子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会
ニュースレター第10号 平成11年(1999年)4月6日発行




●熊本県議会議員候補者に公開質問状を送付しました。
各候補からの回答はホームページでそのまま公開します。(4/7以降)
http://kawabe.technologic.co.jo/shitsu/shitsu.html
インターネットをご利用できない方はお問い合わせください。
問い合せ:0968-72-5604(夜間のみ:土森)

●天然アユにこだわり、川辺川ダム建設に反対する球磨川漁協の応援のメッセージを
送ろう!

 先日の「漁協応援メッセージ」呼びかけで球磨川漁協にたくさんの応援メッセージ
を送っていただき、ありがとうございました。お陰様で球磨川漁協は2月26日の総
代会でも改めて「川辺川ダム絶対反対」の方針を確認しました。平成6(1994)年8月
4日の建設省による球磨川漁協下球磨部会での説明会で、建設省は「漁協の同意がな
ければ本体には着工しない」と述べています。今、「漁協の同意」がカギを握ってい
るのです。
 しかし、仮排水路トンネルが貫通したり、本体も含めた発注を行うなど、建設省は
球磨川漁協を孤立させ、同意せざるを得ない状況に追い込もうとしています。そこで
みなさんに再度のおねがいです。もう一度球磨川漁協に応援のメッセージを送って下
さい。味方がたくさんいるということを漁協の方々に知らせるために。
 聞くところによると、漁協の方はみなさんからの応援メッセージを「こんなにたく
さん来た」と大変喜んでいらっしゃったそうです。藤前干潟が保全されることになり
、北海道では士幌高原道路や千歳川放水路計画が中止になりました。今、踏みとどま
ることができれば川辺川だってきっと守ることができるはずです。どうかみなさんの
力を貸して下さい。

  【応援メッセージの宛先】
〒866-0051八代市麦島東町14−1
球磨川漁業協同組合 ダム対策委員会御中

■球磨川漁協の人々がかっこよく見える理由!
日本の多くの漁協がダム建設とともにあっさりと自前のアユをあきらめ、琵琶湖産の
養殖稚アユを買って放流しています。しかし球磨川漁協は、昔から球磨川が育んでき
た天然アユにこだわり、堰やダムの多い球磨川においても、毎年春に遡上してくる稚
アユを堰の下流ですくい上流に放流することによって、球磨川のアユをやさしく守り
続けています。

■球磨川の尺アユが全国の釣り師を魅了する理由
日本一と認められた清冽な川辺川が合流する球磨川のきれいな川には太陽の光が川底
に十分に届き、また熊本の暖かい気候もあって、川底の石の表面にはアユのエサとな
る苔、珪藻が絶えることがありません。十分な珪藻を食んだアユは大きく育ち30
cmにも成長し、スイカの匂いがするという香魚アユになるのです。また、川辺川の水
量によって支えられた球磨川の急流が形のよいアユを作りだします。この大きさ、形
、香り、味と四拍子揃った尺アユが日本全国の釣り師を魅了するのです。球磨川漁協
のこだわりによって守られているこの自前の天然アユは、いまや熊本のみならず日本
の財産です。

■球磨川のアユが生み出す経済効果
毎年300トン以上の漁獲量のあるアユは高値で取り引きされ、東京、阪神に出荷さ
れたり、人吉、球磨の旅館などに引き取られして、観光都市人吉など流域の経済に大
きく貢献しています。平成10年度の売り上げは19億円といわれ、市場などに出荷
されることによって生み出される経済効果はさらに倍以上になると思われます。

■川辺川ダム絶対反対を表明する球磨川漁協
石に生えた苔によって成長するアユは濁水には大変弱い魚です。ダムが建設されると
、洪水後の数ヶ月は濁水が続き、アユに大きなダメージ与えることは、今までの多く
のダム建設が証明しています。また、泥がこびり付いた石にはアユのエサとなる苔が
つくことも出来ません。市房ダムのある球磨川本流は釣り人もすくなく、釣ったアユ
も腸が臭く食べられないといいます。
ダムや堰が出来る度に日本の多くの河川から天然のアユが消えていきました。実際長
良川でも河口堰運用後天然アユは消え、養殖アユを放流しましたが、釣り師の姿は次
第に消えつつあります。球磨川漁協の人々も今まで球磨川に作られてきた多くの堰や
荒瀬ダム、瀬戸石ダム、市房ダムなどがアユやそこにすむ生き物がとって与えた影響
を誰より知っています。「川辺川ダムが出来ればアユも球磨川も死ぬ」ということを
一番痛感している人達なのです。

