2007年5月24日 国土交通大臣 冬柴鐵三 様               子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会                  代表 中島 康               球磨川中流域水害被災者の会                  代表 緒方 雅子                  他川辺川ダム建設に反対する50住民団体     「くまがわ・明日の川づくり報告会」の即時中止と会場アンケートの      利用中止を求める申し入れ書  5月14日から、球磨村において「くまがわ・明日の川づくり報告会」(以下報告 会)が始まりましたが、私たちの懸念は現実のものとなりました。報告会では、球 磨川水系河川整備基本方針検討小委員会(以下検討小委)の結論を説明するばかり で、検討小委に提出された流域住民の意見や疑問、また潮谷義子熊本県知事が検 討小委で発した意見や疑問の紹介など全くありませんでした。また、2002年から 2003年まで熊本県の総合調整によって開催された「川辺川ダムを考える住民討論 集会」で住民側が提案した川辺川ダムに代わる治水代替案の説明もありません。  さらに報告会では、流域住民から堤防整備や宅地のかさ上げ、河床の土砂撤去、 内水の排水など、個別具体的な治水対策についての要望や意見が沢山出されまし た。しかし、国交省は工事の完了時期など具体的な回答は全くせず、「現地を見 たい」「検討する」などあいまいな回答に終始しました。これは水害常襲地帯に 住む流域住民を愚弄するものです。そもそも多くの住民からこのような要望が出 されること自体、国交省がこの地域で川辺川ダムに固執し、住民が望む治水対策 をこれまで放置してきたことの証明に他なりません。  住民からは川辺川ダム計画への疑問の声は出されても川辺川ダムを望む声は全 く出されませんでした。結局、国交省はここで出された意見は全て「水位を下げ るのが大事」という国交省の論理に結びつけ、川辺川ダムの必要性を盛り込んだ 違法な河川整備基本方針に対する流域住民の容認を得ようとしているとの疑いを 抱かざるを得ません。  また、報告会に出席した住民に会場でアンケートを書いてもらい、回収してい ますが、国交省の言い分だけを聞かされても、科学的客観的な判断ができる訳が ありません。正当な判断を下すには国交省の説明だけでなく、流域住民から出さ れている治水代替案も説明し、判断材料にすべきです。どのようなアンケート回 答があったか誰も検証しようがないのに、それを住民の声として公表されても信 用はできません。  以上を踏まえ、国交省には以下の事項を申し入れます。               記 1.今後の「くまがわ・明日の川づくり報告会」を即時中止すること 2.これまで回収した会場アンケートは公表も含めていかなる利用も中止すること 3.流域住民への説明会は熊本県の総合調整の元、双方向性にも配慮した形で行う こと 4.住民が望むダムによらない治水対策を即、実施すること                            以上