子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会
ニュースレター 第17号 2001年(平成13年)10月12日発行


■球磨川漁協、再び緊迫状態に
 前回ニュースレターでは2月28日の球磨川漁協総代会におけるダム反対派の
漁民の皆さんの勝利の報告をさせていただきました。あれから8カ月、現地は
再び緊迫した状態を迎えています。
 この総代会決議は3カ月以内に組合員全員が出席する総会でくつがえすことが
できたのですが、5月28日までに総会も開催されず、総代会決議は法的に確定し
ました。この間、推進派の総会開催の動きに備えて、ダム反対派の漁民の皆さんが
組合員の自宅を訪問し、ダムの弊害を説いて回ることによって組合員の意志を固め、
そのことにより推進派を牽制したというのも勝利の一因です。
 しかし、本体着工をあきらめきれない国土交通省は6月に漁業補償交渉の再開を申
入れ、組合員の猛反対の中、漁協執行部は9月19日に漁業補償交渉委員会を開催し、
実質的に国土交通省との交渉を再開しました。これはダムを作らせないで、これまで
通り鮎漁を営んでいきたいという組合員の意志を無視した違法な暴挙に他なりません。
 これまで既に秘密裡に3回も補償交渉が持たれ、10月中には締結の見通しです。
それとともに推進派は、昨年組合員から出された総会開催請求を違法にも無視して
きましたが、ついに総会開催に向けて動き出しました。恐らく、その総会の中で、
緊急動議として新たな補償交渉締結案を提示し、一気にダム建設同意の決議を
取り付けるものと思います。総会はあらかじめ請求された議題しか審議できない
ことになっていますが、推進派のことですから何をしでかすか分かりません。
 現地では既に、総会開催に向け推進派や土建業者が金力や権力にものをいわし、
組合員の総会の委任状取りに動き始めています。2月の総代会決議を守り通せるのか
現地は再び厳しい状況を迎えています。卑劣な国土交通省と漁協推進派相手にダム反対
派の漁師さんは苦戦を強いられています。私たち一人一人、清流を守るため必死に戦っ
ている漁民をどれだけ応援できるかが、問われています。皆さんには以下のことを訴え
ます。
 

 ”STOP THE 川辺川ダム” 緊急カンパのお願い!

  〜清流を守るために戦っている漁師さんたちを
    応援するために緊急に資金が必要です〜

川辺川ダム計画の中止も目の前ですが、あせる国土交通省
と球磨川漁協ダム推進派は一体となった総力戦を仕掛けてきており、本体着工
の最後の砦は漁協のダム反対派漁師さんのみとなっています。

ダム推進派は脅し・買収まがいのあらゆる手段を使って組合員を崩しにか
かってきており、以下のような思いで清流を守ろうとしているダム反対派
の漁師さん達の連日の必死の行動で、なんとか本体着工をくい止めている状態です。

「国家権力の前に、強引に造られていった日本中のダムや
    諫早と同じ轍を踏んではならない」と・・・。

しかし、活動資金も底をついています。正しい情報を組合員
さんに知らせることもままなりません。ダム推進派はお金に
モノを言わせ、「ダムはここまできたらできる」「強制収用され
る」と補償交渉の締結のための同意を得ようと必死です。

ダム推進派は漁協の実権を握り、恥や外聞も捨てて、法律
違反のもと進められている補償交渉の締結に邁進しています。
川を守ろうという意識は、どこにもないのです。

国も県もこの法律違反を知って見逃してきました。

    そんな巨大な権力を前に頑張る
   ダム反対派の組合員さんの活動を
    今支えてあげることができなければ、
  目的のなくなったダムが巨大な墓標のように、
 子守唄の里・五木にそびえ立ち、清流は永遠に失われて
 しまいます。

 本年度着工を阻止できれば、ダムは止まります!