球磨川漁協は「ダム対策委員会」をつくりダムの問題について積極的に取り組み、先
だって開催された総代会においても、改めて「川辺川ダム絶対反対」を表明したので
す。

■球磨川漁協を支援する輪を全国に広げよう!
川辺川ダム建設が与えるダメージはもちろんアユに対してだけでなく、クマタカが生
息する五木の豊かな自然から不知火海の海にまで及びます。しかし、川辺川ダム建設
に伴う工事は目的もなく着々と進み、建設省は漁協との補償交渉が済み次第本体工事
に着工すると発表している現在、アユと川を守るためダム反対を表明している漁協を
応援することが、未来に美しい清流を残したいと思っている私たちがするべきことな
のです。川は誰のものでもなく、みんなで考えるべきものです。漁協だけにその責任
を負わせることは出来ません。
また、日本の川から天然のアユがいなくなるというような事態は避けなければなりま
せん。

ふるさとが育てた自前のアユを愛し、守ろうと日々努力している球磨川漁協の日本一
の取り組みを是非全国の皆様にも知らせて応援してほしいと思います。

日本一のアユを守るため、ダム建設に反対する球磨川漁協にメッセージを送ろう!(
宛先は上記参照ください)

■私たちは球磨川漁協を応援しています■
子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会、球磨川の天然鮎を守る会、清流
球磨川・川辺川を未来に手渡す流域郡市民の会、美しい球磨川を守る市民の会(八代
市)、子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る東京の会、天草の自然を護る会、子
守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る福岡の会、水源開発問題全国連絡会、人吉温
泉旅館組合員 堀尾芳人、脊梁の原生林を守る連絡協議会、八代女性市民の会、徳島
県木頭村元漁協組合長 高石康夫、株式会社「つり人」社社長 鈴木康友、株式会社
週刊釣りサンデー編集局 平井忠司、尺鮎会代表 太田博文(広島市)、熊本県保険
医協会、環境ネットワークくまもと、環境共育を考える会、コミュニティーネットワ
ーク協会、水環境会議熊本、ブナの森を育てる会、ガイアみなまた、暮らしと廃棄物
を考える熊本の会、中村敦夫、八代自然観察会、やまんたろ・かわんたろの会
その他全国の大勢のみなさんから応援メッセージが寄せられています。


●川辺川をめぐる最近の動き(H10,11月〜H11,3月)
H10,11,10 県民の会11月定例勉強会「ダム見直し活動と水没地」開催。

12,2  農水省川辺川農業水利事業所が国営川辺川土地改良事業の対象となる七市
  町村に、川辺川利水訴訟の原告団及び補助参加者の名簿を渡していたことが
  発覚。その後、原告団は七市町村役場と農政局に名簿返還要求と抗議行動を
  起こしました。

12,7 環境庁の水質調査により、川辺川下流が「水質日本一」に。

12,8  県民の会12月定例勉強会「ダム見直し活動と水没地(五木の現状と可能
  性)」開催。

12,8-9 日本の自然と森を守る全国連絡会と合同で大蔵省、建設省、林野庁に来
  年度予算配分の中止等を求めて省庁まわりに参加

12,15 九州農政局の「再評価」結果発表で、川辺川土地改良事業は「計画通り」

12,16 仮排水路トンネルが貫通。

12,17 民主党の菅代表と「公共事業チェックを実現する議員の会」の議員4人が
  川辺川の現地調査と「清流川辺川の未来を語るシンポジウム」(相良村)

12,19 公共事業のあり方を問う川辺川ダム問題シンポジウム(人吉市)
  佐藤謙一郎議員(民主党)、吉井英勝議員(共産党)も参加。

12,21 平成11年度大蔵原案内示。川辺川ダムに151億円、利水事業に10億円。

12,26 水源開発問題全国連絡会(水源連)による川辺川現地調査(ダムに代る治
  水案を検討するため)

