありがたいの
で、よろしくお願いします。
九州地方建設局 :TEL092-471-6331 FAX092-476-3469
川辺川工事事務所:TEL0966-23-3174 FAX0966-22-1291

6.年会費納入と定期カンパお願いします
 県民の会では4月1日から翌年3月末日を会計年度とし、年会費は新年度明けに納
入をお願いできればと思っています。昨年までに入会された方は、同封の振り込
み用紙に必要事項を記入の上年会費2000円の振り込みをお願いします。ただ今年
入会された方は今回は振り込む必要はありません。来年からお願いします。未入
会の方のご入会もあわせてお願いします。
 また会報2号でもお願いしましたが、県民の会では定期カンパもお願いしていま
す。今年はこのニュースレターのように、昨年度以上の様々な活動を企画してい
ますので、相当な出費が見込まれます。私どもの活動にご理解を賜り、ぜひ金銭
的な面でのご協力をお願いします。
 具体的な定期カンパの方法は、同封の説明用紙を参考に「自動払込利用申込
書」に必要事項を記入し郵便局に提出して下さい。またカンパ額を事務局までお
知らせ下さい。


  こんなことやりました
3月30日(日) 深田村で行われた利水裁判原告補助参加集めに参加しました。利
水事業について対象農家は何の説明も受けていないのにもかかわず、事業に参加
させられたという実態を目の当たりにすることが出来ました。
4月17日(木) 利水裁判を支援する会が熊本市で結成され、事務局からも参加し
ました。今後も連帯して活動していきたいと思います。
4月19日(土) 利水裁判・原告団と弁護団の打ち合わせが人吉市で行われ、今後
の裁判の進め方などについて話し合われました。
4月20日(日)〜27日(日) 熊本市・上通りのアースウィークに県民の会も参加
しました。県民の会の会員の小杉さんの川辺川の写真とホームページのコピーの
展示を行い、シンポのチラシを配ったり、国会請願の署名集めを行ったりしまし
た。最終日には相良村の利水農家の方も駆けつけてくれました。街行く人も小杉
さんの写真に見入ったり、公共事業のムダに疑問を感じる人が多くいて、署名や
カンパもたくさん集まりました。
4月26日(土)27日(日) 川辺川リバーミーティングに全国からカヌーイストや
川を愛する人達250名が集まりました。26日の前夜祭では相良村の権現河原で現地
からの報告が行われ、また夜更けまで多くの人が川への思いを語り合いました。2
7日は人吉市の球磨川下り発船場から、「川辺川を守ろう!」とシュプレヒコール
を上げながらカヌーデモを行い、大いに盛り上がりました。カヌー初心者も楽し
めるイベントになり、大好評のうちに終わりました。
4月30日(水) 福岡県八女郡星野村を訪問し、村役場で松永村長や藤崎課長とシ
ンポジウムの打ち合わせをしました。またお二人から星野村のことや真名子ダム
反対運動の経緯も伺いました。
5月3日(土) SAVO(映像広告)放映開始。熊本市内の通り町、下通り、シ
ャワー通りの3ヶ所で川辺川の巨大なビデオ映像とシンポジウムの案内が放映され
ています。30秒間という短い時間ですが、近くを通られた方は是非ご覧下さい。
5月6日(火) 熊本市で、利水裁判の原告団、弁護士、支援する会、県民の会の
メンバーで川辺川現地調査実行委員会が開かれ、利水問題を多くの人に知っても
らい、裁判所にも見てもらうための現地調査を行うことになりました。第1回は8
月30日31日が予定されています。

  会議これだけやりました(場所は全て熊本市秋津レークタウンクリニック)
4月1日(火) 4月度運営委員会
       国会請願署名集め開始、利水訴訟補助参加集め報告、シンポジウ
ムの検討など
4月8日(火) 第3回シンポ実行委員会
       タイトル決定、進行決定
4月15日(火)第4回シンポ実行委員会
       チケット・チラシ印刷部数決定
4月22日(火)第5回シンポ実行委員会&事務局会議
       チケットノルマ決定、役割分担洗い出し
5月1日(木) 事務局会議
       総会内容決定
5月7日(木) 5月度運営委員会
       各イベント報告、諌早湾支援、シンポジウム関連等

