子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会
ニュースレター 第13号 平成12年(2000年)4月12日発行




●4月16日(日)は選挙と川辺川シンポジウム!

◎シンポジウムにお越し下さい。
 前回のお便りでもお知らせした通り、4月16日(日)13:30から熊本市大江
市民センタ―で「自然・清流・川辺川  この川を守りたい」というタイトルでシンポ
ジウムを開催します。

 メイン講演は環境アセスメントの第一人者、東京工業大学の原科幸彦教授です。環
境アセスとは何か、なぜ川辺川ダム事業に適用しないといけないのか、住民参加の環
境アセスはどのように実現させていくのかなど、環境アセスを通してのダム見直しへ
の展望を語っていただきます。

 後半は原科教授の他に、川辺川利水訴訟の原告団団長であり、川辺川のたもとで生
まれ育った梅山究(ふかし)さん、球磨川随一の鮎釣り名人であり、釣りインストラ
クターである塚本昭司さんをお招きし、お三方に球磨川・川辺川の魅力を思う存分話
していただきます。司会はこれまた球磨川・川辺川大好きのうんばば中尾さんです。
楽しいディスカッションになることと思います。

 シンポジウムの開演前には川辺川の素晴らしさを余すところなく伝えるビデオ「め
ぐりめぐる2」の上映や、2月の「ストップ川辺川ダム緊急集会&市内パレード」か
ら人気急上昇中のユニット「Spirits Of Kawabe」のセッションを行います。

 以上、盛り沢山の内容でお届けするシンポジウム、多くの方の参加をお待ちしてい
ます。

 シンポジウム 自然・清流・川辺川 この川を守りたい。
4月16日(日)13:00開場 13:30開演会場:大江市民センター 資料代500円
パネラー:原科幸彦、梅山究、塚本昭司、
司 会:うんばば中尾 (敬称略)

◎熊本県知事選の意義と公開質問状の回答
 4月16日は熊本県知事選挙と参議院熊本選挙区補欠選挙が行われます。特に県知
事選は1967年以来はじめて3人の有力候補者が立候補するということで県民の関心も
高まりつつあります。

 ご存じのように故福島譲二前熊本県知事は川辺川ダム事業の強力な推進者の一人で
した。熊本県の川辺川ダム事業に占める役割も小さくなく、ダム事業本体においては
580億円もの県負担があり、川辺川利水事業においては、県営事業費が250億円にも上
ります(団体営含む)。よって川辺川ダム事業の見直しには、熊本県政を変えていく
必要があります。

 他県の例を見ますと、東京都知事が、敢えて国策とぶつかるような新税の導入やデ
ィーゼル車の排気ガス規制を、様々な論議を巻き起こしながらも実行しています。ま
た三重県知事が芦浜原発中止の決定を下したことも記憶に新しいことですし、宮城県
知事や高知県知事が情報公開政策を進めていることも知られています。

 このように、従来とは違う政策を実行できる知事を当選させることで、地方政治の
あり方を大きく変化させることが可能です。

 今回の熊本県知事選挙では県内の様々な市民団体が候補者に公開質問状などを提出
し、その回答によって各候補者の考え方や政策の違いが明らかになりつつあります。
川辺川問題に関しては県民の会が各政党に対し、環境や財政問題に配慮する候補者を
選定するよう要望書を提出したのを始め、「清流球磨川・川辺川を未来 に手渡す流
域郡市民の会(手渡す会)」や「川辺川利水訴訟原告団」等が公開質問状を提出して
います。

 前回のお便りで、知事選・参院補選の立候補者の回答を皆さまにお知らせしました。
投票の際の参考にしていただければ幸いです。また自分の支持する候補者が、川辺川
問題に関して自分と考えが違う場合、その候補者や支援団体に再考を促すよう働きか
けていただければ幸いです。