補償交渉を否決するために身体を張って頑張っている
  反対派組合員さんの戦いを応援するために、
     緊急の資金カンパをお願いします。
    
    ◆◆◆  カンパ振込先 ◆◆◆

○郵便局
【口座番号】01760-9-90480
【加入者】川辺川・球磨川を守る漁民有志の会

○銀 行
【口座】肥後銀行人吉支店 <普通> 1650974 
【名義人】駄目ダム基金会計 山本義彦 

       ◆呼びかけ団体◆ 
子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会
子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る関西の会
美しい球磨川を守る市民の会
清流球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会
やまんたろ・かわんたろの会
川辺川・球磨川を守る漁民有志の会
やつしろ川漁師組合
球磨川上流川漁師組合

問い合わせ先:川辺川・球磨川を守る漁民有志の会
     事務局 毛利正二(携帯090-8834-1533)
         E-mail mouri.sy@crocus.ocn.ne.jp

■特別報告 人吉・球磨の現地から

 この夏、現地では二つの大きな動きがありました。一つは人吉市の住民投票運動、
もう一つは、利水訴訟の同意調査(アタック2001)です。住民投票運動は人吉
市内の全有権者を対象とした署名集め、同意調査は球磨郡内の農家2000人を
対象とした訪問調査という膨大な作業です。ここでは、この二つの運動に現地で
取り組まれ、それを成し遂げられた方の報告を紹介します。

黎明 〜住民投票の足跡〜

                人吉市の住民投票を求める会 木下陽子

 「やっぱダムはいかんばい」。ある一年生議員のつぶやきで全てが始まりま
した。約1年4ヶ月前のことです。
 昨年12月の人吉市議会一般質問で、高瀬清春議員が川辺川ダム建設反対を
表明します。これが保守本流会派からの意思表明だけに、市議会はじめ『ダム
建設推進』の立場をとる市執行部にも大きな衝撃が走りました。高瀬議員は、
「この2年間、球磨川水系ダム問題対策特別委員会に所属し、市房・荒瀬・瀬
戸石はもちろん、日本各地のダムを視察に廻り、“ダムが出来て下流で栄えた
町はない”という結論に達した」と言っています。
 明けて今年1月、この意見に賛同した町内会長会の会長(当時)・工藤益雄
氏を中心に住民投票の動きが起り、2月の世話人会結成を経て、3月7日『人
吉市の住民投票を求める会』が設立されました。その後、数度の会合が開かれ、
4月下旬には住民投票条例制定請求の手続きがとられました。8名の請求代表者
には、医師・郷土史家・画家・郷土料理店の女将と、地域を代表する方々が名
を連ねています。
 傍目には、トントンと物事が順調に運んだかのように見えますが、この間の
世話人・請求代表者のご苦労は大変なものであったと聞きました。福永浩介人
吉市長との面談で、工藤会長は「ダム公害への不安・危惧を訴える人が圧倒的
に多くなっている現在、市民みんなの意見を聞き、その賛否如何でダム建設を
決めて欲しい。人吉市の議会制民主主義が正常に機能していれば、市長か市議
会が発議するのが当然」と再三にわたる申し入れをしています。
 公共事業への依存度が高いこの地方では、多くの市民が例えダムに疑問や不
安を持っていても、それを話すことさえ憚られるというのが実情ではないで
しょうか。そのようななかで、人吉市の著名人・文化人がこぞって声を上げて
くれたという事実は、私たち市民に大きな勇気を与えてくれました。かく言う
私も、2月28日の漁協総代会に元気付けられ、住民投票の動きに勇気を貰
い、遅ればせながらこの時期からの運動参加でした。
 署名集めは、参議院選挙のための休止期間(2ヶ月間)をはさんで、5月2
日から8月14日まで31日間行われました。前期の12日間では、住民投票
への圧力として、建設業を中心とした『活気ある人吉を作る会』によるダム建
設促進の陳情署名が集められ、後期の18日間では、連日の猛暑に高齢の受任
者のなかには体調不良に陥る人もあり、その他数々の困難にぶつかりながら
も、結果として有権者の48・5%もの有効署名を集めることが出来ました。
当初の予想を遥かに上回る署名数に、多くの市民が《みんなで決めよう川辺川
ダム!》と思っている事実が浮き彫りになったと言えるでしょう。
 さてこの民意は、たくさんの注目を集めるなか、その後厳しい批判を浴びる
こととなる市長の条例制定反対の意見書を付けて、9月28日の臨時議会に付
議されました。そして人吉市議会は、10:11の一票差でこれを否決してい
ます。市民が直接選挙で選んだ市長や市議会議員が市民の意見を聞く気がない
という事実に、私達は驚きを禁じえません。
 『求める会』では、市長と市議会の同時リコールに取り組む方針でしたが、
議会がダム促進派と慎重・反対派で12:9と分かれ、促進派の圧力がかか
るなかで11:10と一票差まで迫った事は評価できるとして、市議会の解
散は見送り”市長解職請求”一本に的をしぼって運動を発展させることに決ま
りました。私個人としても、住民投票条例に反対した11人の議員のうち数人は、
諸事情によりしかたなく反対にまわったものと思いたい。彼らを非難・追及する
よりむしろ、あの手この手の圧力やしがらみに屈することなく、賛成を貫き通
した10人の議員こそが褒め称えられるべきだと思っています。
 市長は、あのひどい意見書だけでなく一連の発言で多くの市民の怒りを買い
ました。臨時議会で、『闘争をあおり、世の中を混乱状態にする云々』のくだ
りを「市民に対して謝罪・撤回すべきだ」と議員に詰め寄られた市長は、「せ
っかく書いたんだから撤回するつもりはない。私も確信しているし、多くの人
たちもそう思っている」と答えています。この一言だけでも十分にリコールに
値すると思います。
 戦いは、前半の大きな山場にさしかかったばかりです。ダム本体着工を目前
にし、険しい山を見上げてため息をついている暇は私達にはありません。