*建設省やダム審議委員会と違って県民の会の会議は公開されています。会員の
方やダム問題に関心のある方ならどなたでも参加できますし、議事録を見ること
も できます。会議に出たい方、議事録が欲しい方は事務局までご連絡くださ
い。


県民の会のマークやイラストは、AXERA inc.さんのご協力により使用させて頂い
ています。
  イベント案内
5月18日(日)
 11:00〜15:00 秋津レークタウン活き生きフェスタ
 バザールやもちつき、講演会もあります。
5月21日(水)
 13:30 第3回利水裁判 熊本地裁101号法廷
5月25日(日)
 10:00〜11:30 県民の会総会 決算活動報告、予算新役員の承認等。
 13:00〜16:00 第2回県民の会シンポジウム 
 特別講演:松永雅男(まつなが つねお、福岡県・星野村村長)
 パネルディスカッション:松永雅男、梅山究(うめやま ふかし、川辺川利水裁
判原告団団長)、竹中敏彦(たけなか としひこ、熊本県弁護士会公害対策環
境保全委員会委員長)
 場所:熊本市大江市民センター(TEL096-372-0311,味噌天神電停から徒歩10分)
 資料代:500円 問い合わせ先:TEL/FAX096-343-5519國徳
5月25日(日)
 終日 球磨川川辺川源流水リレー
 交流会 18:00〜八代市大島  主催:球磨川水系ネットワーク 問い合わせ先:
0966-24-5631佐藤
6月2日(火)19:00 6月度運営委員会  場所:熊本市秋津レークタウンクリニッ


  川辺川ダムミニ知識
 ・建設予定地 熊本県球磨郡相良村四浦  ・型式 アーチ式コンクリートダム
 ・高さ 107.5m  ・最大幅 274m ・総貯水容量 133,000,000立法メートル
  
 ・湛水面積 391ha ・目的 洪水調節、流水の正常な機能の維持、水力発電、
かんがい用水
 ・計画発表 1966年
 川辺川ダムの建設費について
 建設省は昭和62年時点で、川辺川ダムの総事業費を1,130億円と見積もっていま
した。しかし、まだダム本体どころか仮排水路工事にもとりかかっていないの
に、平成8年末までに既に同じ金額をダム関連事業につぎこんでいます。現在、各
所で非難の的にされている諫早湾干拓事業の当初の見積もりは1,350億円でした
が、たった7年の間に2,370億円と約2倍の金額に膨れ上がりました。建設省は、川
辺川ダムの現在の総事業費について「調査中」ということで明らかにしていませ
んが、2,000億円を超えるのは必至だと考えられます。(日本の公立大学の建設費
が平均200億円位です。つまり、川辺川ダムや諫早湾干拓事業にはそれぞれ公立大
学10校分の金額が費やされるのです。)

  編集後記
 今月から会員の皆さんに会の活動や情勢をお伝えするために、ニュースレター
を発行することにしました。基本的に毎月一回発行して、その前後一ヶ月の大き
な動きをお知らせしたいと思います。つたないところもあるかと思います。この
ニュースレターについても皆さんの意見をどんどんお寄せ下さい。
 ただ、黙っていても建設省はダム建設工事を待ってくれるわけではありませ
ん。是非とも会員の皆さん一人一人がダムはいらないという声を発し、ダム建設
をストップさせるための行動を起こされますようお願いします。
 利水裁判では、農民不在の日本の農政の実態が明らかになりました。このよう
な当事者を無視する政治・行政のあり方というのは農民だけでなく、私達にも直
接関わってくる問題です。そういう意味で、この利水裁判は民主主義を確立させ
る一歩ということが言えると思います。私達は、ただ原告団を支援するというだ
けでなく、民主主義の問題としてこの利水裁判を共に考えていくべきではないか
と思っています(T)。

 今回はレイアウトを担当しました。川辺川ダム事業に関する情報をできるだけ
早くお伝えしていきたいと思っています。この問題多き事業の情報を広くみなさ
んに伝える事を県民の会の活動の大きな柱にしてきたいと考えます。ご意見お待
ちしています。(川)