H11,1,12 県民の会定例勉強会「川辺川利水裁判の現在」開催 講師:板井優先生

1,17  県民の会1月定例会+新年会

1,18  川辺川利水訴訟原告団、山江、多良木、人吉の各担当課に原告・補助参加
  者名簿の自主返還を再度申し入れ。

1,21 川辺川利水訴訟第9回口頭弁論。農水省は「35人の死亡者から同意署名・
  押印を得ていた」ことを認める。今夏、裁判官の現地検証と尋問が行われる
  ことに。

1,31 球磨川漁協組合長、「ダムを造ることは漁協に死ねと言っているに等しい」
  として建設省との交渉に応じる考えがないことを表明。

2,3 漁協勉強会〜もっと知りたい!球磨川とアユのこと〜−川を守るとはどうい
  うことか?−開催。球磨川漁協長(当時)三室氏のおはなし。

2,14 公共事業チェックを実現する議員の会の武村氏(さきがけ)と中島氏(共
  産党)立ち会いのもと、川辺川ダム問題ヒアリングを開催。(人吉市)

2,23 「今一度、球磨川・川辺川のアユの価値を問う」勉強会開催。(人吉市)

2,26 球磨川漁協総代会にて「川辺川ダム建設に絶対反対」を再確認

3,2  政府、中村敦夫議員提出の質問主意書に対し、「川辺川ダムの設置により
  下流の被害増大はない」と答弁。

3,14  国際ダム反対行動デー
  「県民の会」では熊本市繁華街で川辺川ダム問題を訴えるビラ配りをし、 
  「福岡の会」では中洲・那珂川でカヌーやゴムボートを浮かべて川辺川ダム
  問題をアピール。

3,19 建設省川辺川工事事務所、平成11年度の管内事の事業概要を発表。年度
  内に川辺川ダムサイトの川の流れを変える堰堤工事からダム本体のコンクリ
  ート打設の一部までを5年契約で一括発注することに。

3,21-22 福岡から水俣・川辺川へ「春のエコバスツアー」34名参加。

3,26 「手渡す会」「県民の会」などの5団体で本体工事予算計上に対する抗議
  行動。東京、福岡、島根からはfaxにて抗議文を送付。

3,29 熊本県議候補予定者に公開質問状を送付
    回答はインターネットホームページでそのまま公開します。
  http://kawabe.technologic.co.jo/shitsu/shitsu.html


●〜最近の動き(解説)〜
 昨年11月から今年3月まで、述べ9名の国会議員が相次いで川辺川を訪れた
り、漁協総代会が開かれるなど、事務局はその対応に大わらわでした。まず、1
2月17日に急遽民主党の管直人代表が「公共事業チェックを実現する議員の会」
の竹村泰子氏(民主)、今井澄氏(民主)、石井紘基氏(民主)と共に川辺川や
五木村を視察。引き続き相良村で建設省や推進派も交えてのシンポジウムに参加
しました。シンポジウムでは天野礼子さんが「公共事業、世界の潮流・日本の逆
行」と題して基調講演をし、推進・反対それぞれの立場のパネリストから意見を
聞いた上で、管代表は「事業が不必要でも、止めてしまう怖さから継続されてい
るところもある。止めるなら補償すべきところには補償すべきで、補填すべきと
ころには補填すべき。今こそ立ち止まって考えるべきだ」と意見を述べられまし
た。他の4人の議員からも公共事業のデメリットや環境保護の重要性、官僚シス
テムの腐敗などについての意見が出されました。

 続いて12月19日には「公共事業チェックを実現する議員の会」事務局の佐
藤謙一郎氏(民主)と吉井英勝氏(共産)が「公共事業のあり方を問う川辺川問
題シンポジウム」に出席。利水裁判の現状報告や、行政主導の事業見直しシステ
ムの検証、「民からのアセス」の必要性などの意見が出されました。佐藤代議士
はシンポジウム終了後、五木村に入り、長い間ダム計画に翻弄され続けてきた五
木の方々の苦労話や訴えを夜がふけるまでじっくりと聞き、もしもダム事業が途
中で中止になった場合「国としてやるべき補償ができるようにする仕組みを政治
家として政策提案する」と約束されました。その後佐藤事務所からは早速「ダム
事業に伴う生活再建関連事業に関する質問主意書」が国会に提出されました。