 県民の会では、誰が県知事に当選しようとも、引き続き熊本県及び熊本県議会に対
して川辺川ダム事業の見直しを求めて働きかけていくつもりです。

●球磨川漁協・漁師さんたちの川への思いが11年度本体工事着工を阻止!
 3月28日、建設省は平成11年度の川辺川ダム本体工事着工断念を発表しました。
本体着工の前提としていた球磨川漁協の着工同意が得られなかったためです。なんと
か11年度予算に手を付けたい建設省と、漁場を守る立場にいながらダム推進のため
に躍起になり、あの手この手を打ってきた漁協内部のダム推進派も、正義感あふれる
漁民の方たちを屈服させることはできなかったのです。

◎下球磨部会執行部の不当なアンケート実施
 このなりふり構わずの攻撃の第一歩は1月末の強引な球磨川漁協・下球磨部会のア
ンケート実施が発端になっています。ダム推進派は「強制収用されるぞ」「どんなに
頑張ってもダムはできる」と組合員に対しことある毎に言い聞かせ、そのことを前提
にしたアンケートを実施しました。この内容はダムに反対するならお金がかかる裁判
闘争か、座り込みなどの実力阻止しかなく、それができないなら交渉しか残されてい
ないと思わせる内容でした。しかも同アンケートには、ダム反対に対するダム賛成の
文字はどこにもなく、「ダム反対か?」「必要な交渉は何か?」として、補償金交渉
と同列にダム建設とは関係ない項目(7項目)を並べ立て、例えばダム賛成ではなく
ても、市房ダムの水質改善について交渉すべきだと思っている人も、「建設省との(
補償)交渉を望んでいる組合員」として集計されてしまいました。

 こんな内容のアンケート実施はおかしいということで、理事会ではもちろん拒否さ
れましたが、それにもかかわらず下球磨部会は強引に実施しました。しかも、総代が
一軒ずつ組合員の家々を訪れ、その場で書かせるというものだったといいますから、
まさに組合員にとっては踏み絵のようなものでした。それでも「ダム絶対反対」と答
えた組合員は30%いたということです。

 また、補償金あるいは他の7項目について「建設省との交渉が必要」と答えた人は
65%だったのですが、この中のダム賛成を意味する「補償交渉が必要だ」と答えた
人たちの割合は明らかにされていません。

◎デタラメな内容の総代会開催請求に対し、理事会が拒否したのは当然の結果
 下球磨部会のダム推進をしたい執行部は、この一部会の不当なアンケート結果をあ
たかも、組合員の総意であるとして「補償交渉委員会の設置」を、またその組合員の
総意を取り上げない理事会はおかしいとして「理事全員の改選」を要求した開催請求
の署名を集めたのです。その他の理由の項目も事実に反することを並べ立ててあった
のですが、事情を知らない総代さんたちが、理由はもっともとして署名したことは容
易に想像できます。

 不当な理由を目的とした臨時総代会を開催できないのは常識的に考えても明らかで
す。開催拒否をした理事会の決定を監査役である監事会も正当として支持したのです。
この決定を不服としたダム推進派は、熊本県の水産部に「正当な手続きを無視する理
事会はおかしい」と泣きつき、県水産部も手続きが正当であれば理由の如何にかかわ
らず開催すべしと漁協に対して「勧告」を行いました。 事情を説明しに行った監事会
の説明書には目を通すことなく、本来、水産振興を仕事とする水産部が(ダム建設は
水産振興に害しか与えないのに)ダム推進派の事情のみを取り上げ勧告書を出したと
いうことで、あきれた権力のふりかざしとしか言いようがありません。また、ダム推
進派の一人は、理事会が臨時総代会開催を拒否したことに対し、告訴を行っています。

 ダム建設同意に向けて次から次へと仕掛けてくる推進派のなりふり構わない攻撃に
対し、良識ある理事さんや監事さん、また「漁民有志の会」の皆さんたちは、振り回
されながらも11年度の本体着工を断念させたのです。

