■ “全国初のダム撤去” 荒瀬ダム撤去について
2002年12月10日、熊本県八代郡坂本村の球磨川にある県営荒瀬ダム(藤本発電所)の水利権更新問題について熊本県知事は、七年間の更新後、直ちに撤去作業に入ることを正式表明した。ダムの完全撤去は全国で初めてとなる。その理由として、

(1)発電事業を継続した場合、十年前後で発電機の全面取り換えなどが必要
で、それには六十億円以上が見込まれる
(2)ダム撤去に必要な費用をねん出するため、県企業局の収支が均衡する期
間は最低六年いる
(3)九州電力との電力受給契約の残り期間が七年ある

に加えて、(4)地元坂本村や自民党県議団より出された撤去を求める提言の存在をあげている。
熊日、2002年12月10日夕刊


■ 熊本県知事「国がダム撤去費用を負担すれば、撤去は早まる」
 
熊本県にとってダム撤去の大きな懸念となっているのが、その撤去費用。47億円が見込まれているが、財政建て直し中の熊本県にとって、その負担は大きい。
 県知事は、2010年3月31日までの更新ののち、「直ちに(荒瀬ダムを)撤去したい。撤去には環境影響調査が必要で、来年度から工法などを詰めて円滑、迅速に撤去したい。河川管理者の国土交通省に働き掛け、撤去費用の何らかの負担が得られれば、少しでも(撤去時期が)早まるようにしたい」と述べている(熊日、2002年12月10日夕刊)。


■ 国土交通省の対応
 しかし、『最大の懸案として浮かび上がったのがダムの撤去費用。(中略)県の内々の打診に対し、球磨川の河川管理者である国土交通省は「護岸の洗掘はダム操業によるもの。原因者責任でやるべきだ」とにべも無かった』(熊日2002年11月30日)とあるように、国は撤去費用の負担を拒否。
 これに対し、熊本県知事は、たびたび国の役割の重要性を強調している。

『荒瀬ダム撤去はダム史の中では第一号。後のダム撤去の際に検証され、掘り下げられ、付加されていくことで新しい技術を生む素材にもなる。県だけでなく国も一緒に検証していくことが歴史上の課題だ。国は「県営ダムだから県に責任がある」と言うが、日本のダム史の課題として、国としても取り組み、知恵を出していくことが新しい公共事業の姿勢だ。住民は新しい時代のステップを見極めようとしていることを国も私も忘れてはならない。』
熊日2003年2月2日
『潮谷知事は(中略)・・・「国内で初めてのダム撤去で、撤去に伴う環境への影響を探る意義は大きい」と指摘。河川管理者である国土交通省の役割を強調した。』
熊日2003年4月23日


■ 坂本村からも請願書提出
ダムによる最大の影響地域である地元坂本村村議会ならびに村長からは、2003年6月、各省庁ならびに県知事宛てに、撤去の早期実現のため、ダム撤去を国が支援するようもとめる請願書が提出されている。(熊日2003年6月11日


■ 県民の会より申入書を提出
2005年7月12日、荒瀬ダム撤去について、財政的、技術的に国交省に支援を求める要望書を提出した。
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◆川辺川ダムの中止申し入れ 熊本の市民団体(西日本2005年6月13日朝刊)
◆福岡の反対市民団体 九地整へ事業中止求める申し入れ書
熊日2005年7月13日
◆川辺川ダム問題:事業中止など求め、国交省に申し入れ書−−「守る県民の会」 /熊本
毎日新聞2005年7月15日