同意聞き取り調査でダム建設阻止にアタック

        川辺川利水訴訟を支援する会   赤木 光代

この夏、「アタック2001」の一環として、聞き取り調査に参加しまし
た。2年前初めて川辺川を見たとき、もう、驚天動地。それまでの、私の川の
イメージが一変しました。そして「生きてきてよかった」という深い感動が
ジワジワと・・・。
 川辺川ダム建設の目的は、治水と利水とされ、目的のどれかが根拠を失う
と、ダムは建設できません。利水は、国営川辺川総合土地改良事業といいま
す。
 同事業は、法により3分の2以上の対象農家の同意を要します。平成6年
の事業計画変更の際の同意がずさんでであることを原告側が指摘したにも拘
わらず、熊本地裁判決は原告敗訴としました。原告・補助参加者数が全対象
農家の40.5%であることは、残りは59.5%。3分の2(66%)に
届きません。判決は、2000人の同意を調査せずに有効と見なし、3分の
2以上の同意率としたのです。高裁の進行協議で、原告側は未調査の200
0人について、署名・押印の真偽を調査することを裁判所と約束しました。
 原告団事務所で説明を聞いた後、2人組で相良村と人吉市の農家を訪ねま
した。
 本人で確かに署名・押印したという農家も、モチロンありました。ところ
が、ある農家に行くと、署名は女性の名前なのに男性の人が、「私が署名し
ました」と言うのです。「これは母の名前です。母は平成5年に亡くなりま
した。財産相続がすんでいなかったので、共同相続人のひとりである私がし
ました」と。相続がすんでいないのなら、全相続人の署名と印鑑が必要なの
では?と釈然としない思いにとらわれていると、同行の人が「本人の署名じ
ゃないということですね」と尋ねました。「そういうこっですな」といって、
調査票に、聞き取り結果の確認の署名をされました。
 強く心に残っているのは、裁判所に国が提出した同意綴りの複写を見るな
り、「いや、私の名前ではない」とすぐに言った方です。ほんとうの名前は
旧字体なのに、新字体の署名だったからです。「印鑑も違う」と迷わずに答
えられました。あまりに確信をもっていわれるので、同意綴りの複写をしげ
しげと見ました。1ページ5人分の署名があり、お役所が名前を書く欄のす
ぐ右が本人署名欄になっており、故意に字の大きさを変えているが、同一人
の筆跡としか思われないほどに素人目にも酷似していました。字を書くとき
に筆圧にクセが出ますから、たとえば「田」という字の最後の画を書くとき、
左が少し空いてしまったりします。では、他の4人もお役所の人が書いたの
だろうかという疑念がフツフツとわいてきました。山江村は5割が本人の署
名ではなく、そのうち多くが同意取りをした役場の者が書いたらしいという
話し声を、出発前に聞いていましたが、そこは人吉市の農家でした。
 熊本日日新聞9月30日付の記事で、聞き取り調査分をふくめた同意率
が60.8%止まりであったと報道していました。足りないっ。3分の2に
足りないじゃないっ。再び目にした川辺川の風景を思い浮かべ、充実したこ
の夏の感慨に浸っています。