 2月14日には、霞ヶ関で昨年2回行った「川辺川ダム問題ヒアリング」を現
地・人吉市で開催し、「公共事業チェックを実現する議員の会」会長の武村正義
氏(さきがけ)と中島武敏氏(共産)の立ち会いのもと、建設省と市民が水害体
験、治水問題、生態系とアユの問題、地質問題について意見交換しましたが、双
方の主張は平行線をたどり全く噛み合いませんでした。利水問題については農水
省が欠席の為原告団からの説明にとどまりました。建設省と市民とのやりとりの
後で武村氏は「意見が全く噛み合っていないことが問題。川を人工的に止めてコ
ントロールするということは、神様が空からみていたら恐れ多い思い上がった行
為だ。川の水を止めるということ程大きな自然破壊はない。ダムは21世紀の人
間の愚考だ。自然の流れに沿った新しい知恵を出すべきだ。治水についてはよく
わからないので△だが、利水は農家が望んでいる事業だとは思えないのであとは
×(利水、環境、財政は×)だ。大抵の漁協は補償金を目当てに反対の態度を取
るが、球磨川漁協は絶対反対の立場を取っていて敬意を表する。間違いを改める
勇気を持って公共事業のあり方を見直すべきだ」と発言。中島氏は「洪水を防止
するのはダムだけという考え方は見直さなければならない。ダムはかえって危険
な作用も引き起こす。経済状況もよくないし、21世紀は環境の時代。昔からの
知恵を生かして自然との共生をはかるべき」と発言されました。

◎漁協への働きかけいろいろ
2月26日に球磨川漁協の総代会が開かれ、その中で今後の建設省対策について
も話し合われるということで、球磨川漁協が建設省と交渉のテーブルにつき、川
辺川ダムに同意するようなことがないようにいろいろな働きかけを行いました。
まずは会員のみなさんをはじめ、他団体の協力や釣り雑誌なども通して「漁協応
援メッセージ」を広く呼びかけました。また私たち市民側が日頃、球磨川漁協が
川を守るためにどんなことをされているのかを勉強するために2月3日に八代市
で勉強会を開催し、組合長(当時)の三室さんのお話をうかがいました。2月2
3日には人吉市で漁協組合員の方達にも呼びかけて、日本や世界各国の川の状況
をよくご存じの「釣り人社」社長の鈴木康友さんに球磨川がどんなにすばらしい
川であるかを話してもらいました。他にも、川辺川ダム問題について知ってもら
うため、球磨川漁協のダム対策委員約30名に川辺川ダム問題をわかりやすく解
説したビデオ「めぐりめぐる2」を郵送しました。漁協総代会の26日には有志
で総代の方々にダムを簡単に受け入れないように、清水バイパスや選択取水装置、
補償金などについてまとめたチラシを配って今後も球磨川のアユを守って下さる
ように呼びかけました。その甲斐あってか、総代会では改めて「川辺川ダム絶対
反対」という結論に至りました。3月10日には、それまで頑として建設省を寄
せ付けなかった三室氏から高沢氏に組合長が替わりましたが、高沢氏も「あくま
でもダムには反対で補償交渉に応じるつもりはない」との姿勢を打ち出していま
す。今後も球磨川漁協が孤立しないようにみんなで応援し続ける必要があります。

 建設省は仮排水路トンネルを造り、本体着工費用も見込んだ5カ年分の発注を
するなど既成事実を積み重ねていますが、相次ぐ国会議員の現地視察や全国紙で
「見直すべき公共事業」の代名詞としてしばしば川辺川ダム問題が取り上げられ
るなど、世間の関心も次第に高まっています。国家財政が厳しい今、声をあげ続
ければきっと無駄な公共事業は中止されるはずです。みんなで声をあげ続けてい
きましょう。


●東京の会から  〜東京でできること、川辺川のために〜
「子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る東京の会」は、「子守唄の里・五木
を育む清流川辺川を守る県民の会」の別働隊として、東京から、熊本、人吉、五
木を応援するというスタンスで、活動を続けています。

1997年秋、上京した県民の会のメンバーと、東京の会を立ち上げるという事が話
し合われました。縁あって、大石武一元環境庁長官を会長に、北海道大学・東北
大学名誉教授の八木健三先生(地質学専門)と、長年水俣病患者救済に取り組ん
でこられた元熊本大学(この春から熊本学園大学に教授として就任)の原田正純
先生に副会長をお願いをして、正式に発足したのは、98年の1月。同月28日に、
「公共事業チェックを実現する議員の会」主催のヒアリングが議員会館で開かれ
た際に、正式に活動を開始しました。以後、3月にもヒアリングは開かれ、東京
でサポート。7月、8月には、6月8日に公示された「基本計画の変更」(予算が
2650億円にも増額されたことなど)に、地元ばかりでなく全国から建設省に対し
て異議を申し立てようという署名運動を展開。8月7日に、霞ヶ関の建設省へ「東
京の会」からも署名を手渡しました。