◎利権に群がる一部の人たちが漁協の内部をかき回す
 球磨川漁協の問題点はダムを造りたい人たちも理事や総代になれることにもあるよ
うです。球磨川本流の既存のダム建設は、ダム建設が川に大変な被害を与えることを
組合員に知らせると共に、彼らの生活の糧を奪ってきました。その結果、漁業を生業
としない組合員が増え、川やアユを大事に思う人たちよりも、ダム建設の恩恵にあず
かろうとする人たちが役員になれる仕組みができあがってきたのかもしれません。
 それを証明するかの様に、下球磨部会は建設省から独自にお金を受け取ったり、領
収証の一部を紛失させるなどお金に関する疑惑も浮上しています。部会の組合員さん
も次第に一部の人たちの不当なやり方に気付くとは思いますが、彼らの野望に利用さ
れないよう判断して欲しいものです。また、正しい主張が、法の抜け道を利用した推
進派の工作によってかき消されるようなことは避けて欲しいものです。

◎頑張っている漁民の皆さんを応援しよう
「駄目ダム基金」の設立
 ダムがアユ漁に与える影響を経験上知っている理事さんや組合員さんたちは、「自
分たちが負けたらダムができてしまう」という責任感と重圧感の中で闘っています。
私たちにできることは、世論の後押しと必要な場合にすぐ対応できる資金の蓄えです。
 もし裁判闘争となった場合に、各自の負担が大きいと、勝てる裁判も躊躇されるか
もしれません。必要な時にさっと援助できる−−そんな体制が必要です。そういう想
定の中から、川辺川ダム問題に取り組む数団体が話し合って基金の設立を協議し決定
しました。

◆◆1ヶ月1000円(一口)の資金援助をお願いします。◆◆

 この基金は、漁協のみなさんがダム反対のために必要な資金を必要な時にさっと出
そう・・・そういう目的のための基金です。最前線で戦っている漁民のみなさんを側
面から支援するのは、川辺川を守りたい私たちにできる重要な活動の一つです。
※詳しい内容や手続きについては、p.3-1,3-2を ご覧下さい。
(HP版では省略:駄目ダム基金趣意書)

【県民の会・問い合わせ窓口】
tel:0968-72-5604(土森)/tel:070-5273-0493(矢次) 

◎漁民のみなさんに応援のメッセージを
 最近の報道を見ていると、過半数の総代や多数の組合員の意向を理事会が理事の権
限を振りかざして、無視しているようなニュアンスで伝えられたりしています。また、
当たり前の手続きによって請求されている総代会が開催されないのは不当だとして、
良識派の理事さんたちが裁判に訴えられたりしています。しかし、ダム推進派のやり
方がおかしいからこそ、理事会は総代会をはねのけたのです。開催請求の理由に偽り
を並べ立て、何も知らない総代さんたちの署名を集めているのです。ダムを作りたい
という本音がありありで、漁協の人達の行動とは思えないものです。明らかに請求の
理由がおかしいから理事会は拒否しているのです。それが、客観的にみてもおかしい
ので、監事団が理事会の姿勢を支持しているのです。この内容の不当性を皆が知らな
いことをいいことに、署名を集めたり、県に泣きついて、県も手続きが正当であると
いうことだけで、理由も調べずに勧告をだしているのです。

 本当はダムを作りたい人が、川を守るべき漁協の役員になれるシステムがおかしい
のですが、こんな人たちに対して、正しい主張をされている人の意見があたかもおか
しいような伝わり方さえしています。

是非、頑張っている漁民の方達に応援のメッセージを送って下さい。良識派の漁民の
みなさんは毎日、身をすり減らしながら戦っておられます。川辺川を守りたいと思う
人たちは全国でどんどん増えているのですが、なかなかみなさんの声が最前線で体を
張って戦っている漁民のみなさんに伝わらず、孤独に感じていらっしゃいます。是非
あなたの一言を届けてください。

【宛先】〒868-0021
人吉市鬼木町北田1011-2 吉村勝徳方
球磨川・川辺川を守る漁民有志の会
fax:0965-32-7759
e-mail kfutami@mrh.biglobe.ne.jp