3分の2の同意、完全に崩壊!次回口頭弁論にも多数の参加を
 赤木さんの報告にもありますが、9月上旬にこのアタック2001を終了した原告弁護団は調査票の集計作業を行い、9月29日にその集計結果を福岡高裁に提出しました。その結果によると、対象農家約2000人のうち、558人の同意署名に自署でないなどの問題があり、全体で対象農家3904人(用排水事業)の同意率は60・8%(2374人)にとどまり、土地改良法が必要とする対象農家の3分の2以上の同意はなかったことが明らかになりました。
 一審判決をくつがえす事実が、原告団、弁護団、支援者の努力によって明らかになったと言えるでしょう。
 次回の利水控訴審では、同意署名を集めた球磨郡四町村の担当者の証人尋問と、諫早干拓事業問題で事業の費用対効果を検証した宮入興一愛知大学経済学部教授の証人尋問があります。宮入教授には、この利水事業の費用対効果の検証を依頼してあるそうです。多くの皆さんの傍聴をお願いします。

 川辺川利水訴訟控訴審 第四回口頭弁論
  日時:11月30日(金)10:00〜
  場所:福岡高等裁判所(地下鉄赤坂駅下車徒歩10分)
  当日のスケジュール:
   10時    宮入教授の証人尋問
   12時過ぎ  天神で情宣活動
   13時    門前集会
   13時30分 役場職員への証人尋問

 *時間の変更の可能性がありますので、傍聴を希望される方は福岡の会・
  松原さん(Tel./Fax.092-623-1765)に事前に確認してください。

■ イベント・行動レポート
●川辺川ミーティング

 現地でダム建設推進派の動きが増している中、川辺川の問題に心を寄せてい
るいろいろな立場の方と今後の取り組みを考えていくことを目的に、9月7日、
熊本市内で「川辺川ミーティング」を開催しました。
 当日は平日の夜にもかかわらず、人吉や天草で地域の運動に取り組んでおら
れる方や一般市民、議員や政党関係者、労組などを含めて50名近くの出席があ
りました。
 まず、つる詳子副代表から、川辺川をめぐる現在の状況説明を受けました。
ダム推進派が役員の多数を占め、国との違法な補償交渉を着々と進めている球
磨川漁協や、土地収用法で脅しをかける国土交通省、それに対して裁判で争っ
たり住民投票で立ち向かおうとしている農民・漁民・市民の動きについて触れ、
「政治的にダムが中止される一番大きな条件は、熊本県知事あるいは流域の自
治体が1つでもいいから、川辺川ダム建設に反対を表明すること」と指摘し、
県内世論の盛り上げや県に対する働きかけ、さらに現地への支援運動が重要で
あると訴えました。
 出席者の自己紹介の後、具体的に取り組む運動の提起が事務局からあり、出
席者による討論に移りました。
 市民からは、これまで行われてきた取り組みの評価、今後の住民投票や五木
村へどのような支援を行っていったらいいかについての意見、議員や政党から
は、県議会の動きや議員の意識の変化、また県内各地の環境問題についての報
告がありました。現地からは、利水訴訟が地域に及ぼした影響、そして日夜奮
闘している漁民のみなさんからの、支援を求める切実な訴えがありました。
 このほか、討論ではさまざまな立場からの意見が活発に交わされました。
 討論を受け、今後やっていくべきことを詰めていくこととなりましたが、当
面の取り組みとして、県議会への要望書を連名で提出することが決まりました。
 このようなミーティングは今回初めての開催であり、全体的な行動計画を決
めるにはいたりませんでしたが、さまざまな立場の方が集い話し合ったことで、
ダム反対のネットワークが既存の運動体から大きく広がっていくきっかけにな
ったことと思います。
 県民の会では、今後もこのようなミーティングを継続して開催していく予定
です。運動の輪をさらに拡大していきましょう。
                (県民の会 村上恵司)