さて、「東京の会」の考え方の基本は、あくまでも、地元のサポートです。地元
ではできないけれども東京だったらできること、東京でなければできないことを
積極的に押し進めています。地元から上京したときのサポートはもちろん、川辺
川を少しでも東京で知ってもらうための活動を首都圏で続けています。

その「東京で出来ること」の代表的活動が、ロビー活動とマスコミ対策です。今
の日本では、便宜上東京にマスコミや、政治の中心が集まっています。それらに
直接働きかけることで、地元の人たちに「中央でも話題になっている川辺川問題」
を認識してもらう効果を狙っています。それは、「川辺川問題」を東京発信の全
国的メディアに載せ、これらのメディアを地元で見てもらうことで、実現できま
す。あるいは、中央の議員に直接働きかけて国会質問や質問主意書、具体的行動
をお願いすることで、「問題山積みの川辺川ダムの話題」を国会内に送り込んで
います。さらにその中央の議員が人吉や、五木に行くことで地元マスコミのニュ
ースを作り、地元の方達が問題を再認識します。

東京の会では、東京でのネットワークづくりにも力を入れています。東京で活動
しているダム関係のネットワークである水源連事務局会議にも出席し、情報伝達
と収集に努めています。現在、水源連技術チームでは、川辺川問題の基本データ
の欺瞞性を調査中で、近々そのまとめが発表される予定です。さらに在京の他環
境団体とのネットワークとの連携を強化し、お互いに補完し合ういい関係を作り
上げています。その種は、98年10月、東京・代々木で吉野川第十堰関係者と共催
でイベントを開くなど、勉強会、署名活動など多岐に渡って花が咲いています。

今後準備中の活動として、「環境アセス実現を目標にした国会誓願の署名活動」
と「中村敦夫議員らの現地視察」を計画中です。「環境アセス実現を目標にした
国会誓願の署名活動」は、水質日本一になった川辺川をきれいなまま未来に手渡
すために、環境アセス実施の国会誓願を複数の議員から出していく予定です。こ
れには、ダム反対派、賛成派の壁はなく、川辺川を愛する人間全員が署名をして、
大きなうねりとなることを期待しています。これにより、地元の人たちにきれい
な川辺川の再認識を、運動を推進している人にはモチベーションアップにもつな
がると考えています。「中村敦夫議員らの現地視察」は、歯に衣着せぬ永田町の
風雲児である、中村敦夫議員が超党派で活動している環境議員・マスコミらを引
き連れて五木、人吉を訪問します。これは今までの菅直人民主党党首一行、佐藤
謙一郎「議員の会」事務局長一行、武村正義「議員の会」会長一行とは全く異な
ったテイストです。地元紙の一面を飾るニュースを目指し、今から企画を立ち上
げます。さらに10月23日には東京で、川辺川、五木をもっとアピールするための
イベントも企画しています。ご期待ください。

東京の会は発足から今まで、そのときに動ける人が東京の会メンバーで、実体は
バーチャルで良いという考えで通してきました。しかしその考えにも限界が来て、
99年2月から定例会を持つことにしました。それ以外は、同報E-MAILとファクス
というメディアで会員間のコミュニケーションを図っています。毎月第2火曜日、
青山学院裏のコピスという喫茶店でその定例会は行われています。東京近郊で川
辺川に対して思いのある方、ぜひ一声かけてみてください。川辺川のために。

【東京の会事務局】
〒106-0045東京都港区麻布十番1-3-11 
今井ビル301号 有限会社アクセラ内(渡辺)
Tel.03-3589-2508 Fax.03-3589-6189
E-MAIL:kawabegawa@aol.com