●川辺川をめぐる動き(1999年11月〜2000年3月)
前号以降の川辺川に関する動きを拾ってみました。

11/12 第13回川辺川利水訴訟口頭弁論
12/1-3 利水訴訟原告団上京、霞ヶ関で要請活動
12/1  中村敦夫議員3回目の川辺川ダム建設に関する質問主意書提出
12/2  球磨川漁協、川辺川ダム年度内着工反対、建設省に申し入れ
12/12 シンポジウム「クマタカの視点から見たダム建設」
12/17 九州の原生林を守る連絡協議会 ダム計画の見直し要請へ
12/17 熊本県議会県民クラブにて川辺川ダム問題ヒアリング
2/4   川辺川利水訴訟第14回口頭弁論
2/6   「ストップ!川辺川ダム」緊急集会&市中パレード
2/15  民主党川辺川ダム問題ヒアリング(東京)
2/17  民主党ネクストキャビネット川辺川ダム問題現地視察(人吉)
2/28  民主党・前原議員「川辺川ダム建設事業に関する質問主意書」提出
2/29  球磨川漁協通常総代会(ダム反対の旗は降ろさない...)
3/5   漁民の会植林イベント「木を植えよう! 炭を焼こう!」
      (国際反ダム行動デー参加イベント)
3/9   川辺川利水訴訟結審前夜集会(人吉カルチャーパレス)
3/9   県民の会、知事選候補選定に関する要望書を各政党に送付
3/10  川辺川利水訴訟結審(夜、県立劇場にて報告集会)
3/12  福岡の会イベント「川と遊ぼう!!元気な川を取り戻せ!」
      (国際反ダム行動デー参加イベント)
3/14  クマタカとアセスに関する要望書提出(東京、人吉、熊本)
3/16  民主党ネクストキャビネット 川辺川ダムに反対表明
3/19  県民の会「川辺川ダムに環境アセスメントを求める署名活動」
      (国際反ダム行動デー参加イベント)
3/21  手渡す会、知事選候補者へ公開質問状送付
3/28  建設省、平成11年度内の本体着工を断念

国際反ダム行動デーとは
アメリカ・カリフォルニアに本部を置くインターナショナル・リバーズ・ネットワー
クの呼びかけにより、毎年3月14日を「川・水・命のためにダムに反対する日」と
決め、世界中でダムに反対する人たちが同じ日(近い日)に行動することで結束を固
め、メディアや世論にアピールする日。今年は世界中で65のアクションが行われ、日
本でも6つのアクションが行われました。
写真:アメリカ・グレンキャニオンダムでのアクション

●「木を植えよう! 炭を焼こう!」
 3月5日に川辺川・球磨川を守る漁民有志の会を始めとした8団体の共催で球磨川
流域に植林が行われました。
 当日は九州一円のみならず、遠くは関東、関西からも助っ人が登場し、熱気むんむ
ん。
100名を超す参加者は、広葉樹を中心とした苗木を植えた後、天然鮎とだご汁を片
手に人形劇を観劇しました。溝口式簡易炭焼きの説明会も行われるなど、お楽しみ盛
りだくさんの1日でした。

 実は、その前日にも川辺川のほとりでお楽しみがありました。福岡の会の清川櫂さ
んの段取りで、清流川辺川を守る関西の会の発会式が行われたのです。関西から駆け
つけた加藤広行さん、田中ゆかりさん立会いのもと、関西の会の前途を祝して乾杯!
埼玉から参加された安藤眞さんがたきつけた焚き火を囲んで、皆で夜明けまで歌い明
かしました。

 なんとなんと、話はここでは終らず、植林の後の打ち上げには、水俣から沢畑さん
達も乱入。ここでも徳永さんを中心としてSpirits of Kawabeと銘打った臨時セッシ
ョンで朝まで盛り上がってしまいました。

 初めて会う方ばかりでしたが、焚き火に歌に植林にと、とても楽しい2日間でした。
次の植林の時には、どんな仲間が来てくれるのだろうととても楽しみになりました。
植林に大勢で参加してくれた水鵬さん達も、次回は参加してくれるかな?「コンクリ
ートのダムより緑のダムを」を合言葉とした今回の植林でしたが、早くも次回の開催
が待ち遠しく感じてます。
二見 孝一