●源流水リレー
 7月28日から8月1日にかけ我々は、川辺川の源流水と川辺川の水で作られたお米を諫早湾の奥部へと人力で運びました。
 いろいろ書いてみましたが、宣言文に思いが集約されていますので、それを紹介したいと思います。
 今、川辺川にギロチンが下ろされる前に行動しなければきっと後悔します。有明の漁師さんたちのように。

私たちのアピール
 長崎県は江戸時代まで、「肥前の国」と呼ばれていました。
一方、熊本県は「肥後の国」と呼ばれてきました。
関係の深い2つの地域を「前・後」と呼ぶのは珍しいことでは
ありませんが、海を挟んだ二つの地域をこのように呼ぶのは、
日本全国の中で、肥前・肥後が唯一です。それはすなわち、
古来より両地域が、海を通じて深いつながりがあったことを
意味します。
 しかし今、肥前と肥後をつないでいる有明海と不知火海が、
2つの公共事業によって大きな危機に瀕しています。有明海
異変の引き金を引いた国営諫早湾干拓事業と、疲弊した不
知火海に致命的なダメージを与えることが懸念されている川
辺川ダム建設事業です。
 危機に瀕しているのは、海だけではありません。そこに暮ら
す人々の心が、これらの事業によって引き裂かれようとしてい
るのです。
 農業・林業・水産業を司る役所の事業で、なぜ、農民と漁民、
あるいは漁民同士が、いがみ合わなければならないのでしょう
か? それはこれらの事業が、根本的に間違っているからに
他なりません。
 そのことを訴え、自然環境の守人である第一次産業に従事
するみなさんが協力しあい、国の誤りを正していけるよう、肥後
の清流・川辺川の水と米を、人から人への手渡しで、肥前の魚
湧く海・諫早湾まで運んできました。今、水と米はおにぎりとな
り、有明の海苔に包まれようとしています。
 誰もいがみ合うことなく、すべての農民・漁民・林業家そして日
本国民が、未来永劫、自然の恵みを享受して生きていけるよう、
国営諫早湾干拓事業や川辺川ダム建設事業に代表される誤った
公共事業を根本的に見直しすることを、私たちは強く要望します。
       2001年8月1日
   肥後の源流水を肥前の海へ!
川辺川と諫早湾を結ぶシーカヤック隊一同

旅の内容は、べさはや隊のホームページ
(http://www01.vaio.ne.jp/wild/besahaya/)か旅の記録
ビデオ「ベサハヤ!」(ホームページで販売中)をお求め
頂きたいと思います。収益は全額、川や海を守るために
闘う漁師さんたちの活動に寄付させていただきます。
また、11月10日発売のアウトドア(山と渓谷社)に、
安藤眞隊長の記事がカラー・4ページで掲載されます。

             (県民の会 仲山隆一)