●福岡の会から
みなさん、こんにちは。福岡の会の玉木です。今日は、3月21日、22日に行
われた、水俣、五木へのエコツアーの感想を述べたいとおもいます。
 ところで,福岡の会といっても、福岡県民の中から,川辺川をまもろう、との
活動がうまれたわけではありません。残念ながら、福岡での川辺川の知名度はか
なり低いといわざる得ません。また、ダムに関する理解も浅いです。とにかく川
辺川をしってもらえたら、との思いで、“びおとーぶ”との共催でこのツアーは
開催されました。たんに、川辺川問題だけではなく、水俣と絡ませることにより、
“環境”、"人権”の2つがより明確に浮き上がったようにおもえます。

 さて、21日はあいにくの雨だったのですが、水俣につくころには小雨となり、
傘なしで外にでても、あまり気にならない位の降りとなっていました。まずは昼
食を食べた後、資料館で水俣病の語り部の方の御話をききます。発病の経緯から、
今までの流れをご自身の体験をもとに話していただけました。思った以上に淡々
と静かに話されるのが印象的でした。その淡々とした姿が逆に大変な苦労を感じ
させました。水銀汚染されたヘドロをそのまま封印されている埋め立て地ほか、
2,3箇所を回っただけなのですが、たった半日ではたらん、と思いました。ま
た、水俣の海、それも埋立地のすぐ横、水銀汚染されたヘドロを埋め立てたすぐ
横が恐ろしいほどきれいなのです。この海を....。人間は大した奴です。夜
は水俣の人々を交えての交流会です。そこで、もっと重度の水俣病の患者さんが
いらっしゃったのですが、昼間お会いした方とはちょっと印象が違いました。

 なんに対してかというと“もやいなおし”ということにです。“もやいなおし
”といっておわかりになるでしょうか?“もやい”とは船を結ぶ綱らしく、それ
をつなぎなおすというような意味があるそうです。つまり、“水俣病”によって、
ばらばらになってしまった、人々の心を“もやいなおそう”つなぎなおして、あ
たらしい出発を、ということらしいです。(僕な
りの理解なので若干ニュアンスが違うかもしれません)昼間の方は結構肯定的だ
ったようなきがするのですが、夜お会いした方々は、患者さんのかたも含めて否
定的でした。私は、水俣も新しく出発せねばならない、そのためのキーワードと
しては非常に良いのではないかと思っていたのに結構意外でした。けれど話を聞
いてみるとかなり納得させられました。そのとき聞いたすべてを再現できないの
が残念ですが、大まかな意味を僕なりの理解で言いますと、水俣病はおわってい
ない、ということです。”もやいなおし”自体は良いのだが、そのことばによっ
て、すべてが終わったような態度が一部に見られる。水俣病はまだ終わっていな
い、裁判が終わっても、患者の方が全員なくなろうと、水俣病は終わらない、忘
れてはいけない、という風な感じの御話であったと思います。

 水俣病は単に公害病の原点というだけではないはずです。近代日本の原点があ
るとおもいます。もう一度勉強して出なおさなきゃ、との思いが強く残りました。

 さて次の日は川辺川です。
まず高原台地で利水裁判のことなどをきいたあと五木に向かい、五木のかたの御
話を伺いました。ここで伺った御話をなんと表現すれば良いのでしょう。思いは
伝わってきたのですが、うまく表現できません。ただひとつ言えることはわれわ
れは単に川辺川ダム反対を述べるだけではだめだと言うことです。ダムができな
いにせよ、万が一出来るにせよ、そこに住む、五木の方々のことを考えなければ、
ということです。
 ダム問題は人権問題だ、とはよく言われることです。そう言う意味でこの国は
水俣病のころからぜんぜん変わってないようです。そこに住み人々をないがしろ
にしたのではいけません。故郷がなくなって喜ぶ人はいないはずです。しかし、
故郷をしずめる村づくりを選ばざる得なかった人々がいます。
“私達は長い間、忘れられていました。だから、こうやって来てくださるだけで
もうれしい。どんどん遊びに来てください。”
苦渋の選択を選ばせたのは建設省だと思います。しかし、同じことを私達も繰り
返そうとしているのかも知れません。そこに住む人の幸せなくて、なんの運動か、
と強く思いした。水俣できいた”もやいなおし”に匹敵する、あたらしい五木の
将来像を描き出さなくては、また今までの五木の人達の思いを忘れてはいけない
と思いました。

 まだまだほかにも興味深い話をいろいろを伺ったのですが、以上にしたいと思
います。
忘れないうちに福岡の会のホームページ(インターネット)に書きたいなあ、と
思っています。期待しないで待っていてください。