                    *************
 朝8時前に家を出て、9時半に一勝地に、着きました。初めに植え方の説明があり
ました。苗木を、8本くらい持って上の方へ行ました。上に行くにつれて、急になっ
てきました。木がたおれてて、隙間に足がはさまったり、枝で足を擦りむいたりしま
した。
 残りが、3本くらいになったら横6メ−トル、縦4メ−トルの間隔が、取りにくく
なりました。少しずつ下に降りて行きながら、植えていくと、全部なくなりました。
 少しきつかったけれど、今社会科で、森林破壊のことを習っているので、植林をし
てもっと自然を大切にしないといけないなと思いました。   國徳 倫代(11才)

                    *************
 2〜3日前に主人に突然「植林に行こう」と言われなにも考えずに「いいよ」と答
えた私は、あの急斜面を見たとき「しまった!」と思った。
 実は、わたしは、植林の意味をよく理解していなかったのです。今まで山を見ても
なにも疑問に思わなかった自分にあきれかえり「あの綺麗に整列している杉の木は、
こうやって植えられていたのか」とただただ驚いてしまったのです。 
 それだけでも今回の植林に参加させていただいた意味が充分にありましたが、その
上にあのだご汁の美味しかったことといったら・・・心もお腹も満たされた一日でし
た。            野地 利英子


■環境アセス国会請願署名・中間報告
   2000年3月9日 11:25 PM 現在
     ●参議院  13,521名
     ●衆議院  14,677名
       合 計  28,198名
皆様のご協力により北は北海道から、南は沖縄まで全国各地から貴重な署名をいただ
き、ありがとうございました。
集計作業を通して、日本中から集まったひとりひとりの熱い思いを感じました。集ま
った請願署名は今後、超党派の議員から国会請願として提出されます。署名活動は今
後も続きます。引き続きどうぞよろしくお願い致します。
川辺川ダム環境アセス請願実行委員会      國徳 恭代 ・ 渡辺 誠 

●クマタカとアセスに関する要望書提出
 熊本県クマタカ調査グループは、(財)日本自然保護協会の協力のもと1996年から3
年間にわたって川辺川ダム予定地のクマタカ生息状況調査を行ってきた結果を中間報
告として取りまとめ、クマタカにとって重要なコアエリアや繁殖テリトリーの中に、
ダムの骨材として開削予定の原石山が含まれていることを、発表しました。

 これを受けて県民の会は県内をはじめ全国の自然保護団体33団体と連名し3月14
日、建設省と環境庁にたいして川辺川流域のクマタカの保護を求める意見書、環境ア
セスメント実施に関する要望書を建設省本省及び川辺川工事事務所、さらに熊本県の
自然保護課にも同時に提出しました。

 建設省の調査によると水没予定区域とその周辺区域でクマタカを確認していますが、
「事業区域内には営巣地は確認されていない」としてそのまま工事を進めているのが
現状です。しかし今回の調査結果の要点として、川辺川ダム予定地周辺の3つがいの
クマタカのうち2つがいにおいて繁殖を確認できましたが、本来毎年繁殖するはずの
クマタカがすでにもう数年に1回の確率でしか成功していないことがわかりました。
このまま仮にダム本体の工事に着手されはじめると彼らのもっとも大事なエリアであ
る原石山周辺が荒され、彼らにとっては正に生存の危機になることは間違いないでし
ょう。

 中山建設大臣は提出の前日予算委員会で、クマタカに対する質問を受けての発言の
中で、タカは将軍の肩にのるほど人懐こい適応力のある鳥だというようなことを発言
されていました。しかしこれは本当に無知な発言でタカは、一度繁殖する谷を決めた
ら絶対にそこを離れない頑固な鳥なのです。彼らの生活環境がなくなっていくと彼ら
の姿はただ消え去っていくだけなのです。クマタカはいま絶滅の危機にある鳥です。
日本各地から彼らの姿はなくなってきています。彼らの存在は、川辺川の豊かな生態
系を表しています。今回私達は建設省が行った調査の公開と、クマタカ調査グループ
の調査報告書とのクロスチェックを求めました。