「球磨川水系の治水に関する客観性検討委員会」傍聴報告
 9月29日に福岡市のグリーンホテルの会議室で、第三回の「球磨川水系の治水に関する客観性検討委員会」が開かれました。
 私と土森武友さんとで、ダメモトで、委員会に傍聴を申し込みました。しばらく、委員会で議論した結果、傍聴が認められ、傍聴しました。
 委員の先生は5名、国土交通省九州地方整備局(九地整)から10名程度(実はもっといたかも・・・)、川辺川工事事務所の方、熊本県の職員もいました。マスコミは、川辺を熱心に取材してくれる熊日の木村さんや毎日、共同通信、NHKなど10名弱。
 委員会は九地整・河川部から、資料についての説明からはじまりました。机の上を見ると、一ヶ月前から情報公開法の手続きを求めつつけていた当委員会の分厚い資料。さ
らに、人吉の重松隆敏さんらと私たち福岡の会からの委員会に対する要望書とそれに対
する回答(案)まで。
 以後、いろいろな説明とそれに対する先生方のコメントが続きました。以下は頭に残
っているもの。「」は関係者の発言を松原が意訳です。
 九州大学大学院工学研究院教授・小松利光先生(委員長)が、要望書のなかの委員の制定の妥当性について、「私は、この(委員会)メンバーは、最適な選択だと思います」。
 九地整の洪水説明で、昭和40年の水害を数値シミュレーションした結果で30分に
1.3mの水没個所も出たので、30分に2mということも起こりうる、との説明に、小松先生が「それは、論理的におかしい。つまり、言いたいのは、予測に使っているハイドログラフなどが、まぁまぁ、正しいことを言いたいのでしょう」と助け舟を出した。
 申し入れ書にあった、昭和40年水害の市房ダムの放水データがないことについて
熊本大学工学部助教授の大本照憲先生が、「36年も経っていながら、未だに、市房ダム
が水害の原因だと根強い不信が人吉にあるのは、情報を公開していない、あるいは、公開しても住民にわかりにくいからだ」との意見を出した。
 そこで、熊本県の職員が証言。「当時の市房ダムの従業員15名の内、現在死亡者が5名、入院が1名。残りの9名について聞き取り調査を行ったが、当時のことは覚えてないということです。それから、記録も探したが、残っていませんでした。ただ、言えるのは、ダムの操作は、操作規則にのっとり行っているので、間違いはありません」とのこと。
 資料には市房ダムの運用日誌があり、7月1日からの記録が記載されていた。記録はほぼ30分おきくらいに、残っているのだが、問題の7月3日の4時過ぎから8時までの4時間の記録がなく、まさに人吉での水害の発生時間に対応するところだけが抜け落ちていた。
 小松先生の説明(九地整も同様)だと、市房ダムの放水量は人吉に流れ込む水量の一割程度で、これが洪水の原因とは考えられないとのこと。水量的に大きい、川辺川からの流れ込みが洪水の原因と言う。
 15時過ぎ、小松先生が、「総括」として話をはじめた。「九地整の治水に関するデータは、学的に正しい・・・・」と、あっさりと妥当性をまとめる見解だった。
 委員会が終わり、元熊本大学工学部教授の下津昌司先生が、「もう少し、委員会ではなくて、市民と行政の橋渡しをするような委員会を」と、おっしゃった。
 小松先生が、「今日はマスコミの方も来ていますし、マスコミの方と議論したいですね」、
「もっと、マスコミの方も勉強して頂いて・・・」。
 思わず、マイクを振られたマスコミも困惑。記者が「九地整の対応がとても悪かったの
で・・・」。小松先生が、「どうでしょう、九地整の方もかなり誠意ある対応をしていると思うのですが・・・」。
 我慢ならずに、私も挙手(ようやく・・・発言できた!!)。
「マスコミを呼びたい、記事を載せてもらいたいのであれば、市民を呼ぶべきです.マスコ
ミを動かすのは、市民ですよ」「それから、先生、私は一ヶ月も前から、この委員会の資料
を求めているのですよ。300円の印紙を貼って請求してるのに、まだ来ない。一方では、
今日この机にのっている。これが誠意なのですか?」と精一杯訴えた。
 ある記者が、「こんな委員会をやるのであれば、どうして人吉でやらないんですか。話は
簡単ですよ。私たち記者は、第三者に過ぎないんだから・・・」、という感じで、傍聴は終
わった。
 各委員の先生方はとても紳士的な態度だった。特に、熊本大学の先生方は、「市民と行政の橋渡し的」な組織を切望して、「私たちが本来、その役目をしなければならない」とまで
おっしゃってくれたことが嬉しかった。
 後日、九地整から、情報公開法に基づいた書面が私のところに届いた。その書面には、閲覧は100ページにつき100円、コピーは一枚20円、平日に限るとあった。
 小松先生に委員会傍聴のお礼と情報公開の窮状を訴える手紙を出したところ、親切にも委員会資料をお送りくださった。 
 委員会資料の欲しい方は、松原まで。TEL 092−623−1765
 (但し、コピー代1500円ほどはご負担ください)
                      (福岡の会 松原学)

