いよいよ、ダム案、ダム以外案を農家に提示してどちらの案にするのか決めていく、第5回意見交換会と集落座談会が6月4日から始まりました。

以下は、6月4日の多良木町での意見交換会での利水訴訟弁護団団長・板井優弁護士の発言原稿です。

 

                         2005年6月4日
多良木町意見交換会発言原稿

             弁護士  板井優

1 皆さんこんばんは。
  私は、川辺川訴訟弁護団の団長、弁護士の板井優です。
2 本日は、新利水計画策定に当たっての意見交換会です。
  本日、私たちは、ダムによらない利水案である「相良六藤堰」案
を皆さんにお届けします。この案は、現在、相良村に飛行場水路があ
りますが、その取水口である六藤から取水するものです。私たちの案
は配布されている資料にありますので、詳しくは2頁の表をご覧くだ
さい。
  このダム以外利水案{相良六藤堰案}は、ダム案と比べて@総事
業費で190億円も安く、おそらくダム案よりもA収用委員会で漁業補償
の鑑定で常識的には3年かかりますので、工期で5年以上も早く、Bそ
れでいて皆さん方の水代の負担はダム案と一緒で、行政の補助で双方
とも同じく 3000万円となります。しかも、この案は、皆さんが誇り
にしている川辺川の清流を残し、全国に誇れるアユをこれからも育て
ていけるものです。
要するに、私たちのお勧めするダム以外利水案「相良六藤堰」案は、
水代はダム案と一緒ですが、さらに安く、早く、環境にやさしい案で
す。また、この案は、国が作ったダム案と異なり、原告団が地域の実
情を踏まえて作成に協力したものです。
3 ところで、水代についてはダム案も一緒ですが、行政からの補助
がついています。菊池台地でも国、県、関係市町村が補助をして農家
が負担できる水代になっています。これは少なくとも、皆さん方が補
助を必要とする間は将来にわたって続くものです。その意味では、心
配は全く要りません。
  私たちのダム以外利水案「相良六藤堰」案は総工事費で190億円
も安くなっていますので、税金の無駄使いをなくしたのですから、国
民の皆さんから水代への補助を受ける理由について支持と理解を得ら
れると思います。
4 なお、私たちの案では、中小河川の一部の地域について、どうし
ても必要ならば堰などを改修して出来る限り、水が届くようにしてい
ます。これは、この地域には水は来ていますが、渇水期に一部の水田
の水の確保が必要かどうかをこの地域の農家に考えていただきたいか
らです。既存の堰や水路の改修の結果、漏水などによる水の無駄を省
いて、水を有効に使うことが出来ます。
ダム案でも、補給水が来ることになっていますが、これまで既存水利
施設の負担金(水代)に加えて、さらに10アール当たり(1反当り)
450円も水代が嵩みます。その意味で、本当に水が必要かどうかを考え
ていただきたいのです。
  私たちの案は、地元土木業者でも技術的に関与できるものであり、
仕事の確保も出来やすいものと考えています。 
5 ところで、私たちは、始めにダムありきの考えに反対し、水の押
し付けは許さないとの立場から、ダムの水はいらないとして2年前に
裁判に勝ちました。そして、水の必要なところには早くて安いダム以
外の水を届けるとして、農家が主人公、情報の共有を掲げて新利水事
業の策定作業に参加しました。
  私たちが、そう考えたのは、1966(昭和41)年にダム計画が
作られてから、もう40年になろうとしているにもかかわらず、ダム計
画が遅れているからです。ダムを巡っては、この地域にさまざま意見
があります。
私たちの案はこれまで川辺川では水を貯めなくても取水できた豊かな
水量を前提にしています。むしろ、ダムにすることにより、現実に平
成6年の渇水期には市房ダムも農業用水が不足したことなどから、問
題も生じるものと考えています。
先日も、収用委員会でダム建設を前提にした収用裁決が却下されるの
ではないかとの報道もなされました。私たちは、水に色はないのだか
らより早く、より安く確実に来る水を皆さんにお届けするとの立場か
ら、改めて皆さんの理解を求めるものです。
6 なお、資料Bの4頁ですが、行政などが水を押し付けたり、根拠
も示さず特定の水源を押し付けることなどについては、公平でないと
して禁じられています。皆さんのお宅には、国・県・市町村の職員が
三位一体でお尋ねすることになっており、それ以外の人が皆さんの家
を訪ねることも許されていません。
  もし、これに反することがありましたら、公正確保委員会に申し
立てることが出来ますので、この資料の末尾にある電話までご連絡く
ださい。

 この原稿は、補給水が問題となる多良木、山江、あさぎり、人吉
に共通するものです。





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