★4月24日(土)に福岡賢正さんをお招きして講演会を開きます。詳細はイベ
 ント欄を参照してください。

子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る福岡の会
ホームページ  http://member.nifty.ne.jp/TAMA-TAMA/


●お知らせ●
●勉強会について
今まで毎月第2火曜日に定例勉強会を開催していましたが、今後は必要に応じて
開催致しますので、今後ともよろしくお願い致します。また、定例会は毎月第一
火曜日です。どなたでも参加できますので是非おいでください。
注:5月の定例会は11日(火)に行います。

●県民の会へ音楽のメッセージが届きました
 朝日新聞の記事で私たちの活動を知った静岡県沼津市在住の結城耕平さんから
音楽CD「カントリー&フォーク」10枚が届きました。自然を守る活動へのエール
です。ダム湖に沈んだ村をみて作られた歌も含まれています。ありがとうござい
ました。関連団体にもお送りし今後イベントなどで使わせていただきます。

他にも激励のお便りやお問い合わせをいただいておりますが、事務局から返信や
お礼が遅れ気味です。申し訳ありません。この場を借りて取り急ぎお礼とお詫び
をさせていただきます。

●川辺川研究会が発足して小冊子出版活動 を開始しました。
 川辺川利水訴訟原告団、支援する会、手渡す会、県民の会が中心となって、川
辺川研究会が発足しました。川辺川ダム建設強行に反対する出版活動を進めてい
くのが目的です。専門家による科学的考察を小冊子(パンフレット)の形で広め
ていきます。
 当面の出版計画として「ダム計画地点における地質学的考察」「川辺川利水事
業と農業の将来展望」「ダムに頼らない治水」の三部作を順次出版していく予定
です。川辺川ダム問題を語る際の基礎資料となるパンフレットを目指します。出
版部数も1万部という大がかりなものとなりますので、資金カンパを広くお願い
しています。
 趣意書と振り込み用紙を添付いたしました。どうぞご協力の程、よろしくお願
いします。

●今年度の総会を5月〜6月に開催します。
 詳細は改めてご連絡致します。

●川辺川利水訴訟第10回口頭弁論
 6月11日(金)10:00〜17:00
 終日、証人尋問
 場所:熊本地方裁判所

●福岡の会がホームページを開設しました。
  http://member.nifty.ne.jp/TAMA-TAMA/
ちなみに、川辺川工事事務所や九州農政局もホームページを開設しています。
川辺川工事事務所:http://www.qs.moc.go.jp/kawabe/
九州農政局:http://www.ias.biglobe.ne.jp/maff-kyusyu/

●4月18日(日)から25日(日)の
 1週間はアースウィークです。
 今年も「県民の会」では熊本市繁華街・上通りで行われる街角パネル展に「川
辺川で遊ぼう!」と題してパネルを展示します。また5月2日にはアースウィー
ク協賛イベントとして「川辺川水質日本一祝賀会」が行われます。(詳細は同封
チラシとイベント欄参照)是非足をお運びください。
★4月22日は「ノーマイカーデー」です。
アースウィークについての詳細はホームページ 
http://www.infobears.ne.jp/smart/kankuma/earthweek/1999/
をご覧ください。

■イベント■
◎アースウィークくまもと99記念
 CO2 20%削減、市民の手で達成させよう!シンポジウム
 日時:4月17日(土)13:00〜16:30
 会場:熊本県立劇場地下大会議室
 基調講演:「COP3(地球温暖化防止京都会
  議)が私たちに問いかけたもの」
 講師:石原修氏(熊大環境システム工学科)

◎講演会「いのち危うし」“もう待ったなし”
 日時:4月29日(祝) 12:30〜14:30
 場所:秋津レークタウンクリニック
    (熊本市秋津町秋田3441-20)
 講師:竹熊宣孝氏(菊池養生園診療所所長)
 入場無料
※当日は秋津レークタウンクリニック「活き生きフェスタ」で楽しい催しを企画
 しています。