●長良川DAYで尺鮎大好評!
 関西の会では去る7月7日〜8日、岐阜県長良川河口堰近くの
河原で開催された長良川DAY2001に川辺川ブースを出展
しました。隣のブースでは、脱ダムネット諏訪のおじさんおば
さんたちが田中康夫長野県知事の脱ダム宣言に後押しされてか、やたら
元気に呼び込みなどをするのに少々圧倒されてしまいました
が、一緒になってわいわいやりながら、尺鮎トラストのチラシ
配布や書籍・ステッカーの販売などを行いました。
 当日は東京からも安藤眞さんが「鮎焼き機」持参で駆けつけて
来られ、夕方からはお待ちかねの尺鮎の塩焼きをおいちく焼
いていただきました。この尺鮎、自分たちで食べるつもりで持っ
て行ったのですが、焼いていると、ブースの前を通る人たちが
興味津々で見ていきます。まずはその大きさにびっくりし、その
後、「それ、売り物ですか?」とつぎつぎに尋ねてこられます。
なにぶん数が少ないものでとお断りしていたのですが、どうして
もとおっしゃる方もいて、そういった方には1尾千円でお譲りし
ました。
 運良く川辺川の鮎を食べた方は大満足の様子。近くのブース
では長良川の鮎も焼いて売っていましたが、大きさの違いがあ
まりにも歴然としていて気の毒なくらい。安藤さんいわく「ししゃも
サイズ」の長良川鮎を焼いているところへ、川辺川鮎を持って
いくと、そこにはししゃも・・・いや、鮎をほお張る田中知事が。
その横で大きな鮎を持って写真を撮ると、長良川のみなさんから
は「いやみに来たー」と苦笑されました。
 2日目、ステージ上での各NGOのアピールタイムでは、安藤さん
と二人で本邦初(?)ボケと突っ込みの漫才アピール。残念ながら
持ち時間が少なく、最後まで喋ることができませんでしたがそれな
りに受けた・・・いや、アピールできたのではないでしょうか。
 関西の会では、こいうったイベント出展や、遠くからでもできるハ
ガキ作戦、マスコミへの投稿などの活動を通じて川辺川を応援して
います。尺鮎を食べる会in関西も検討中。参加者大募集
(まずはメールくれたし)。
                 (関西の会 加藤広行)

『鮎食い大会@東京〜』by 川辺川・東京の会
 素晴らしい川辺川を故郷として暮らしていらっしゃる皆さん、
球磨川の流れを日々に見ることができる皆さん、そんな川を愛する、熊本県
の皆さん、全国の皆さんこんにちは!
 ときどき不思議だなと思います。あんなに遠いところにある『川辺川』を
ご縁に皆さんたちと知り合い、とても大事なものを慈しんでいきたいという
思いで、いろいろなことに走り回ったり、「嫌々ながら」永田町やら霞ヶ関
に通ったり・・・日本一の鮎を食べたり!!
 毎夏、慣例になった「川辺川・東京の会」主催の『鮎食い大会@東京』。
今年は、7月には、多摩川べりで爽やかな風を感じながら、9月には、タカ
ハシ家で「源流水リレー&べさはや隊ビデオ鑑賞会」を兼ねて行われました。
だいたい、いつものメンバー以外にさまざまに川辺川をサポートしてくれる
仲間が15〜20人くらいも集っての楽しい会です。
 鮎を焼いてくれるのは、吉村勝徳さん直伝「鮎炭火焼師」の安藤眞さん。
ともかく、東京では、普段いただくことがない球磨川鮎がいかに大きくてお
いしいか!を多くの方に知っていただくことも「重要な任務」と考えていま
す。み〜んな大ファンになりますよ!
 おまけに、今年は、9月末に毎年慣例の『相模川キャンプインシンポジウ
ム』でも、川辺川鮎を特集してくださって、たくさんの皆さんに日本一の鮎
を味わっていただきました。相模川チームの皆さんに感謝。
 「川辺川ダム」が過去の話になるのは、もうすぐだと信じています。ダム
計画が中止になったら、「川辺川・東京の会」はどうするか?!「川辺川の
鮎を食べる・東京の会」として継続することが決定しています!
 皆さん、もうひと息ですね。がんばりましょう。

