2007年3月20日、小委員会に対し解散または無期限休止を求める要求書を提出しました。

2007年3月20日
社会資本整備審議会河川分科会 
河川整備基本方針検討小委員会 
    委員  各位 

子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会
他52団体 代表 中島 康
要求書

 昨年に始まった球磨川系河川整備基本計画の検討小委員会は10回を重ね1年にも及んでいます。しかしこの委員会は時間と回数だけが重ねられただけで、内容的には実に寂しいもので、学問的、専門的な議論というには頭をかしげざるを得ないものでした。以下、その理由を列挙します。

1.森林の保水力について私共が出した要望書に対し、前回近藤委員長から答えとしての発言がありましたが、答えになっているとは言えません。すなわち国交省は常々森林の保水力について専門家がいなくても降雨量に対し一定のプロセスを経た後の出水の結果を掴んでいて出した結果であると説明しています。しかし、プロセスは不変のものとはいえないはずであり、プロセスが変われば結果は変わるはずです。委員会での議論はプロセスの検証もなしに結論を出そうとしています。

2.球磨川中流域の水害常襲地について、市房ダム、荒瀬ダム、瀬戸石ダムと毎年の水害の因果関係についても、住民から切実な声が寄せられているにも関わらず委員会での議論は通り一遍のもので住民が納得の出来るものではなく、不十分な議論で終わっています。あのような議論で実際、災害に会っている住民が納得できると考えているのでしょうか。

3.水害体験者の人々がいう市房ダム水害拡大説について
体験者の思いは全て、誤解とデマによるものと片付けていますが、現地調査もなしに国交省の一方的説明とデータだけで結論付けられていいものでしょうか。国交省の発表にも住民は疑問の目を向けているのです。

4.球磨川の河川流量について
・国交省は人吉においては最高4000t/sの流下能力であるとして川辺川ダムの必要を論じています。しかし過去最高5400t/sの水が水害を起こさず流下しています。

・80年に1度の大雨48時間で440mm振れば人吉では7000t/sの水が流れようとすると言っています。しかし、昨年一昨年連続して440mm以上の降雨に対し人吉での流量は4200t/sでした。


・国交省は人吉での現況河道流量は4000t/sであるものに対し、計画河道流量は4100t/sと説明してきました。たった100t/sの差、おかしいと思いませんか。

・第2回住民討論集会の時、国交省は八代については川辺川ダムは必要ないことを認めました。この事を知った上での委員会の議論ですか。

・昭和38年〜40年から現在に至るまでをみると降雨量に比しての河川流量が減少傾向にあると思われますがどうでしょう。

・住民討論集会で国交省は流量計算方式は単位図法が最良無比であると譲りませんでした。しかし今回の資料では変わっています。今まで何度となくこの点は質問しておりますが、説明が明確ではありません。又委員の中で誰も質問していないのはどうしてでしょう。


5.検討小委員会の委員による現地調査を私達は何回となく要望して来ましたが、今だに正式な委員会としての調査は実現していません。現地の状況を見、現地の人たちの声を生で聞くことは委員会の性質上、当然のことと思いますが。

6.専門的な議論が専門家不在、若しくはそれに近い状況で進められています。森林の保水力についての議論の時は「0人」、前回の環境では実質的には「1人」。これでは議論にならないでしょう。専門家が常任委員の中にいないのであれば、オブザーバーとしてでもその道の専門家を招聘すべきではないでしょうか。

7.議論の中で専門家として耳を疑う発言が見られます。例えば基本高水流量についての議論の最中、安全度について80分の1にするか100分の1にするかということを「中をとって90分の1では」との発言には、言葉を失います。

8.前回環境問題の議論の時、荒瀬ダム撤去に際しCO2量に換算して撤去することを検討することが必要だと、至極もっともなことを言っておられた方が、ダムが与える球磨川及び八代会へのダメージについては一切発言なしという点については笑止といわざるを得ません。

等々と以上は、議論の内容について住民の1人として納得できないもののほんの一部です。この他に環境問題はこの中には入れていません。数え挙げたらキリがありません。


要するに現在行われている小委員会は、国交省の提出した資料に対する読書感想の発表会でしかなく議論とはいえません。読書感想の発表を各委員に促すのみの委員会になってしまっているのです。これでは流域に住む住民が生命財産を守る河川行政を期待することが出来ません。

次に、現在行われている検討小委員会は小委員会の主旨に反しているといえます。すなわち、検討小委員会で議論して決められていくことは、河川全体に対する抽象的事象を討議する場所であると意味づけられているはずです。川辺川ダムを対象としたダム論議、実質的河川整備計画なしでの環境論議などは、小委員会の主旨に反したものといえます。ましては穴あきダムの論議など言語道断と言わざるを得ません。

先日、人吉では検討小委員会の一人、福永人吉市長が収賄容疑で逮捕されました。市長はダムの強烈な推進団体の会長でした。この人は関連業務との癒着がとりざたされています。私たちは今まで再三、福永市長のダム推進論者であるがゆえに委員不適格であると指摘してきました。しかし、あえて福永氏を委員に選定した国交省に委員選考理由に不透明さを感じます。


以上、述べてきましたとおり、現在の検討小委員会は、小委員会の主旨から会のあり方及び議論内容についても逸脱していると言わざるを得ません。この際、一度この検討小委員会を解散し、再度メンバーを選びなおし再出発するか、または無期限に休止するかのいずれかを選択されることを要求します。

以 上 



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