2010年1月10日、人吉市において恒例の川辺川ダム問題新春総決起集会を開催し、参加者一同により以下の集会宣言を採択しました。
2010年新春集会宣言

 去年から今年にかけて川辺川ダム問題は、中止にむけて着実に動き出しています。

 大型公共事業のあり方を問い続けてきた川辺川ダム問題は、今まさに時間と空間を超え、流域が真の意味で一つになろうとしている、その瞬間でもあります。

 このような中、民主連立政権への交代によってこの動きは加速しつつあり、これまでダムによらない治水代替策に消極的だった国交省の姿勢を転換させ、流域住民側が提唱してきた河床掘削や遊水地の整備など、実施検討するまでになっています。

 また、これまで頑なにダム建設による地域経済の活性を建前としてきた流域市町村でつくる川辺川ダム建設促進協議会は、錦の御旗としてきた「ダム建設推進」の文言削除を余儀なくされ、国の方針転換に同調する形を取らざるを得ませんでした。

 こうした一連の情勢は、流域住民の闘いが市民運動と共にダムによらない治水・利水の要求を大きくまとめあげ、地元首長、県知事からダム反対宣言を引き出し、さらに国をも動かしてきた歴史的事実として高く評価されなければなりません。

 また、翻弄されながらも「村づくり」を推進してきた五木村も、大きく変わろうとしています。国がダム建設中止後のモデルケースとして、いわばダムによらない「村づくり」を提唱し、五木村民がこうした方向を選択することが求められています。

 しかし、完全に政・官・業は武装解除したわけではありません。省益を重視し、ダムの呪縛にしがみつく省庁官僚たちが機会をうかがっていることも周知の事実です。

 国営利水問題をみても、最大の受益地である相良村が事業再開にむけて動き出していることはその裏付けとでもいえるのではないでしょうか。また、荒瀬ダムの撤去に反対し存続を求める勢力も、中古化しつつあるダムなどの大型公共事業を存続させることに大きな利害・利権を持っているのではないでしょうか。

 しかしながら、昨年11月14日八代市で、私たちは、宝の川である川辺川・球磨川を取り戻すことを合言葉に、川辺川ダム以外の治水・利水を求める住民と荒瀬ダム撤去を求める住民が共に手を合わせ、川辺川ダム中止・荒瀬ダム撤去を実現する県民大集会を成功させました。これは全国へとほとばしる巨大な住民自治の流れです。

 私たちは「川辺川・球磨川の清流を取り戻したい」、「子守唄の里五木の地域再生を」という当初の目的とその夢が現実のものになりつつある今日、「住民こそが主人公」の声を大きく掲げて流域住民と一体となっていくことをここに高らかに宣言するものです。
2010年1月10日 

川辺川ダム問題新春総決起集会参加者一同


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