2007年2月10日、小委員会に対して休止を求める要求書を送付しました。

2007年2月10日
社会資本整備審議会河川分科会 
河川整備基本方針検討小委員会 
    委員  各位 

子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会
他52団体代表 中島 康
要求書

 昨年末迄に、球磨川河川整備基本方針検討小委員会は、9回にわたって開かれ、森林の保水力、基本高水流量、計画高水流量等々について議論が行われ、近藤委員長から、それぞれについて区切りの発言がなされました。

 しかしこの発言は決定事項では有り得ません。なぜなら地元熊本県民の代表である熊本県知事はそれぞれに疑問を述べ納得できない旨発言を続けており、国交省による熊本県民への十分な説明を行うように要望しています。しかし、国交省もまた小委員会もこれに対して明確な返答を行っていないからです。

 近藤委員長の森林の保水力や基本高水流量等々の議論での最終発言は、委員長個人のそうありたいという希望を述べたものにすぎず決定事項と呼べるものではありません。又、これまで9回小委員会が開かれる毎に地元住民及び関連団体から地元の切実な問題を意見書、質問書、要望書として実に多くの声が小委員会に届けられています。しかしこれに対しても、極めて残念なことに、委員会として又専門家の一人として全くといって良いほど答えていません。例えば

・上流に市房ダムが完成してからダムの放流により水害被害が増大したという水害体験者の実体験を通じて出された声。

・住民討論集会での国交省の説明の基礎となった流量算出方法及び観測点の変更がなぜなされたのか。住民討論集会の説明と今回の説明との食い違いについて。

・森林水文学者不在の中で森林保水力の議論が行われ、森林保水力が河川の流量にあたえる影響は微細であると、どうして片付けられたのか。

・球磨川中流域の水害が、荒瀬、瀬戸石両ダムが出来てから頻繁に発生するようになり、被害も格段に大きくなった理由は。

・かつて国交省が主張しつづけた連続2日間(48時間)で440mmの降雨があれば、人吉で7000t/s、八代では9000t/s、水が流下する為に水害が起こると言っていたのに、昨年及び一昨年とも2日間で440mm超の降雨でありながら人吉では4200t/s、八代では7000t/sであったこと。

・人吉で計画高水4000t/s現況河道流量3900t/sであるとの国交省の説明であったのに、過去最大5400t/sが越流することなく流れたこと。

・過去、流域で54名の人名が水害で失われたからダムが必要という国交省の説明を精査した結果、水害による犠牲者は1名で残り53名は土砂災害の犠牲者であり、ダムが出来る地点より上流の人たちであったことに対する説明。

・八代では過去9000t/sを超える水が越流も堤防決壊もなく流下したことと、国交省のいう基本高水流量との関係。

・八代では9000t/s以上の水が過去何回も流れているのにここ250年以上堤防決壊も氾濫も起こっていないこと。

等々、枚挙にいとまがありません。これら地元の人々の多くの疑問に答えることなく進められる検討小委員会の議論は認められるものではありません。


 次に、第9回の検討小委員会は治水対策としてダムを前提とした議論でした。国交省発行の改正河川法の解説書には、小委員会での議論は、具体的治水策を検討するのではなく抽象的基本的な数値や事柄を議論する場であると述べられいたと思います。そうでありながら、第9回の委員会の議論は全く法に反した会議ではなかったのでしょうか。第9回の委員会自体無効とすべきです。

 第9回の小委員会において、第10回は環境について議論する旨の発言が委員長からなされました。ここで不可解なのは、河川整備の為の基本計画が策定されてはじめて環境についての議論が可能になるはずであるにも関わらず、整備計画が具体的になっていない時点で何をどのように議論しようというのでしょうか。

 又、これに加えて、国交省の出している環境の資料は全て川辺川ダムを前提として討論された住民討論集会での議事録を両論併記してまとめたものです。川辺川ダムを前提とした資料で行う小委員会での議論がどうしても川辺川ダムの影を引きずってしまうのことは否めないでしょう。小委員会での議論は何らの前提もなく公正に行われるべきものです。明らかに検討小委員会の精神に反しています。環境に対する議論は今、行うべきものではありません。

 以上述べた様に、検討小委員会は当然なされるべき議論をなされぬまま今日まで来ています。先日、熊本県から今までの議論内容について住民(県民)に対する説明を行うことを求める要望が出されましたが、私たちは、熊本県民の一人としてその実現を切に要望しています。なぜなら、環境に対する議論は新河川整備基本計画が決まった後、環境アセスメントを通じて十分な時間をかけて住民とともに行うべきであり、小委員会で今議論することではありません。今行われなければならないことは、熊本県の要求に答えて県民に対する説明を住民討論集会形式で行うことです。

つきましては、検討小委員会は、上記の形でその説明責任を果たすまで無期限に休止することを要求します。

以 上 

 



県民の会トップへ戻る