                (東京の会 高橋ユリカ)

●●川辺川・球磨川の「尺鮎の謎」解明のために、カンパとボランティア募集!!●●
 (財)日本自然保護協会(NACS-J)とボランティア有志により、2000年9月からアユ
の生息環境調査が毎月続けられ、市房ダムが球磨川に及ぼす影響などが次第に明らか
にされつつあります。当初一年間の予定だった調査は、今後も継続されることにな
り、その上、不知火海も調査する必要性が感じられています。

以下はNACS-Jからのカンパの呼びかけ(一部抜粋)です。

 NACS-Jは、川辺川・球磨川特有の大型アユの生態と川辺川のアユを育てる力のあり
かを科学的に把握し、この環境そのものに次世代に残すべき大きな価値があることを
社会に訴えたいと思っています。昨年は、秋に1回だけ緊急調査をし、川辺川で育つ
アユの体格は、球磨川本流より明らかに大きいことがわかりました。本流にはダムが
あるため、品質も全く違います。今年は、春の稚アユの遡上期からその成長を追い、
そのメカニズムと環境要素の解明に取り組んでいます。ただ、調査資金はもう底をつ
いてしまいました。
 1年限りで寿命を迎えるアユ。このアユが川を下る秋は体格も最大。この最後の時
期に調査チームを川辺川に送るための緊急寄付に、ぜひご協力をお願したいと思いま
す。成果は、会報「自然保護」やホームページ他でご報告させていただきます。

・今年度必要な調査費用は630万円。データ分析・調査機器・スタッフ旅費
・報告書作成作業に使わせていただきます。
・郵便振替口座番号 00150-2-51775
 加入者名 「日本自然保護協会」
 郵便局備え付けの用紙をご利用になり、通信欄に「川辺川緊急寄付」と明記してく
ださい。

 同時に調査に関わってくださるボランティアを募集しています。
 どなたでもできる簡単な作業です。是非、お手伝いをお願いします。
 連絡先:Tel:096-349-8090 Fax:096-349-8320(西田まで)

●●イベントインフォメーション●●
●「福岡で川辺川を食べよう!」

日時:11月11日(土)11:00〜15:00
場所:福岡市原小学校・校庭(福岡市早良区原2丁目)
内容:ひかり事業所のバザーに出店、川辺川直送の天然鮎の塩焼き販売
主催・問い合わせ:???

●和白干潟祭りに出店
日時:12月2日(日)
場所:福岡市東区和白の海の広場
内容:福岡の会による川辺川グッズの販売
主催:「和白干潟を守る会」
問い合わせ先は:松原(TEL&FAX 092−623−1765)

●「グリーンコープまつり」「スーパーフリーマーケットin熊本」に出店
日時:12月2日(日)10時〜16時頃(フリーマーケットは17時まで)
場所:グランメッセ熊本(益城熊本空港インター横) 電話096-286-8000
入場料(フリーマーケットのみ必要):一般400円、中高生200円、保護者同
伴の小学生以下無料、小学生のみ200円
内容:グリーンコープや熊本の生産者らによる展示即売会と西日本リサイク
    ル運動市民の会主催のフリーマーケット。
   県民の会では、やつしろ川漁師組合による川辺川産焼き鮎の実演販売
    と川辺川の写真展、またグッズ販売やフリーマーケットへの出店を企
画しています。
   フリーマーケットで売りたいもの、または何かお手伝いできる方、大
    歓迎です。県民の会事務局までご連絡ください。
   鮎の売上は、川漁師さんの支援に、フリーマーケットの売上は川辺川
利水訴訟原告団へのカンパになります。どうぞ、沢山のご協力をお願
いいたします。
問い合わせ:県民の会事務局まで