2006年11月13日、小委員会に対し「球磨川水系河川整備基本方針策定」に対する抗議及び要望書を提出しました。

2006年11月13日
球磨川水系河川整備基本方針検討小委員会
委員長他委員各位


子守唄の里・五木を育む清流川辺川を守る県民の会
他川辺川ダム建設に反対する52住民団体
代表 中島 康
「球磨川水系河川整備基本方針策定」に対する抗議及び要望書

 2006年10月19月に開かれました「球磨川水系河川整備基本方針に関する検討小委員会」は、22名の同委員会の内わずか7名の出席の下に開かれ、委員長裁決で委員会として成立するものとして審議が行われました。これは一般市民の感覚としては委員会として成立するものとは理解できない事です。その審議内容については、今回もまた一般市民の感覚として納得出来る物ではありませんでした。そこで来る2006年11月15日に開かれる第8回検討小委員会に対し、私達は、前回迄の審議の内容に対する抗議と今後の小委員会に対する要望書をお送り致します。

 私達は、今まで小委員会が開かれる度に種々の意見書や質問書を提出してきています。この提出された各意見書及び質問書は、国交省をはじめ、小委員会の各位が常に念頭にいれておられるはずの流域住民、少なくとも流域住民の大多数の声であることを忘れられることなく真摯に受け止められ、真剣に検討されることを願って提出致します。


1. 河床掘削と軟岩の露出

1−1 住民側の望む河床掘削とは


私達は国交省が「住民討論集会」に於いてのべた、計画河道の完成をまず望んでいるのです。その為には現在球磨川に貯まったまま放置されている土砂の撤去を第一に検討すべきであると強く要望しています。昨年人吉市中川原に於いて、20000立方メートルの土砂の撤去が行われた結果、今年は、昨年とほぼ同程度の出水に対し、約500ミリ水位が下がるという効果がありました。

この現実からみて、現在河床に貯まっている土砂を取り除くことによって相当な治水効果が望まれると思われます。まず河道流量を検討するのなら、現在河床に貯まっている土砂の状況を現地で調査すべきであると思います。又、計画河道まで河床を掘り下げた場合の軟岩の状況について詳しく国交省に報告させることが第一ではないのでしょうか。その後、流量については議論されるべきです。

 1−2 軟岩の露出現象について…ダムは下流の河床低下を引き起こす。
 
 先日の小委員会に於いて、福岡委員から球磨川の河床の軟岩露出について発言がありました。川の流れで軟岩が露出することは非常に注意を要する現象であることがよく分かりました。さっそく球磨川及び川辺川流域を調査した結果、言われるような現象が見られました。

 これは川辺川、球磨川の合流点より上流の球磨川で多く見られます。これに対して川辺川及び合流点より下流の球磨川にはそれとおぼしき現象は発見できません。全体的に合流点より上流の球磨川では砂利や石が減ったとの意見が地元で聞かれ、市房ダムの建設後この現象は見られるようになったことから、ダムが土砂の供給を止めた為、球磨川上流では河床低下が起こっていると考える事ができます。福岡委員の発言は確かにダムの下流に起こっている現象で、ダムが出来れば河床低下が起こることを示しています。ダムは治水対策には有害です。委員各位のはっきりとしたご意見をお聞かせ下さい。又露岩の状況の写真も添付します(あさぎり町深田にて2006年11月5日撮影)。


2. 軟岩と堤防の安全について…国交省の堤防工事の常識

 福岡委員は軟岩まで掘削すれば、堤防の足下を洗掘され非常に危険である旨の発言をされました。なぜこのようなことが起こるのか、又現在、国交省の施工した堤防工事でその様なことが起こったのか御説明をお願いします。球磨川流域に住む住民の安全の為、住民に分かるように必ずお願いいたします。
常識として堤防工事は安定した岩盤までパイルを打つなり掘り下げるなりして基礎工事は行われるものではないでしょうか。その他色々な工事方法があるはずです。国交省の河川土木工事専門家としての説明を、明確に、流域に住む住民達のために行ってください。
 ちなみに中川原の土砂撤去工事の時は、工事終了時、河床に人工で大小の岩を積み並べ河床は一見工事の跡は見えないまで保全し河床を保護してありました。このようなことは当たり前の事ではないのですか。福岡委員及び委員長の所見を明らかにされることを強く要望します。

3. 流量の議論は何を前提として行われているのか。

 2006年9月6日の第6回検討小委員会までに、森林の保水力と基本高水流量の関係及び八代に於ける基本高水流量の検討が行われ、人吉7000t/s八代9900t/sの基本高水流量が国交省より提案され、近藤委員長の決裁で議論の終止が行われたものに、これはあくまでもそうありたいという委員長の希望であって決定ではないはずです。現に熊本県知事はこれには納得していない旨の発言を繰り返されています。にもかかわらずこの人吉7000t/s八代9900t/sを決定されたものとして、これを前提として河道流量について人吉は4000t/s、八代は8000t/sが限界であるなどの値が出され、一人歩きしそうな感があります。しかしこの値はあくまでも不確実な仮定の下に出されたものであって、現在ここで出されて良い数字ではないはずです。

 前回の抗議及び要望書でも述べました通り、基本高水流量については即刻白紙にもどし委員の各位が現地に赴いて現地調査を行い、現地の声を聞く位の努力は当然するべきです。そして現地住民への説明を徹底し、住民が真に納得する結論を出すべきです。基本高水流量を白紙に戻し、河道流量決定を急がず、数値は白紙に戻して住民にとって納得できる議論をまだ続けるべきであると思います。


4. 住民側の言う総合的治水対策

 川辺川ダム建設に異を唱える住民側の治水対策は住民討論集会で述べている通り、堤防の補強及びかさ上げ、河床掘削、森林の治水機能の利用、遊水池の有効活用を有機的に用いることで治水対策とすることです。

 国交省は常にダム対緑のダム、ダム対河床掘削、ダム対遊水池と言うように一つの対策で球磨川治水を論じようとし、議論をすり替えています。この様に国交省が球磨川の治水を全て川辺川ダムを前提としている為、結果として40数年の間、総合的な球磨川の治水対策を怠ってきたと言えます。この結果多くの被害を出してきました。中流域の毎年の水害も、又人吉市内の内水面の水害もその例です。熊本県において世論はダムには反対です。又現地の相良村は治水に於いても利水に於いてもダムに依る事には反対を表明しています。球磨川の治水はダムに関係なく総合的治水対策で行われるべきです。現在行われている検討小委員会の議論もダムによらない治水対策の為に利用されるよう要望します。

以 上 



県民の会トップへ戻る