 この要望書提出の成果として、建設省は環境庁に調査結果を提出して、環境庁は熊
本県クマタカ調査グループの調査結果と照らし合わせ精査するという報告をあとにな
って受けることが出来ました。今回は33団体という多くの人達の賛同を得ることが
出来ました。私達や多くの人達の声が少なくとも彼らの重い重い腰をあげさせること
ができたのです。しかし、いつもいつもダム建設という前提ありきが彼らの行うやり
かたです。環境庁が正義の味方として頑張ってくれることを願ってやみません。私達
もこれから、この動きがまともなやりかたで報告され、それをもとに誰もが認められ
る形で精査されるのかどうかしっかりと見続けることが必要だと思います。
くまたかたかくまたたかくまえ  徳永 智久

■□ おしらせ □■
『川辺川ダム問題パンフレット』を通信販売いたします。
『川辺川ダム問題パンフレットシリーズ』(川辺川研究会発行)
 3冊セット 1,600円(送料込み)

No.1 川辺川ダムの地学的問題(松本幡郎 熊本大学元教授・理学博士)
No.2 「国営川辺川土地改良事業」は必要か?(中島熙八郎 熊本県立大学教授)
No.3 川辺川ダム計画の問題と求められる治水対策(上野鉄男 国土問題研究会)

ご希望の方は、郵便局備え付けの青色の振込用紙(または同封の振込用紙)に、『パ
ンフレット希望』と必ず明記の上、振り込み願います。本年度会費納入の際、一緒に
お求めになってはいかがですか。

●ビデオダビングサービス
 3月の新作ビデオが増えました。ご希望の方は下記要領で注文してください。4月
16日の県民の会のシンポジウムも録画後ダビング予定です。
3月の新作ビデオ:
3月10日利水裁判結審報告集会(於:熊本市、約2時間)原告団、弁護団、支援団
体の発言のほか、海外からのメッセージも紹介されました。相良村に戦後入植して、
開墾に苦労された農家の話には胸を打たれます。
既にダビングサービス中のビデオ:
1.2月6日ストップ川辺川ダム緊急集会&市内パレード(於:熊本市)明るく楽し
 く妖しく?市内を練り歩いたパレードの模様が収録されています。茂吉さんの「こ
 れは正装です」に座布団一枚!
2.2月17日民主党現地ヒアリング(於:人吉市)利水、水害、漁協の内情、クマ
 タカ、原生林、九折瀬洞窟、環境アセス、手続き面、財政費用問題、八代など下流
 から見た問題、治水代替策など川辺川問題に関しての住民の様々な声が収録されて
 います。これ一本で、川辺川ダム問題全般に関して知ることができます。
【注文方法】
希望のビデオ名を通信欄に明記して、ビデオ1本=1500円(送料込み)を「川辺川を
守る県民の会」(郵便振替口座:01940-8-13454)宛てに送金してください。急ぐ方
は振り込み後、土森(TEL:0968-72-5604,E-MAIL:tsuchi_t@d1.dion.ne.jp)宛てに
連絡いただければ、直ちにダビングして発送します。手渡し可能な方には1本1000円
でお分けします。土森まで連絡ください。

●イベント・インフォメーション
■「清流  球磨川・川辺川を語ろう」 座談会
主催:美しい球磨川を守る市民の会
4月15日(土)  午後7時 〜 9時
八代駅前  珈琲店「ミック」にて開催
原科幸彦先生(東京工業大学教授)、地元の川漁師さん達と球磨川について共に語ら
いましょう。
問い合わせ:珈琲店ミック:0965-32-2261  二見:0965-43-1051
メール  :kfutami@mrh.biglobe.ne.jp
参加費  :1000円(飲み物・資料代込み)