◎川辺川講演会(福岡)
環境庁が日本一と認めた九州熊本の川辺川についての講演会
日時: 4月24日(土) 13:00〜15:00
場所: 福岡市立青年センター
       福岡市中央区赤坂
主催:子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る福岡の会
「国が川を壊す理由」の著者・福岡賢正さんをお招きして、川辺川ダムの問題点
と中止に向けての可能性について講演してもらいます。
連絡先:092-585-3246(村松)、090-8296-0554(高木)、092-623-1765(松原)
E-mail:  ysmura@d1.dion.ne.jp(村松)

◎川辺川リバーミーティング'99
●日程および場所
 5月2日(日)
 球磨川下り発船場下
 受付         9:00am〜
 初心者スクール    9:00am〜11:00am
 守ろう川辺川アピール 11:00am〜11:30am
 5月3日(月)
 相良村:ごんげん河原
 川辺川ツーリング 9:00am〜(自由参加) 
▲参加費 1000円(保険料、記念品代込み)
■問い合せ 林田(川辺川の会):0966-24-4844
主催:川辺川リバーミーティング実行委員会
※同封のチラシをご覧下さい。

◎川辺川水質日本一祝賀会
 環境庁が昨年12月、川辺川の水質が日本一良好であると発表したことを受け
 て祝賀会を開きます。
◆と き 1999年5月2日(日)
     受付:17:00 開演:19:00
◆ところ 熊本県相良村『ごんげん河原』(雨天時:相良村柳瀬構造改善センター)
◆ゲスト うんばば中尾氏(タレント)  多田実氏(ルポライター:参加予定)
◆参加費 1000円(料理一品持ち込みの方500円
     前売:800円 高校生以下:無料
■主 催 川辺川水質日本一祝賀会実行委員会■問い合せ TEL:090-3418-3274(高場)
※同封のチラシをご覧下さい。

◎環境アセス勉強会(熊本)
第10回自然保護セミナー
「市民による環境アセスメント・地域リーダー養成のための研修会」
 〜6月12日のアセス法施行にあわせて〜
日時:平成11年6月13日(日)10:00〜19:00頃
場所:熊本県立体育館(熊本市、上熊本駅そば)
定員:30名(先着順)
講師:島津康男氏(名古屋大学名誉教授、環境技術研究協会会長)
内容:講義、実習、討論
参加費:会員 2000円、会員外 3000円
問い合わせ、申し込み先:つる詳子 
  電話0965-32-7359,FAX0965-32-7759  E-mail:shoko726@orange.ocn.ne.jp
主催:自然観察指導員熊本県連絡会


●おねがい
年度が改まりましたので、今年度分の会費納入をよろしくお願いします。漁協へ
の働きかけやヒアリングの開催などで、会計が逼迫していますので、みなさまか
らのカンパも大歓迎です。また、会では毎月定額を郵便通帳から自動的に引き落
とす「定期カンパ」にご協力いただける方も募集しています。毎月500円でも
1000円でも、いくらでも構いません。毎月一定の入金があることは会の運営上、
大変助かりますので、今後とも川辺川を守る活動をするために、みなさまのご協
力をどうぞよろしくお願い致します。(問い合わせ:096-329-0830<西田>)
【ご注意】「県民の会」会員継続の振込用紙は青い用紙です。赤い振込用紙はパ
 ンフレット作成のためのカンパ用ですのでお間違いないようご注意ください。

●編集後記
 既にダムを受け入れた五木村の人たちに対して、私は今まで五木村の再生を邪
魔しているのではないかと罪悪感に似た感情を抱くことがしばしばあった。その
感情は実際に五木の方と話をしてみるとすぐに払拭された。「私たちは基盤整備
や村おこしは進めてほしいと陳情してきたが、ダム本体を早く造ってほしいなど
とは一度も頼んだことはない」。ダム問題が騒がれ始めるずっと前からダムの弊
害など様々なことを勉強してこられた方の言葉は重く胸に響いた。高度経済成長
の時代、山村から都会へと人口が流出し、五木村も例外ではなく、そこにダム計
画が追い打ちをかけ村外移転が相次いだ。住む人がいなくなってしまっては村の
存続さえも危ぶまれる。やむなくダムを受け入れた人たちの心境は複雑だ。「実
際に、五木村に暮らしている人たちがいるということを忘れないでくださ
い」・・・五木の村おこしを邪魔してはならない。でも、邪魔しない形での「ダ
ム反対」はむしろ続けるべきだと確信した。「ダムのある五木村」よりも「ダム
のない五木村」の方がずっと魅力的なのだから。(Y.N)