■川辺川リバーミーティング2000(仮称)
去年まで行ってきたリバーミーティングは、今年は有志の呼びかけで、ゴールデンウ
ィークに「川辺川リバーミーティング2000」を準備中です。
日時:5月3日(水)〜5月7日(日)
場所:第一会場 相良村柳瀬、権現河原(近くにトイレ、水有り)
    第二会場 相良村深水、境田橋
主催者側では、なんにも準備しません。
 予想されるイベント
1,川辺川の大掃除(川原の大掃除をしましょう。)
2,「平成11年度内の本体着工を断念」祝賀会
3,「うまい焼酎とは」講演会
4,「Spirits of KAWABE」Live
5,「スーパーブランコ2号」ついに登場in境田橋
他、集まるメンバー多士済々の為、何が起こるか
どんなイベントが始まるか、行ってみないとわかりません。
  川辺川リバーミーティング2000実行委員
 問い合わせ  090-1080-8656(清川)E-Mail fukuchi@hf.rim.or.jp

   ★== 会計からのお知らせ・お願い ==★
 年度始めとなりました。今年度分の会費納入をよろしくお願いいたします。振込用
紙を同封しています。「県民の会」の活動は会員のみなさんからの会費とカンパによ
って支えられています。ご協力をお願いします。尚、未納年度は封筒ラベル右下に印
刷していますのでご確認下さい。
 これまでお振り込みいただいた方には礼状を発送していましたが、現在、礼状の発
送を見合わせております。基本的に振込用紙の控えをもって領収証に替えさせていた
だきたいと考えております。どうぞよろしくお願い致します。

   ★★ 助っ人大募集! ★★
私たちは、希望のある未来の為にいろんな活動を行っています。ただいま、こーんな
助っ人を大募集しています。皆で楽しく一緒にやってみませんか?

●会報発送などの事務作業を手伝ってくれる人
●イベント案内やチラシを置いてくれるお店、またはその様な所を紹介して頂ける人
●環境アセスメントの署名を集めてくれる人
●今後の植林作業を手伝って頂ける人
●釣り大会の運営を手伝って頂ける人
●今後のイベントやシンポジウム等を友人・知人に紹介して頂ける人
●文書おこしやパソコンで文書を作ってくれる人
●炭焼きや農作業の手伝いをして頂ける人
●自然観察会や川遊びなどで子供と遊んでくれる人
●インターネットでイベント情報などを宣伝して頂ける人
●上記には当てはまらないが、何か他の事で協力したいと言う人

助っ人に名乗りをあげられた方(または助っ人を紹介して頂ける方)は、下記まで、
ご連絡下さい。
【 熊本・県北方面 】
村上(096-289-1420) ke-mu@lares.dti.ne.jp
川本(096-325-6314) kawamoto@aminet.or.jp
【 八代・天草方面 】
二見(0965-43-1051) kfutami@mrh.biglobe.ne.jp
間垣(0965-32-8107) inti@mx7.tiki.ne.jp
【 人吉・球磨方面 】
佐藤(0966-24-5631) kawabe00@bronze.ocn.ne.jp
緒方(0966-24-9992) ogt@poppy.ocn.ne.jp
【 福岡・九州方面 】
松原(092-623-1765) sueno@attglobal.net
【 東京・全国方面 】
渡辺(03-5459-2351) kawabegawa@tokyo.office.ne.jp

●編集後記●
"My parent's generation gloried in the construction of dams across
America's rivers. My generation saw how those rivers were changed, deformed,
killed by dams. Your generation must help decide if, how and when those
dams stand or fall."(訳:私の親の世代はアメリカ中の川にダムを造って誇りに思
ってきた。私の世代は、川がダムによっていかに変化させられ、醜くさせられ、殺さ
れてきたかということを見てきた。あなた達の世代はダムがいつ、どうやって、この
まま存続するのかなくなるのかを決定できるようにしなければならない)これは、米
国内務省長官・ブルース・バビット氏による1998年のスピーチの一説です。今年1月
から3ヶ月に亘る渡米で思い知らされたものは「ダムは永遠ではない。役に立たなく
なったダムを撤去するには莫大な費用がかかる」ということでした。危険性や経済性
を考えた上で、米国では既に450以上のダムが撤去されています。日本もそろそろダ
ム撤去のことを真剣に考える時期ではないでしょうか。そして未来にツケを残さない
ためにも不要なダムを「まずは造らせないこと」ですね。(Y.N)